将棋の歴代A級棋士を徹底特集!記録をベースにがっつりまとめます
将棋のA級とは、名人への挑戦を決めるA級順位戦のことで定員はたったの 10名です。このA級の上に名人が君臨しているわけです。
このA級では、過去から現在にかけ、名だたる棋士たちが鎬を削ってきました。
過去の名棋士も含めて、A級の歴代の棋士たちを徹底的に調べてみました。
調べていくと、皆さんも名前を聞いたことがある棋士たちが、どのような記録を残して来たのか、どの位凄いのかを認識できると思います。
どうぞ、ご照覧あれ!
A級棋士の記録と年収
A級棋士の記録と、下世話な話で恐縮ですがA級棋士の年収を推定してみます。
記録の方は、下記に示すように4つの記録(A級在位ランキング、A級連続在位ランキング、A級最年少、A級最年長)について紹介します。
記録に続いて、A級棋士の年収を計算してみました。
棋士の給料は公開されていませんが、現役棋士が語った給料に関する情報をベースにしています。
記録と年収 | その内容の詳細 |
---|---|
A級在位ランキング | A級に属した年数のランキング |
A級連続在位ランキング | A級に連続して属した年数のランキング |
A級最年少 | A級昇級時の年齢を小さな順に見てみた |
A級最年長 | A級在位の年齢を大きな順に並べてみた |
A級棋士の年収 | A級棋士の年収を推定してみる |
それから、記録の話をする前に、「歴代A級棋士の簡単な歴史と総人数」を述べておきます。
歴代A級棋士の総人数と簡単な歴史
ここで述べる数字は、2022年9月6日時点のモノです。
歴代A級棋士の総人数
1947年に開始されたA級順位戦ですが、2022年のA級順位戦までの歴代の総人数をカウントしてみました。
延べ人数 785名
総人数 108名
A級は 75年間(1977年は中止のため)開催されているのですが、延べ人数は 785名でした。14名で始まり、基本10名のクラスですが、休場者等の関係でこの人数となっています。
そして、総人数が 108名でした。75年で 108名ですので、毎年一人ないし二人の新A級棋士が誕生していた計算ですね。
現役の棋士のA級経験者は 34名でしたので、全棋士(2022年9月5日現在)161名ですから2割強の棋士がA級に昇格できる計算ですね。
A級順位戦の歴史
A級順位戦は 1947年(昭和22年)に始まりました。この年のA級順位戦は八段棋士14名によるリーグ戦でした。順位が決定していなかったため、同率首位となった塚田正夫・大野源一・萩原淳の3者によるプレーオフが行われ、塚田が挑戦資格を得ました。
1948年(昭和23年)は、A級の人数は9名です。いきなり、ガクンと人数が減りましたが、翌年から、11 ⇒ 11 ⇒ 12 ⇒ 11 ⇒ 11 ⇒ 11 名と推移しています。この間に大山康晴十五世名人が初の名人を獲得しています。
1955年(昭和30年)からは、A級の人数が基本 10名となり、休場者を入れて 11名や 12名となる年もありますが 現在まで続いています。
1976年ですが、名人戦・順位戦の主催が毎日新聞社に戻ります。この年、「順位戦」の名称がなくなり、A級を「名人戦挑戦者決定リーグ」に改称しています。
期数も名人戦に合わせたため、前期の順位戦が第30期であったが、この期が第36期となったために、第31期~35期の順位戦は存在しないことになりました。
そして、このとき、挑戦者決定リーグの開始が遅れ、11月となったため、翌1977年の名人戦が実施されなませんでした。
1978年(昭和53年)から名人戦再開。1985年(昭和60年)「順位戦」の名称が復活し、A級からC級2組の5クラスの名称に戻りました。
参考:wiki 歴代七番勝負・A級順位戦
A級在位ランキング
A級在位ランキングとして、A級に在籍した年数の比較をしてみました。
順位 | 棋士名 | 在位数 | うち名人在位数 |
---|---|---|---|
1 | 大山康晴十五世名人 | 44期 | 18期 |
2 | 加藤一二三九段 | 36期 | 1期 |
3 | 谷川浩司十七世名人 | 32期 | 5期 |
4 | 升田幸三実力制第四代名人 | 31期 | 2期 |
5 | 中原誠十七世名人 | 29期 | 15期 |
5 | 羽生善治九段 | 29期 | 9期 |
7 | 塚田正夫名誉十段 | 28期 | 2期 |
8 | 二上達也九段 | 27期 | 0期 |
9 | 佐藤康光九段 | 26期 | 2期 |
9 | 米長邦雄永世棋聖 | 26期 | 1期 |
A級在位トップは、大山康晴十五世名人の 44期 が頭一つ群を抜いていますね。
第二位が、「ひふみん」こと加藤一二三九段の36期です。
そして、第三位が谷川浩司十七世名人 32期と続きます。第四位が升田幸三実力制第四代名人31期です。
ここからは、団子状態で、中原誠十七世名人と羽生善治九段が 29期で並び、28期に塚田正夫名誉十段、27期に羽生九段の師匠の二上達也九段、26期佐藤康光九段、米長邦雄永世棋聖となっています。
佐藤康光九段は今期(2022年)もA級に在籍しており、立ち上がりは芳しくありませんが、残留すれば8位の二上九段に並びます。
羽生九段もB級1組で虎視眈々とA級復帰を目指しており、ランキング上位に行く可能性があります。
A級連続在位ランキング
次は、A級連続在位ランキングで、A級に何年連続で属していたかを見ていきます。
順位 | 棋士名 | 在位数 | うち名人在位数 |
---|---|---|---|
1 | 大山康晴十五世名人 | 44期 | 18期 |
2 | 谷川浩司十七世名人 | 32期 | 5期 |
3 | 升田幸三実力制第四代名人 | 31期 | 2期 |
4 | 中原誠十七世名人 | 29期 | 15期 |
4 | 羽生善治九段 | 29期 | 9期 |
6 | 塚田正夫名誉十段 | 26期 | 2期 |
6 | 米長邦雄永世棋聖 | 26期 | 1期 |
8 | 二上達也九段 | 23期 | 0期 |
9 | 森内俊之九段 | 22期 | 8期 |
10 | 加藤一二三九段 | 19期 | 1期 |
連続在位記録も大山康晴十五世名人の連続44期が圧倒的な記録として輝いています。
なんせ、第二位の第二位が谷川浩司十七世名人の 32期なんですから、もう、すごいの一言ですね。
第三位が、升田実力制第四代名人ですね。
連続記録は一度途絶えると、また、いちからやり直しですので、この記録を破るのは並大抵のことではありません。
現在、ベスト10には記録継続中の棋士がいませんので、トップ10に現役棋士が入るまで最低でも9年が必要です(佐藤康光九段11年、広瀬章人九段9年)。
藤井聡太竜王(五冠)は、今期1期目ですが、64歳まで連続でA級に在籍すれば、大山十五世名人の記録を破ることになります。…ちょっと、想像がつきませんね。
A級最年少
次は、A級最年少記録です。
順位 | 棋士名 | 年齢 |
---|---|---|
1 | 加藤一二三九段 | 18歳1ヶ月 |
2 | 藤井聡太五冠 | 19歳7ヶ月 |
3 | 谷川浩司十七世名人 | 19歳11ヶ月 |
4 | 羽生善治九段 | 22歳4ヶ月 |
5 | 中原誠十七世名人 | 22歳6ヶ月 |
「神武以来(じんむこのかた)※1の天才」こと加藤一二三九段の18歳1ヶ月が最年少A級ですね。加藤九段は、C級2組から一度も逃さずA級に到達したんです。
※1「いまだかつて先例が存在しないこと」の意
あの藤井聡太竜王(五冠)もこの記録を破ることはかないませんでした。ちなみに藤井竜王は第二位の19歳7ヶ月です。C級1組で昇級者と同じ星を挙げましたが、順位の差で頭はねを喰らったのが痛かったです。
第三位が谷川浩司十七世名人19歳11ヶ月です。A級昇級まで藤井竜王と同様5年かかりました。
同じ中学生棋士の羽生九段は8年かかって23歳で、ランキングにはありませんが、渡辺明名人は11年かかって26歳にA級に到達しました。
この記録を破る棋士は出てくるのでしょうか?現在、昇級者の枠が以前より緩和(※2)されましたので、中学生で棋士になってA級へ駆けあがる棋士も出てくると思います。
※2 C級1組、B級2組の昇級者が2名から3名に増員されました!
A級最年長
記録の最後は、A級最年長記録ですね。
順位 | 棋士名 | 年齢 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 大山康晴十五世名人 | 69 | 死去するまで在位 |
2 | 加藤一二三九段 | 62 | 5回陥落して5回復帰 |
3 | 土居市太郎名誉名人 | 61 | 名人にはなっていない |
3 | 升田幸三実力制第四代名人 | 61 | 引退時A級 |
3 | 花村元司九段 | 61 | 「真剣士」、60歳でA級復帰 |
6 | 塚田正夫名誉十段 | 60 | 実力制2代目の名人 |
6 | 有吉道夫九段 | 60 | 大山十五世名人の弟子 |
これまた、大山十五世名人の69歳です。
これもダントツ!ガンで亡くなるまで現役のA級棋士だったんですから大変な記録です。
第二位が62歳の「ひふみん」です。第三位が61歳で、土居市太郎名誉名人、升田幸三実力制第四代名人、花村元司九段の3名です。
この記録に属する棋士は、加藤九段以外は全て鬼籍に入っている方です。
やはり、A級は高齢の棋士にとっては荷が重いクラスなのでしょう。
A級棋士の年収
A級棋士は、どのくらい稼ぐのでしょうか。下記記事で紹介しています。
このページから見ると、その金額は次の通りです。
名人の年収が 1,714万円、A級棋士のそれは 1,200万円です。
やはり、トップに行くと、かなり良い金額になりますね。
この他に、賞金が入ってきたりしますから、棋戦優勝なんかすると、対局料の他に優勝賞金も入って来て、ウッハウハです。
勝負の世界ですので、負け続けると年収がどんどん落ちてしまう厳しい世界でもあります。
A級棋士の派遣料について
日本将棋連盟の「棋士派遣のページ」に詳細が載っています。
このページに、棋士と女流棋士に分けて、専門棋士料金表(消費税込)が掲載されてます。
ちなみに、派遣料は「段位」で料金が分かれます。順位戦のクラスで別れているのではありません。
ですので、A級棋士と言っても、九段の場合は金額が高くなりますね。
ちなみに、派遣3時間以内で見ると、九段 101,000円、八段 85,000円です。そこそこいい料金を取るんですね。
参考に、各「段」の料金を挙げておきます。
段位 | 派遣料 |
---|---|
九段 | 101,000円 |
八段 | 85,000円 |
七段 | 66,000円 |
六段 | 54,000円 |
五段 | 44,000円 |
四段 | 39,000円 |
最低の四段でも、39,000円かかります。
女流棋士はどうでしょうか?
女流棋士は、五段以上、四段、三段、二段、初段以下の5つのランクに分けられています。
棋士と同じく3時間以内で見ると金額は以下の通りです。
五段以上から二段までは、棋士の七段から四段と同じ金額ですね。初段以下は、ちょっとお安く?33,000円になっています。
段位 | 派遣料 |
---|---|
五段以上 | 66,000円 |
四段 | 54,000円 |
三段 | 44,000円 |
二段 | 39,000円 |
初段以下 | 33,000円 |
やはり、女流棋士は、棋士に比べると一段格が下がるようです。
最後に
将棋A級の記録に対し、歴代の棋士を眺めてみました。
在位のランキング及び年長記録は、大山十五世名人を中心とした過去の大棋士が記録を席巻しています。現役棋士が分が悪いですが、過去の大棋士を上回る棋士が出てくるのでしょうか?
最年少記録は、藤井聡太竜王(五冠)がA級に昇級したものの、ひふみん加藤一二三九段に届かなかったですね。将来、加藤九段をしのぐ棋士は現れるのでしょうか。
人の懐が気になるので、年収についても考察してみました。推定ではありますが、やはり、トップに行くと、かなりの金額を稼げるようですね。
皆さんの参考になれば。
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