ラグビーにも漢字表記がある!イメージ通りのその表現の由来をご紹介
先日、ラグビーの日本代表が、ニュージーランドのオールブラックスと試合を行い惜敗しました。ボロ負けを予想していた60爺ですが、意外な善戦(ラグビーファンに叱られますかね^^;)に正直驚きました。
この時、「ラグビー」は漢字の記事を書くのに丁度いい題材だと思い付いたんですよ。大体、ラグビーに漢字表記はあるのかも気になりましたし、先人がどんな表記を思いついたのか興味も沸きました。
そこで、調べ始めると、これがなかなか面白い結果が出ましたので、皆様にも見てもらわねばならないと思いました。スポーツの漢字表記は「バスケ」、「テニス」に続く漢字表記第三段となりますね。
それでは、しばらくの間、お付き合いをお願いします。
ラグビーの漢字表記
ラグビーの漢字表記と読み方ですが、時期により2つあるようです。
1925年(大正14年)頃以降、戦前(第二次世界大戦前)の正式名称
ラ式蹴球 ラしきしゅうきゅう
1943年(昭和18年)3月から終戦までの名称
闘球 とうきゅう
まあ、普通、ラグビーを漢字表記で呼ぶ人はいませんよね。
漢字表記がこうだろうと思う対象は余りなかったですが、「ヤモリ」はイメージがわくでしょう。
一見、ナマケモノもあっているように見えますが…。
個別の漢字から
この表記を構成している漢字を個別に見ていきましょう!
ラ式蹴球
ラ式 ラ式 ラグビー式
蹴 シュウ、蹴る ける。けとばす。
球 たま まり。ボール。
「ラ式」は、ラグビーを指す言葉です。「蹴」と「球」=「ボールを蹴る」で構成された漢字表記です。つまり、「球」を「蹴る」競技ということですな。
闘球
闘 トウ、闘う たたかう。あらそう。
球 たま まり。ボール。
「闘」と「球」=「球で闘う」で構成された漢字表記です。つまり、「球」を争って「闘う」競技ということですね。
バスケットボールの漢字は、この「闘」と同じくらい難しかったです。
漢字の由来
ラ式蹴球
1899年(明治32年)頃にはフットボール全般が「蹴球」でした。ラグビーって、「ラグビーフットボール」のことなんですよ。ですから、「蹴球」が当てられたんですね。
以下の呼び分けは後付けだそうです!
- ラグビー:ラ式(ラグビー式)
- ソッカー(サッカー):「ア式(※アソシエーション式)」
- アメリカンフットボール「米式(べいしき)」
ちなみに、1899年(明治32年)創立された慶應義塾大学のラグビー部は、現在も昔ながらの「蹴球部」(慶應義塾體育會蹴球部)を名乗っているそうです。
闘球
この文字なんですが、テニスの項でも言った「敵性語」なんです!
「敵性語」は「敵声語」と当て字されることもありますが、要は、敵である欧米が使う言葉を許さないという、何ともへんてこりんな理屈から、言葉の仕様の弾圧を深めたモノです。
それがスポーツにも適用され、次のような例に示す理不尽な言葉になったんです!
- ラグビー・フットボール ⇒ 闘球
- アメリカン・フットボール ⇒ 鎧球
- ホッケー ⇒ 杖球
- アイスホッケー ⇒ 氷球
- ゴルフ ⇒ 打球
- サッカー ⇒ 蹴球
野球を筆頭に様々なスポーツが漢字の名前で呼ばれました。「ラグビー」も巻き込まれてしまったという訳です!
「ラグビー・フットボール」と言う言葉が使えないことから、いろいろ当て字を考えてひねり出したんだということですな!
他のスポーツの漢字表記
ラグビーの他にも球技は複数存在します。それらの球技の漢字表記を一覧にしました。
スポーツ | 漢字表記 |
---|---|
アイスホッケー | 氷球(ひょうきゅう) |
ゲートボール | 門球(もんきゅう) |
サッカー | 蹴球(しゅうきゅう) |
ピンポン | 卓球(たっきゅう) |
テニス | 庭球(ていきゅう) |
バスケットボール | 籠球(ろうきゅう)、籃球(らんきゅう) |
バドミントン | 羽球(うきゅう)、毛級(もうきゅう)、羽毛球(うもうきゅう) |
バレーボール | 排球(はいきゅう) |
ハンドボール | 送球(そうきゅう)、手球(てきゅう) |
ラグビー | ラ式蹴球(ラしきしょうきゅう)、闘球(とうきゅう) |
まずは、10種類の球技を挙げました。普段見かけない日本語が並びました。
卓球(たっきゅう)だけが生き残ってますね。
庭球以外、漢字表記はほぼ見かけませんね。横文字が馴染みです。
上記のうち、テニス、バスケットボール、バドミントン、ハンドボール、ラグビー(本記事)の5競技の記事をアップしています。
世界での表記
世界でのバスケットボールの表記と発音は次の通りです。
外国語 | スペル | 発音 |
---|---|---|
英語 | rugby | ラグビー |
ドイツ語 | Rugby | ラグビー |
オランダ語 | rugby | ラグビー |
フランス語 | le rugby | リグジビー |
イタリア語 | Rugby | アラグビー |
スペイン語 | rugby | ラグビー |
ポルトガル語 | rugby | ラグビ |
スウェーデン語 | rugby | ルグビー |
ノルウェー語 | rugby | ラグビ |
中国語(繁体) | 橄欖球 | カーランチョウ |
中国語(簡体) | 橄榄球 | カーランチョウ |
ロシア語 | регби | ラグビ |
英語及び西洋の表記はほとんど同じですが、発音が少しずつ違っているように思いました。イタリア、ポルトガル、スウェーデン、ノルウェーが違って聞こえました。
ロシア語は、表記は全然違うように見えたんですが、発音は「ラグビ」でしたね。
中国語の(繁体)と(簡体)の表記は2番目の文字が違いますね。橄欖、橄榄はオリーブの意味です。これはラグビーの楕円形のボールを指しているのではないでしょうか。
ラグビーボールが楕円形の理由
ラグビーボールが楕円形の理由ですが、諸説あって確定していないようですね。
最も有力な説と言われているのが次のモノです。
豚の膀胱を膨らませて、それに牛皮を張り合わせてボールを作っていたから
ラグビーはボールを持って走る競技ですが、当初使用していたボールは重くてプレーがしにくいため、よりよいボールを開発する過程で、靴職人のウイリアム・ギルバート氏が豚の膀胱を使用するということを思い付いたようです。
このボールを実際に使用してみると、軽くて脇に抱えて持ちやすいということから、この楕円形のボールが受け入れられていったとのことである。その後、より持ちやすく投げやすいように少しずつ改良が行われていって、現在の形になったようである。
引用 ラグビーボールはなぜ楕円の形をしているのか?
また、この形だと、「ボールを投げた時にまっすぐよく飛ぶから」という理由もあるようです。ボールが丸いと、遠くまで投げることが出来ないですからね。
その他にも、「頭蓋骨、ダチョウの卵、椰子の実を使用していたから」なんて説もありました。
・古代ローマ時代の人たちは、生首や頭蓋骨を用いていたとする説。
引用 ラグビーボールはなぜ楕円球なのか
・アフリカの原住民が、ダチョウの卵をボールの代わりにしていたとする説。
・ポリネシアの人たちが椰子の実をボールの代わりにしていたという説などがある。
自然のものを使用してボールにしていたため、完全な球形にはなりにくく楕円形に近い形状だったことが考えられる。
生首や頭蓋骨じゃ、すぐ、崩れたり、割れたりしたでしょうね。そもそも、触るのやだし!
卵は割れるでしょ!突っ込みどころ満載ですな。
まあ、ヤシの実なら何とかわかりますけどね…。
最後に
ラグビーの漢字表記について見てみました。
時期によって2種類の漢字があるとは思いませんでした。「ラ式蹴球」なんてちょっと変わった名称ですよね。今では、「蹴球」はサッカーの代名詞ですが、フットボール全般を指していたんですね。もう一方は「敵性語」と呼ばれるモノであったのは残念ですけどね。
世界の表記では、ヨーロッパの表記はほとんど同じでしたな。ただ、発音がちょっと違っていたのは面白かったです。中国語は「オリーブの球技」で国が違うと見方が変わる典型ですね。
最後のボールが楕円形の理由も、説得力があって良かったです。
参考
wiki ラグビーフットボール
※気づけばスポーツの記事も増えてきました
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