宜しくと漢字で書くのは間違いか?避けるべきシーンを知っておくべし
現役時代には、物事を依頼したりする際に、「よろしくお願いします」とか「よろしければ」などという文章をよく使用したものです。
今回の疑問は、この「よろしく」を「宜しく」、「よろしければ」を「宜しければ」というように漢字で書いていいのだろうかというモノです。
確かに、パソコンでも「よろしく」で変換ボタンを押すと「宜しく」となりますが、60爺としては非常に違和感があるんですよね。
そこで、「宜しくと漢字で書くのは間違いか」どうかを突っ込んで調べました。合わせて、漢字使用の目安を解説するとともに、おまけとして、今回解説した内容を確認するクイズを用意しました。
是非、お立ち寄りになり、内容をご確認ください。
宜しくと漢字で書くのは間違いか?
いつものように結論からいきますね。
公用文書には用いない方が賢明
なぜ、公文書には用いない方がいいのか、その理由を見ていきましょう。
「宜しく」を用いない方が良い理由
宜という漢字を調べてみましょう。
宜 音 ギ 訓[外]よろしい・ よい・ むべ・ よろしく…べし
意味 ①よろしい。よい。都合がよい。「宜春」「適宜」 ②むべ。うべ。当然である。 ③よろしく…べし。…するのがよい。
訓読みに「よろしい・ よい・ むべ・ よろしく…べし」とありますが、その前に [外] という注釈みたいのが付いています。
これって「常用漢字外」ということなんですよ!
即ち、「訓読みは常用漢字表にない」ということなんです。
そして、この「常用漢字外」の漢字は、「公用文書には用いない方が賢明」ということに繋がるんですね。
常用漢字表の性格については,前書きに「法令,公用文書,新聞,雑誌,放送など,一般の社会生活において,現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すもの」
引用 文章を書くときに,常用漢字表にない漢字を使ってはいけないのでしょうか
漢字使用の目安
常用漢字表にない漢字を文章を書くときに使ってはいけないのでしょうか?
いえいえ、そんなことはありません。下記にあるように「一般の社会生活における漢字使用の目安」なんですね。
改定常用漢字表(文化審議会答申)にも,一般の社会生活における漢字使用の目安となることを目指すものであるから,表に掲げられた漢字だけを用いて文章を書かなければならないという制限的なものではなく,必要に応じ,振り仮名等を用いて読み方を示すような配慮を加えるなどした上で,表に掲げられていない漢字を使用することもできるものである。
引用 文章を書くときに,常用漢字表にない漢字を使ってはいけないのでしょうか
ですから、公用文では次の配慮がなされています。
- 固有名詞や専門用語などについては表外字の使用も許容
- 専門用語等で読みにくいと思われる場合には振り仮名を付けるなどの適切な配慮をする
- 新聞では,読みやすく分かりやすい記事を書くために,常用漢字表を基に,各社独自の漢字使用の基準を作っている
クイズ「よろしくお願いいたします」について
さて、「よろしく」の使い方を見たついでに、もう一つ豆知識を追加してもらいましょう。
そのため、クイズを出題します。見出しに出した文言を書く場合、次の4つの書き方が出来ますが、どれが正しいでしょうか?
- よろしくお願い致します
- よろしくお願いいたします
- 宜しくお願いいたします
- 宜しくお願い致します
正解は?
2番です!
その理由を見ていきましょう!
3,4は、上述したとおり公文書では避けた方が賢明です。
1と2のどちらが正しいでしょうか?
いたします:「する」の謙譲語である「いたす」の語尾に、丁寧語の「ます」をつけたもの
「連絡する」「報告する」などの、動詞のあとにつなげる「補助動詞」として使います。
そのため、「連絡いたします」「報告いたします」等のビジネスシーンでよく聞くフレーズですね。
「お願いいたします」もまさにこの用法なんです。
「致します」:「する」の丁寧語として使われる表現
こちらは、「私が致します」「帰ることに致します」「私と致しましても」というように表現します。
自分がXXする形ですので、「お願い致します」という使い方はしないのです。
これで、クイズは終わりです。勉強になりましたでしょうか?
最後に
「宜しく」という表記に着目しました。
何と、常用漢字なぞという難しい言葉が出てきましたが、「宜」には音読みの「ギ」があるだけで、訓読みがなかったんですね。
ですから、「宜しく」は当て字になっちゃうんですな。まあ、使ってもいいんですが公用文書からは避けた方が賢明ですよ。
最後に、「よろしくお願いします」という文言についてクイズを出しました。「いたします」の使いかtの勉強になったかと思います。
■思えば、「ある言葉を漢字で書くと」の記事も増えてきました
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