スプーンの昔の言い方は何?その語源や歴史などを含めて詳しくご紹介
ゴールデンウィークに、次女が旦那と8カ月の孫を連れて里帰りしました。2泊3日のあわただしい帰省でしたが、いやー、孫は可愛いですな!
さてさて、そんな孫ですが、どの位したら食器を使えるようになるんでしょうか。可愛いスプーンやフォークを使う姿も楽しみですな。
ここで、出てきたスプーンなんですが、昔は別の言い方をしていたななんてフト思い出したんですよ。
以前、スーツの昔の言い方を記事にしており、このスプーンについてもそうしようと考えました。
現在、この昔の言い方をしても、若い方は聞いたことがないなんて言うのでしょうか。
この記事では、スプーンの昔の言い方を上げるとともに、その言葉の語源、歴史などを詳しくご紹介しようと思います。
是非、ご一緒に最後までご覧になっていってくださいね。
スプーンの昔の言い方
スプーンの昔の言い方です。
スプーンの昔の言い方は?
匙(さじ)
この言葉を聞いたことがありますか?広辞苑で「さじ」を引いてみます。
さじ【匙・匕】
引用 広辞苑
(「茶匙」の字音から)柄の先に小皿状の部分がついた、液体や粉末をすくいとる道具。スプーン。
ここにある、『「茶匙」の字音から』とあるのは次の意味です。
「和訓にあらず。音也。茶をすくふ匙(かひ)也」(日本釈名)。つまり、「茶(さ)匙(じ)」の字音から出た言葉なんです。
スプーンをスプーンと呼ぶようになったのは、いつくらいからですかね。
30年ほど前、子供がスプーンを持つ頃には、スプーンと言っていました。物心が付いた時から、スプーンと言っていたっけ?覚えてないなア。
現在では、スプーンを「匙」という方は、ほとんどいないのではないでしょうか。モノの呼び名は時代とともに変わっていくんですね。
昔の言い方があるモノは他にもあります。スーツ、コート、それからシーツですね。これらの記事をアップしていますので、合わせて、ご覧ください。
スーツの昔の言い方は3文字で「〇〇ろ」です。この言葉は男性専用だったんですよ!スーツになって、男女兼用に変わりました。
コートの昔の言い方は、60爺の親父の年代でないとわからないかも?「〇○○う」という4文字の言葉です。
シーツの昔の言い方は「し」で始まる3文字ですね。60~70代の方であれば知っていると思います。
キッチンの昔の言い方は「だ」で始まる5文字ですね。今も普通に使われているところもありますよね。
トイレの昔の言い方は、驚くほどたくさんあるんです。
次の記事は、昔の言葉を一覧にしていっぱい紹介してます。
匙の語源
次に、匙の語源を見ていきましょう。
匙の語源
匙の語源ですね。
- 中古
- 「さじ」は『宇津保物語』に例があり、既に使われていた
- 中世
- 香(こう)をすくうための「香匙(きょうじ・こうじ)」に対し、抹茶をすくうためのものを「茶匙(さじ)」と称した
古くは、大きさにかかわりなく「かひ」と呼ばれていたが、「さじ」の語が一般化するにつれて、小型のものを「さじ」、大型のものを「しゃくし(杓子)」と呼び分けるようになった。
シャジ※は、サジの変化した語形である。
また、薬を扱う「薬匙」を誤って「茶匙」としたため、本来の「茶匙」を「茶杓」と呼んだのではないか。なんて説もあります。
参考 新明解語源辞典
シャジ※って広辞苑にも載っているんですよ。
しゃじ【×匙】
引用 広辞苑
「さじ」の音変化。
スプーンの歴史
スプーンの歴史について見に行きましょう。
ヨーロッパ
まずは、ヨーロッパです。
ヨーロッパのスプーンの歴史
- 新石器時代(紀元前10,000年~同2,200年)
- この時代に使われた陶器製や骨を削ったスプーンが発掘されている。
- 前3200年~前1,200年頃
- 古代ギリシアで使われていた青銅器のスプーンが出土している。
- 紀元前753年~476年または554年
- ローマ帝国時代では、食事に「麦の粥」を食べる時にスプーンを使った。このスプーンは ローマ帝国の遺跡から、いくつも出土している。
en:Cochleariumと呼ばれ、ボウル状の部分と取っ手の間が複雑に曲がったスプーンである。
- 17世紀~18世紀
- スプーンが一般に普及した。
ナイフ・フォーク・スプーンのセットで食事する形式が確立されたのは、19世紀ごろと思われる。
イギリスでは、1259年にエドワード1世の旅程の項目としてワードローブがあったが、その中にスプーンの記述があった。
また、洗礼式にスプーンを贈られる習慣があり、身分や貧富の差によって材質が異なっていた。
古代エジプト
古代エジプトでも、スプーンは用いられていたようですね。
古代エジプトのスプーンの歴史
- 紀元前3,000年~紀元前30年
- 紀元前1000年ころに、木製、石製、象牙製などのスプーンが使われたことが分かっている。
使用したのは、ファラオや書記など身分が高い人々である。儀式などに使用されるため、スプーンには華やかな装飾や象形文字などで覆われていた。
なお、スプーン状の道具は調理、食事の配膳、化粧、医療などで使われていたようだ。
中国
次は、お隣の困った大国、中国ではどうだったのでしょうか?
中国のスプーンの歴史
匙は、7,000年以上前に農耕文化が出現してから発明されたと推測されている。
- 殷(紀元前17世紀頃 – 紀元前1046年)王朝
- スプーンが用いられていたそうです。
- 秦(紀元前905年 – 紀元前206年)・漢(紀元前206年 – 8年)代
- 漆塗りの木製のものが主に使用される
- 後漢(25年 – 220年)代
- 銀製の匙も登場
- 隋(581年 – 618年)・唐(618年 – 907年)代
- 銀製のものが主流
ただし、以上の匙は宮廷で使われたもので、庶民は手で食べたり木製の匙を使ったりしていた可能性が高い
中国や朝鮮半島などでは、ごはんと汁類には匙や散蓮華を使い、おかず類に箸を使います。
日本
それでは、我が国ではどうだったんでしょうか?
日本のように、味噌汁などは、利き手に箸を持ち、利き手ではない方の手で椀を持ち上げ、口を付けて食べるのは世界的に見ても珍しいようです。
日本のスプーンの歴史
匙は、7,000年以上前に農耕文化が出現してから発明されたと推測されている。
- 弥生時代(紀元前3世紀)~(3世紀)
- 住居跡から木製のものが出土、儀式用と考えられている。
- 正倉院(756年(天平勝宝8歳)前後)
- 収蔵品などに匙が見える
ここからは、歳月共に、スプーン(匙)は少なくなっていく。一般人には全く普及していなかったし、上流社会も8世紀末~9世紀初ごろには箸食に遷移したと考えられている
- 鎌倉時代(12世紀末~1333年(元弘3年/正慶2年))~
- 禅寺では匙を使っていた
上流社会の儀式や接待などでは引き続き使用されていたようだ
- 江戸時代(1600~1868年)
- ・1682年徳川綱吉の襲職祝賀に使用された記録あり
・1719年申『海遊録』(申維翰:朝鮮通信使)に小田原城で受けた接待で金銀の箸や匙が使用されたとの記述
・また、将軍家や大名の侍医のことを匙を使って薬を量ることから「お匙」と呼んでいた
日本の家庭では匙は洋食や中華料理に用いる傾向が強い
参考:wiki スプーン
最後に
スプーンは昔何と呼ばれていたかを見てきました。
匙ですね。「おさじ」とか呼んでいた記憶があるようなないような記憶があります。今は、匙と呼ぶ人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
その他、匙の語源について見てきました。こちらを見ても、「さじ」となるまでに、いくつか変遷していったことが見てとれます。
最後に、ヨーロッパ、古代エジプト、中国、日本でのスプーンの歴史を時代に沿ってみてきました。日本では、今も箸がメインで、スプーンは上述のように、洋食や中華料理の際に使うことが多いですね。茶碗蒸しはスプーンで食べますな!
※気づけば言い方・呼び方の漢字の記事も増えてきました
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません