榊という漢字と木へんに神の違いをじっくり掘り下げてみた!
「榊」って漢字を知っていますか?
木へんに神と書く漢字表記です。実は、60爺も、「木へんに神」というタイトルで記事を書いているんです。
でもですね、この「榊」にある神の表記なんですが、よく見ると、「神」じゃないんですよ。知っていましたか?
今回は、この点について、何が違うのか、何でそうなったのか、似たような状況はないのかなどを、少し、リキを入れて追及してみます。
その結果をご覧に入れますので、ご一緒に見ていただければと…。
榊は木へんに神と似てる漢字だけど違いがある
結論から言いましょう!
榊は木へんに神だが何か違う
榊の木へんの脇にある表記は、「示]+「申」なんです!そして、この漢字は、「神」の旧字なんですね。
要するに、過去に使われていて、今は使われていないだけで、神と同じ意味を示す漢字です。ここに木へんがついても旧字かそうではないかが最大の違いだと言えます。
ただし、面白いモノで「榊」では今でも旧字が使用されているんです。
字源を見ておきます。
「神(旧字)」=「申(稲妻・長く伸びる)+示(神)」。申は稲妻の形。稲光が長く伸び、万物が震える雷を、予測しがたい恐ろしいものと考え、自然界における霊的存在を神(旧字)という。一方、申は「長く伸びる」というコアイメージを表す記号で、神(旧字)とは万物を伸長させる力をもつ超自然の存在でもある。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
確認してみましょう。榊を大きく表示してみます!
榊
これなら、よくわかりますね。上記の通り、「木」+「示」+「申」であることが確認できました!
どうして榊は今でも使われているの?
木へんに神の「榊󠄀」という漢字は存在しないわけではありません。
現在でも、苗字で、木へんに神の「榊󠄀」が用いられている例がありますね。⇒「榊原の榊の字体」
なぜ、「示」と「ネ」があるのかというと、楷書では示偏の「示」を崩して「礻」の形とするからだそうです。
今も、「示」と「ネ」で混乱が起きる場合もあるようですが、「ネ」も許容字体とされているので間違いとするものではないそうです。
ややこしいですなあ。
何故「示」なのか?
何故、「ネ」を使わずに「示」なのでしょうか?その答えがこちらです。
「示]は、神意をしめす祭壇の形、これを部首として、「示]を含む漢字や、神・祭礼などに関する漢字が集められる。偏になるときは、特に「しめすへん」と呼ぶ。
常用漢字・人名漢字の偏は「ネ」の形で四画となる。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
ご覧の通り、「示」は神意を示す祭壇の形なんだそうです。
そして、「神・祭礼などに関する漢字が集められる」とありますね。
確かに、「祓」(はらう)「祠」(ほこら)「禰」(禰宜ねぎ)など、神様に関わる文字がありますね。
示すへんの漢字を集めてみた
ここでは、上で述べた「神・祭礼などに関する漢字が集められる」漢字をもっともっと出してみます。
漢字 | 読み | 意味 |
---|---|---|
祀 | まつる | 「巳(始まり・始める)」+「示(祭壇)」。巳は胎児の形。胎児は物事の始まりの象徴となる。祀は催事を始まることを示す。 |
祠 | ほこら | 「司(狭い穴からのぞく)」+「示(まつり)」。祭壇を作って神の様子をうかがうこと。 |
祝(旧字) | いわう | 「兄(ひざまずく人)」+「示(祭壇)」。神主が祝詞を上げる場面を想定した図形。 |
祓 | はらう | 「犮(はねる・はらいのける)+「示(神)」。神に祈って、災いを祓い除く。 |
禁 | きんずる | 「林(並べた木)+示(神)」。林は木を並べて、通行を遮る障害物を示す。禁は木や物を並べて、境界をもうけ、中に入れないようにした神聖な場所を示す。 |
禊 | みそぎ | 「契(けずりとる・けがれをとる)+示(祭り)」。川の水で、からだを清め、けがれを除く。 |
福(旧字) | ふく | 「畐(丸くふくれる)+示(神)」。ここから、神の恩恵が豊かに満ちる状況を示す。 |
禰 | ね | 「爾(ジ・近い)」+「示(祭壇)」。身近な親(特に父)を祭る所を示す。 |
禄(旧字) | ろく | 「彔(ロク・点々と落ちる+示(神)」。天や神が民に垂れて下すもの、さいわい、恵みを表す。ここから、お上から下される扶持(俸給)の意味を派生。 |
※旧字となっているのは、「ネ」が「示」の文字を表す。
なるべく、皆さんが見たことがある漢字を集めたつもりです。
「祝」や「禁」や「福」及び「禄」が神さまと接点があったんだなんて、初めて知りましたよ~!
他の部首+神の漢字
木へんに神で榊でしたが、部首である「木へん」を田の部首に変えると、どんな漢字になるのか調べてみましょう。
漢字表記 | 読み | 意味 | 国字等備考 |
---|---|---|---|
䗝 | サン | 䗝は蚕の異体字と思われます。 | 環境依存文字 |
䨩 | レイ、リョウ、たま、たましい、よ(い) | たま。たましい。死者のたましい。神秘な力。不思議な力。みこ。かんなぎ。よい。かしこい。すぐれている。 | 霊の異体字 |
鰰 | はたはた | はたはた。ハタハタ科の海水魚。かみなりうおとも。 | 国字 |
環境依存文字(=機種依存文字)とは、イコール機種依存文字なんです。
機種依存文字とは、電子的に扱う文字データのうち、利用するパソコンやスマートフォン等の環境によって文字化けや全く表示できなくなるものをいいます。
引用 機種依存文字について
3種類の漢字しか見つかりませんでした。
しかも、「䗝」は、Jis水準も不明な漢字で、読みはわかったものの、「漢字源」にも載っていないんです。「䗝は蚕の異体字と思われます。」という情報があったんですが、「漢字源」には、蚕の異体字に䗝は載っていませんでした。
サイトを検索していたら、武蔵御嶽神社に「䗝養(こがい)社」というお社があるようです。
䗝養(こがい)社。神の虫を養う。祭神は保食神。
引用 青梅市(2)武蔵御嶽神社
「䨩」は、備考に書いておきましたが、「霊」の異体字であることがわかりました。
最後の魚へんに神の「鰰」は、国字即ち日本で作られた漢字でしたね。この漢字は、「魚+神(雷の神・はたたく雷」ということで、雷のはげしく鳴るとき、海辺に集まる魚(参考:漢字源)を表しています。
なお、木へんに神の榊については、次の記事で、榊の成り立ちや意味など詳細を語っていますので、是非、ご覧になってくださいね。
最後に
榊の漢字表記は木へんに神なんですが、「榊」をよく見ると、「神」という文字が「ネ」+「申」ではなく、「示」+「申」となっていることから、この記事を起こしました。
「示」+「申」で構成される漢字は「神」の旧字だったんですね。
そこから、「示」は何を示しているのかを調べたところ、これが「神意」を示す「祭壇」を指していることがわかりました。
そこから、「示」へんの漢字を集めて、その意味をしることで、これらの漢字が神さまに関係していることを見てきました。
漢字というのは、一語一語に意味があって、調べていくと次々と疑問が出てきて楽しいですね。
※気づけば「違い」の記事も増えてきました
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