コアラの漢字表記大特集!詳しく掘り下げると思ったより面白かった
コアラは、動きが緩慢でモコモコしているせいか、どこの動物園でも人気者ですね。
コアラの学名は「Phascolarctos cinereus」で、「袋のある灰色のクマ」という意味です。
また、「コアラ」という名前は、オーストラリアの先住民族アボリジニの言葉で「水を飲まない」を意味しているそうです(ちなみに、水分は主食であるユーカリの葉から摂取します)。
アボリジニが使う言葉は「ダルク語」と呼ばれていますが、この「ダルク語」で、コアラのことを「gula」と言います。
この「gula」の発音は「ゴーラ」なんですが、これが変化して、現在の「koala」になったそうです。
さて、日本語では言葉を何でも漢字表記にします。今回、コアラが漢字で何と言うか調べてみました。
2種類あるコアラの漢字表記
さて、調べてみたところ、コアラの漢字表記には2つあることがわかりました。
- 子守熊:お腹の袋で子育てすること、常に背中などに子供を乗せて子育てすることに由来
- 袋熊:お腹に袋があることから名付けられた
どちらも、腹に袋があることからイメージされ、名付けられたようです。
熊が付くのは、オーストラリアに入植した西洋人がコアラを初めて目にした際、熊に似ていると思ったからだそうです。
うーん、言われてみれば、それぞれ似ているような気もしますね。
それでは、それぞれの漢字について少し、レビューしてみましょう。
子守熊
子守熊は、「子守」+「熊」で構成されています。それぞれの意味を見てみましょう。
熊:クマ科に属する哺乳類の総称
どうしてこの組み合わせになったのでしょうか。
子守とは、上述のように、母親に代わって乳幼児の世話をすることです。熊は、単純に動物の「くま」です。
単純に考えると、よその熊の子守をする熊になっちゃいますね。
そもそも、子供の面倒は、どんな熊でもやってますので、それこそ、「クマ科に属する哺乳類の総称」の熊全部が「子守熊」になってしまいます。
まあ、上述の由来にありますように、常に子供を身体に乗せて子育てする様が「子守」に繋がったのでしょうがちょっと正確性に欠ける命名ではないでしょうか。
袋熊
袋熊は、「袋」+「熊」で構成されています。こちらも、意味を見てみましょう。
熊:クマ科に属する哺乳類の総称
どうしてこの組み合わせなったのでしょうか。
こちらは一目瞭然で、お腹に袋のある熊ということでしょうね。上述した由来にある解釈とぴったり一致します。
うーむ、レビューのし甲斐がないですな!
コアラの子育ての仕方
さて、ここで「コアラの子育ての仕方」を見てみましょう。というのも、今回の漢字表記でも出てきましたが、コアラと言えば必ず出てくる「袋」(正式名称は「育児嚢」)が、どれほど「子育て」に重要な役割をしているか気になったからです。
コアラの妊娠期間は35日程度です。人間の十月十日(10か月と10日、訳266日)に比べると15%弱と短いです。赤ちゃんは体重約0.5グラム、体長2センチメートル程度ですから指先程の大きさですね、ちっちゃい!
体毛はまだなく、体色はピンク色で、目が開いておらず、歯も生えていません。
お母さんコアラのお腹の袋の中で、約6 – 7か月間育てられます。約22週で目が開き、約24週で歯が生え始めます。
お母さんコアラは、盲腸内でユーカリを半消化状態にすることで緑色のパップという離乳食を作ります。
このバップを食べることで、赤ちゃんコアラはユーカリの葉を消化するための微生物を得るのです。バップは、ペースト状の無味無臭で、主食を食べられるようになるために糞を摂取するのはコアラだけだそうです。
約5ヶ月過ぎに、赤ちゃんコアラはお母さんコアラの袋から顔を出し始め、母親の肛門からパップを直接食べます。パップを食べる行動はその後約6 – 8週間続きます。
お母さんコアラの袋から完全に出始めるのは約半年後です。この時期は母親に抱かれたり、お母さんコアラの袋に入ったりして過ごします。
8ヶ月位になると体重が1kgになり、お母さんコアラの袋にはもう戻りません。体重が約2kg程になるまではお母さんコアラに背負われて過ごし、1年後までに乳離れをします。
育児嚢はメスしか持っていません!
おまけ:コアラのよもやま雑学
コアラの一日の睡眠時間は約18~20時間です。何故、こんなに眠るのでしょうか?
コアラは、ユーカリの葉を常食としていますが、ユーカリの葉には毒性(青酸配糖体という成分)を含んでいます。これを消化するのに多くのエネルギーを必要とするため、長時間の睡眠を必要とするのです。
ユーカリの葉の繊維質を分解するのに、コアラの盲腸が大活躍します。
人間にも盲腸はありますが、コアラの盲腸は、特別に繊維質を消化できる器官で、何と2mもあり、繊維質を分解し、体内に吸収しやすい他の物質に代える細菌が何百万もいるそうです。
但し、この盲腸、摂取した繊維質のわずか25%しか体内に吸収することができないんです。
ですから、コアラは大量のユーカリの葉を食する必要があります。おとなのコアラは毎晩0.5~1kgのユーカリの葉を食べます。こんなに葉っぱだけ食べていて飽きることはないのでしょうか。
海外ではどんな名前?
海外では、コアラをどんなふうに呼んでいるのか見てみましょう。
外国語 | スペル | 発音 |
---|---|---|
英語 | koala | コアラ |
中国語 | 考拉 | カォラー |
スペイン語、ポルトガル語 | coala | コアラ |
フランス語 | koala | クアラ |
ドイツ語、イタリア語、ポーランド語、スウェ-デン語 | koala | コアラ |
デンマーク語 | koala | コエラ |
何と、中国語を除いて発音は皆似ていますね。ヨーロッパの方では、表記は「koala」が優勢で、スペイン、ポルトガルが「coala」でした。
発音を聞いてみると、フランス語とデンマーク語が「コアラ」ではなく、「クアラ」と「コエラ」に聞こえました。
なお、中国語は、発音からの当て字だということを付け加えておきます。
参考
他の動物の漢字
コアラの他の動物も皆、独特な漢字表記を持っています。
それらの漢字表記を見てみましょう。皆、面白いですよ。
動物 | 漢字 |
---|---|
アザラシ | 海豹、水豹 |
カンガルー | 袋鼠、更格廬、長尾驢 |
コウモリ | 蝙蝠、天鼠(てんそ)、飛鼠 |
ゴリラ | 大猩猩 |
ナマケモノ | 樹懶 |
ハムスター | 倉鼠 |
パンダ | 熊猫(大熊猫) |
皆、良く知っている動物だと思いますが、漢字表記はご存知でしたか?
このブログでも取り扱っている記事を紹介します。
アザラシは、その外見に似合わず、ちょっと怖い表記ですね。その理由は次の記事で。
コウモリは、最近見かけなくなりましたが、子供の頃は近所でよく見かけました。
ナマケモノは動物園に行かないとみられませんが、漢字表記の意味を知ると納得するかもしれません。
パンダ=熊猫は有名ですね。でも、熊猫は昔、別の動物の名前だったんですよ。それを知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
上記の動物の他にも、「トンボの漢字」「ヤモリの漢字」「コオロギの漢字」のように虫の漢字表記で記事を書いています。
その他にも、「ペンギンの漢字」「ホトトギスの漢字」「エイの漢字」と鳥や海の生き物の漢字表記についても記事にしています。
最後に
コアラの漢字について調べましたが、「子守熊」はちょっと命名センスに欠けたところがあるのではないでしょうか。「育児熊」でもおかしいですよね。
袋熊も同様で、安易なネーミングすよね。
子育てについては、妊娠期間が随分短いのが印象に残りました。
外国語は、ほとんどの発音が「コアラ」だったのが興味深いです。
※気づけば動物の漢字の記事も増えてきました
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