「とどのつまり」の意味と4つの語源を詳しく解説・例文もバッチリ紹介
先日、知人と話していた時に、「とどのつまり○○だ!」みたいな言い方をしていました。知人は、やっていた案件がうまく運ばなかったことを嘆いた後に、この言葉を使って結論を述べたんです。
この「とどのつまり」って表現を皆さんは知っていますか。ネットを見ていると、この表現を使う方は年配の、しかも、おじさんが使う確率が多いような気がします。
今回の話でもそうでしたが、この表現は、あまり、良い意味では用いられないような気がしていますが…。
まあ、そんなこともあり、今回は、この「とどのつまり」について、意味と語源を調べて、使い方やライフワークにしている漢字表記があるのかも見ていきたいと思います。
是非、ご同道して、中身を覗いていただけるよう、お願い申し上げまする!
とどのつまりの意味
初めに、とどのつまりの意味を見ていただきます。
とどのつまりの意味
途中にいろいろあったが、つまるところ。結局。とど。
引用 広辞苑
▷多く、結果が思わしくない場合に使う。
つまり、いろいろなことを考えたりやってみたりしたが、最終的には思わしい結果とならなかった場合に使用する言葉です。
「とどのつまり」を略して「とど」ともいうんですな!これは、初耳ですよ~。
冒頭で言ったように、あまり、良い意味では用いられないんだ。
この世の中、手立てを尽くしても、うまくいくとは限らんですから…。そんな時に、この表現を使えるんですね。
まあ、余り、使用したくない表現ですなア^^;
とどのつまりの語源
この「とどのつまり」という表現、ちょっと変わっていますが、その語源は何なのでしょうか?
とどのつまりの語源
下記に示すように、いくつか説があります。
- 漢語にある到頭(とうとう)という熟語(その訛り読みがトド)に「つまり」がついてできた
- トドは魚のボラのこと。この魚は出世魚で成長するにつれ名前が変わるが最後にトドになる。いろいろな名で呼ばれても、最後はトドになるからトドの詰まりで、そこから、「結局のところ」という意味になった
- 「止(トド)め」や「止(トド)まり」の「とど」に「詰まり」がついてできた
- 「とどのつまり」の「と」が「十」に由来する
それぞれの語源について詳しく見ていきましょう。
漢語の到頭から
この到頭という言葉は「トウトウ」と読み、これが「とど」に転化しました。この言葉の意味が、「結局、結局のところ、最終的に、結論として」です。
次に、「つまり」ですが「都満戻」と書き、「完全に到達した」の意味を持ちます。それぞれの文字を個別に見てみます。
- 都はツと読み、「完全に、すっかり」の意味をもつ
- 満はマンと読み、こちらも「完全に、すっかり」の意味をもつ
- 戻はリと読み「到達する」の意味がある
従って、「つまり」も、「とど」と同じ「結局、結局のところ、最終的に、結論として」の意味になるんです。
以上のことから、「とどのつまり」とは、同義語である「とど」と「つまり」とを「の」という助詞で結び付けた言葉であり、「結局、結局のところ、最終的に、結論として」という意味になります。
とどは魚のボラからきた
出世魚で知られるボラは成長していく過程で、以下のように名前が変わります。
- 関東:オボコ→イナッコ→スバシリ→イナボラ→トド
- 関西:ハク→オボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド
上記のように名前が変わっても、最後には「トド」になることから、「トドの詰まり」となります。ここから、「結局のところ」を意味する「とどのつまり」という言葉が生まれました。
ただ、このように、魚に由来する特殊な成り立ちの場合、どこで言われたのか、いつ広まったかなどの背景が明確になるはずです。ところが、この説には最後の名前であるからという説明しかないのが解せません。
また、この魚を「トド」とは呼ばない地域(高知や東北など)があるなど、説としては、ちょっと弱い部分があります。
「とど」+「詰まり」
「とど」と「詰まり」の意味は次の通りです。
- とど:止まる(止めること、物事の終わり)
- つまり:詰まる(行きつくところ)
これら2つが、「の」という助詞で結び付けられて、「結局、最終的には」の意味で「とどのつまり」という言葉が使われるようになりました。
「とどのつまり」の「と」が「十」に由来
こちらは、『玉菊灯籠弁(たまぎくとうろうのべん)』という18世紀末に出版された本に、次のように記載されています。
- 十(と)どのつまりは居候
ただ、この本は江戸時代の洒落本(窪田俊満作。安永九年刊行)なので、この言葉も単なる洒落という落ちですね。
次の章では、とどのつまりの使い方を見ていきます。
とどのつまりの例文
「途中にいろいろあったが、つまるところ。結局。とど。」という意味を持つ、最終的に結果を伝える時に使われる「とどのつまり」ですが、使い方に次の注意点があります。
- 結果が思わしくない場合に使うこと
- 上記の意味にあるように様々なプロセスを経てきた結果であること
何度か述べてきましたが、結果が思わしくない場合に使われることが多いです。即ち、「期待していたような結果が出なかった時」や「理想通りにならなかった時」に使うのです。
また、様々なプロセスを踏んだ結果を述べる表現ですので、短絡的な原因と結果に対して使うことはないんですよ。たとえば、「さっきの電車に乗り遅れたことで、とどのつまり狙いの飛行機に乗れなかった」などという使い方はしないと思ってください。
これらの注意点を踏まえたると、次のような例文となりますね。
- 何度も協議を行い、準備を重ねてきたが、とどのつまりイベントは中止になってしまった。
- 互いに不満を募らせ、とどのつまり離婚に発展した。
- 彼なりに努力を重ねたが、とどのつまり、志望校は不合格だった。
漢字表記はあるのか
「とどのつまり」に漢字表記はあるのでしょうか?
とどのつまりに漢字表記はない
これは、広辞苑、明鏡国語辞典など辞書類を調べれば明らかなんです。
とどのつまり
引用 広辞苑
途中にいろいろあったが、つまるところ。結局。とど。
▷多く、結果が思わしくない場合に使う。
とどの‐つまり
引用 明鏡国語辞典
〘副〙 結論として行き着くさま。詰まるところ。結局のところ。
「せっかく回収した古新聞も━は捨ててしまうのだ」
語源ボラがオボコ・スバシリ・イナなどと名称を変えて成長し、最後にはトドとなることからという。
ご覧の通り、辞書には漢字表記がありませんね!
最後に
とどのつまりについて、意味・語源・使い方・漢字表記の有無について見てきました。
意味は、ネガティブな「結局」ということでした。様々なプロセスを経て対応したんだけど、結局うまくいかなかったよみたいな意味合いですね。
語源も4つ紹介しました。出世魚の「とど」にまつわる話が面白そうですが、どうも?が付くようでしたが、皆さんはどう思いましたでしょうか。
この言葉を使うのは年配のおじさん世代が多いようですが、まあ、ネガティブな結末につながるので、無理して使わなくてもいいでしょう!
日本語の面白い言葉を、これからも拾っていきたいと思います。
※気づけば、「言葉の意味」の記事も増えてきています
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