トンボの漢字は全3種類!それぞれの表記の由来を掘り下げてみたよ
日本語には、ひらがな、カタカナ、漢字があります。そして、固有の名詞に対して、日本人は漢字を当てはめていますね。
今回、トンボについていろいろと調べてみたんですが、トンボについても漢字で書くことが出来ます。
それはどんな漢字なのか、その由来についても突っ込んで調べてみました。
その結果、ある名詞に対する漢字って一つだと思っていたんですが、それは大間違いだとわかりました。
なんと、トンボの漢字は全部で3種類もあります。ですから、上述したように、それぞれの由来をしっかりと掘り下げました。
是非、それらの由来を、ご一緒に見ていってください。
トンボの漢字は全部で3種類!
トンボを漢字で表すとどんな文字を書くのか調べてみたところ、以下の3種類の文字が出てきました。
トンボの漢字表記は?
次の3種類が見つかりました。
- 蜻蛉
- 蜻蜓
- 筋斗
1番目と2番目の漢字は良く似ています。1文字目が同じ漢字で、2文字目は虫偏に「令」と「廷」が付いています。
3番目の漢字は全く異なるものですね。これらを詳しく見ていきましょう。
蜻蛉の由来
今回紹介する3種類の漢字のうち、「トンボ」に当てはめる場合、この漢字が最も一般的ですね。大体のサイトが、この漢字を出しています。
1文字ずつ見ていきましょう。
- 蜻:この漢字の意味は、『「蜻蛉(セイレイ)・蜻蜓(セイテイ)(とんぼ)」に用いられる字』と出ています。
- 蛉:この漢字の意味は、『「蜻蛉(セイレイ)(とんぼ)」「螟蛉(メイレイ)(あおむし)」に用いられる字』と出ています。
参考:上級漢和辞典 漢字源
何と、2文字とも、「蜻蛉(セイレイ)(とんぼ)」のために用意された漢字ではありませんか!
それぞれの読み方は、「セイ」と「レイ」です。これらが組み合わされると「とんぼ」になるんですね。
どうですか、とても力強い文字だと思いませんか。
ところで、この漢字「蜻蛉」の読み方なんですが、「トンボ」の他に、次の3つの読み方があるんです。
- アキツ:「トンボ」の古名(昔用いられていて今は用いられない名称。 古い名前。 古称)です。
- セイレイ:「トンボ」の別名です。
- カゲロウ: 平安時代、透明な翅でふわふわ飛んでいる虫を全て「カゲロウ(蜻蛉)」と呼んでいたそうです。その名残ですね。現在では、カゲロウは「蜉蝣」をあてるようです。
下記の写真にある通り、「トンボ」と「カゲロウ」は全く別の昆虫ですが、平安時代は同一視していたんですね。「トンボ」は透明な羽かもしれませんが、ふわふわとは飛ばないですよね。
この漢字の由来も、最後の読み「カゲロウ」からきているようです。
飛ぶ姿が陽炎(かげろう)の立ちのぼるさまに似ているところから名付けられたと言われています。
蜻蜓の由来
トンボに、こちらの漢字を当てる場合もあります。
- 蜻:この漢字の意味は、『「蜻蛉(セイレイ)・蜻蜓(セイテイ)(とんぼ)」に用いられる字』と出ています。
- 蜓:この漢字の意味は、『「蜻蛉(セイレイ)(とんぼ)」に用いられる字』と出ています。
何と、こちらも2文字とも、「蜻蛉(セイレイ)(とんぼ)」のために用意された漢字ではありませんか!
それぞれの読み方は、「セイ」と「テイ」です。これらが組み合わされると「とんぼ」になるんですね。
始めの文字と同様に、この漢字の読み方も複数あるんです。
- セイテイ:「トンボ」の別名です。
- ヤンマ: トンボの異称で、大形のトンボの総称です。普通、ヤンマ科及びオニヤンマ科に属する種を指します。日本産最大種で体長九センチメートルに達するオニヤンマのほか、ギンヤンマ・カトリヤンマ・ウチワヤンマなどがあります。
同じトンボでも、この文字は、2番目の読み方にあるように大型のトンボを示す際に使われるものです。
日本最大のトンボであるオニヤンマ(下記写真)は、漢字で「鬼蜻蜓」または「馬大頭」と書きます。当て字ですが「馬大頭」はユーモラスで面白いですね。
筋斗の由来
3番目の漢字は、上記2つとは全く異なるものです。昆虫のトンボを指すものではありません。
世界大百科事典では、『歌舞伎のタテ用語。立回り中に主役から投げられたり斬られたときに,もんどりうち宙返りする動作。〈とんぼを返る〉という。』と説明しています。
デジタル大辞泉では、『歌舞伎で、役者が立ち回り中に切られたり投げられたりしたときなどに、手をつかずに宙返りすること。とんぼがえり。「蜻蛉を切る」』とあり、ここから、 筋斗を「トンボ」と読むようになったと思われます。
トンボの雑学
トンボの雑学として、「トンボの由来」、「その他雑学」、「トンボの思い出」について語ります。
トンボの由来
「トンボ」の由来を見ていくと諸説あるようです。
古くは「トンバウ」の語形であったものが、平安末期には「トウバウ」「トバウ」などに変化し、江戸時代から「トンボ」と呼ばれているようです。
そこで、「トバウ」=「飛ぶ」「棒」が変化したという説が多く、トンボの見た目の印象から正しいように思えますが、「飛ぶ」と言う『やまと言葉』と、「棒」という『漢語』がつながるのはありえないそうです。
「トバウ」=「飛ぶ」「羽」であれば、両者とも『やまと言葉』なので、こちらが変化して「トンボ」となったと考えられます。
その他雑学
幼虫はヤゴと呼ばれ、水中で生物を捕食して成長します。小さい頃の獲物はミジンコやボウフラですが、大きくなると小魚やオタマジャクシなどを捕食します。餌が少ないと共食いもして、強いものが生き残るそうです。
オニヤンマの幼虫は、成虫になるまで数年かかります。
ちなみに、「トンボ」は英語で書くと「a dragonfly」です。西洋においてはトンボは基本的には不吉な虫と考えられたからだそうです。西洋では、dragonは悪者ですからね。
上記記事をご覧ください。
トンボの思い出
トンボは全世界で約5,000種、日本では200種近くが生息していると言われています。
夏のトンボといえばオニヤンマなどの大きなものが挙げられます。
昔、山形県の山寺に観光に行きました。麓の茶屋で休憩した時に、物凄い大きなオニヤンマを見ました。
15cm位あったと思いますが、昔のことなのではっきりしません。空中でホバリングしているオニヤンマの「ブブブブッ」という羽音がよく聞こえました。
60爺は「かっこいい」と思って見惚れていましたが、虫の嫌いな子供達3人が悲鳴を上げてしまいました。
茶屋のおばあちゃんが「どうしました?」と飛んできて、60爺が「トンボが…」というと、「まあっ!」と言って(トンボを見て驚く子供がいるなんて)蔑むような眼で見られたのを思い出します。
複数の漢字表記を持つ物体について
3種類もの漢字表記を紹介しましたが、同じように複数の漢字表記を持つ動植物がありました。
8種類もの表記を持ったものです。動物じゃないですよ!餃子などに入ってるやつです。
こちらは6種類の漢字表記があります。驚きの表記もありますので、記事をご覧ください。
ジャスミンも複数の表記を持つ花です。有名な表記なので、ご存知かもしれないですね。
最後に
トンボを漢字で書いたときの例を3つ挙げてみました。昆虫のトンボをイメージしていましたが、歌舞伎用語にぶち当たるとは夢にも思いませんでした。
それにしても、読み方が複数あって、しかも「かげろう」と同じ仲間に入れられていたとは驚きですね。
また、大型のトンボ(ヤンマ)向けの漢字もあって興味深かったです。
トンボは、日本では古来より縁起の良い昆虫として知られています。戦国時代には、「勝虫」として武士から好かれ、前田利家の兜にもあしらわれていたようです。下記記事を参照ください。
※気づけば動物の漢字の記事も増えてきました
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