草冠に任と書いて荏!読み方から意味・苗字での使われ方まで総特集

2023年4月26日

60爺

私が、まだ、若かりし頃、荏原中延に棲む仕事仲間の家に泊めてもらったことがあります。

荏原中延は東急池上線の駅の一つで、五反田から3つ目の駅ですね。

何でこんなことを思い出したのかというと、この駅名の先頭の漢字「荏」が、60爺が書き進めている「草冠の漢字」シリーズに適合するんですよ。

そうです。草冠+「任」と書いて「荏」となる漢字なんですよね。

そうくれば戸惑っている必要はなく、いつも通りに、草冠に任の荏について、意味・読み方から名前での使い方まで総特集しようと思います。

それでは、ご一緒にレッツゴー!

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草冠に任といえば荏!漢字の読み方や全体像をまずはチェック

最初に、荏の意味と読み方を明確にしましょう。

荏の読み方と意味

画数 :9画
音訓:ジン え

①え。草の名。シソ科シソ属の一年草。茎は四角形で白い毛がある。秋、白い花が咲く。種子から油を採り、また薬用。エゴマ(荏胡麻)。白蘇。②ジンなり。やわらかである。力がぬけてだらしない。じわじわとしている。
日本語だけの・用法
(難読)荏隅(えのくま)荏戸(のぞき・のぞきど)

参考:上級漢和辞典 漢字源 学研

音読みは「ジン」で、訓読みは「え」ですね。

久々に草冠の漢字で植物を表す文字が登場です。

エゴマの画像

意味には、もうひとつ形容詞があって、「やわらかである。力がぬけてだらしない。じわじわとしている。」の意を持っています。

日本語だけの用法に難読漢字が二つ出ていました。この二つの言葉は、辞書に載ってないんで、サイトを探してみました。

  • 荏隅(えのくま):大分県大分市にある地名、名字のひとつ
  • 荏戸(のぞき・のぞきど):どうやら、名字を表すようです

荏戸については、「えど」と読んで、荏原の繁茂する「荏土」を指す言葉の痕跡もあります。
そして、「荏戸」から「江戸」になったらしいです。

それでは、次に、荏の書き順をみてみましょう。

草冠に任を順に書けばOKです。

60爺

任の右側の書き順を間違えないようにしましょう。


もっと詳しく知ろう!荏の漢字としての由来や成り立ち

由来と字源を見ていきます。

荏胡麻の由来

荏胡麻の由来ですが、「エ」については、次の二つの説があるようです。

  • 油を採取できるので「得」の「エ」
  • 味が良いから来た「良」の「エ」

「ゴマ」は、種子がゴマの実に似ているところから。菜種油が普及するまでは、荏胡麻の種子を絞って採った「エゴマ油」が使われていました。

中世から鎌倉時代ごろまで、搾油用に広く栽培され、荏原など、地名に「荏」が付く場所の多くは栽培地であったことに由来する。

引用 wiki エゴマ

なるほど、「荏原」等、「荏」の付く場所は栽培地であったことを考えると、冒頭で言った「荏原中延」もそうだった可能性が高いのですね。

また、エゴマ油(荏油)は乾性油のため、重要な防水塗料として、和傘、提灯などへも用いられていたそうです。

字源

まず、字源をみてみましょう。

「荏」=「壬(にん)ふくらむ」+「人」+「艸(くさ)」(形声※)で構成されています。

形声※
漢字の六書(リクショ)の一つ。発音を表す文字と、意味を表す文字とを組み合わせて、新しい文字を作る方法。

ここから、「荏」は、隆起してふくれた果実をもつ草という意味になるんですね。

参考:上級漢和辞典 漢字源 学研

学研漢和大辞典は、漢字源と違う説明が出ておりました。

壬(ニン)は、やわらかく包みこむ意を含む。荏は「艸+音符壬」で、種をやわらかく包みこんだ植物。

引用 学研漢和大辞典

「荏」で思い出すモノは、荏原製作所という会社ですね。ポンプ・タービン関連の製造会社だそうです。

他には、駅の名前で、冒頭の「荏原中延(えばらなかのぶ)」(東急池上線)の他に、「越中荏原駅(えっちゅうえばらえき)」(富山地方鉄道本線)、「荏原町駅(えばらまちえき)」(東急電鉄大井町線)なんてのがありました。

荏ってどんな草

荏はどんな植物なんでしょうか。

荏胡麻(エゴマ)は、名称に「ゴマ」とついていますが、ゴマ(ゴマ科ゴマ属)とは別種の植物で、東南アジア原産だそうです。食べると十年長生きできるという謂れからジュウネンという別名もあるんです。

古名、漢名は、まさに、今回の主題である「荏(え)」なんですよ。

いつもやっているように、花言葉と形態・生態を見ようと思ったんですが、な、なんと、花言葉が設定されていないようなんですよ!

エゴマの画像2
60爺

形態・生態を見ていきます。

高さは60-100センチメートル (cm) 程度。茎は四角く、直立し、長い毛が生える。葉は対生につき、長さ7 – 12 cmの広卵形で先がとがる。縁は鋸状にぎざぎざしており、付け根に近い部分は丸い。葉は表面は緑色で、裏面には赤紫色が交る。葉は青ジソにも似ているが、厚くハリがある。花序は総状花序で、白色の花を多数つける。花冠は長さ4 – 5ミリメートル (mm) 。花弁は4枚で下側の2枚が若干長い。

引用 wiki エゴマ

日本では、縄文時代の遺跡からも検出されているように、インド原産のゴマよりも古くから利用されていました。

上述の荏胡麻の由来でも触れたように、奈良時代には油を採るための栽培が始まり、また、平安時代にはエゴマ油が食用や燃料に使われていました。

次は、名前に使われる際のポイントを見にいきましょう~。

■草冠の漢字で植物を表す漢字をいくつか紹介しています。

苗字に使われる際のポイントは

この荏という漢字は、人名に使うことのできない漢字です。

60爺

最近、選んでいる漢字は名前に使えないというのが多いような気がしまうな^^;

そこで、荏を持つ苗字を見ていきます。まず、「荏」一文字の苗字を見にいったのですが、この苗字は存在しないようですね!

そこで、ちょっと変わっている「荏開津」という苗字を見てきました。

【名字】荏開津
【読み】えがいつ
【全国順位】 68,696位
【全国人数】 およそ20人

参考資料 名字由来net

「えがいつ」と読むんですね。

全国で、たったの20人しかいませんな!全国順位も68,696位と随分と低い順位です。相当珍しい苗字と言えそうです。

都道府県別に見てみましょう。

都道府県人数
東京都およそ10人
岐阜県およそ10人

参考資料 名字由来net

東京都と岐阜県におよそ10人ずつ。これで全部です。人数が少ないため、ベスト5も挙げられないんですな!

最後に、「荏」に他の文字を付加した他の苗字を見てみましょうか。

荏草(いぐさ,えくさ)、荏柄(えがら)、荏田(えだ)、荏隈(えのくま)、荏本(えのもと,えもと)、荏畑(えばた,えはた)、荏原(えばら,えはら)

参考資料 「蔀」を含む名前・人名・苗字(名字)

七つ見つかりました。

荏の読みは「い」・「え」・「えの」の3種類です!

最後に

草冠に任で荏ですが、この漢字は冒頭で挙げた地名と、焼き肉のたれを作っている「荏原」くらいしか思い浮かびませんね。

そうしたら、「荏」は昔、エゴマを栽培していたところに地名として残ったなんて話が出てきましたね。

意味は、久々に植物名を指していました。エゴマです。近年話題になっていますよね。

荏は名前に使える漢字ではないので名字を見てきました。ちょっと変わっている「荏開津」という苗字に焦点を当てましたが相当に珍しいものでした!

漢字は、それ自体、思いもよらない意味を持っているので、見ていて飽きませんな。

※気づけば草冠の漢字の記事も増えてきました

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら

草冠の漢字

Posted by 60爺