草冠に部と書いて蔀!意味・読み方から苗字での使われ方まで総特集
安倍晴明を知っていますか。平安時代に実在した陰陽師です。
安倍晴明には色々な逸話が残っています。今昔物語に、「晴明邸は、式神が使われており、人もいないのに、蔀戸がひとりでに上がったり下がったり、門が自然に閉まったりと不思議なことが多かった」とあります。
さて、この文中にある「蔀戸」にある「蔀」が、60爺にターゲットオンされました。現在、書き進めている「草冠に○○」シリーズに適合する漢字であります。
それでは、草冠に部の蔀について、意味・読み方から名前での使い方まで総特集しちゃいます。
ご一緒に内容を見に行きましょう~。
草冠に部といえば蔀!漢字の読み方や全体像をまずはチェック
最初に、蔀の意味と読み方を明確にしましょう。
蔀の読み方と意味
蔀
画数 :14画
音訓:ホウ しとみ おおい
意味
①しとみ。日光や風雨をさえぎるための戸。②おおい(おほひ)。ひかりをおおいさえぎるもの。③暦法の単位。「一蔀」とは、76年のこと。
日本語だけの意味・用法
(難読)蔀 しとべ・しもと・ひとみ
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
音読みは「ほう」です。訓読みは2つあります。「しとみ」は冒頭で出た「蔀戸(しとみど)」の読みです。もうひとつは「おおい」ですね。
意味については、広辞苑を引いてみました。
①寝殿造の邸宅における屏障具の一つ。格子組の裏に板を張り、日光をさえぎり、風雨を防ぐ戸。はじめは1枚板。多くは上下2枚に分かれ、下1枚を立て、上1枚は金物で釣り上げて採光用とし、これを釣蔀または半蔀(はじとみ)という。また、屋外にあって垣の用をなし、室内にあって衝立(ついたて)の用をなすものを立蔀(たてじとみ)という。訛って「ひとみ」とも。
引用 広辞苑
②船で、飛沫・光線を防ぐための戸。
③築城で、城外から見え透く所を塞ぎおおう塀・土居など。
広辞苑の①のは、まさに、漢字「蔀」での意味①を指していますね。下の写真は、川越にある「喜多院慈眼堂」の蔀戸です。
広辞苑の意味②、③は、漢字「蔀」での意味②の「覆い」を具体的に示しています。船で、飛沫・光線を防ぐための戸や築城で、城外から見え透く所を塞ぎおおう塀・土居などを指すことがわかりました。
漢字「蔀」での意味③ですが、古代中国の暦法に四分暦(太陰太陽暦の1種)という暦があり、この中で、「一蔀」が76年を表しているんです。
それでは、次に、蔀の書き順をみてみましょう。
草冠に部を順に書けばOKです。
間違えようがありませんね。
もっと詳しく知ろう!蔀の漢字としての由来や成り立ち
まず、字源をみてみましょう。
蔀=「部(ほう)ぴたりとあてる」+「艸(くさ)」(形声※)。明かり窓にぴったりとあてがうむしろ。
引用 上級漢和辞典 漢字源 学研
形声※
漢字の六書(リクショ)の一つ。発音を表す文字と、意味を表す文字とを組み合わせて、新しい文字を作る方法。
「部」は、ある事態をそうではないと否定することから、「二つに分ける」というイメージを表す記号でした。このイメージが「二つがくっついて並ぶ」というイメージに転化したんです。
そこから、上記に示す「ぴたりとあてる」意になったんですな。
蔀のつく言葉
蔀のつく言葉を紹介します。
蔀のつく言葉 | 読み | 意味 |
---|---|---|
蔀板 | しとみいた | 船の蔀で常には取りはずしておくもの。 |
蔀金 | しとみがね | しとみのかけがね。 |
蔀釣り | しとみづり | 商家の前面上方に取り付けた化粧梁。昼間、戸を釣り上げておくためのもの。 |
蔀戸 | しとみど | ①蔀①の意に同じ。②商家の前にはめ込む2枚の横戸。昼は蔀梁の内方に設けた戸決とじゃくりに納めおき、夜だけおろして戸締りとする。ひとみ。 |
蔀橋 | しとみばし | 廊下のように屋根を設けた橋。 |
蔀梁 | しとみばり | 商家の柱の上部に取り付けた梁。内方に戸決とじゃくりがあって、揚戸あげどを納め置く。 |
蔀屋 | しとみや | 蔀で囲った仮屋。弁内侍日記「―より見渡したれば」 |
参考:広辞苑
蔀のつく言葉ですが、漢和辞典に載っていないので、広辞苑から拾ってきました。
現代では、蔀はあまり見ない漢字のため、ここにある言葉もなじみがないというのが現実かなあ。
次は、名前に使われる際のポイントを見にいきましょう~。
苗字に使われる際のポイントは
この蔀という漢字は、人名に使うことのできない漢字です。
そこで、蔀を持つ苗字を見ていきます。まず、「蔀」一文字の苗字を見ていきましょう!
【名字】蔀
【読み】しとみ,しどみ,ひとみ,しもと,つかさ,つぼみ,とべ,おおい
【全国順位】 5,730位
【全国人数】 およそ1,700人
参考資料 名字由来net
読みが全部で8つもあります。今まで見てきた中での最多記録でしょう。
全国で、およそ1,700人もいます。全国順位も5,730位と4桁の順位ですね。今まで見てきた苗字は人数が2桁から3桁だったので、かなり人数が多い苗字と言えそうです。
都道府県別に見てみましょう。
都道府県 | 人数 |
---|---|
茨城県 | およそ580人 |
大阪府 | およそ160人 |
熊本県 | およそ140人 |
東京都 | およそ130人 |
神奈川県 | およそ80人 |
この5都府県で、およそ1,090人ですから全国の60%強ですね。残りの4割、およそ700人が他の道府県に散らばっている計算です。
最後に、「蔀」に他の文字を付加した苗字を見てみましょうか。
上蔀(うわしとみ)、半蔀(はじとみ)
参考資料 「蔀」を含む名前・人名・苗字(名字)
二つしか見つかりませんでした。蔀の読みは「しとみ」と「じとみ」です!
最後に
草冠に部で蔀ですが、この漢字は現在ではあまり見かけないのではないでしょうか。というのも、この蔀、あまり使われないモノだからです。
意味については、内容を読んだだけでは「ふーん」という漢字だったと思います。広辞苑の内容を引っ張ってきましたが、この説明がないとよくわかりませんでしたよね。
蔀のつく言葉も複数挙げましたが、これらの言葉をご存知だという方は少数だと感じました。
それでも、苗字の「蔀」さんは、そこそこの人数がいらっしゃいました!
今回の漢字は、現在では余り使われないモノでしたが、次回ではどうなるでしょうか。
※気づけば草冠の漢字の記事も増えてきました
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません