にんにくを漢字で書くと全8種!バラエティに富んだ表記を一挙公開
にんにくというと、餃子に入っている、臭い、スタミナがつく・・・etc なんてイメージがありますが、漢字で書くとどんな表記なのでしょうか?
にんにくの漢字表記はせいぜい1,2種類だと思ったんですが、Wiki だけを見ても5つあってビックリ!その他を調べまくった結果、8種類の表記があるとがわかりました。
この驚きをぜひともシェアしようと、由来も含めて徹底リサーチしてみました。
実際、調べていくと、古(いにしえ)の頃の名残とか、単純に読みに合わせたモノとかバラエティに富んだ表記なので一挙公開したいと思います。
それでは、しばらくお付き合いをお願いします。
にんにくを漢字で書くと全8種!
にんにくを漢字で書くとどうなるかを調べたところ全8種となりました。
- 忍辱
- 大蒜
- 蒜
- 葫
- 人肉
- 胡蒜
- 蒜肉
- 韮葱
これらの漢字表記について、その由来をガッツリ掘り下げてみました。
忍辱の由来
トップでの登場は「忍辱」です。本来の意味は「恥をしのぶこと」で「にんにく」は呉音読みです。
この「忍辱」の由来にはいくつかの説があるんですよ。
- 僧侶が、忍辱の修行としての荒行に耐える体力を養うために食べたこと
- 健康維持のために臭気を堪え忍んで食べた
- 強烈な臭気を隠して食べたことによる隠語
もともと、仏教世界では、精力のつく「にんにく」は、人間の心を乱し、魂を失わせるという理由で「不浄のもの」とされていました。
しかし、厳しい修行に耐えるためのスタミナ源としてこっそり食べていた僧も多かったようです。
そんなところから、「忍辱」という漢字表記は生まれたんですね。
驚きの漢字表記はこちらにも。
大蒜の由来
にんにくの漢字表記で有名なのは、この「大蒜」ですよね。実際、いろいろな国語辞典で「にんにく」を引いてみると、その漢字表記に、この漢字が現れます。
その由来なんですが、にんにくの古名は「ひる(蒜)」だったんです。即ち、鱗茎を食用とする臭いの強い(ネギ属の)植物(にんにくもそうですし、ノビルも含みます)を指していました。
そこで、特にノビルと区別する際に、オオヒル(大蒜)と言ったんですね。
ちなみに、漢方での生薬名は、同じ表記を用いますが、「たいさん」と呼ぶんですよ。勉強になりますね!
「大蒜」は中国での表記が由来です。「中国語翻訳⇒検索」で、「大蒜」を日本語に訳してみると「にんにく」と出ました。
にんにくが渡来したのは、百済が日本に帰服した頃、持ち込まれたのではないかと考えられています。ただ、その当時は、香辛料(薬草)や強壮剤として使われていたようで食品ではなかったんですよ。
蒜の由来
蒜は、上述の「大蒜」の項で記載したように、鱗茎を食用とする臭いの強い(ネギ属の)植物の総称です。
この漢字は、音読みが「サン」で、訓読みが「ひる・ にんにく」です。意味は、『①ひる。のびる。ユリ科の多年草。 ②にんにく(大蒜)。強い臭気がある。』ですね。
この言葉も、中国の言葉が由来です。「大蒜」の時と同様に、「中国語翻訳⇒検索」で、この漢字を日本語に訳してみると「にんにく」と出ました。
葫の由来
漢和辞典を引いてみました。意味は、「草の名。中国原産。根茎を食用・薬用にする。大蒜(タイサン)。にんにく。おおびる。」です。
まさしく、「にんにく」を指していますね。
広辞苑でも、「にんにく」の漢字表記に、上述の「大蒜」に並んで、この表記が載っていますよ~。
この漢字を「中国語翻訳⇒検索」で、日本語に訳してみると「ひょうたん」になってしまいました!漢和辞典には、「葫蘆(コロ)とは、ひょうたんのこと。ふくべ。」とあります。
人肉の由来
穏やかではない漢字表記が出てきました。
確かに、人=ニン、肉=ニクですから、にんにくと読めますが、普通、この漢字表記を見たら、「ジンニク」と読んでしまいますよね。
そういう方たちの twitter を見つけました。
正しい漢字ではありませんが、「醤油を正油」って書くように、「にんにくを人肉」って書くことがあるんですねエ。
ちょっとびっくりしますが、手書きで書くときに適当な当て字を使ったと考えればいいと思います。
どちらにしろ、正式な表記ではないようですな!
胡蒜の由来
この漢字表記の先頭にある「胡」ですが、古代中国では中央アジア(中国の北方・西方)を指す言葉だったのです。
実際、漢和辞典にも「中国の北方・西方など、外地の産物であることをあらわすことば」とあります。
「蒜」は既に述べたように「ひる」と読み、強いにおいがある植物を指します。
にんにくは中国原産ではなく、中国の外からシルクロードを渡ってきた植物だったことを示しているんですね。
「中国語翻訳⇒検索」で、中国語に「胡蒜」を入力して日本語に訳すと「にんにく」となりました。これも、中国語が基になっていたことがわかります。
蒜肉の由来
フム、この漢字はググっても、ほとんどヒットするサイトがありませんね。
出典は「ふりがな文庫」です。
今まで出版された作品から、にんにくのルビのある作品を抽出したモノですが、この表記は一般的ではないようですな。
出版された作品の一部を引用しておきます。
「そりゃ、こっちでいう事だよ。俺んところの蒜肉や大根のうまさはどうだ。君はいったい美食すぎるよ。あんなに肉ばかし食べては危険だぜ。胃癌だとか糖尿病だとか、おしまいはきまってる。」 フレップ・トリップ (新字新仮名)/北原白秋(著)
引用 ふりがな文庫
韮葱の由来
この漢字ですが、「中国語翻訳⇒検索」で中国語に「胡蒜」を入力して日本語に訳すと「リーキ」となりました。
リーキとはなんでしょうか?調べてみると「西洋ねぎ」のことを指しているようです。にんにくじゃないじゃん。
この記事の出典も、上記と同じ「ふりがな文庫」です。この表記も一般的ではないようです。
韮葱の花の大きなやや毛ばだった紫の球にも細かな霧の小雨がかかっていた。フレップ・トリップ (新字新仮名)/北原白秋(著)
引用 ふりがな文庫
次の章では、海外では何と呼ぶのか一覧にしてみましたよ。
海外での表記
海外でのにんにくの表記を見てみましょう。
英語は、お馴染みのガーリックです。その他の国の表記を見てみると、(中国語を除いて)60爺には、全く馴染みのない表記が並びました。
言語 | スペル | 発音 |
---|---|---|
英語 | garlic | ガーリック |
ドイツ語 | Knoblauch | クロブラウク |
オランダ語 | knoflook | プロプロク |
フランス語 | Ail | アイ |
イタリア語 | aglio | アーギオ |
スペイン語 | ajo | アホ |
ポルトガル語 | alho | アーリュ |
スウェーデン語 | vitlök | ビープレク |
ノルウェー語 | hvitløk | リープル |
中国語(繁体) | 大蒜 | ダウスェン |
中国語(簡体) | 大蒜 | ダウスァン |
ロシア語 | чеснок | チェスロク |
発音に関しても、全く聞いたことのない発音のオンパレードでしたね!
わかったのは、英語のガーリックくらいです~。
どの発音を聞いても、にんにくだとは絶対分からないものばかりでした。まあ、外国語に才能のない60爺ですから、こんなものなんでしょうね。
記事を終わる前に、にんにくと同様に複数の漢字表記を持つモノに焦点を当てた記事を見てください。
複数の漢字表記を持つ動植物
にんにくは何と8種類もの漢字表記を持っていましたが、同様に複数の漢字表記を持つ動植物がありました。過去に記事にしたものを紹介します。
3種類の表記を持つ虫がいます。昔は、秋になると群れを成して飛ぶ光景が見られました。今は大分少なくなっちゃったようですねエ!
こちらは、何と6種類の漢字表記があります。夜になると出現して、害虫などを食べてくれます。そっとしておけば何もしませんので撃退などしないようにしてくださいね。
こっちは複数の表記を持つ花ですね。ジャスミンです。
最後に
にんにくの漢字表記について見てきました。8種類の漢字があるのには驚きましたが、一般的に使用されないモノがいくつかありましたね。
にんにくは、中国から伝来したモノかと思っていましたが、実はさらに西から渡ってきたとは思いもよらなかったです。
更には、仏教徒関わりが出て来るとは驚きでした!
外国語表記についても、英語、中国語はまだしも、他の国の表記はサッパリわからんものがほとんどでした!
■思えば、「ある言葉を漢字で書くと」の記事も増えてきました
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