ナマケモノの漢字表記!見た目は納得だが生態を知るとかわいそう
いくつかの動物の漢字表記を見てきましたが、今回は「ナマケモノ」の漢字表記について語ります。
「ナマケモノ」については、ほとんどの皆さんが名前を聞いたことがあると思います。イメージとしては、木にぶら下がって全く動かない動物のイメージですかね。
実際、その生態を見ていくと、このような動物が淘汰されることもなく現在まで生き延びてきたことが不思議です。
それでは、「ナマケモノ」の漢字表記がどんなものか見ていきましょう。
今まで違和感のある漢字表記が多かったですが、「ナマケモノ」については妙に納得するかもしれませんよ。ただ生態を知ると少しかわいそうかも。
なぜ、そうなるのか、記事をじっくりお読みください。
ナマケモノ漢字表記は?
さて、ちょっと驚きの漢字表記とはどんなものなのか見てみましょう!
樹懶
こう書いて、「ナマケモノ」と読みます。
「樹」は見たことがありますが、2文字目は見たことのない漢字です。
この漢字は何と読むのでしょうか?
どうでもいいですが、「りっしんべん」を「けものへん」に変えると「獺(かわうそ)」になります(^^;)
どうしてこんな漢字が使われたの?その由来に迫る
それぞれの漢字を一文字ずつ見ていきましょう。
樹:この漢字の意味は、『立ち木を表す「樹」』です。
懶:この漢字については、少々解説します。
音読み | ラン、ライ |
訓読み | おこた・る、いと・う |
日本語だけの訓読み | なまける、ものうい、ものぐさ |
意味 | ①おこたる。自分で決着をつけず、他人任せにしてなまける。 ②面倒がって他人に押し付ける。 |
参考:上級漢和辞典 漢字源
この文字を使った言葉を羅列してみます。
- 放懶(ホウラン) ものぐさ
- 老懶(ロウラン) 年老いて体を動かすのが大儀なこと
- 懶惰(ランダ) なまけ怠ること。文章語。「懶惰な生活」「懶惰に生きる」
皆、怠けたり、けだるい時に使う言葉なんですね。
「樹懶」を素直に読むと「樹の上で暮らすものぐさ、怠け者」という意味になります。
うーん、樹上で動かない「ナマケモノ」そのままの漢字表記と思えますね。
ナマケモノの生態とピッタリな漢字の組み合わせ?
さて、実際のナマケモノの生態を見てみましょう。
食べ物 | 食事の頻度も量も少ない。1日に8gほどの植物を食べて生活 動かなさ過ぎて自分の身体に生えた苔を食べることもある |
動作 | 一日に3~4メートル動ければいい方 ゆっくりとした行動で代謝を常に低く保っている |
睡眠 | 1日のうち18~20時間 |
体温 | 外気に合わせて体温が変化する変温動物 25℃〜35℃までの範囲であれば、生きることができる 発汗や震えによって消費するエネルギーを節約している |
移動速度 | 時速16mで、1分間に27cmしか移動しない |
捕食者から逃れる方法 | 届かないところにいる、もしくは、見つからないこと |
ナマケモノは怠けているわけではなく、動きたくとも動けない生態なんですね。
そこからすると、日本語の漢字表である「樹懶」は少しかわいそうな気がしますね。
何と、1日に食べる植物の量は、たったの 8g です。さらに、一日に3~4メートル動ければいい方なので、ほとんど動かないのですな。
睡眠が1日18~20時間ということで、1日の 75%~83% は眠って過ごします。
さらに、哺乳類にしては珍しい変温動物で、他の哺乳動物が体温調整のために行う発汗や震えによって消費するエネルギーまで節約していますね。
移動速度なんか1分間 27㎝ って笑っちゃうくらい遅いというか、ほとんど動かないんですよね。
まあ、この点、身体の斑点から名の付いた「アザラシ」の漢字表記も同じような感じでした。
海外ではどんな名前
世界では、「ナマケモノ」を何と言うか調べてみました。
外国語 | スペル | 発音 |
---|---|---|
英語 | Sloth | スロー |
ドイツ語 | Trägheit | ハエカエ |
オランダ語 | Luiaard | ライアー |
フランス語 | La paresse | レトフェイス |
イタリア語 | Pigrizia | ビグリーシア |
スペイン語 | Ranura | ブラノラ |
ポルトガル語 | Bicho-preguiça | ビーショプレギーソ |
スウェーデン語 | lättja | ラティア |
ノルウェー語 | Dovendyr | ドウブディ |
中国語(繁体) | 懶惰 | ランドア |
中国語(簡体) | 懒惰 | ランドゥ |
ロシア語 | Лень | イエイ |
英語では、Sloth を当てていますが、これ「怠惰」という意味なんですね。日本と同じじゃないですか。アメリカでも、怠惰と思われているんですね!
余談ですが、「鋼の錬金術師」に「スロース」という敵が出てきたのを思い出しました。
と、思ったら、翻訳を逆にすると、ほとんどの言語が「怠惰」になっています。ひょっとして、「ナマケモノ」を「怠け者」と解釈して翻訳している可能性がありますな。
今回、ヨーロッパ各国では、表記も発音も全然違いますな。
中国語は、チューリップの時と違い、繁体も簡体も同じ表記です。発音は違うと思いますが、皆さん確認してみてくださいませ。
最後に
ナマケモノの漢字表記について解説しました。
ナマケモノは仕方がなく「じっ」としているのに、与えられた漢字表記は「樹上で怠けてる」なんて言われて、ちょっと可哀そうでした。
海外での呼び方については、「ナマケモノ」をきちんと理解してくれたかの疑問が残りました。
※気づけば動物の漢字の記事も増えてきました
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