プロ棋士の年収・給料を大解剖!ランキング等懐具合を要チェック
将棋のプロ棋士、即ち、春秋の奨励会三段リーグの上位二名が晴れて四段となり棋士となります。ここから、わかるように、棋士は1年で4名しかなれない狭き門なのです。
それというのも、公益社団法人 日本将棋連盟が財政的な観点から、年間4名という制限を設けざるを得ない状況なのだと言われています。
ただ、そんな状況の中でも、日本将棋連盟の賞金ランキング(ベスト10)を見ると、2022年度のトップ藤井聡太竜王・名人は 1億8,634万円を稼ぎ出しています。
現在、そんな棋士たちの年収及び給料は公開されておりません。
そこで、60爺がプロ棋士の給料・年収を大解剖しちゃいます。
プロ棋士の示した資料を基に、順位戦やその他の棋戦の収入を計算していきます。
それからトップに君臨するプロ棋士の懐具合も見せちゃうので、よーくご覧になってください。
プロ棋士の給料・年収
始めに、プロ棋士の年収から見ていただきます。
その後、プロ棋士の給料(月収)が、どのように決まるかを確認していきましょう。
プロ棋士の年収
プロ棋士は、主に、順位戦という棋戦でクラス分けされています。
順位戦は、名人を筆頭に、A級、B1、B2、C1、C2のクラスがあります。さらに、C2の下に順位戦を指さないフリークラスがあります。
これらのクラスでの年収は次の通りです。
いかがでしょうか。
A級になれば、1,000万円プレーヤーです。さらに、名人になれば、1,500万円を軽く超えます!
これは、プロ棋士になると入って来る基本給のようなものです。
この他に、棋戦優勝なんかすると対局料の他に賞金も入って来て、ウッハウハとなります!
逆に勝てないとちょっと寂しい世界になっちゃうんですなア。
フリークラスの年収(96万円)が随分悲惨ですが、与えられた情報から割り出したものなので、こんなところで許してください。
名人戦・順位戦についての詳細は、次の記事をご覧ください。
奨励会は、棋士の養成機関です。
奨励会は6級で入会し、26歳までに四段になれないと退会させられる厳しいルールがあります。
但し、25歳を過ぎても三段リーグ戦で勝ち越しすれば、1期ごとに28歳まで延長が可能です。また、年齢にかかわらず三段リーグ戦に6期在籍できる特例があります。
上述したように、春秋の三段リーグ戦でトップ二名が四段になり棋士となります。
■奨励会に属する棋士の卵は、棋士ではないので当然、年収・給料はありません!
なお、将棋界では棋士=プロ棋士であるので、「プロ棋士」という言葉は本来使いませんが、この記事の中では、あえて、プロ棋士で通していきます。
プロ棋士の給料
プロ棋士の年収を見ていただきましたが、この章では、プロ棋士の給料(月収)を大解剖します。
プロ棋士になると、日本将棋連盟から給与(参稼報奨金:さんかほうしょうきん と呼ぶ)が支払われるのですが、この金額を考察していきましょう。
最初に、プロ棋士の給料(参稼報奨金)を考察しますが、ベースは次の資料です。
- 四段になると「参稼報奨金」(さんかほうしょうきん)と対局料が入る。
- 「参稼報奨金」の約7割が順位戦のクラスと連動している(順位戦は対局料がなく、その金額が「参稼報奨金」として支払われる。A級9局、B級1組12局、C級(1,2組)10局の各リーグ戦の対局料が毎月均等に支払われる)⇒ 順位戦の各クラスの差は、およそ7掛けとなっている。
- 他の棋戦は、1局ずつの対局料の他、契約金の一部が「参稼報奨金」に回るシステムで、各棋士の活躍度でABCのランクに査定され、それによって金額が支払われる
「プロ棋士という仕事」創元社 青野照市九段著から抜粋
始めに、順位戦の「参稼報奨金」を割り出します。
上述の資料で、各クラスの差は7掛けになっていくと言っているため、名人を1とすると、A:0.7、B1:0.5、B2:0.35、C1:0.25、C2:0.18 となります。
名人は月100万円という情報が色々なサイトにありますので、これを基に順位戦の「参稼報奨金」を計算して表にします。
順位戦だけでみても、A級棋士は、さすがトップの10名だけあって、かなりの高給取りですね。それに反して、C2クラスだと現在の新入社員以下の金額でしょうか。
フリークラスは順位戦を指さないので、金額ゼロは苦しいですなア!
上述の金額が全「参稼報奨金」の7割だと言っていますので、残り3割を反映します。なお、他棋戦のランクはB査定(プラスマイナスゼロ)で計算しましょう。
計算方法は、順位戦の「参稼報奨金」÷ 7 × 10 ですね。この結果を反映した表が以下のモノです。
フリークラスの金額は、前「参稼報奨金」C2の金額から順位戦「参稼報奨金」C2の金額を引いて計算しました。
おお、名人とA級は月収100万越えですね。B2位までは、一般社会の給与と比べても良い方ではないでしょうか。
C1はそこそこ、C2はちょっと苦しいですかね。
フリークラスは、「え、こんなに少ないの」と思っちゃうくらいの金額です。詳細は、こちらの記事に詳しいです。
ただ、棋士には棋戦があって、それに優勝すれば大きな賞金が入ってきます。
それらを踏まえた棋士の賞金ランキングを見ておきましょう。
賞金ランキングトップ10
さて、標準の金額は出ましたが、プロ棋士がどれだけ稼ぐか将棋連盟の公表している「賞金ランキング」で見てみましょう。
まずは、2022年度の賞金ランキングです。
やっぱりトップになると、凄まじい金額を稼ぎますね!
1位藤井聡太竜王・名人が1億8,634万円、藤井一強時代を反映して、2位渡辺明九段4,562万円と大きく差がでました。3位の永瀬拓矢九段は3,500万強、4位広瀬章人九段が 3,000万強です。
やはり、タイトルを独占した藤井聡太竜王・名人が別格ですね。
例年は、1位と2位の差は、こんなにないのですが藤井一強時代の反動ですね。
ちなみに、2010年度のランキングも見てみましょう。
順位 | 氏名 | 獲得額 |
---|---|---|
1 | 羽生善治名人 | 11,576万円 |
2 | 渡辺明竜王 | 6,240万円 |
3 | 久保利明二冠 | 4,829万円 |
4 | 森内俊之九段 | 3,270万円 |
5 | 深浦康市九段 | 3,173万円 |
6 | 佐藤康光九段 | 3,018万円 |
7 | 三浦弘行八段 | 2,850万円 |
8 | 藤井 猛九段 | 2,410万円 |
9 | 丸山忠久九段 | 2,372万円 |
10 | 広瀬章人王位 | 2,136万円 |
こちらも、凄まじい金額ですね!
トップは、羽生名人で1億超え!2位が渡辺明竜王で 6,000万超えです。3位の久保利明二冠が 5,000万弱です。
後は、僅差で7名が追随している図ですね。
10位の金額を2021年と比較すると、2010年の方が500万ほど多いです。
それにしても、ベスト10のメンバーを見るとガラッと変わっていることに気づきます。両方のランキングに登場しているのは、渡辺名人と羽生九段だけです。将棋界の厳しさがわかりますよね!
プロ棋士のその他の収入
さて、プロ棋士の月額給与・年収を見てきましたが、プロ棋士たちはその他にも副収入を得る道があります。
ザっと書き出すと以下のようなものです。
- 棋戦優勝(タイトル戦、一般棋戦)
- 講演
- 書籍の印税・原稿料
- 指導料
- YouTube等での収益
それぞれの項目について簡単に解説します。
棋戦優勝
各スポンサーが開催しているタイトル戦で挑戦、タイトル獲得あるいは一般棋戦に優勝することで得られる賞金です。
ご覧のようにタイトルを獲得すると上記のような大きな賞金を手にできますね!
他にも一般棋戦優勝には、500万円以上の賞金が獲得できますが、詳細は次の記事をどうぞ!
講演
講演会などの出演料です。
メディアの露出が低い棋士の場合で30万円以下(それでも大きくない?)。
有名どころだとだと 30万円を超えるようです。
羽生九段位になると 100万円に届くのでは?
書籍の印税・原稿料
将棋の書籍の執筆で得られる印税、原稿料です。
書籍が売れれば、そこそこの収入になります。
1冊の印税(6~10%)は数十万円といわれます。
指導料
指導料に関しては、棋士の派遣料(下記記事参照)が将棋連盟で告知されています。
派遣3時間以内で見ると、九段 101,000円もしますが、四段なら 39,000円でOK!
詳細は次の記事をご覧ください。
棋士には半分くらい入ってくるのかしら?
YouTube等での収益
「アゲアゲ」で有名な折田翔吾四段や、伊藤真吾五段の「イトシンTV」など多くの棋士が YouTube でチャンネルを開設しています。
収益は、「1再生につき0.05~0.7円」(要はチャンネルで違う)ということです。
最後に
プロ棋士の年収を更改した後、資料を基に類推して給料(「参稼報奨金」でしたね)を大解剖しました。
やはり、実力主義の業界では強くなることで、自らの収入を上げていくことが出来ます。そして、トップになれば、凄まじい金額を稼ぐことが出来ることもわかりました。
逆に勝てないと、給料は上がらず低迷してしまいます。そこが勝負師の厳しいところですね!
また、棋戦以外での棋士の収入源もいくつか挙げてみました。講演などもいいお金になるようですが、やはり知名度がモノを言うようです。
棋士はやはり強くないといかんのですな。
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