会うと逢うの違いとは?遭う・合うについてもどう異なるのか徹底調査
60爺は古い人間ですので、今回も昔の歌謡曲にあった「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)の「逢う」という文字に興味を惹かれました。
これ「あう」と読むんですが、「あう」の場合、「会う」が一般的じゃないですか。
そこから、「会う」と「逢う」の違いは何だろうという疑問が出てきました。
更には、「遭遇(そうぐう)」の「遭」を使った「遭う」という表現もありますし、「合致する」の「合う」もあり、これらの異なる点は何だろうと思ったわけなんですな。
それらの違いを辞書と現在、凝り始めている漢字表記を合わせて調べまくったので、ご披露していきます。
違いがよくわかりますんで、是非、お立ち寄りください!
「会う」と「逢う」の違いは?遭う・合うは?
まず、これらの違いは何か一言で表しますね!
「あう」という表現の違いは?
「会う」「逢う」「遭う」「合う」の違いは次の通りです。
表現 | 意味 |
---|---|
会う | こちらが対面する特定の人がいる場合に使用する |
逢う | ・こちら側だけでなく、相手の方もやって来て「あう」場合に使う ・親密な者同士(男女)が会う場合に使う |
遭う | 偶然に好ましくない出来事に出くわす場合に使う |
合う | 考え方・意見・計算などが一致する場合に使う |
ご覧のように、それぞれの表現には使用すべき場面が決まっています。
「会う」「逢う」「遭う」「合う」の違いは上記の通りですが、それぞれの「あう」について、もう少し、細かく見ていきましょう。
会う
主に人と人が顔を合わせるという意味ですね。
ここから派生して、偶然にあう意味や、物事との出会いの意味へも発展しました。
「人と会う時刻」という使い方からわかるように、こちら側に、こちらが対面する特定の人がいる場合に使われます。
逢う
冒頭で言った尾崎紀世彦の「また逢う日まで」の中で使われる「逢う」は、「会う」と少々ニュアンスが異なります。
この「逢う」には、こちら側だけでなく、相手の方もやって来て「あう」ことを意味します。
「両方から進んできて一点で出会う」の意味があり、親密な者同士が会う場合に使われます。
ですから、この漢字を使った言葉「めぐり逢い」「しのび逢い」「逢いびき」等は、主として男女間の「あう」行為に用いられるんですね。
遭う
本来は、「会う」「逢う」とは異なり、偶然にあうの意なんですが、現在は災難にあう意で使用されます。
即ち、「偶然に、好ましくないもの」に「あう」ことを意味します。
ニュアンス的には「でくわす」になりますね。
そのため、「災難に遭う」「土砂降りの雨に遭う」「敵軍の反転攻勢に出遭う」といった使い方になります。
合う
この「合う」は、上記3つとは少し意味合いが違いますね。
考え方や、意見、計算などが合致する場合に使います。
ですから、「気が合う」「服が身体に合う」「話し合う」などのように、「~しあう」場合に使用されます。
他にも、「慰め合う」「計算が合う」などの言葉があります。
英語で言うと、上記3つの「あう」はmeetで、この「合う」はfitですね。
次に、それぞれの漢字表記が、どんな意味を持つのか見ていきましょう。
参考:明鏡国語辞典・漢字の使い方ものしり辞典
「会う」「逢う」「遭う」「合う」の漢字表記について
「会う」「逢う」「遭う」「合う」の漢字表記について着目して、その内容を見てみましょう。
会
まず、「会」について、読み方と意味を見てみましょう
「会」の読み方と意味
会
画数 :6画
音訓:カイ エ あう
意味
①あ・う。出会う。あつまって対面する。②あ・う。その物事に出くわす。③あつ・まる。ひと所にまとまる。また、多くのものを寄せあつめる。④あつまり。また、出会い。⑤巡りあわせ。また、物事の要点。⑥思いあたる。そうかと悟る。気持ちにかなう。⑦人々のあつまる所。⑧姓のひとつ。
日本語だけの意味
方程式の未知数。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
意味がたくさんありますが、「会う」に関わるのは①「出会う。あつまって対面する。」と②「その物事に出くわす。」ですね。
まずは、語源を見ておきましょう。
「多くのものが一か所に集まる」というコアイメージがある。二つ以上のものが一か所に集まるので、二人(または二人以上)の人が一点で会う、つまり出会う意味を実現。
引用 上級漢和辞典 漢字源 学研
「会」の意味が、そのままストレートにでています。
次は、字源です。
會=「△+曾の略体」。△は三方から人が集まることを示す象徴的符号。曾は段々と重なった蒸し器の形態的特徴から「重なって増える」というイメージがある。曾は多くの物や人が一点(一か所)に寄って来て、重なるように数が増える状況を示した図形。
引用 上級漢和辞典 漢字源 学研
こちらも明確ですね。「会う」のイメージに合っていると思います。
逢
「逢」について、読み方と意味を見てみましょう
「逢」の読み方と意味
逢
画数 :11画
音訓:ホウ あう
意味
①あ・う。両方から近づいて一点で出あう。転じて、ばったりと思いがけなく出あう。②相手に調子をあわせる。おもねる。③両方からつまみよせてぬいあわせる。④姓の一つ。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
但し、この漢字は常用漢字ではありません!
常用漢字とは、「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」として、内閣告示「常用漢字表」で示された現代日本における日本語の漢字である。現行の常用漢字表は、2010年(平成22年)11月30日に平成22年内閣告示第2号として告示され、2,136字、4,388音訓(2,352音、2,036訓)から成る(一覧)。
引用 wiki 常用漢字
意味が4つありますが、「逢う」に関わるのは①「両方から近づいて一点で出あう。」ですね。
ここから、先程の「親しい人との対面や貴重なものとの出会いの意」につながるのでしょう。
この漢字には、「ばったりと思いがけなく出あう。」の意もあるんですな。この意を含んだこんな熟語があるんですよ!
- 逢遇(ほうぐう)、逢会(ほうかい):思いがけなく出あう。
- 逢著(ほうちゃく)、逢着(ほうちゃく):ふと出くわす。
語源はなかったので、字源を見ておきましょう。
「逢」=「夆(ホウ:頂点で出会う)+辵(行く)」。↗の方向から歩いてきた人と↖の方向から歩いてきた人が^の形の先端(頂点)で出会う情景。
引用 上級漢和辞典 漢字源 学研
これ、まさに、上記の意味にあった「両方から近づいて一点で出あう」ことを言っておるんですね。
遭
「遭」について、読み方と意味を見てみましょう。
「遭」の読み方と意味
遭
画数 :14画
音訓:ソウ あう
意味
①あ・う。ひょっこりと出あう。②よくない目にあう。③回数を数えることば。たび。④取り囲む。また、ぐるりと回る。⑤姓の一つ。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
意味の2番目に、「よくない目にあう」と出ています。同じ、「あう」でも、よくないことに「あう」際に、この漢字を用いるんですね。
「駅でばったりゆうじんとあった」では、「思わぬことに出くわす」という意で「遭」を当てることもあるが、「友人と顔を合わせる」という視点から捉えて「会う」を当てるのが一般的である。
語源はなかったので、字源を見ておきましょう。
「遭」=「曹(ソウ:居並ぶ)+辵(行く)」。曹は特徴のない似たもの同士が並ぶことから、仕事をさせるために寄せ集めたもの(召使い)のこと。「雑然と並ぶ」「ぞんざいに寄せ集める」というイメージがある。寄せ集めた側に視点を置くと、予定した人ではなく、誰でもよい人を集めることになる。遭は予定していない人に出会って居並ぶ情景。
引用 上級漢和辞典 漢字源 学研
この字源のイメージですが、すごく嫌な感じですね。
誰でもいいから集められたんじゃ、モチベーションも上がらんよ~!!
合
「合」について、読み方と意味を見てみましょう。
「合」の読み方と意味
合
画数 :14画
音訓:ゴウ ガッ あう
意味
①あ・う。ぴたりとあわさる。ぴたりとあわせる。また、ふたをする。②ぴたりと当てはまる。当てはめる。③一つにあわせる。あわせて一つにする。④意見や気持ちが同じになる。⑤あつまって一緒になる。⑥全体。全体の。⑦「合券」とは約束手形のこと。⑧試合や合戦の度数を示す単位。⑨まさ・に・・・(す)べ・し⑩公文書でこうしなければならないとの意を表すことば。⑪ふたをぴたりとあわせる小箱
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
何と、11もの意味を持っています。今回の調査に関わる部分は①~⑤まででしょうかね。
まずは、語源を見てみましょう。
合は盍(コウ)(ふた)・盒(コウ)(蓋のある容器)と同源。A(蓋)をB(容器)にかぶせるとぴったりふさがる。この状態・形態を盍・盒・蓋・闔(閉じ合わせる)などで表わす。これらと同源の合は二つのものが重なって隙間なくあうこと。ここから「いくつかのものが集まる」というイメージにも展開。
引用 上級漢和辞典 漢字源 学研
元々は、蓋と容器がピッタリ合わさる所から始まっているんですな。ここから、展開していったということです。
それでは、字源を確認します。
「合」=「△(ふた)+口(穴・入れ物)」。穴あるいは容器に蓋をかぶせて隙間なくふさぐ情景。
引用 上級漢和辞典 漢字源 学研
蓋と入れ物がピッタリあわさることから、「合」(あう)ですか。納得!納得!
最後に
今回は、「会う」と「逢う」の違いを見てきました。ついでに、「遭う」と「合う」についても、それが異なる所がどこなのか見てきました。
違いは明白でしたね~。「逢う」は「会う」より「親しい人との対面や貴重なものとの出会いの意」で使われるんですな!但し、「逢」は常用漢字ではないので、それなりの場所では使用しない方が好ましい場合があることを頭に入れておきましょう。
そして、漢字表記を調べてみたところ、その語源、字源から、それなりに裏を取ることが出来たと思います。
同じ発音でも、実際はそれぞれの意味を持ち、それにふさわしい漢字が付いていることを改めて確認できましたね!
日本語はまだまだ面白いので勉強していきまっせ。
※気づけば「違い」の記事も増えてきました
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