にんべんに十と書く什!読み方から意味・名前の使われ方まで総特集
この文字を最初に見た時は、読むことが出来ませんでした。簡単な文字なんですけどね。
たしか「什器」だったと思います。何に書いてあったか、今となっては全然思い出せないんですけど。
今回の主役は、この言葉の初めの文字である「什」です。上述したように、簡単な表記ですよね。
にんべんに十と書いて「什」、わずか4画の漢字です。
漢字について解説を行っていますが、今回はシリーズから離れて、にんべんに十と書く什の読み方から意味・名前の使われ方までを総特集します。
ご一緒に最後までご覧になっていって下さい。
にんべんに十と書く什!漢字の読み方や全体像をまずはチェック
最初に、什の意味と読み方を明確にしましょう。
什の読み方と意味
什
画数 :4画
音訓:ジュウ
意味
①昔の軍隊の編制で、十人一組の単位のこと。②秦(シン)の制度で隣組の組織を成す十軒のこと。③「詩経」の雅・周頌で、十編で一巻をなすひとまとまり。転じて、詩編のこと。④数多い物品。⑤近世の俗語では「なに」という疑問詞を、「什麼(シ゛ュウマ)・(ソモ)・(イカン)」と書く。⑥姓の一つ。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
「什」の音読みは「ジュウ」で、訓読みはありません。
意味は6つあります。
①②は軍隊と組織の制度の単位を示しています。「什伍」という言葉があり、「十人一組五人一組の部隊」「十軒一組五軒一組の隣組の組織」を表すようです。
④では、什器、什物という言葉が挙げられています。それぞれの意味を如何に示します。
- 什器(じゅうき):日常使用の家具・道具。什物。
- 什物(じゅうもつ):①日常用いる器具。特に、寺院や僧団の所有する種々の資具。什器。②由緒のある秘蔵の宝物。什宝。
什物は、日常使用の器具の意味の他に、秘蔵の宝物もあるんですね。
姓の一つとあるので、中国には「什」さんがいます。
什の書き順を見てみましょう!
この漢字の書き順は簡単ですね。4画しかありません。
もっと詳しく知ろう!什の漢字としての由来や成り立ち
什の字源を見ておきます。
什=「十(ジュウ・多くのものを一本に合わせる⇒十)」+「人(ひと)」(形声※)。十人を表す。
引用 上級漢和辞典 漢字源 学研
形声とは、漢字の六書(リクショ)の一つ。発音を表す文字と、意味を表す文字とを組み合わせて、新しい文字を作る方法。
「十」+「人」で十人、そのまんまじゃないですか!
十というのは、もと|印で書き表わしていたんです。|は、多くのものを一本にあわせたさま。
次の章では、「什」のつく言葉を見ていきましょう。
什のつく言葉
什のつく言葉を集めてみました。
什のつく言葉 | 読み | 意味 |
---|---|---|
什一 | シ゛ュウイチ・シ゛ュウイツ | ①十分の一。②収穫の十分の一の租税。③商売で、十分の一の利益。 |
什器 | シ゛ュウキ | {什具(シ゛ュウク゛)}日用の器具。 |
什伍 | シ゛ュウコ゛ | ⇒什五。①十分の五。半分。②昔の軍隊で、十人一組または、五人一組の部隊のこと。③秦(シン)代、十軒一組または、五軒一組の隣組の組織のこと。 |
什襲 | シ゛ュウシュウ | 十重に重ねる。幾重にも包んでたいせつにしまっておくこと。 |
什長 | シ゛ュウチョウ | 兵制で、兵卒十人のかしら。 |
什伯之器 | シ゛ュウハクノキ | いろいろな道具。▽一説に、普通の人以上の才能。 |
什佰 | シ゛ュウヒャク・シ゛ュウハク | ⇒什伯。①十倍と百倍。②十人(=什)または百人(=佰)の兵卒の組織。 |
什物 | シ゛ュウフ゛ツ・シ゛ュウモツ | ①㊀(シ゛ュウフ゛ツ){什宝(シ゛ュウホウ)㊁}日用の器物。②㊁(シ゛ュウモツ)《日本語での特別な意味》秘蔵の宝物。 |
たくさん並びましたが、知っているのは冒頭で述べた「什器」だけですね。
「什一」と「什伍」があって、それぞれ「十分の一」「十分の五」を表していますが、「什二」、「什三(参?)」・・・と九まであるんですかね?
什の掟
什といえば、この「什の掟」は知っておいて損はないでしょう。
NHK[八重の桜」で出てきた「ならぬことはならぬものです」は、什の集まりで話される「什の掟」の最後に厳格に教戒される言葉だったそうです。
旧会津藩士には、子ども自らによる幼児教育グループ「什」がありました。
会津藩では、町ごとに6歳~9歳までの男の子の子供達で、「什(じゅう)」と呼ばばれる10人前後のグループを作っていました。
什の意味に、「軍隊の編制で、十人一組の単位」とありましたが、会津藩でもそういう組織を作っていたんですな。
この什は、日新館入学前の幼児教育の場で、会津武士の「心構え」を身につけさせるのが目的でした。
次の章では、「什」を名前に使われる場合のポイントを簡単に述べておきます。
名前に使われる際のポイントは
表題を挙げといてなんですが、「什」という漢字は、人名漢字ではありません!
従って、名付けには使えないんです。
代りに名字を見に行きましょう。
なんと、「什」一文字の苗字はなく、「什」に他の漢字をつけた苗字も見つかりません!
これは、以前アップした「さんずいに西の洒」「さんずいに心の沁」「さんずいに木の沐」と同様です!
さんずいに簡単な漢字をつけてできる文字(洒・沁・沐)とか画数の小さな漢字は、名前、苗字も存在しないようです。
何か裏があるんですかねエ~。
以下に、今述べた、それぞれの記事を紹介します。
最後に
今回の漢字は、わずか4画の漢字でした。
意味は6つあったんですが、昔の軍隊や組織の制度の単位など、余り馴染みのあるものはなかったですね。
今回は、什のつく言葉がたくさん出てきましたが、恥ずかしながら、知っていたのは「什器」だけという体たらくでしたな。まあ、いつものことですが…^^;
名付け、苗字も見つからず、記事中に書いたとおり、さんずい+簡単な漢字で出来る表記(洒・沁・沐)や今回の什のような画数の小さな漢字は名前等に向かないようでした。
次回をお楽しみに。
※気づけばにんべんの記事も増えてきました
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