醤油の別名を大公開!聞いたことのある奴からそうでないものまで紹介
恐らく、日本人であれば、醤油の世話になっていない人はいないと考えます。
醤油がないと日本食は成り立ちませんよね。寿司には絶対醤油です。ソースでは、食べることさえできないでしょう。
昔、何かの文献かドラマかで見たんですが、寿司屋で醤油の別名を得意顔で使っていた人間が、「知ったかぶりしていないで普通に醤油と呼べ」と叱られる場面を思い出しました。
この時、初めて、醤油の別名を知ったのですが、この度、他にもあるんではないかとの疑問がわき出しました。
そこで、醤油の別名について調べてみました。合わせて、それぞれの別名について辞書を駆使して、詳しく解説しました。おまけとして、醤油の発祥について簡単に触れています。
醤油の別名には、余り馴染みのない名称が多いですが、ご一緒にご覧ください。
醤油の別名
さて、それでは、冒頭でも触れた醤油の別名を含めた名称を公開します。
醤油の別名
- むらさき
- (お)したじ
- 助六
- スタテ(簀立)
醤油の別名として「むらさき」は聞いたことがある方が多いかもしれません。それ以外の別名はどうでしょうか?
その他の表現は、余り、聞いたことがありませんね。
それぞれの別名について解説していきます。
むらさき
「むらさき」は、冒頭で述べた通り、お寿司屋さんの隠語だと聞いたことがあります。
その理由は、醤油の色から来ているんだと思いますが…。
正解です。醤油の色から来ているんです。
広辞苑には、「むらさき」の項で、「醤油のこと。」と言い切っています。他の辞書(明鏡国語辞典、三省堂国語辞典、光村国語辞典)でも同様に、醤油の別称と出ていました。
暮らしのことば新語源辞典では、女房詞で醤油をムラサキというと出ています。三省堂国語辞典でも同様です。
※女房詞
室町時代初期ごろから、宮中の女官によって使われた隠語の一種。食物・衣服・日用品などに関するものが多い。「おかべ」(豆腐)・「おひや」(水)・「かもじ」(髪)など。
(お)したじ
「したじ」の意味の中に醤油があります。
明鏡国語辞典では、その他に、天ぷら・そばなどのつけ汁も出ています。その理由は、味付けのもとになることからです。
広辞苑でも同様で、「(味つけのもとの意で)醤油。また、出し汁など。」になっています。
三省堂国語辞典では、「おしたじ」の項参照となっていて、御下地即ち醤油を示していますね。ここでは、「むらさき」と同様、女房詞だとされています。
助六
広辞苑のみ、「助六」の項がありましたが、醤油の意味はありませんでした。
助六とは、江戸時代に人気を集めていた歌舞伎十八番の「助六由緣江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」の主人公の名前です。
そして、主人公の助六、頭にハチマキを巻いており、この色が紫色だったことから、醤油の別名になったとのことです。
江戸落語の中に、醤油を『むらさき』と呼び、さらにもう一度ひねって『助六』と呼んだという話が出てくるようです。
引用 醤油はなぜ『むらさき』というの?別名の豆知識&"紫"醤油10選!
余談ですが、この紫色のハチマキと、助六の愛人の揚巻の名前から、巻き物の海苔巻きとお揚げを使ったいなり寿司を入れたお弁当を助六寿司としたといいます。
スタテ(簀立)
以下の内容が「wiki」にあります。
「醤油」の別名とされている「スタテ(簀立)」の記述が、1603年(慶長8年)に刊行された『日葡辞書』に存在し、1548年(天文17年)成立の古辞書『運歩色葉集』にも「簀立 スタテ 味噌汁立簀取之也」と記されている。
引用 wiki 醤油
<運歩色葉集>の内容ですが、「円筒形の竹かごを味噌・醤油のもろみなどの中に立て、中に入った汁をとるもの」という意味であり、その中に入った汁が醤油だったと言われたところから来た別名と思われます。
※日葡辞書
キリシタン版の一種で、日本語をポルトガル語で解説した辞典
※運歩色葉集
室町時代に編纂されたいろは引きの国語辞典
以上で、醤油の別名の解説を終わります。「へぇー!」と思う名称もあったのではないでしょうか?
次の章では、日本が誇る調味料である醤油が、いつ頃から登場したのか?また、どこで最初に作り出されたのかをみていきます。醤油の発祥と、別名の成立にどの位の差があるのかなんてことを思いながら、読んでいただくと面白いかもしれませんよ。
醤油の発祥について
「醬油」の文字が文献に初めて見られるのは、『多門院日記』永禄11年(1568)10月25日の記事です。また、室町中期の『文明本節用集』に「漿醬」にシャウユという読みが見られるそうです。
どちらの文献にも、「醬」の文字が見えますが、「醬」は古く「ひしお」と訓まれており、その原型は中国渡来のモノです。
醬は色々あるのですが、そのうち、大豆や麹を塩で漬けこんだ穀醬(今でいう味噌)から滲み出した「溜まり」(「簀立ち」とも)を改良したものが醬油です。
つまり、「醬からとる油のような液」が「醬油」で、この言葉は、日本で作られた語であると思われます。
鎌倉時代に和歌山県の湯浅で最初に作られたという説もあり、千葉県野田、兵庫県竜野で醤油の製造が行われたのは16世紀になってからです。
醤油の発明により、日本料理は完成の域に達し、江戸時代には日本独自の調味料としてヨーロッパにも輸出されています。
最後に
醤油の別名を見てきました。
別名には4つあって、むらさき、(お)したじ、助六、スタテ(簀立)でした。
この中で、「むらさき」は聞いたことのある言葉でしたが、たの3つの別名は初耳でしたね。
したじ=下地で、「味つけのもとの意」になるとのことで、言われてみれば妙に納得してしまいませんか?
助六、スタテ(簀立)は馴染みのない言葉ですが、助六が歌舞伎に繋がるとは思いませんでしたね~。余談の中にある「助六寿司」の方がピンときましたよ。スタテ(簀立)も昔の辞書に出ている言葉なんですな!
終わりに、醤油の発祥を述べましたが、室町時代は足利幕府の時代で、そんな時代に醤油は産まれたんですね。
※気づけば「別名」の記事も増えてきました
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