将棋の棋戦とは何か?その種類と概要について簡単にまとめてみた
今まで、タイトル戦や、NHK杯、朝日杯などの解説をしてきました。これらは、皆、棋戦と言います。
将棋の棋戦とは何でしょうか?まずはググってみました。
- デジタル大辞泉 囲碁または将棋の勝負。
- ニコニコ大百科 囲碁・将棋のタイトルを争う大会・勝負である。主にプロのものを指す。
- goo国語辞書 囲碁または将棋の勝負。
プロ即ち棋士、女流棋士の勝負を指します。女流棋士のものは特に「女流棋戦」といいます。
日本将棋連盟の棋戦一覧を見れば一目瞭然でどんな棋戦があるかわかります。
そんな棋戦について、将棋の棋戦とは何か、その種類と概要についてまとめてみました。このページをご覧になれば、将棋の棋戦について詳しく語れるようになるでしょう。
それでは、ご一緒に内容を見に行きましょう。
棋戦の種類
棋戦の種類を図にしました。
上の図にありますように、棋戦は公式戦と非公式戦に分かれます。その違いは次に示します。
- 公式戦:対局結果と棋譜が日本将棋連盟の公式記録に残る棋戦
- 非公式戦:対局結果と棋譜が日本将棋連盟の公式記録に残らない棋戦
日本将棋連盟の公式記録に残るかどうかで別れるんですね。
但し、非公式戦であっても、棋戦の主催者が対局結果や棋譜(もしくは対局の映像)を保管あるいは公開している場合があります。
そのため、非公式戦だからといって必ずしも記録が失われるわけではありません。
次の章から、公式戦と非公式戦にどんな種類があるのかを見ていきます。
公式戦の種類
始めに、公式戦を見ていきましょう。上述した図にあるように、公式戦には、次の棋戦があります。
- タイトル戦
- 一般棋戦
それぞれの棋戦について解説します。
タイトル戦
タイトル戦は、優勝者にタイトル(称号)が与えられる棋戦を指します。
竜王や名人などの称号を持つ棋戦ですね。
2023年10月に、藤井聡太竜王・名人が、竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖の八大タイトルを独占したのは記憶に新しいです。
以下に、タイトルの序列を記載します。
- 竜王戦、名人戦 > 王位戦 > 王座戦 > 棋王戦 > 叡王戦 > 王将戦 > 棋聖戦
序列については、2つ記事を書いてます。賞金などにも触れていますので、ご覧ください。
女流タイトル戦も8つあります。
こちらも序列を示します。
- 白玲戦(女流順位戦)> 清麗戦 > マイナビ女子オープン > 女流王座戦 > 女流名人戦 > 女流王位戦 > 女流王将戦 > 倉敷藤花戦
一般棋戦
一般棋戦はタイトル戦以外の公式戦を指します。
次の3つの棋戦があります。
- 全棋士参加棋戦(朝日杯将棋オープン戦、銀河戦、NHK杯テレビ将棋トーナメント)
- 上位棋士選抜棋戦(将棋日本シリーズ)
- 年齢別棋士・下位棋士選抜棋戦(達人戦、新人王戦、加古川青流戦)
女流の一般棋戦は次の通りです。
- 若手棋士等選抜棋戦(YAMADA女流チャレンジ杯)
非公式戦
棋士の非公式戦ですが、現在3つの棋戦があります。
- ABEMAトーナメント
- SUNTORY 将棋オールスター 東西対抗戦2021
- 新銀河戦
女流棋士の非公式戦は3つの棋戦があります。
- 白瀧あゆみ杯争奪戦
- 1dayトーナメント
- 女流ABEMAトーナメント
各棋戦の概要
それでは、上述した各棋戦の概要を述べておきます。一部、個別にアップしている記事と重複する部分があります。
タイトル戦
棋士のタイトル戦は八大タイトルと呼ばれているものです。そして、上述したように、女流棋戦も新棋戦が立ち上げられて、八つのタイトル戦が行われています。
以下に、棋士のタイトル戦の棋戦名と開始時期、番勝負とその日程を一覧にしました。
棋戦名 | 開始年度 | 称号 | 永世称号 | 番勝負 | 時期 | 賞金額 |
---|---|---|---|---|---|---|
竜王戦 | 1988年 | 竜王 | 永世竜王 | 七番(2日制) | 10月~12月 | 4,400万円 |
名人戦 | 1935年 | 名人 | 永世名人 | 七番(2日制) | 4月~6月 | 3,500万円 |
王位戦 | 1960年 | 王位 | 永世王位 | 七番(2日制) | 7月~9月 | 2,000万円 |
叡王戦 | 2017年 | 叡王 | - | 五番(1日制) | 4月~6月 | 1,500万円 |
王座戦 | 1983年 | 王座 | 名誉王座 | 五番(1日制) | 9月~10月 | 1,400万円 |
棋王戦 | 1975年 | 棋王 | 永世棋王 | 五番(1日制) | 2月~3月 | 1,300万円 |
王将戦 | 1951年 | 王将 | 永世王将 | 七番(2日制) | 1月~3月 | 1,200万円 |
棋聖戦 | 1962年 | 棋聖 | 永世棋聖 | 五番(1日制) | 6月~7月 | 1,100万円 |
タイトル戦の年間での実施時期を表にしたものです。毎月、何らかのタイトル戦が行われているようです。
但し、五番勝負や7番勝負がストレート決着すると、タイトル戦のない月が発生する場合があります。
各タイトル戦の詳細は次の記事をご覧ください。
賞金について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
叡王戦を除くタイトル戦には、獲得期数等によって永世位を授けられます。ご存知のように、羽生善治九段は永世七冠となっています。
藤井竜王・名人が、いつ永世八冠を達成できるか、その最短時期を見極めた記事がこちらです。
将棋界での八冠達成者について確認した記事がこちらです。
女流棋士のタイトル戦
以下に、女流棋士のタイトル戦の棋戦名と開始時期、番勝負とその時期を一覧にしました。
なお、女流棋戦の番勝負は全て1日制です。
棋戦名 | 開始年度 | 称号 | 永世称号 | 番勝負 | 時期 |
---|---|---|---|---|---|
白玲戦 | 2020年 | 白玲 | - | 七番 | 9月~11月 |
清麗戦 | 2019年 | 清麗 | クイーン清麗 | 五番 | 4月~6月 |
マイナビ女子オープン | 2007年 | 女王 | 永世女王 | 五番 | 4月~6月 |
女流王座戦 | 2011年 | 女流王座 | クイーン王座 | 五番 | 10月~12月 |
女流名人戦 | 1974年 | 女流名人 | クイーン名人 | 五番 | 1月~2月 |
女流王位戦 | 1989年 | 女流王位 | クイーン王位 | 五番 | 4月~6月 |
女流王将戦 | 1978年 | 女流王将 | クイーン王将 | 三番 | 10月 |
倉敷藤花戦 | 1962年 | 倉敷藤花 | クイーン倉敷藤花 | 三番 | 11月 |
各タイトル戦の詳細は次の記事をご覧ください。
棋士の一般棋戦
全棋士参加棋戦、上位棋士選抜棋戦、年齢別棋士・下位棋士選抜棋戦ごとに、棋戦名と開始時期、出場棋士の条件、賞金額を一覧にしました。
◆全棋士参加棋戦
3つの棋戦があります。優勝すれば、大きな賞金を手にできるとともに、大きな名誉も取得できます。
棋戦名 | 開始時期 | 賞金額 |
---|---|---|
朝日杯将棋オープン戦 | 2017年 | 750万円 |
銀河戦 | 1991年 | 非公表 |
NHK杯テレビ将棋トーナメント | 1951年 | 非公表 |
◆上位棋士選抜棋戦
この棋戦に参加するには、昨年度賞金ランク上位に食い込まなければなりません。
対局は全国を回ります。
棋戦名 | 開始時期 | 出場条件 | 賞金額 |
---|---|---|---|
将棋日本シリーズJTプロ公式戦 | 1980年 | 前回優勝者 タイトル保持者 獲得賞金ランキング上位者の12名 | 750万円 |
◆年齢別棋士・下位棋士選抜棋戦
新人王戦はに優勝した棋士は、将来大成する可能性が高いです。
棋戦名 | 開始時期 | 出場条件 | 賞金額 |
---|---|---|---|
達人戦 | 2023年 | 50歳以上の棋士 | 非公表 |
新人王戦 | 1970年 | タイトル戦未出場の六段以下かつ26歳以下の棋士 | 非公表 |
加古川青流戦 | 2011年 | 四段 | 非公表 |
達人戦は2023年に始まりましたが、第1期の優勝者は、将棋連盟会長である羽生善治九段でした。
女流棋士の一般棋戦
女流棋士の一般棋戦は、「若手棋士選抜棋戦」がひとつあるだけです。
◆若手棋士選抜棋戦
棋戦名 | 開始時期 | 出場条件 | 賞金額 |
---|---|---|---|
YAMADA女流チャレンジ杯 | 2015年 | タイトル戦未出場の女流二段以下 かつプロ入り15年以下の女流棋士 | 非公表 |
非公式戦
棋戦名と概要及び賞金を一覧にしました。
棋士
ABEMAトーナメントは将棋界では珍しい団体戦です。普段、見ることのできない棋士達の素顔が垣間見れます。
棋戦 | 開始時期 | 概要 | 賞金額 |
---|---|---|---|
ABEMAトーナメント | 2018年 | 第3回は団体戦。3人1組を1チームとし、計12チームを4つのリーグに分けて戦い、3チームのうち、上位2チームが本戦トーナメント進出となる | 1,000万円 |
SUNTORY 将棋オールスター 東西対抗戦 | 2021年 | 選出された東西各5名の棋士により、決勝戦(オールスター東西対抗戦)を実施する。 | 500万円 |
新銀河戦 | 2021年 | 選抜棋士32名によるトーナメント | 非公表 |
女流棋士
棋戦 | 開始時期 | 概要 | 賞金額 |
---|---|---|---|
白瀧あゆみ杯争奪戦 | 2006年 | 選抜された若手女流棋士を中心としたトーナメント戦 | 非公表 |
1dayトーナメント | 2021年 | 毎月開催の大会ごとに出場者を決める自由参加の早指し | 非公表 |
女流ABEMAトーナメント | 2020年 | 第2回は、ABEMAトーナメント第3回以降同様の1チーム3名の団体戦 |
最後に
将棋の棋戦について簡単に解説しました。
2024年4月現在、藤井竜王・名人が棋界を席巻していますが、他棋士も虎視眈々と巻き返しを図っている状況です。
そんな中で、タイトル戦、一般棋戦で棋士たちは鎬(しのぎ)を削っています。
見る将の方々は、タイトル戦も一般棋戦の違いがよくわからないでしょうが、本記事で少しでも参考になれば幸いです。
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