木へんに西と書いて栖!意味・読み方から名前での使われ方まで総特集
唐突に思い出したんですが、昔、知り合いに「栗栖」という人がいました。
そして、2文字目の「栖」なんですが、「木へん」に(東西南北の)西がついた漢字なんですよね。これで、木へんに東西南北のうち、東西南ときたので、あと、北をそろえれば方角シリーズが完成します!
木へんに西の栖は植物なんでしょうか?それとも、木へんに東と一緒で植物以外なんでしょうか。
いつものように、漢字の読み方や全体像をチェックして、由来や成り立ち及び名前での使われ方を見ていきますので、乞うご期待を。
それでは、ご一緒に見にいきましょう。
木へんに西といえば栖!漢字の読み方や全体像をまずはチェック
最初に、栖の意味と読み方を明確にしましょう。
栖の読み方と意味
栖
画数 :10画
音訓:セイ す す・む(日本語だけ)名付:す すみ
意味
①す。ざる状をした、鳥のすみか。=棲。②す・む。鳥が、巣で憩うように、動物が自分のすみかにする。③「栖栖(セイセイ)」とは、息をはずませて忙しそうなさま。せかせか。
日本語だけの意味・用法
(書きかえ)生に書き換えることがある。「栖息」⇒「生息」
(注意)「ねぐらとして住む」の意味では「棲」とも書く。また、「すみか」は「住処」とも書く。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
栖には3つの意味があります。
- ①この「す」は「巣」のことですね。漢字「巣」では、栖が類語として紹介されていますね。栖は、ここにあるように「ざる状の」モノです。
- ②こちらは、動詞で「す・む」です。
- ③こんな言葉、中国の言葉だろうと広辞苑を引いたら、ちゃんと日本語として存在してました。
せい‐せい【棲棲・栖栖】
引用 広辞苑
いそがしいさま。心がおちつかないさま。
3つ意がありましたが、この漢字も植物に関わるモノはありませんね!
日本語だけの意味・用法として、違う漢字にできる旨、2つの指摘がります。
また、名付として、「す」「すみ」の2つが出ています。
それでは、書き順をみてみましょう。
木を書いてから西を書きます。間違える要素はないですよね。
次に、栖の由来や成り立ちを見ていきます。
もっと詳しく知ろう!栖の漢字としての由来や成り立ち
栖の漢字としての成り立ちを確認しましょう。
栖=「西(セイ)分散する+木(き)」(形声)。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
形声※
漢字の六書(リクショ)の一つ。発音を表す文字と、意味を表す文字とを組み合わせて、新しい文字を作る方法。
西はざるの形で、「隙間があって分散する」というイメージがあります。
ここから、「栖」は木の枝などを編んで作った、ざるのように隙間のある鳥の巣を表します。
これに対し、巣は「木の上に乗っている鳥の『す』を示す図形」だそうです。
栖のつく言葉
栖は植物ではないので、ここでは、栖のつく熟語を紹介します。
熟語 | 読み | 意味 |
---|---|---|
栖(住処・住家) | すみか | (「か」は、場所、ところの意。「住家」は当て字)住むところ。すまい。住居。現代では特に、好ましくないものの住んでいる所をいう場合が多い。 |
栖霞楼 | せいかろう | 平安京大内裏の豊楽院ぶらくいん内二楼の一つ。西の霽景せいけい楼と相対する。 |
栖住 | せいじゅう | 住むこと。 |
栖栖 | せいせい | いそがしいさま。心がおちつかないさま。 |
栖息 | せいそく | 人間や動物が生きて住んでいること。生息。「―地」 |
栖遅 | せいち | (「遅」はたたずむ意)①[詩経陳風、衡門]ゆったりと心静かに住むこと。ゆっくりと休息すること。②官に仕えず、世を避けて田野に隠遁すること。また、そのすまい。閑居。太平記35「いかなる人の―にてかあるらん」 |
栖鳳楼 | せいほうろう | 平安京大内裏の朝堂院四楼の一つ。応天門外の東の楼。西の翔鸞楼しょうらんろうに相対する。方4間。瓦葺で屋背に鴟尾しびがある。 |
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研、大辞林、日本国語大辞典
またまた、見たことのない熟語が並びました。
最初の「すみか」ですが、栖を当てることがあると初めて知りました。
栖って、冒頭で言いましたが、知り合いに「栗栖」さんがいましたが、他で余り見ない漢字だと思います。
栖霞楼や栖鳳楼は知る人ぞ知る建物ではないでしょうか?
栖栖は、上述しましたが、ちゃんとした日本語です!
次は、名前に使われる際のポイントを見にいきましょう~。
名前に使われる際のポイントは
女の子の名付け
木へんに西と書く「栖」は、人名として使用できる漢字です!名付けとして、「す」「すみ」が使えることは上述しています。
「栖」では、どんな思いが込められるか考えてみました。住処を連想できることから、次の思いを込めます。
- まわりの人を落ち着かせることができる稀有な存在に
- 一緒にいて安心できる優しさを持った人に
そして、この漢字は、どちらかというと、女の子に付けやすい名前かと思います。そこで、今回は、女の子の名前ベスト3を挙げて終わります。
女の子の名前60爺ベスト3
- 亜璃栖(ありす)
- 美栖(みすみ)
- 香栖(かすみ)
読みは、1が「す」です。残りの2つは「すみ」にしました。
栖のつく名字
次に、「栖」の入った苗字を見てみましょう!
まずは、そのものずばりの「栖」という苗字ですが、この苗字はありませんでした。
そこで、「吉栖」さんを調べてみることにしました。
【名字】吉栖
【読み】よしずみ、よしす
【全国順位】 17,066位
【全国人数】 およそ300人
参考資料 吉栖さんの名字の由来|名字由来net
全国で、およそ300人です。今まで見てきた苗字に比べれば多いですが、まあ、珍しい名字ではないでしょうか。都道府県別に見てみましょう。
都道府県 | 人数 |
---|---|
兵庫県 | およそ160人 |
大阪府 | およそ50人 |
東京都 | およそ20人 |
岡山県 | およそ20人 |
千葉県 | およそ10人 |
参考資料 名字由来net
この5都府県で260人、全国の8割強を占めています。
栖に他の文字を付けた苗字はその他にもたくさんあります。
有栖(ありす)、五十栖(いそずみ)、嵓栖(いわす)、小栗栖(おぐりす)、重栖(おもす,えすみ)、久栖(くすみ)、国栖(くにす)、栗栖(くりす,くるす)、栖井(すい)、栖田(すだ)、栖原(すはら)、栖間(すま)、鳥栖(とす,とりす)、飛栖(とびす)、栖館(ならだて)、保栖(ほずみ)、三栖(みす)、安栖(やすずみ)・・・・まだまだあるようです。
引用 「栖」を含む名字一覧
栖の読みですが、見ていくとわかるんですが、「す」「すみ」がほとんどで、すみが濁った「ずみ」がいくつかあるだけです。
次の章では、「栖」と同様に、木へんなのに植物を指さない漢字を見てみます。
木へんの漢字なのに植物を指さない漢字たち
栖は、木へんの漢字ですが植物を指すわけではないんですね~。そのため、「どんな植物なのか」という項は、お休みとなりました。
今までにも、木へんなのに植物を指さない漢字達がいました。「梮」「櫛」「樋」「杣」などですね。
梮
3つに意味を持っています。
- 食事をするときの膳
- かんじき
- 土をかついで運ぶ道具
現在を生きる人には無縁の漢字だと思います。windows11で環境依存文字(=機種依存文字)ですし…。この漢字についての詳細は、次の記事を見てください。
機種依存文字とは、電子的に扱う文字データのうち、利用するパソコンやスマートフォン等の環境によって文字化けや全く表示できなくなるものをいいます。
引用 機種依存文字について
櫛
次は「櫛」です。こちらも3つ意味ありました。
- 髪の毛をすきとかす道具。
- くしで髪の毛をすく。
- くしの歯のように隙間なく並んださま。
おしゃれな方は、肌身離さず持ってらっしゃるであろう「くし」ですね。
木へんに節の「櫛」についての記事は以下をご覧になってください。
樋
この漢字は「とい」と読みます。雨樋なんかの「樋」ですね。この漢字は和製漢字でした。
和製漢字(わせいかんじ)とは、中国から伝来した漢字ではなく、日本で作られた漢字体の文字を指し、国字、和字、倭字、皇朝造字などとも呼ばれる。 また、日本製の漢字を国字という言葉で表すようになったのは、江戸期に編纂された研究書『同文通考』および『国字考』で用いられてからである。
引用 wiki 和製漢字
本記事と同じような構成で、情報をお知らせしていますよ。
杣
最後は「杣」です。次の意味を持っています。
- 材木を切り出す山と
- 山林から切り出した材木
- その材木を切り出す人
この漢字、画数で言えば簡単な漢字ですが、山の木に関することを表す日本製の漢字。即ち国字だったんですね。
昔、使われていた漢字なので、現在では余り、馴染みがないと思いますよ。
上記記事で、この漢字について詳しく紹介しているので、是非ご覧ください。
最後に
木へんに西で栖ですが、この漢字について、それぞれ調べてみました。
最初に、栖の読み方と意味について述べてきました。鳥の巣を表すとは思っても見ませんでした。しかも、栖は巣とちょっと違う意味合いを持っていることが、漢字の成り立ちを見ることでわかりましたね。
やはり、漢字は、それぞれ意味を持っていて見ていて面白いですな。
植物ではないので熟語を挙げて見たんですが、案の定、あまり見たことのない言葉がずらずらと上がりましたね。しかも、あちらの言葉かと思ったら、ちゃんとした日本語だったことが分かるなど、知識の少なさを思い知らされました。
さて、次の漢字は何にしましょうかね。
この「栖」を検索するのに、「木へんに酒」でやる人もいるとかいないとか……。
⇒ 木へんに酒
※気づけば木へんの記事も増えてきました
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