将棋の段位と給料って関係しているの?その額は?はっきり答えます
昨今、藤井聡太竜王(五冠、2022/10/31現在)の話題で盛り上がる将棋界ですが、タイトルを持っていない棋士には段位をつけて呼びますよね。
例えば、羽生善治九段、豊島将之九段とか、若手だと徳田拳士四段、アゲアゲこと折田翔吾五段とかですね。
さて、それでは、将棋界の段位はどうなっているのでしょうか?最高位は何段なんでしょうか?最低位は?段位は誰が決めるのでしょうか?段位と給料の関係はどうなってるの?
段位の謎と疑問はたくさんあるのではないでしょうか。
今回は、将棋の段位について説明します。合わせて、段位と給料の関連も見ていきましょう。
将棋の段位と給料って関係してるの?
始めに結論を言っておきますね!
将棋の段位と給料って関係してるの
順位戦のクラスによって決められ、段位は関係ありません!
そうなんです。段位と給料に関連はないんですよ。
基本的に、順位戦のクラスで給料が決まるんですね!クラスに関する詳細はこちらの記事をご覧ください。
また、棋士の給料に関してこちらで解説しています。
段位について
将棋界の段位について解説します。
日本将棋連盟に、棋士データベースがあります。ここに、「現役棋士一覧」が載っています。このページを見ると、段位が何段まであるかわかります。
始めに、タイトル保持者が載っています。現役のタイトル保持者の他に永世称号を持った棋士が載っていますね。2022年11月頭の段階ですが、次の棋士達です。
現タイトル保持者
藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖)、渡辺明名人(棋王)、永瀬拓矢王座
永世称号を持った棋士
谷川浩司十七世名人、羽生善治九段(永世称号有資格者)、佐藤康光九段(永世称号有資格者)、森内俊之九段(永世称号有資格者)
永世称号については、こちらをご覧ください。
タイトル保持者の下に段位別に棋士の一覧が出ています。
このページを下までずーーと見ていくと、将棋界の段位がわかります。
そうです。将棋界の棋士の最高位は九段で、最低位は四段なんですよ~。
その人数もわかりますね。ちなみに、上記で示した「現タイトル保持者」3名と「永世称号を持った棋士」4名の段位は九段です。それを勘案してグラフにしてみました。
このグラフを見るとわかるんですが四段が一番少ないんですね。そして、七段が50名もおり、八段、九段も、六段以下よりも人数が多いんです。
実は、段位は上がることはあっても落ちることはありません。一度上がれば、成績が悪くても下がることはないんです。ですから、たとえ百連敗しても段位には全く影響しないんです。
付け加えておくと、棋士の養成機関である奨励会には、段位は初段から三段まであります(初段の下に級位があります)。三段リーグを突破した人間が四段となり棋士となれるのです。
何故、段位があるのだろう?
ここまで述べてきて、はて、何で段位があるのだろうかという疑問が出てきました。
給料に関係しない、単なる肩書なんでしょうか?
将棋界は実力性を取っているのですから、順位戦のクラスで段位を決めてもいいのではないかという考えもあってしかるべきですよね。
実は、昔、段位が廃止されたことがあるんです。
なお当初は段位も廃止し、ボクシングのように「○級○位」という呼称にしました。しかし段位の肩書がないと、対外的に不都合という声があり、段位は1年後に復活しました。
終戦の翌年から始まった実力主義の順位戦制度
うん、「対外的に不都合」と言うこの意見は非常によくわかります。
やはり、棋士達も社会生活を営んでおり、棋界意外とも色々なお付き合いがありますので、その際に、非常に不都合が起きやすいですね。
さらに、長い年月をかけて、将棋の普及活動やその他の活動などで、その世界にいかに貢献してきたかを示す指標が必要です。それが段位に現れるのではないでしょうか。
段位というのは単なる強さを表す指標ではないのです。
よく考えてみれば、柔道、剣道、空手などの格闘技や、書道とか60爺が暗算が得意になった珠算なども、一度取得した段位は下がらないですよね!
段位は誰が決めるのか
段位に対しては、日本将棋連盟で「昇段規定」として取り決められています。
これを見ていくと、昇段する条件っていっぱいあることがわかります。棋戦別に昇段するための条件を表にしたものがこちらです。
棋戦 | 五段 | 六段 | 七段 | 八段 | 九段 |
---|---|---|---|---|---|
名人戦 | C級1組昇級 | B級2組昇級 | B級1組昇級 | A級昇級 | 名人位1期獲得 |
竜王戦 | ・ランキング戦 連続昇級 ・ランキング戦 通算3回優勝 | ・2組昇級 ・ランキング戦 連続昇級 ・ランキング戦 通算3回優勝 | ・竜王挑戦 ・1組昇級 ・ランキング戦 連続昇級 ・ランキング戦 通算3回優勝 | 竜王位1期獲得 | 竜王位2期獲得 |
その他のタイトル戦 | タイトル挑戦 | タイトル挑戦 | タイトル1期獲得 | タイトル2期獲得 | タイトル3期獲得 |
一般棋戦 | 全棋士参加棋戦 優勝 | 全棋士参加棋戦 優勝 | 全棋士参加棋戦 優勝 | ||
勝数規定 | 公式戦100勝 | 五段昇段後 公式戦120勝 | 六段昇段後 公式戦150勝 | 七段昇段後 公式戦190勝 | 八段昇段後 公式戦250勝 |
なお、四段は、「昇段規定」にあるように、三段リーグの優勝・準優勝又は三段リーグ次点2回でなることが出来ます。
但し、三段リーグ次点2回で四段になった棋士はフリークラスから始めることになります。
どのくらいもらえるの?
四段になると、日本将棋連盟から給料が支払われます。正確に言うと、給料という名前ではなく、「参稼報奨金」と言います。
「基本的に、順位戦のクラスで給料が決まるんですね!」と上述しました。
ここで、順位戦のクラスを簡単に説明します。
順位戦は、上記のようなピラミッド構造になっていて、毎年、リーグ戦を行います。
そして、成績上位の棋士が上位クラスに昇級し、成績下位の棋士が下位クラスに降級(A級2名、B級1組3名、B級2組以下は降級点が付き既定の回数を取ると降級します)します。最上級のA級では成績トップの棋士が名人に挑戦します。
C級2組からフリークラスに降級すると10年以内に既定の成績を挙げないと引退となってしまう厳しいシステムです。
このクラスごとに給料(参稼報奨金)が決まるんですね。こちらの記事にありますが、以下に年収を一覧として表示しましょう。
トップは1千万越えですが、フリークラスは、たった96万円と結構厳しい金額ですな!
棋士派遣料
日本将棋連盟では、棋士による出張指導・大会審判・詰将棋作成・イベントや催事への出演の斡旋をしています。「A級歴代」の記事でも派遣料を見ています。
棋士派遣のページに基本料金表が載っています。注意書きがあって、「イベントや派遣の内容によっては料金が異なる場合がございます。」と言っておりますので、参考にしかならんのですかな。
参考に、棋士の基本派遣料を載せておきます。
段位 | 派遣料 |
---|---|
九段 | 101,000円 |
八段 | 85,000円 |
七段 | 66,000円 |
六段 | 54,000円 |
五段 | 44,000円 |
四段 | 39,000円 |
派遣料は今回話題にしてきた「段位」で決まります。
やはり、いろいろ経験を積んできた棋士の派遣料は高いということですな!
最後に
将棋の段位と給料について述べてきました。
将棋界の棋士の最高位は九段で、最低位は四段であることがわかりました。
そして、一度上がれば、成績が悪くても下がることはないこと、段位と給料は関係ないんだということもわかりましたね。
段位が必要な理由も書いておきました。60爺は、その件に関して納得です^^;
下世話な話ですが、この記事の中でも棋士の給料について述べました。皆様の参考になれば幸いです。
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