青鷺(アオサギ)は縁起が良い?海外では神扱いだが日本では…
皆さん、青鷺(アオサギ)って鳥を見たことがありますか?60爺は、恐らく見たことがありません。恐らくと言ったのは、動物園などで目にしたかもしれませんが記憶に残っていないからです。
この60爺の認識、あながち的外れでもなさそうです。本記事を書くため参考にした「イメージとしてのアオサギ」(北海道アオサギ研究会 松長克利)でも、日本でのアオサギの人気のなさを嘆いています。
今回は、「青鷺(アオサギ)の縁起」について語るんですが、外国での青鷺(アオサギ)の評価の高さに比べると、日本でのそれは大分落ちますねエ…。
そんな評価は当の青鷺(アオサギ)にとってはどうでも良いことでしょうが、ひとつずつ、その評価を検証しながら見ていきましょう。
青鷺(アオサギ)は縁起がいいのか
青鷺(アオサギ)が縁起が良いのか悪いのかを見ていきますが、今回は「世界での青鷺(アオサギ)の評価」から見ていきたいと考えます。
というのも、日本での評価に比べると、世界のそれが数段上を行っているからです。
やはり、評価の高いものを先に見てから、そうでないものを見た方ががっかりしないし、評価が低い内容を見ていると、先へ進む意欲も減退してしまうからです。
世界での青鷺(アオサギ)の評価は?
世界での青鷺(アオサギ)の評価を見ていきましょう。
古代エジプト
古代エジプトでは、ベヌウという聖鳥がいて「エジプト神話」の中で重要な役割を占めることになるのですが、壁画に描かれた絵を見る限り、青鷺(アオサギ)が原型だったと思われます。
エジプトの神話では太陽は卵から生まれたことになっており、その卵を温めて孵化させたのが他でもないベヌウだとされているのだ。つまり、ベヌウがいなければ世界は始まらなかったのである。
引用 イメージとしてのアオサギ
このベヌウ即ち青鷺(アオサギ)ですが、炎で焼かれたのち再び灰の中から蘇るとされ、このイメージは、ギリシャ、ローマと受け継がれて、何と不死鳥フェニックスへとつながるそうです。
フェニックスは、日本では「火の鳥」と呼ばれて、その姿にアオサギのイメージは全くありませんが、太陽を産んだイメージはベヌウに通じますね。
古代ローマ
古代ローマの詩人オビディウスが書いた「変身物語(Metamorphoses)」は、史実と幻想が入り乱れる不思議な物語なんですが、トロイ戦争当時に「Ardea」という町が陥落するシーンがあり、この中に青鷺(アオサギ)が登場するんです!
この神秘的で詩的な物語に登場するアオサギは、一面では自分を燃やして灰の中から自らを再生するフェニックスのイメージそのものである。しかし、このArdeaの町から飛び立つのはフェニックスではなくアオサギなのだ。Ardeaという町の名前がアオサギのラテン名だと分かれば、作者がいかに恣意的にアオサギとフェニックスのイメージを融合させようとしたかが分かる。
引用 イメージとしてのアオサギ
ケルト人たちの時代
ケルト人が活躍した時代は、キリスト教がヨーロッパ世界を覆いつくす前のガリア、ブリテン諸島、及び現在でいうところのアイルランド付近です。
彼らは、自然崇拝の民族ですので、日頃から動物や鳥との精神的なつながりを持っています。それは彼らケルト人の神話の中で、人がしばしば動物や鳥に変身することでわかります。
ドルイドたちはアオサギのイメージを自らに重ね合わせていたようなのだ。ドルイド僧は魔術を用いるとき、片方の手で片目を塞ぎ片足で立つ、いわゆる「サギのポーズ」と呼ばれる姿勢を用いていた。この姿勢をとることで意識を集中させパワーを集めることができたのだという。
引用 イメージとしてのアオサギ
聖書の時代
キリスト教の時代、青鷺(アオサギ)はかなり肯定的にとらえられていたようです。
とくに中世キリスト教の世界ではサギはかなり肯定的に捉えられており、9世紀にマインツの大司教であったマウルス・ラバヌスに至っては、驚くべきことに「サギはキリストである」とまで言っています。これは詩篇第103巻17番の”Herodii domus dux est eorum”(訳:サギは彼らの家の指導者)を解釈したものだそうです
引用 文学の中のサギ
日本での青鷺の評価について
最初にマイナス評価を見てから、プラス評価を見ていきます。
マイナス評価
さて、それでは、我が国「日本」でのマイナス評価を見に行きます。
また、先程のサイトを引用します。清少納言が『枕草子』の中で以下のように言っています。
そこには「鷺は、いとみめも見ぐるし。まなこゐなども、うたてよろずになつかしからねど(後略)」とある。現代語に直すと、「鷺は見た目がとても醜い。目つきなども気味が悪いし、何かにつけてかわいくない」というようなことで、もう取り付く島もない。
引用 イメージとしてのアオサギ
これを読むと、鷺に対して余り良いイメージを持っていなかったことがわかります。さらに、こんな言い伝えもあるんです!
古くより夜になると青白く光る
これでは、まるで妖怪化化け物の類ですね。青鷺の習性には、真夜中に上空を飛びながら、不穏な絶叫を木霊させているイメージもあり、こんな伝説のような話が残ってしまったように思われます。
確かに、青鷺(アオサギ)の鳴き声は美しいものではありませんが・・・。次の記事で、青鷺(アオサギ)の鳴き声を聞いてやってくださいませ~。
この他にも浮世絵にも青鷺が妖怪のごとく描かれます。
- 『今昔画図続百鬼』(1779年)に「靑鷺火(あをさぎのひ)」:(江戸時代中期の浮世絵師で妖怪画家の鳥山石燕による)
- 『絵本百物語』の「五位のひかり」:(桃花山人 1841年)
また、明治以降、小説の世界(泉鏡花、夏目漱石、京極夏彦など)でも妖怪のイメージを持った青鷺(アオサギ)が登場しています。
その他、神社の使わしめとして、動物が崇められる例は多いですが、そこに青鷺は見つけられませんでした!(シラサギを祀っている神社は複数ありましたが…)。
プラス評価
散々、青鷺(アオサギ)のマイナス評価を見てきましたが、そろそろプラス評価を見ていきましょう!
紫式部は『源氏物語』の中でアオサギの奥ゆかしさを認めているし、蕪村や子規のようにアオサギのたたずまいをポジティブに表現した俳人、歌人も多い。蕪村の「夕風や 水青鷺の 脛を打つ」など、前述の鳥山石燕と同時代の句とは思われない澄んだ雰囲気がある。また、更科源蔵のように、アオサギに峻厳さや孤高といったイメージを読み取った詩人もいる。
引用 イメージとしてのアオサギ
※『源氏物語』浮舟
『ひさかたの星の光の清き夜にそことも知らずさぎ鳴きわたる』正岡子規
『蒼鷺』更科源蔵
フクロウは、日本での評価は高いのですが、外国での評価が低いです。
また、由来はわからんのですが、次のような言い伝えもあるようです。
- 鷺のコロニーが出来るとその家は栄え、サギがいなくなると家は没落する
- 青鷺(アオサギ)が家の近くに巣をかけると縁起が良い
また、こんな俳句が残っているのは、鷺にとって救いでしょう。
「サの神の 田に来たるらし 鷺の声」 詠み人知らず
実際、銅鐸に描かれた鳥の絵の解釈から、サギを穀霊の守り神、あるいは穀霊そのものとする説もある(佐原真・金関恕編『銅鐸から描く弥生時代』参照)。穀霊とはもちろんサの神のこと。サの神を守るのに、サの鳥、すなわちサギ以上に相応しい鳥はいないだろう。春、サギはサの神の見守る田んぼに飛来する。サの神の守り神として、あるいはサの神そのものとして飛来するのである。
引用 アオサギを議論するページ
最後に示したお話などは、「サギを穀霊の守り神」あるいは「穀霊そのもの」としています。古代エジプトの神「ベヌウ」と通ずるものがあります!
アオサギグッズ
アオサギのグッズにどんなものがあるか抜き出してみました。
置時計、化粧ポーチ、タペストリー及びジュエリーなどが見つかりました。
アオサギがお好きな方は手に取ってみてはいかがでしょうか。
最後に
アオサギの縁起について調べてみました。
日本では、アオサギはあまり人気のある鳥ではないようです。ここまで見てきた限り、青鷺(アオサギ)はダークサイドに生きる物の怪の類にされている例の方が多いようです。
しかし、そのコロニーは何百というアオサギがいるようなので、機会があれば見に行きたいと思います。
外国ではなぜか人気のある鳥のようですが、これも国民性の違いでしょうか。
※気づけば「縁起」の記事も増えてきました
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