「あっけらかん」の意味と語源を総特集!言い換え方法もわかりやすく
先日、小説の中に「彼は何度ミスを注意されてもあっけらかんとしている」という一説があり、この中にある「あっけらかん」という言葉に興味を惹かれました。
日本語って、いろいろな言葉があふれていて、その意味や語源を尋ねていくのはなかなか厄介ですが、逆に、そこが面白いというのがありますね。
まあ、文面から、この表現は余り良い意味ではないよなあと思いながら、これを記事にしてみようと思い立ちました。
そこで、この「あっけらかん」について、いつも通り、意味と語源を総特集しちゃいます!合わせて、この言い換えについても、分かりやすい用例を出してみようと考えています。
その内容をシェアしますので、是非、ご一緒にご覧になってください。
「あっけらかん」の意味と語源
初めに、「あっけらかん」の意味を出した後、語源を見ていきましょうか。
「あっけらかん」の意味
「あっけらかん」の意味を辞書から引いてきました!
「あっけらかん」の意味
いくつかの辞書を見たんですが、日本国語大辞典の内容が一番詳しそうなので、これを見ていただきましょう。
日本国語大辞典には、4つの意味が載っていました。
あっけら‐かん
引用 日本国語大辞典
〔副〕(「あけらかん」の変化)
1 =あけらかん
2 何もなかったように平気でいるさま。けろっとしているさま。
3 のびのびとしてあけっぴろげなさま。
4 何もなく空間が広くあいているさま。がらんとしているさま。
1番の「あけらかん」の意味です。
〔副〕口をあけてぼんやりしているさま。ぽかんとしたさま。また、その人。あっけらかん。あけらけん。あけらほん。*滑・六阿弥陀詣‐嗣編「三助どのも、釣する側にあけらくゎんと」
引用 日本国語大辞典
ここに出ている「あけらけん」「あけらほん」を引いてみます。「あけらけん」は何故か載っていませんでした。
あけら‐ほん
引用 日本国語大辞典
〔副〕(「あげらほん」とも)=あけらかん
即ち、「あっけらかんの」の意味は次の4つです。
- 口をあけてぼんやりしているさま。ぽかんとしたさま。また、その人。
- 何もなかったように平気でいるさま。けろっとしているさま。
- のびのびとしてあけっぴろげなさま。
- 何もなく空間が広くあいているさま。がらんとしているさま
1は、「意外なことに茫然として、口をぽかんと開けている様子」ですね。2は、冒頭で言ったように「注意を受けても、何もなかったようにしている様子を示しています。
そして、3の「のびのびとしてあけっぴろげなさま。」や、4の「何もなく空間が広くあいているさま。がらんとしているさま。」の意味もあるようです。
「あっけらかん」の語源
次に、「あっけらかん」の語源を見ていきます。
「あっけらかん」の語源
下二段動詞「開く」(現代語の開ける)の連用形アケを撥音化した「アンケ」という副詞があった。その意は「口を大きく開けているさま、そうやってぼんやりしているさま」である。
■『史記抄』(1477年)に「喁々とは、魚のごみ(水中の泥)に酔うて、口を開けてあんけとしてをるなりぞ」という例がある
⇓
この「アンケ」に状態を示す接尾語「ラ」をつけてアンケラができ(意味は同じ)、ここに接尾語カンがついたものが、アンケラカンである。
「あんけらこんけら糖」という名前の飴が安永頃(1772年~1781年)に売られた。
⇓
「アケ」(開け)を撥音化させない「アケラカン」という形も近世※から存在し、「口を開けてぼんやりしているさま」を示していた。「アッケラカン」は、この「アケラカン」が促音化したものである。
※近世:江戸幕府の創立(1603年)から明治維新による東京遷都(1869 年)まで、あるいは関ヶ原の戦い(1600年)から大政奉還 (1867年)
最初の言葉「アケ」が「アンケ」となって文書に載ったのが1477年ですね。1477年は、戦国時代(室町時代)に当たりますか。応仁の乱が終息と言ってますので、長い戦乱の時代に、「あっけらかん」の元になる言葉が生まれたんですね。
それから、2番目の「アンケラ」が生まれるまでに、さらに300年も経ってます!「あんけらこんけら糖」を売る人の情報はこちら。
参考:暮らしのことば新語源辞典 あっけらかん
現在に伝わる「あっけらかん」は、近世になって産まれた言葉ですね。それでも、相当な年数が経過しているんですな!
あっけらかんの言い換え
「あっけらかん」を言い換えると、どんな言葉があるか一覧にしてみました。
言い換え | 意味 |
---|---|
いけしゃあしゃあ | にくらしいほどに平気でいるさま。非常にあつかましいさま。 |
意に介さない | 嫌な出来事や批判などを気にしない、相手にしない |
うかうか | 不注意なさま。心がゆるんでいるさま。ぼんやりしているさま。 |
けろりと | なにごともなかったように平然としているさま。 |
事も無げ | 何事もないかのように平然としているさま。 |
しれっと | 何事もなかったかのように平然としているさま。 |
何処吹く風 | 自分には全くかかわりがないかのように知らぬふりをしているさま |
ぬけぬけ | 知って知らない風をするさま。あつかましいことを平気でするさま。 |
ぽかんと | 茫然自失のさま。ぼんやりしているさま。 |
ぼんやり | あっけにとられているさま。 |
たくさん出てきました。
意味を見ていくと、「気にしない」「平然としている」「ぼんやりしているさま」「知らんぷり」に大別できるようです。
記事を終わる前に、「あっけらかん」を使用した例文を挙げておきます。
「あっけらかん」を使った例文
「あっけらかん」には4つの意味があったので、それに対応した例文を挙げて見たいと考えました。まず、その4つの意味を再掲します。
- 口をあけてぼんやりしているさま。ぽかんとしたさま。また、その人。
- 何もなかったように平気でいるさま。けろっとしているさま。
- のびのびとしてあけっぴろげなさま。
- 何もなく空間が広くあいているさま。がらんとしているさま
上記の意味に、それぞれに対応した例文を挙げてみます。
- 彼女は、事の急変をあっけらかんと眺めていた。
- あの人は、何度叱られてもあっけらかんとしている。ちょっと問題だね。
- うーん、そのあっけらかんとした性格は、ある意味、貴重だと思うよ。
- 彼は、その部屋に入ったとたん、ポツリと「あっけらかんとした広間だなあ」と一言述べた。
1番の彼女は、事の急変に唖然としたんでしょう、どう対応して良いかわからず、ぽかんとした状態になってしまったと考えられます。
2番の「あの人」は、何度も起こられるようなことを繰り返す問題児であるうえに、叱られても何もなかったように平気な人間なんでしょう。
3番の指摘を受けた人は、性格が「のびのびとして、あけっぴろげ」なんでしょう。ただ、その性格を悪いとは決めつけられていないようです。
最後の例文です。その部屋は、空間が広く開いている部屋だったと思われます。彼は、それを見て例文のようにつぶやいたんですね。
以上、簡単に解説しました。60爺は、最後の例文にあるような表現は、余り、聞いたことがありませんな。
最後に
「あっけらかん」について見てきました。
私の認識していた意味は、「注意を受けても、何もなかったようにしている様子」ですかね。もともとの意味は、「意外なことに茫然として、口をぽかんと開けている様子」と聞いてちょっと驚きました。
その他にも、「のびのびとしてあけっぴろげなさま。」や「何もなく空間が広くあいているさま。がらんとしているさま。」の意味もあるのには感心しました。
そして、その由来ですね。戦国時代に、元の元が生まれて、長い年月をかけて、現在の言葉になっているんですなあ!
どんな言葉もそうなんですが、新たな引き出しが増えていくので楽しいですね。
※気づけば、「言葉の意味」の記事も増えてきています
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