木へんに門と書いて椚!読み方から意味・名前での使われ方まで総特集
10年ほど前になりますか?日光の陽明門が「平成の大改修」を終えて公開されていましたよね。
私が、陽明門を見たのは、はるか昔に小学校の修学旅行で行った時でした。
陽明門は「門」とありますから、入り口にあたる訳ですね。
そこで、この門と、60爺がシリーズ化している「木へんの漢字」を組み合わせたら、何かの漢字になるのではないかと思ったんです。
そうしたら、ちゃんと、木へんに門の椚が漢字として存在していました。
そうとなれば、木へんに門の「榊」、この漢字について、その読み方や細かい意味及びその書き順、特徴、さらには名前を付ける場合のポイントまで幅広く総特集せざるを得ませんね。
どうぞ、ご一緒に見てやってくださいませ~。
木へんに門といえば椚!漢字の読み方や全体像をまずはチェック
最初に、椚の意味と読み方を明確にしましょう。
樺の読み方と意味
椚
画数 :12画
音訓:- くぬぎ
日本語だけの意味
木の名。ブナ科コナラ属の落葉高木。材は薪炭用。クヌギ。その実は、どんぐり。
参考:上級漢和辞典 漢字源
上記の通り、「椚」の音読みはないんです。訓読みは「くぬぎ」一択です。
意味もひとつしかありません。
しかも、日本語だけの意味がたった一つです!以前の記事の「木へんに華」「木へんに神」に続き、意味が一つしかない漢字がまたもや登場しました。
次は、「椚」の書き順をみてみましょう。
木と門の書き順そのままです。皆さん、門の書き方は大丈夫ですね。
もっと詳しく知ろう!椚の漢字としての由来や成り立ち
それでは、椚の漢字としての由来と成り立ちをみていきましょう。
椚の由来
和名クヌギの語源は、複数の説があります。
- 昔から薪炭木として重用されて、国木(くにき)または食之木(くのき)とよばれ転訛という説
- 葉がクリの葉に似ていて栗似木(くりにき)が転訛してクヌギになったともいわれる
- 地名で久木とかいてクノキと読むことが多く、クは火に焚く木、薪を意味し、その薪がクヌギに限られるようになり、クヌギに転じた
- クノキのクは果実を表し「果実の木」の意味のクノキ(果の木)からクヌギに転じた
この食之木(くのき)は、どんぐりが食べられることから来たといっている場合もあるようです。
「くぬぎ」を広辞苑で引いてみます。
くぬぎ【櫟・椚・橡・櫪】
引用 広辞苑
ブナ科の落葉高木。山野に自生し、特に武蔵野の雑木林の主要樹種。高さ約10メートル。樹皮は暗褐色で深く縦裂。葉は有柄互生、クリの葉に似るが縁の刺とげが緑色にならない。雌雄同株。初夏、黄褐色の花を穂状につける。果実は「おかめどんぐり」ともいい、大きく球形で、半分が殻斗かくとに包まれる。材は薪炭材としては最高の品質。樹皮や葉は染料・薬用に供する。古名、つるばみ。
「くぬぎ」の漢字表記には、椚の他に、櫟・橡・櫪が出ていますね。
薪炭としては最高品質とは知りませんでした。
椚の漢字の成り立ち
椚は、「木」+「門」で成り立っています。
- 「木」:木が立っている様子を表しており、「樹木」という意味です。
- 「門」:家の内と外を区別する意です。
クヌギは、古くは「くのき」ともいい、上述の「門」の意のように「区の木」に当てた日本製の漢字即ち国字※です。
※国字
引用 wiki 国字
和字・倭字・皇朝造字・和製漢字などとも呼ばれる。会意に倣って作られることが多い。峠(とうげ)・榊(さかき)・畑/畠(はたけ)・辻(つじ)など古く作られたものと、西洋文明の影響で近代に作られた膵(スイ)・腺(セン)・腟 (チツ、本来はシツ)・瓩(キログラム)・粁(キロメートル)・竓(ミリリットル)などがある。
参考:上級漢和辞典 漢字源
国字は、以前、木へんに神、木へんに花の記事でも出てきましたね~。
椚ってどんな植物?
ここでは、椚について、どんな植物なのか述べていきます。その花言葉と、形態・生態を見ていきましょう。
花言葉
まずは花言葉ですね。
- 母なる木:多くの昆虫が樹液を吸いに集まり、どんぐりの実が多くの動物の食料になり、さらには、木材が炭や薪などに利用されてきたことから
- 穏やかさ:クヌギのどんぐりの実が大きくて丸みがあることから
- 蓄え:どんぐりの実は食用のため、冬の蓄えにしていたことから
どんぐりのみが大活躍で、それぞれの花言葉の元になっていることがわかりますね。
形態・生態
椚の形態、生態は次の通りです。
樹高は15(m)ほどになる。
引用 wiki クヌギ
葉は互生し、7 – 15(cm) の長楕円状の披針形で、葉の左右は不整形で、葉縁には2ミリメートル (mm) ほどある針状の鋸歯が並ぶ。
花期は春から晩春にかけて(4 – 5月ごろ)で、雌雄別の風媒花である。
果期は翌年の秋。果実は堅果で、他のブナ科の樹木の実とともにドングリとよばれ親しまれている。
この木も15mほどなので、大きな木と言って良いでしょう。
クヌギは、昆虫が集まる木で、特に樹液が染み出ることで、カブトムシやクワガタが寄って来ます。
クヌギの木を蹴とばすとカブトムシやクワガタがばらばらと落ちてきて、簡単に捕まえることが出来たなんて話を聞いたことがあります。
居間となっては、遠い昔のお話ですが・・・。
ただ、注意しなきゃいけないのが、樹液に釣られて、スズメバチも寄ってくるんですよね。
そこが要注意です!
名前に使われる際のポイントは
「椚」という漢字は、名前として使用するには、ちょっと使いづらいんでしょうか、この漢字を使った名前を捜しにいってもヒットしないんですよ!
たしかに、ちょっと堅い漢字もしますし、名前には向かない漢字かもしれません。
そこで、方針を変更して、「椚」の入った苗字を見てみましょう!
最初に、そのものずばりの「椚」という苗字です。何と、これがあるんですよ!
【名字】椚
【読み】くぬぎ
【全国順位】 9,177位
【全国人数】 およそ830人
参考資料 名字由来net
この苗字も、珍しい苗字だと思うんですが、全国で、830人程「椚」さんがおられる(「櫛」さんの80人の10倍)んですね。
都道府県別に見てみましょう。
都道府県 | 人数 |
---|---|
東京都 | およそ350人 |
山梨県 | およそ180人 |
神奈川県 | およそ110人 |
埼玉県 | およそ60人 |
千葉県 | およそ30人 |
参考資料 名字由来net
椚に他の文字を付けた苗字はその他にもたくさんあります。
椚田(くぬぎだ、くにぎた)、椚木(くぬぎ)、椚原(くぬぎはら)、三椚(みつくぬぎ、みくぬぎ)、小椚(こくぬぎ、おくぬぎ、こぬき)、椚垣(くぬぎがき)、椚瀬(くぬせ、くぬぎせ)、椚林(くぬぎばやし)、椚谷(くぬぎたに)、上椚田(かみくぬぎた)、並椚(なこのき)、椚々戸(くくと)・・・ まだまだあるようです。
引用 樋がつく苗字一覧
やはり、「くぬぎ」と読ませる苗字が多いですね。
その中で、変わった読み方をさせているモノは、次の通りです。
- 椚田(・・・、くにぎた)では、「くにぎ」
- 小椚(・・・、・・・、こぬき)では、「ぬき」
- 椚瀬(くぬせ、・・・)では、「くぬ」
- 並椚(なこのき)では、「このき」
- 椚々戸(くくと)では、「く」
次の章は、椚が国字だと述べた際、「木へんに神」「木へんに花」の記事でも出てきたと述べました!それらの記事について簡単に述べておきます。
ところで木へんに神の榊、木へんに花の椛は?
ここで言った木へんに神の榊、木へんに花の椛で記事を書いているんですよ。
木へんに神で榊
木へんに神で榊の記事の中で国字が出てきた部分を抜き出してみますね。「榊の漢字の成り立ち」の中でこう言っています。
神事の供え物をする木を寓意したものであり、日本語の「さかき」を表記するために創作された国字※です。
引用 木へんに神と書いて榊!意味・読み方から名前での使われ方まで総特集
上述しましたが、榊の意味もひとつしかありません。しかも、椚と同様に、日本語だけの意味がたった一つです!「榊」の音読みはないんです。訓読みは「さかき」一択です。
詳細は、次の記事を参照ください。
木へんに花で椛
この漢字も国字なんですよ。この記事の中で国字の説明をしてます。
日本語の「もみじ」を表記した国字(中国以外の国で作られた、独自の漢字体の文字のこと※)です。
引用 木へんに花と書いて椛!意味・読み方から名前での使われ方まで総特集
「もみじ」の由来は昔の文字「モミツ」から来ているようです。
もともと、モミツという四段動詞があり、紅葉(黄葉)するの意であった。その連用形で名詞化したものがモミチであり、第三音節は清音であったが、平安時代に入ってモミヂと濁音化した。
引用 暮らしのことば新語源辞典
「椛」は女の子の名前にいいですね。その辺りは、次の記事をご覧になってください。
ここでは、国字である「榊」「椛」について紹介しました。
最後に
木へんに門の椚ついて述べてきました。
この樹木には、昆虫が良く集まり、子供に人気の甲虫であるカブトムシやクワガタが獲れるので、椚の木は人気者でしたね。
現在では、中々、昆虫採集もできないうえに、虫嫌いな子供も増え、時代が変わったと感じます。
この漢字の木へんに門と書くんですが、その由来や成り立ちも調べましたが、この漢字も数少ない国字でした。意外と国字によく当たりますね。
花言葉もありましたが、名づけでは敬遠されていたこともわかりましたね。
今回の漢字は、言われれば分かったんですが、国字であることや、花言葉があるなど勉強になりましたね。
※気づけば木へんの記事も増えてきました
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