木へんに土と書いて杜!読み方から意味・名前での使われ方まで総特集
今回の主役は、木へんに土と書く杜です。
この漢字、日本人であるならば、どこかで目にしている漢字だと思います。そして、何か懐かしい感じがしませんか?
今回、木へんの漢字を見ていて、この漢字を見ていて、その懐かしさに、ふっと引き寄せられたんですよ。
その読み方についても知っている方は多いでしょう。そう「もり」ですよね。ですが、これ以外の読み方は何だと聞かれると、???になってしまいませんか。
今回は、この木へんに土と書く杜について、今までと同様、読み方から意味・名前での使われ方まで総特集していきます。
いやいや、奥深いものですな!
さあ、それでは、それらについてご報告しますので、是非、ご一緒に見て行ってください。
木へんに土といえば杜!漢字の読み方や全体像をまずはチェック
最初に、杜の意味と読み方を明確にしましょう。
杜の読み方と意味
杜
画数 :7画
音訓:ト ズ と・ざす と・じる (日本語だけ)もり
意味
①木の名。バラ科ナシ属の落葉高木。樹皮は灰褐色、果実は褐色。中国北部に自生する。マンシュウマメナシ。ホクシマメナシ。別名、棠(トウ) ②「杜若(トジャク)」とは。草の名。ツユクサ科ヤブミョウガ属の多年草。葉は茎の先端に集まる。夏に白い花が咲く。果実は球形。ヤブミョウガ。③「杜衝(トコウ)」とは。草の名。ウマノスズクサ科カンアオイ属の多年草。葉はハート形。ひげ根が多い。薬用にする。別名、土細辛。④と・ざす。と・じる。出入り口をしめて中にこもる。また、そのようにする。⑤周代の国名。また、姓のひとつ。⑥杜甫の略。「李杜(李白と杜甫)」
日本語だけの意味
もり。神社のもり。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
意味
紹介したとおり、「杜」の音読みは「ト」「ズ」、訓読みは「と・ざす と・じる」です。なお、日本語のみ、「もり」と読みます。
これ、Windowsオンラインソフトの定番サイトの「窓の杜」で使われている漢字ですね。また、「杜の都」、「鎮守の杜」(鎮守の社の境内にある森のこと)なんて言葉があります。
意味のうち、最初の3つは植物を指していますね。
- ①「杜」は和名を「ずみ」というらしい
- ②「杜若(トジャク)」と書くと「ヤブミョウガ」を指します
- ③「杜衝(トコウ)」と書くと「おおかんあおい」を指していると思われます
④の意味で、「出入り口をしめて中にこもる。また、そのようにする。」とありますが、「こもる」で調べても、この漢字には行き当たりません!
これに関わる文言があります。
杜口と書いて「トコウ」「くちをとざす」。意味は「くちをふさぐ」、「口をつぐんでいわないこと」です。また、「杜門」なんて言葉もあります。「トモン」「モンをとざす」。意味は「門を閉じる」ですね。
⑤古代中国の周の時代には、「杜」という国家があったということですね。
中国には「杜」という姓があるんです。
⑥中国では、「杜」というと「杜甫」を指すんですね。
書き順
次は、書き順を示しておきます。
木と土の書き順そのままです!土の書き方を間違えなければ問題はないと思います。
もっと詳しく知ろう!杜の漢字としての由来や成り立ち
杜=「土(ト 中身がつまって盛り上がる)」+「木(き)」で構成されています。
土と吐(はく)は同源なんです。ここから、杜は渋くて吐き出したくなる果実のなる木を暗示させます。
古代漢語ではマメナシを杜といったそうです。意味の①にある植物ですね。
マメナシは、その名称のように、豆のように小さな実をつける梨の仲間で、イヌナシとも呼ばれます。
日本の東海地方、日当たりのよい湿地や溜め池などの周辺に分布します。
果実には渋みがあり、美味しいものではないそうです。
「中身が詰まる」というイメージから、塞がって中にこもる(とざす)の意味④を派生しました。
先程あった3つの植物、「ずみ」、「ヤブミョウガ」、「おおかんあおい」の実は、どうなんでしょうか?
「ずみ」=「酸実」と書くようです。酸味が強く、渋味もあるんですが、霜が降りるころになれば多少の甘味が出るので、生食のほかジャムや果実酒に用いることができるそうです。
残念ながら、あとの二つは情報を得られませんでした。
杜ってどんな植物?
杜は3つの植物(「杜:ズミ」、「杜若(トジャク):ヤブミョウガ」、「杜衝(トコウ):オオカンアオイ」)を指していました。
それぞれの花言葉と形態・生態を見ていきましょう。オオカンアオイは見つからないので、カンアオイで代用しています。
花言葉
ズミ
こちらの花言葉は一つです。
- 「追憶」:蕾のころは赤くても、咲くと白色になる花姿から名付けられた
きれいな花言葉ですよね。
ヤブミョウガ
花言葉を2つ持っていますが、どちらも、ちょっと悲しい感じのする花言葉ですね。
- 「謙譲の美徳」:薄暗い林下でひっそりと咲きながらもよく目立つ白い花のやさしい姿から
- 「報われない努力」:ミョウガに似た葉をつけても、花が独特の香りと紅色の花芽を薬味に利用されるミョウガに似ていないことから
報われないのはイヤだなア。
カンアオイ
こちらの花言葉も一つです。
- 「秘められた恋」:カンアオイの花が葉の下に隠れている様子から
素敵な花言葉ですね。
形態・生態
ズミ
落葉広葉樹の小高木から高木で、高さ10メートル (m) ほどになる。枝はよく分枝し、横広がりの樹形になる。短枝や小枝はトゲ状になることが多い。樹皮は灰褐色で、しだいに縦に細く裂けてはがれる。
引用 wiki ズミ
花期は晩春から初夏にかけて(5 – 6月)。花は直径20 – 35 (mm) で、白色または、淡紅色の花を3 – 7個散形状に咲かせる。花弁は5枚で、雄蕊は20個つく。果期は9 – 11月。直径6 – 10 mmの小さな球形の果実をつけ、秋に赤く熟す。落葉後、冬でも果実が残っていることが多い。実は食べることができる。
実については「由来・成り立ち」に書いたとおり、食用になります。
ヤブミョウガ
5月頃から発芽し、夏にかけて草丈 50cm〜 1m 前後に生長、ミョウガに似た長楕円形の葉を互生させ、葉の根元は茎を巻く葉鞘を形成する。葉は茎の先端部分だけに集中する。なお本種の葉は表面がざらつくところ、葉が2列に出ないことなどでミョウガと区別できる。
引用 wiki ヤブミョウガ
8月頃になると茎の先端から花序をまっすぐ上に伸ばし、白い花を咲かせる。花には両性花と雄花があり、前者は白い雌蘂が目立ち、後者は黄色い葯の付いた雄蘂が目立つところで判別できる。
花が終わると初秋にかけて直径 5mm 程度の球状の実を付け、じきに葉を落とす。実は若いうちは緑色で、熟すと濃い青紫色になる。この種子のほか、地下茎を伸ばしても殖え、群生する。
種だけではなく、地下茎を伸ばしてていくなんて、強い植物なんですな!
カンアオイ
小型の多年草。茎は短く、地面を匍匐する。葉は互生、卵形~卵状楕円形で、先端は鋭頭、基部は深い心形、長さ6-10cm、幅4-7cm、濃緑色で白い斑紋があり、まばらに毛が生える。
引用 wiki カンアオイ
花期は秋季(10月 – 11月)で地面に接して咲く。花のように見えるのは花弁ではなく3枚の萼片である。萼片は基部で癒着し萼筒を形成する。萼筒は先がくびれず、直径2cm、長さ1cm程度で、暗紫色、内側に格子状の隆起線がある。萼筒の先端の萼裂片は三角形で萼筒よりも短く、濁った黄色。雄蕊は12本、雌蕊は6本。芳香がある。
余り、目立つ植物ではないようです。
次の章では、「杜」が使われた言葉を見ていきます。
杜のつく言葉
それでは、杜のつく言葉を一覧にしてみます。
杜のつく言葉 | 読み | 意味 |
---|---|---|
杜撰 | ズサン・ズザン | ①《故事》著述に誤りが多いこと。▽宋(ソウ)の杜黙(トモク)のつくった詩は格式にはずれたものが多かったという故事から。②いいかげんで誤りが多いこと。 |
杜漏 | ズロウ | いいかげんで、手抜かりの多いこと。杜撰(ス゛サン)と脱漏(タ゛ツロウ)。 |
杜鵑 | トケン・ホトトギス | (ホトトキ゛ス)ほととぎすの別名。▽蜀(ショク)王の杜宇(トウ)が位をゆずった後にほととぎすに化したといわれることから。 |
杜口 | トコウ・クチヲトザス | 口をふさぐ。口をつぐんでいわないこと。 |
杜氏 | トジ・トウジ | 《日本語での特別な意味》酒をつくる職人。▽戸主(とぬし)の音便か。杜氏は当て字。 |
杜若 | トジャク・カキツバタ | ㊀(トシ゛ャク)つゆくさ科の多年草。やぶみょうが。㊁(カキツハ゛タ)《日本語での特別な意味》あやめ科の多年草。▽「燕子花」とも書く。 |
杜絶 | トゼツ | ⇒「途絶」ふさがり絶える。続いていた物事がとだえること。 |
杜門 | トモン・モンヲトザス | 門を閉じる。《同義語》堵門。 |
かなり、たくさんの言葉が見つかりました。気になる所を見ていきます。
トップの「杜撰」は見かけることがあると思いますが、ネット上で何と読むのか探している人を見かけます。
次のように、「木土撰」や「木へんに土 てへんに選」で何と読むのか探していますね。
木土 と書いて、手偏に「選」の右側を書くやつ、何て読むんですか?
引用 yahoo!知恵袋
次の「杜漏」は、トップの杜撰と同じような意味ですね。
そして、下から二つ目の「杜絶」ですが意味にある「途絶」かと思いました。でも、「途」は「杜」でも代用できるんですよ。これ、広辞苑にも載ってます。
なお、「杜口」と「杜門」は国語辞典に載っていませんでした。
名前に使われる際のポイントは
木へんに土と書く「杜」は、1990年から名前に使えるようになった漢字です。比較的歴史の浅い人名漢字なんですね。
この漢字は、「と」と読ませることが出来るので、「ハルト」「ユウト」「ケント」など止め字に「ト」を使った名前に使えます。
「杜」の字から受ける印象は、「鎮守の杜」から来る「神聖でおごそか」「清らか」などですね。ここから、以下のような願いをこめられます。
- 尊い存在になってほしい
- 唯一無二の特別な存在に
- 清く美しい子に育ってほしい
ずっと言い続けていますが、子供にとっては、珍しい名前なので一発で覚えてもらえたり、そこから話題が進んだりするするメリットがあると思います!
しかし、名前をちゃんと読んでもらえないのはストレスになるかもしれないので、命名時の気持ちや願いなどをきちんと伝えておくなどの十分なフォローを忘れずに実施しましょう!
「杜」を使った名前
「杜」という漢字ですが、名付けでは、「もり」「あり」「と」と読ますことができます。
「もり」には、おおらかで、豊かさを感じ、堂々とした存在感があります。また、「あり」には、自然体で、伸び伸びとした印象を受けます。
これらも意識して、名付けを行いましょう。
私自身が名付け親になる可能性は少ないですが、自分なりに勝手にベスト3を出してしまいました!
男の子の名前60爺ベスト3
我慢強さを持った子になってほしいとの願いを入れた命名です。
- 海杜(かいと)
- 碧杜(あおと)
- 秀杜(ひでもり)
女の子の名前60爺ベスト3
多くの才能に恵まれ、うつしく育ってほしいとの願いを込めました。
- 弥杜季(みずき)
- 優杜音(ゆずね)
- 杜採(とあ)
この「杜」が名前に良くないという噂を聞いたので、その意見を確認し、真っ向から反論を唱えてみたのが次の記事です。是非、ご覧になってください。
次の章では、「杜」の入る名字も確認しておきます。
木へんに土の名字は?
この章では、木へんに土の杜を名字として持っている方を探してみました。
始めは、「杜」さんですね。
【名字】杜
【読み】もり,ゆずりは,と,とう,とじゆ,とん,とい,とぅ
【全国順位】 15,769位
【全国人数】 およそ340人
参考:名字由来net
おお、かなりの人数(約340人)がいます。
しかも、読みが8種類もありますね。「と」一文字の読みを含め「と」で始まる名字が6種類もあります。
うち、杜(ト、トゥ)氏は中国系の名字でわずかだそうです。
「杜」に他の漢字をつけ名字もそこそこありそうですね。
石杜(いしもり)、杜若(かきつばた)、椙杜(すぎのもり)、杜氏(とうじ)、杜沢(とざわ)、杜澤(とざわ)、杜師(とし)、杜多(とだ)、宮杜(みやもり)、村杜(むらこそ)、杜川(もりかわ)、杜腰(もりこし)、杜下(もりした)、杜瀬(もりせ)、杜塚(もりつか)、杜本(もりもと)、杜山(もりやま)、杜芳(もりよし)
「もり」「と」と読ませる苗字が多いですね。
それ以外の読みである3つについて、その順位、人数を見ておきましょう。
読みですが、始めは「杜若」で「かきつばた」で、杜一文字で何と読むのかは解析できません。
2番目、3番目は、それぞれ「とう」と「こそ」と読んでます。
2番目の苗字は読める可能性はありますが、1,3番目は知らないと絶対読めそうもない苗字ですね。
始めの「杜若(かきつばた)」は、「杜のつく言葉」でも出て来ましたね。「かきつばた」はアヤメ科の多年草なんですが、語源は不明です。
これは、yahoo!知恵袋で質問してる人がいました。
済みません、社若・きへんの土の誤りでした。俳号で「杜若」でしたもう一度教えてください申し訳ありません。
引用 yahoo!知恵袋
土を構成に含む漢字
この章では、土を構成に含む漢字を見ておきます。
漢字 | 部首 | 音読み | 訓読み | 主な意味 |
---|---|---|---|---|
去 | む | キョ | さ・る | さる。たちさる。その場所から離れる |
寺 | すんづくり | ジ | てら | てら。寺院。仏道の修行を行う場所 |
至 | いたる | シ | いた・る | いたる。とどく。ゆきわたる。およぶ。ゆきつく。 |
吐 | 口へん | ト | は・く | はく。口から吐き出す。 |
庄 | まだれ | ショウ | いなか | しょう。荘園。また、その名残の土地の名。 |
社 | しめすへん | シャ | やしろ | 土地の神。くにつかみ。 |
杜 | きへん | ズ | もり | もり。木々が密集した場所。また、神社を囲む森林。 |
牡 | うしへん | ボ | おす | お。おす。鳥獣の雄。 |
参考:「土」を構成に含む漢字
土が部首の漢字は除いています。
いろいろな部首がありますね。あまり見たことのないのは、去の「む」、寺は「すんずくり」、至は、そのまんまの「いたる」ですかね。
また、ここに出てきた漢字は簡単で、皆、見たことのある漢字ばかりでよね。
なお、音読み、訓読み共に代表的な読みしか出していません。
杜に似た漢字
最後に、杜に似た漢字を見ておきましょう。
木へんに〇 | 漢字 | 読み | 主な意味 |
---|---|---|---|
木へんに工 | 杠 | コウ | ①{名詞}川に一本の木を渡してつくった橋。②{名詞}旗ざお。 |
木へんに王 | 枉 | オウ、まげる | ①{動詞}まげる(まぐ)。まがる。まっすぐな線や面をゆるやかな曲線をなすようにおしまげる。②道理をおしまげる。 |
木へんに干す | 杆 | カン、たて | {名詞}たて。身を守る武器の一つ。②{名詞}さお。棒。 |
木へんに土2つ | 桂 | ケイ | ①数種の香木の総称。もくせい。②中国の伝説で、月の中にあるという木。転じて、月の別名。 |
杠は、日本語のみ「ゆずりは」と読みます。そうです。木へんに葉の「𣜿」です。「楪」もありましたね。記事は、こちらです。
枉は、「木をへこませて曲げるさま」を表しています。これは、「木へんに王」で記事をアップ済です。
杆は、「棹」という異体字があります。「たて」=「盾」という意味も持っているんですね。
桂は、木へんに土を二つ書く漢字です。
自分で言うのもなんですが、桂が杜と似てるかと言われると?ですかねェ。
この漢字、日本語のみ「かつら」「けい」と読み、前者は、樹木の「カツラ」、後者は、将棋の駒である桂馬を指します。
最後に
木へんに土で杜ですが、この漢字について述べてきました。
最初に、杜の読み方と意味について述べてきました。「もり」と読ませるのは日本固有だと知って少々驚きました。この漢字は「もり」と知っている人が多いと述べましたが、こう読むのは日本だけとは・・・。
他にも、3つの植物を指すなんて、全然思いませんでしたよ~。
それらの植物名も初めて聞くモノばかりで面食らいました。花言葉なんてあるのかいなと半信半疑でしたが、生体・形態を含め、無事に見つかって一安心でした。
漢字には、思いもよらない発見があるので、次の漢字も面白がって調べが出来ればと思います。
※気づけば木へんの記事も増えてきました
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