草冠に湯と書いて蕩!読み方から意味・苗字での使われ方まで総特集

2023年5月5日

小説を読んでいたら、「放蕩息子が父親が一代で築いた財産を使い切ってしまった」という表現がありました。

60爺

この「放蕩息子」に使われている草冠の漢字が今回の標的です。

草冠に湯と書く蕩ですね。普段の生活では、余り見かけることのない漢字だと思います。

この漢字を見かけるのは小説などに多いですね。そして、この「蕩」、「草冠に○○」シリーズに適合します

そう言う訳で、草冠に湯の蕩について、読み方から意味・名字での使われ方まで総特集します。

ご一緒に、その内容を見に行きましょうか。

スポンサーリンク

草冠に湯といえば蕩!漢字の読み方や全体像をまずはチェック

最初に、蕩の意味と読み方を明確にしましょう。

蕩の読み方と意味

 異体字

画数 :15画
音訓:トウ うご・く やぶ・る(日本語だけ)つたよ・う とろ・かす

①広く行き渡る。ゆらゆらと広がっているさま。②うご・く。うご・かす。やぶ・る。ゆらゆらとうごかす。ゆれうごいてこわれ崩れる。③酒色などに溺れる。また、物事にしまりがなくでたらめであるさま。④勢いよく洗い流す。よごれや邪魔なものをきれいに除く。⑤うごきはじめる。胎動する。⑥姓の一つ。
日本語だけの・用法
(訓読み)つたよ・う とろ・かす とろ・ける

参考:上級漢和辞典 漢字源 学研

「蕩」には「蘯」という異体字があります。

異体字※
漢字の字体のうち標準字体以外のもの。異体文字、別体字、変体字ともいう。広義の・・・通常は漢字のみをさす。異体字の分類は諸家によりかならずしも一定しないが、(1)略字(字画を省略したもの。暦・歴→厂、幅→巾など)、(2)合字(2字を合成したもの。麻+呂→麿、菩+薩→など)、(3)分字(1字を2字に分割したもの。米→八木など)、(4)古字(古文ともいう。篆(てん)書以前の古体字。礼のように常用漢字に採用されているものもある)、(5)俗字(世間に通用している正式でない字体。曜→など)、(6)譌(か)字(誤字と認められるもの)などが考えられる。

引用 コトバンク 異体字

音読みは「トウ」で、訓読みは「うご・く」「やぶ・る」の2つですね。日本語だけの訓読みに、「つたよ・う」「とろ・かす」の2つの訓読みがあるんですね。

意味には、植物の意味はありませんな。でもって、6つの意味があるんですよ!

  • 広く行き渡る。
  • うご・く。うご・かす。やぶ・る。「蕩折(トウセキ)」「蕩尽(トウジン)」
  • 酒色などに溺れる。「放蕩(ホウトウ)」
  • 勢いよく洗い流す。「掃蕩(ソウトウ)」
  • 胎動する。
  • 姓の一つ。
60爺

日本語の訓読みの意味を載せておきます。

まず「つたよ・う(漂ふ・蕩ふ)」からです。
余り、聞いたことのない言葉ですが、意味は「さまよう。ただよう。流浪する」です。
昔の言葉ですかね。

二つ目の「とろ・ける(蕩ける・盪ける)」を見ていきます。
意味は3つ。

  1. 金属など固体がとけて液体となる。とけて形がくずれる。
  2. 怒りなどがとけ心がやわらぐ。
  3. 心のしまりがなくなる。うっとりする。

これ、3番目の意味で使われていたと思いますが、小説なんかで見たことがある表現です。
「蕩けるような甘い言葉」なんてのもありました。

1.は今昔物語、2.は源平盛衰記という古典に出てくるんですね。

参考:広辞苑

それでは、次に、蕩の書き順をみてみましょう。

草冠に「湯」を順に書いていけばOKです。「湯」の画数は多いですが、上から順に書いていけば問題ないと思います。


もっと詳しく知ろう!蕩の漢字としての由来や成り立ち

字源を見ていきます。

蕩=「湯(トウ)ゆれうごく水」+「艸(くさ)」(形声※)。引用 上級漢和辞典 漢字源 学研

形声※
漢字の六書(リクショ)の一つ。発音を表す文字と、意味を表す文字とを組み合わせて、新しい文字を作る方法。

「昜」
昜は、「日(太陽)」、「丂(上に伸びていく)」、「彡(光が発散する)」で構成される漢字です。
太陽が空高く上がる情景を示すところから、「高く上がる」というイメージを示す記号となりました。
「湯」
湯は、「昜(ヨウ)高く上がる」、「水(みず)」で構成される漢字です。
水が沸騰して蒸気が高く上がる情景を示すところから、「ゆれうごく水」というイメージを持ちます。
「蕩」
蕩は、「湯(トウ)ゆれうごく水」、「艸(くさ)」で構成される漢字です。
大水で草木がゆれうごくことを示しています。

参考 上級漢和辞典 漢字源 学研

蕩のつく言葉

蕩は植物ではないので、ここでは、蕩のつく言葉を見てもらいます。

蕩のつく言葉読み意味
蕩佚トウイツ⇒{蕩逸(トウイツ)}①物事に対して寛大でゆるやかなこと。②しまりがなく、かってきままなこと。《類義語》放佚(ホウイツ)。
蕩子トウシ⇒{蕩児(トウシ゛)}①遠くへ旅に出たまま帰らない者。②酒色におぼれる者。道楽者。遊蕩児。〔古詩十九首〕
蕩志トウシ気をまぎらすこと。
蕩舟トウシュウ⇒{蕩船(トウセン)}舟をうごかす。
蕩心トウシン①心を迷わし本心を失わす。②迷わされたしまりのない心。③酒色にふける心。
蕩尽トウシ゛ン洗い流されてなくなる。また、ほろび尽きる。
蕩析トウセキ分散する。また、離散する。▽一説に、洪水によって流され、一家がちりぢりになる。
蕩然トウセ゛ン①洗い流されてあとかたもないさま。洗い流されたようにあとかたもないさま。②かってきままなさま。
蕩駘トウタイ①かってきままにする。ふける。▽「駘」は、なまける。②心が失われてしまうほどに美しい。
蕩滌トウテキ洗い流して清める。けがれ、よこしまな事などを除き去ること。
蕩蕩トウトウ①ゆらゆらとして大きいさま。また、広くはるかなさま。②広くゆきわたるさま。③心がゆったりしたさま。④法律・制度が乱れたさま。⑤水勢の激しいさま。⑥心がしっかり定まらないさま。
蕩覆トウフク国家をくつがえす。また、国家がくつがえる。
蕩平トウヘイ⇒{蕩定(トウテイ)}世の乱れを平定する。
蕩揺トウヨウゆれうごく。また、ゆりうごかす。

参考 上級漢和辞典 漢字源 学研

たくさん出てきました。

ご存知の言葉はありましたか?

60爺

私の知っている言葉はありませんでした。残念。

「蕩子」という言葉ですが、「宕」という漢字が「蕩」を当てた使用法をしていますよ!

次は、名前に使われる際のポイントを見にいきましょう~。

苗字に使われる際のポイントは

この棟という漢字は、人名に使うことができません!

そこで、蕩を持つ苗字を見ていきます。

「蕩」のつく名字が日本では見つからないようです!

60爺

ないのであれば仕方がないですな~。

最後に

草冠に湯で蕩ですが、あまり見かけないイメージです。

意味は、水がうごくさま。あとは、酒色なぞに溺れるさまです。日常生活にはあまり縁がない漢字だと思われます。

蕩は名前も使えず、苗字も見つけることが出来ませんでした。ただ、蕩のつく言葉を見ていったら、かなりの数が見つかりましたね。知っている言葉は皆無でしたけど…。

漢字には、それぞれ性格があるようですね。また、別の漢字と出会いたいですね。

※気づけば草冠の漢字の記事も増えてきました

スポンサーリンク
この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら

草冠の漢字

Posted by 60爺