鹿の別名を大特集!昔ながらの名称や聞いたことのない異称までご紹介
奈良公園で鹿せんべいを持っていると、そこかしこにいる鹿たちに追跡され大変なことになるようですね。
奈良公園には、50年以上前に修学旅行で行ったような記憶があります^^;
60爺は全く知らなかったんですが、この鹿には、別名があるんですって。
そうであれば、「別名」というカテゴリを持っていることもあり、是非、記事を書いてみたいと考えました。
そういう訳で、今回は、鹿の別名を大特集します。別名には、昔ながらの名称や聞いたことのない異称がたくさん見つかりました。そんなこんなで、これらを詳しく解説しましたよ~。
是非是非、ご一緒にご覧になってくださいますようお願いします。
鹿の別名を何という?
始めに、鹿の別名を挙げていきますね。
鹿の別名を何という?
- かせぎ
- か
- かこ
- かのしし
- すがる
- もみじどり
- ろく
- きんば
- にしきどり
な、何と、九つもの別名が挙がりました!一文字の「か」から二文字の「かこ」「ろく」・・・五文字の「もみじどり」「にしきどり」に至っては、鹿なのに名前に「とり(鳥)」が入ってますね!
それぞれの別名を個別に見ていきましょう。
かせぎ
漢字表記は「鹿」なんですよ!広辞苑にはこう載っています。
(角が桛木かせぎに似ていることから)鹿の異称。
引用 広辞苑
桛木とは、いくつか意味がありますが、鹿の角に似ているということから、「木の枝をYの字形に切ったもの。傾くものを支えたり、さおの先につけて、物を高い所へ押し上げたりするのに用いる。」を言っています。
か
これも、シカの古名です。この別名の漢字表記も「鹿」なんです!
万葉集に載っているんですなあ。「妻恋に―鳴く山辺の秋萩は露霜寒み盛り過ぎ行く」〈万・一六〇〇〉
かこ
漢字表記は「鹿子」です。
「かご」と呼ばれる場合もあるようです。「シカ」、また、「シカの子」を指すんですな。
こちらも、万葉集に載っているんです!
かのしし
末尾の「しし」は猪(いのしし)や鹿など食肉用の野獣の総称ですね。
鹿の他に、鹿肉を指す場合があります。
鹿を指す例として、平家物語が示されております。
すがる
漢字表記は難しいです。「蜾蠃」です。
①ジガバチの古称。美女の細腰にたとえる。万葉集16「飛び翔る―の如き腰細に取り飾らひ」 ②ジバチの異称。すがれ。 ③鹿の異称。
引用 広辞苑
ジガバチの古称、ジバチの異称に並んで、鹿の異称とあります。
「古今和歌集」に「すがる鳴く秋の萩原(はぎはら)」(鹿が鳴く秋の萩原)という歌が載っています。
ジガバチの古称にある「細腰」は、万葉時代の女性の容姿の美しさの一つの基準とのことです。鹿を「すがる」というのは、鹿の腰が細いことからだそうです。
ようやく、半数を越えました。あと、4つです。
もみじどり
漢字表記は「紅葉鳥」です。
何で、鹿が「紅葉鳥」なんでしょうか?ひょっとして、花札の鹿にモミジに関係あるのかと意気込んだんですが、答えは「ブブー!」、外れです。
正解は、鹿が秋に妻を求めて鳴く声が寂しく美しいから
ろく
色葉字類抄(いろはじるいしょう)は、平安時代末期に成立した古辞書(橘忠兼編)なんですが、この中に、「ろく(鹿)」が載っています。
「鹿のこと。」という意があります。
別に、鹿肉等の獣肉の意味もあるようです。
きんば
「錦馬」と書きます。広辞苑には載っていませんが、唯一、大辞泉に載っていました。
意味は、「シカの別名」です!
読みを「にしきうま」と書いてあるサイトが稀にありますが、「きんば」が正しいようです。
残念ながら、語源を見つけることが出来ませんでした!
にしきどり
漢字表記は「錦鳥」です。こちらは、広辞苑のみ「鹿の異称」と出ています。他の辞書は、「錦鶏きんけいの別称」が出ているだけです。
こちらの別名も、残念ながら、語源を見つけることが出来ませんでした!
ウーン、錦馬にしても錦鳥にしても、「錦」と「鹿」の関係が掴めれば何かを見つけられるかと思ったんですが、それを手にすることが出来ませんでした!
鹿の語源
今さらですが、「鹿」とは何かを見てみましょうか。
(「めか(女鹿)」に対し牡鹿をいうとも)
引用 広辞苑
①ウシ目(偶蹄類)シカ科のニホンジカ。体長1.5メートルほどだが、北のものほど大きい。角は牡のみにあり、成長したものでは40センチメートルほど、毎年生えかわる。アジア東部に広く分布し、日本では北海道から沖縄まで生息するが、いくつかの亜種、または種に分けることもある。夏は褐色の地に白斑があるが、冬は一様に灰褐色となる。草食。神の使いとされ、神社に飼われることもある。秋、牝鹿を呼ぶ牡鹿の声は、詩歌に多く詠まれる。なお、シカ科の哺乳類には約40種があり、アフリカ以外の世界各地に分布、オーストラリアやニュー‐ジーランドには移入されている。か。しし。かせぎ。かのしし。
シカの角は雄シカ特有のものなんですよ!角は、雌鹿には生えないんです。そして、毎年3月頃になると自然に根元部分から脱落し、新しく生え替わりるって知っていましたか?
「神の使いとされ、神社に飼われることもある。」とあります。奈良公園の鹿は、春日大社に属している野生動物ということです。
最後に、上記で紹介した別名(か。しし。かせぎ。かのしし。)が4つ出ていますね。
ちなみに、鹿の角って販売されてますよ~。
雑学を二つほど。
- 鹿の雌は角が生えないといいましたが、トナカイはオスメス共にツノを持ちます。
- ウシ科の動物の角(洞角といいます)は、骨の芯を角質が覆っているため、生え替わらずに一生伸び続けます。
最後に、鹿の語源です。
古く、シカは「カ」といった。
引用 語源辞典 鹿
その「カ」に「シ」が付いた「シカ」がオス、「メ」が付いた「メカ」がメスを表した。
「シ」は「夫」を表す古語「セ」の転で、「メ」は「女」の意味である。
やがて、メスも「シカ」と呼ばれるようになり、オスは「ヲジカ(牡鹿)」、メスは「メジカ(牝鹿)」と呼ばれるようになった。
鹿肉の別名
さてさて、鹿の別名をザっと見て来たんですが、この章では、鹿は鹿でも、お肉、鹿肉の別名について見ていきます。
鹿肉の別名を何という?
鹿肉の別名は何というでしょうか?それは…。
もみじ
鹿肉がもみじと呼ばれる理由なんですが、「花札説」が有力です。
花札の10月の花札の絵柄は紅葉なんです。そして、この紅葉と一緒に描かれている動物が鹿なんですよ。ここから、鹿肉を「もみじ」と呼ぶようになったとされているんですなあ。
なぜ、こんな別名が付けられたのか?
それは、遡ること今から約330年前の江戸時代前期。江戸幕府第5代将軍である、あの徳川綱吉によって施行された「生類憐みの令」なんです。
このとんでもない政令によって、生き物を食べることが禁忌と見なされるようになってしまいました。
そこで、町民たちが苦肉の策として始めたのが、肉に別の名前を付けて目先を変えることなんですよ。
畜産を営む者は「さくら(馬肉)」や「かしわ(鶏肉)」、狩猟を生業にする者は「もみじ(鹿肉)」や「ぼたん(猪肉)」と肉を植物の名前で市場に流通させたんですね。
さすが、庶民たちは頭がいいぞ!と思います。
また、購買者である町民たちも、植物であると言い換えながら購入したんです。こうして、処罰の対象から逃れたんですね~!
これらが「肉の隠語」と呼ばれ、先のとんでも政令が廃止されたあとも広く使われ、現代まで受け継がれてきたというわけです。
「鹿肉の別名」では、他の獣肉の別名についても軽く解説しています。よろしければ、ご覧ください。
記事を終わる前に、おまけ情報として、海外では、どんな名称なのかを見ておきましょう。
海外ではどんな名前
世界の言葉では、「鹿」を何と言うか調べてみました。
言語 | スペル | 発音 |
---|---|---|
英語 | deer | ディア |
ドイツ語 | Reh | ライ |
オランダ語 | hert | ヘルト |
フランス語 | cerf | セーフ |
イタリア語 | cervo | セルボ |
スペイン語 | ciervo | ヒエルボ |
ポルトガル語 | cervo | セルボ |
スウェーデン語 | rådjur | ロージャ |
ノルウェー語 | hjort | ヨーチョ |
中国語(繁体) | 鹿 | ルー |
中国語(簡体) | 鹿 | ルー |
ロシア語 | олень | アイリン |
各国ともスペルも発音も異なっていますね!その中で、イタリア語とポルトガル語がスペルも発音もほとんど同じでした。
一覧を見てわかるように、スペルと発音が何か合っていないように思いました!
中国語は、表記は日本と同じ「鹿」でした。発音は「ルー」と聞こえましたよ。
ロシア語って、スペルは全く異質なのに、発音はヨーロッパの者に似た響きが多いという印象があるんですが、今回は独特でした。こんなこともあるんだと新鮮な気になりました~。
最後に
鹿の別名を見ていったら、驚くべきことに何と9つも挙がりました。
それぞれの別名について由来等の解説を加えました。いろんな名前で呼んでいたわけですが、その由来がわからないものが多く、言葉は失われていくんですね!
昔々、シカはカだったんですなあ。そこに「シ」がついたわけですが、「シ」=「夫」の意があるとは。必ず、それなりの理由があると関心致しました。
身近な言葉にも面白い別名があるか、この先も注意を図っていきまっせ。
※気づけば「別名」の記事も増えてきました
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