将棋の8冠達成者って誰?その答えと歴代全冠ホルダーを総特集!
将棋の藤井聡太竜王・名人(七冠)の充実ぶりは物凄いですね!将来は、八冠全冠制覇を成し遂げると言われていましたが、今年の9~10月には現実になるかもしれません。
このような状況なので、急ぎ筆を執ることにしました。
過去に、将棋タイトルの8冠達成者がいるのか、いないとしたら、それに近い成績を残した棋士がいるのかを、ファン歴5年でおこがましいですが、しっかり解説しようと思います。
過去の大棋士については、いくつか記事も書いていますので、併せて紹介しながら、有名棋士の状態を見ていただきます。
最後まで、ごゆっくりとお過ごしくださいね。
8冠達成者は過去に存在するのか
さて、将棋界では、過去に8冠達成者がいるのでしょうか?
8冠達成者は過去に存在するのか
2023年10月11日藤井聡太が達成しました!
この日、第71期王座戦第4局に勝利した藤井聡太竜王・名人(七冠)が王座を奪取し、将棋界で初めて8冠達成者となりました!
七冠を達成したのも、今回の藤井竜王・名人が史上二人目なんです。さらに、見ていくと、六冠達成者も同様です。
五冠達成者は、ちょっと増えますが、ほんの数人しかいませんでした。
以上、述べたように、将棋界で複数のタイトルを持った人間は数えるほどなのです。そもそも、将棋界でタイトルを獲得できる人が稀なんですよ。
将棋のタイトルは、2023年度時点で八つあり、8大タイトルと呼ばれています。
タイトルには序列があり、1位と2位は竜王戦と名人戦が並んでおり、この2つのタイトルは同格とされています。
以下、3位王位戦、4位叡王戦、5位王座戦、6位棋王戦、7位王将戦、8位棋聖戦となっています。
タイトルの記事については、次の2つの記事に詳しいので、是非、目を通してくださいね。
ですから、「8冠達成者はいるの?」なんて質問するのは簡単ですが、藤井竜王・名人が出てくるまでは夢のような話だったんですよ。
それを踏まえて、過去に大記録を打ち立てた棋士を見ていこうと思います。
8冠に限りなく近づいた羽生善治九段
去年(2022年)の王将戦で、52歳で挑戦者となった羽生善治九段は、過去に「8冠に限りなく近づいた」棋士なんです。
羽生善治九段の過去のタイトル獲得期は99期、とてつもない記録である永世七冠、誰もできると思っていなかったNHK杯10期獲得で得られる名誉NHK杯と記録を並べようとすると膨大な字数が必要です。
羽生善治九段は、過去に、7冠制覇を成し遂げています!じゃあ、8冠達成はできなかったんだと思うなかれ、その当時は叡王戦がなかったため、8冠を達成したくともできなかったんです。
7冠制覇イコール、タイトル全冠制覇だったのです!今回、藤井竜王・名人が8冠達成を成し遂げれば全冠制覇となるわけです。
1995年、羽生善治九段が7冠達成を成し遂げた時は、鬼神のように勝ちまくりました。
実は、7冠達成に王手をかけて臨んだ7冠目の王将戦ですが、神戸の大地震に遭遇した谷川王将(現・十七世名人)と闘い、3勝4敗で敗れ7冠制覇は不可能かと思われました。
しかし、何と羽生善治竜王・名人は、自身の持つ6冠全てを防衛し、王将戦でも挑戦者決定リーグを制覇して挑戦者となり、再び7冠をかけて谷川王将(現・十七世名人)の前に現れたんです。
この時の王将戦は4連勝で谷川王将(現・十七世名人)を破り、7冠達成者となりました!
この時の7冠フィーバーも凄かったな!
羽生善治九段は、この他にも、1993年、1998年~2001年、2004年、2008年、2014年、2015年に四冠を保持しています。1994年は6冠、1996年は5冠でした。
その他の有名複数冠棋士
初めに、現役棋士でタイルを獲得した棋士が何名いるのか見てみましょう。
2023年6月9日時点で、現役棋士は173名いますが、このうち、タイトルを獲得した棋士は29名でした。タイトルを獲得した棋士の割合は 16.8% です。
さて、引退した棋士を含めた、同時に複数のタイトルを獲得した棋士(いわゆる二冠とか三冠・・・)を探してみました。
参考:将棋のタイトル在位者一覧
№ | 棋士名 | 複数冠達成年 | タイトル数 | 全冠制覇 | 獲得タイトル名 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 升田幸三 | 1957年 | 3 | ○ | 名人、九段、王将 |
2 | 大山康晴 | 1962年 | 5 | ○ | 名人、棋聖、王位、十段、王将 |
3 | 中原誠 | 1977年 | 5 | – | 名人、棋聖、王位、十段、王将 |
4 | 米長邦夫 | 1983年 | 3 | – | 棋聖、王将、棋王 |
5 | 高橋道雄 | 1986年 | 2 | – | 王位、棋王 |
6 | 南芳一 | 1987年 | 2 | – | 棋聖、王将 |
7 | 谷川浩司 | 1991年 | 4 | – | 棋聖、王位、竜王、王将 |
8 | 羽生善治 | 1995年 | 7 | ○ | 名人、棋聖、王位、王座、竜王、王将、棋王 |
9 | 森内俊之 | 2003年 | 2 | – | 竜王、王将 |
10 | 佐藤康光 | 2003年 | 2 | – | 棋聖、棋王 |
11 | 久保利明 | 2009年 | 2 | – | 王将、棋王 |
12 | 渡辺明 | 2012年 | 3 | – | 竜王、王将、棋王 |
13 | 豊島将之 | 2019年 | 2 | – | 棋聖、王位 |
14 | 永瀬拓矢 | 2019年 | 2 | – | 叡王、王座 |
15 | 藤井聡太 | 2023年 | 8 | ○ | 棋聖、王位、叡王、竜王、王将、棋王、名人、王座 |
複数冠を何度も成し遂げている棋士の場合、複数タイトル数が一番多い年を挙げています。
上位4名が引退棋士ですので、複数冠を獲得した現役棋士の割合はぐっと下がります!
2023年6月9日時点で、現役棋士は173名いますが、複数冠を手にした棋士は11名!その割合は 6.4% でした。
さて、複数冠と言いましたが、現役棋士で全冠制覇及び四冠以上獲得の棋士をみてみましょう。
2023年6月9日時点で、現役棋士は173名のうち、羽生善治九段、谷川浩司十七世名人、藤井聡太竜王・名人のたったの3名しかいません!
その割合は わずか1.7% に激減します!
現役では3名でしたが、全冠制覇ないし四冠以上獲得の棋士となると、引退棋士を含めても、上述の羽生善治九段の他は下記の五名しかいないんですよ!
升田幸三
1957年に名人、九段、王将の3つのタイトルを全冠制覇しました。この当時は、この3つのタイトルしかなかったんですよ~。
升田幸三は、数々の新手を編み出し、数奇なエピソードも相まって人気があった棋士です。
現在、創設されている「升田幸三賞」は、新手・新構想を初披露または一流の戦術に昇華させ、定跡の進歩に貢献した者に与えられます。
升田幸三は、名言をかなり残されております。下記の記事でご覧ください。
大山康晴
言わずと知れた十五世名人です。数々の記録を打ち立てています。
1960年、1961年と、当時あった4つのタイトル、名人、王位、九段、王将を全冠制覇しています。
さらに、翌年の1962年から1966年には、棋聖戦が5つ目のタイトル戦となりましたが、名人、棋聖、王位、十段(九段戦が十段戦に改称)、王将を全冠制覇し続けたんですから驚きです。
その後も、1967年、1969年、1970年と四冠を保持しました!
大山康晴については、記録を中心に記事にしていますので、こちらをご覧ください。
中原誠
大山に続く第十六世名人です。大山康晴に続く名人在位記録を持っています。
中原は、全冠制覇こそ成しえなかったものの、四冠、五冠を達成しています。
全部で5つのタイトル戦(名人、棋聖、王位、十段、王将)のうち、1972年:名人、棋聖、十段、王将、1974年~1975年:名人、王位、十段、王将の四冠を達成しています。
さらに、1976年に棋王戦がタイトル戦となり、6タイトルのうち、1976年:名人、王位、十段、王将の四冠、1977年:名人、棋聖、王位、十段、王将の五冠、1978年:名人、棋聖、王位、十段、の四冠、1979年:名人、棋聖、十段、棋王の四冠を達成しているんです。
谷川浩司第十七世名人
中原誠に続く第十七世名人です。高速の寄せで一世を風靡しました。今回、藤井聡太名人が名人最年少記録を更新しましたが、その前の記録保持者だった棋士です。
谷川浩司第十七世名人も、1991年に、七冠のうち、棋聖、王位、竜王、王将の四冠を保持しました。
羽生善治九段の項でお話しましたが、一時は、羽生善治の七冠達成を阻止したんですが、翌年再び登場した羽生善治に敗れ、無冠に転落してしまいました。
それでも、そこから復活し、名人、竜王を羽生から奪還する活躍を見せました。
藤井聡太竜王・名人八冠達成(2023年10月11日)
第71期王座戦第4局で、藤井聡太竜王・名人が永瀬拓矢王座を3勝1敗で破り王座を奪取しました。
これにより、藤井聡太竜王・名人は、夢の八冠(竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖)達成です。
2020年に、棋聖、王位を奪取して二冠、2021年に獲得したタイトルを両方防衛、叡王、竜王、王将を奪取して五冠、2022年に五冠を堅守し棋王を奪取し六冠、2023年に叡王防衛、名人奪取で七冠と足早に全冠制覇へと進んでいます。
さらに、2023年8月4日王座戦挑戦者決定トーナメント決勝で勝利し、挑戦権を課獲得しました。王座を奪取すれば、八冠達成者が誕生します!
2023/8/31王座戦が開幕、初戦、藤井竜王・名人は先手でしたが、悔しい逆転負けで初戦を飾れませんでした。
しかし、上述したように、夢の八冠達成は2023年10月11日に実現されました。
既に示したものですが再掲します。七冠までの歩みを紹介しています。
棋聖戦2023年、王位戦2023年の記事です。
タイトル総なめの後は、永世位獲得にまい進するわけです。話題は、まだまだ続きますなあ!
今の夢想状態の藤井竜王・名人なら、永世八冠も成し遂げてしまうかもしれませんよ!
最後に
将棋界は、藤井聡太竜王・名人の8冠達成が成るか、皆、固唾を飲んで見守っていますが、8冠達成者が過去にいたのかどうかを解説しました。
8冠達成者は、過去、存在していません。
そこに、一番近い棋士だった羽生善治九段の七冠制覇の時代を見てみました。羽生七冠誕生時は、叡王戦がなかったので、8冠はありえなかったんですね。
その他、過去に、全冠制覇した棋士、四冠獲得の棋士を洗い出してみました。
■思えば、将棋の記事も増えてきましたね!
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