吉の下が長い𠮷を総特集!読み方から両者の違い・入力の仕方まで
先日、「吉野家」のロゴを見ていて気づいたんですが、吉野家の「吉」って、吉の下が長い「𠮷」だったんですね。機会があれば確認してください。
余り注意してみていないんで、ちょっとビックリですな。
この吉の下が長い「𠮷」って「つちよし」と呼ばれているんですね。
ちょっと変わった漢字なので、前に記事にした「㐂」と同様に見ていきたいと思います。
即ち、この「𠮷」について、その読み方や意味や「吉」との違い、「𠮷」に出会えるシーン、この漢字を入力するのにスマホ(Android)・パソコンで何をすればいいかを解説します。
それでは、ご一緒に内容を見ていきましょうか。
吉の下が長い𠮷!漢字の読み方や全体像をまずはチェック
最初に、𠮷の意味と読み方を明確にしましょう。
𠮷の読み方と意味
𠮷
画数 :6画
【吉】の異体字
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
この「𠮷」は「吉」の異体字なんですよ。
異体字※
引用 コトバンク 異体字
漢字の字体のうち標準字体以外のもの。異体文字、別体字、変体字ともいう。・・・通常は漢字のみをさす。分類は・・・一定しないが、(1)略字(2)合字(3)分字(4)古字(5)俗字(6)譌(か)字などが考えられる。
「吉」を見ておきます。
吉の読み方と意味
吉
画数 :6画
音訓:キチ よ・い(日本語だけ)キチ キツ よし
意味
①{形容詞・名詞}よ・い(よし)。めでたいさま。さいわい。めでたいこと。▽もと占いのことば。《対語》⇒凶。「吉日」②(キツナリ){形容詞}よ・い(よし)。願わしくてよいさま。けっこうである。「吉礼」③「初吉(ショキツ)」とは、一日(ついたち)のこと。④姓の一つ。
日本語だけの意味・用法
(音訓)キ よろこ・ぶ
先程述べたように、この漢字「𠮷」ですが、「吉」の異体字なんですね。
「吉」=「士(かぶせる蓋)」+「口(入れ物)」(会意)。
容器に物を詰め込んで蓋をする情景なんです。「中身がいっぱい詰まる」「満ちる」というイメージから、幸運がいっぱいあってすばらしいということを暗示させる文字なんですね。
「吉」には、「吉祥(きっしょう)」、「吉兆(きっちょう)」、「吉報(きっぽう)」など、良いことにつながる言葉も多いですよね。
「吉(𠮷)」さんという、めでたい姓もあるようです!
「吉」と「𠮷」の違い
さて、この章では、「吉」と「𠮷」を確認します。
【結論】
「吉」と「𠮷」ですが、これらは単なる字体の差に過ぎません。
ですから、吉の下が長い「𠮷」の読み方及び意味は「吉」と全く同じなのです。
つまり、「吉」と「𠮷」の音読みは「キチ」、訓読みは「よ・い」、そして、日本語だけの読みとして「キチ」「キツ」「よし」があるんです。
同様に、「吉」と「𠮷」の意味は上記にあるように4つの意味を持っているんです。
大きな違いは、「吉」は常用漢字ですが、「𠮷」はそうではないということです。
ですから、漢字自体は同じ内容を表しますが、「吉」は常用漢字ですが、「𠮷」は俗字であるため、公用文書では「吉」しか使うことが出来ません。
字体について
もう少し詳しくいうと「吉」は旧字体です。そして、上記「吉の下が長い𠮷!漢字の読み方や全体像をまずはチェック」で見た通り、「𠮷」は異体字(新字体、俗字)です。
これらの○○字体、△△字を一覧にしたので見てください。
字体 | 読み | 意味 |
---|---|---|
旧字体 | きゅうじたい | 1949年の「当用漢字字体表」が告示される前に使用されていた漢字。いくつかの例をあげると「國(国)」「澤(澤)」「學(学)」「應(応)」「鐵(鉄)」(カッコ内は新字体)等、画数が多くて複雑な漢字が多い |
異体字は | いたいじ | 音と意味が同じで形が違う漢字 |
新字体は | しんじたい | 古くから使われていた形を改めて、新たに用いられるようになった字体 |
俗字は | ぞくじ | 正字(正式の字体)に対し、正式ではないが世間一般で広く行われている字体 |
「吉」は複雑な漢字ではないんですが旧字体です。
「𠮷」は「吉」の異体字(俗字)で、もともと、広く世間で使われていたんですね。
有名な話では、内閣総理大臣の「吉田茂」の表記が変わったことがあげられます。
1949年に「当用漢字字体表に関する内閣告示」で、ずーーと使われていた「𠮷田茂」が、公式には全て「吉田茂」に変更されたんですよ。
次の章では、吉の下が長い「𠮷」と出会えるシーンを探してみました。
吉の下が長い「𠮷」と出会えるシーン
この「𠮷」ですが、日常生活で見かけるものを探してみました。
牛丼の「𠮷野家」
一番有名なのは、なんといっても牛丼の「𠮷野家」の「𠮷」でしょう。
何故、土吉の「𠮷」名のでしょうか?
yahoo!知恵袋に、こんな答えがありました。
吉野家の発祥は大阪府の吉野町というところです。(現在は福島区吉野になっています。)
引用 yahoo!知恵袋
昔は登記簿が手書きだったためよくこういったことがあり、看板の吉の字は(つちよし)というものです。
吉野家お客様相談室に確認してみました。
先ず「字」の由来としては、 創業時より使用し、1899年に創業者の松田栄吉が「𠮷野家」 (𠮷は土+口の組み合わせ)の名前で登記しました。
引用 株式会社 吉野家 お役様相談室
なぜ「𠮷」を採用したかは明らかになっていませんが、おそらく、明治以降に登記の制度が開始し、 松田が登記した創業時は土+口の組み合わせの「𠮷」で登記 できたからだと思います。
その後、昭和20年代に常用漢字を制定する際、「𠮷」は制定 とならなかった漢字の一つであるため今は「吉」の方が一般 的に感じますが、 明治時代はこの感覚が異なっていたのかも知れません。
次に「𠮷野家の屋号」由来ですが、 創業者の松田栄吉が吉野の桜が大好きだったから、吉野の字 を使って吉野家としたと言われております。
株式会社 吉野家 お役様相談室様、ご回答ありがとうございました。
なるほど、創業時の登記で「𠮷」を使っていたんですね。この時は、「𠮷」の字が登記可能だったわけです。
明治時代は「𠮷」の字も今と違い、一般的だったようです。
吉野家の吉野が、あの有名な「吉野の桜」からだったとは初耳ですし驚きです。
上記の総理大臣の話と同じわけですな。
名字(名字)で見かける「𠮷」
あと「𠮷」をよく見るのは名字(苗字)ではないでしょうか?
𠮷、𠮷田、𠮷原、𠮷廹、𠮷栖、𠮷野、𠮷村、有𠮷、𠮷本などの姓があるようです。
いつも、お世話になっている名前由来netで、それらの順位や人数を見ておこうと思ったんですが、上記の名字は、ほとんどが調査中でした。
唯一、「𠮷廹」さんの人数が表示されておりました。
【名字】𠮷廹
【読み】よしさく
【全国順位】 調査中
【全国人数】 およそ10人
参考 名前由来net
日本のプロボクサーで、第50代日本バンタム級、元WBC世界バンタム級王者。愛称は浪速のジョーだった辰吉丈一郎のツイートに、次の内容がありました。
辰吉丈一郎の「吉」は、正確な表記「𠮷」(「土」の下に「口」、つちよし)である。また「丈」の正確な表記は「𠀋」であり、右上に点がある。
引用 辰吉丈一郎公式
辰吉丈一郎の正確な表記には「𠮷」が含まれていたんですな!
次の章では、「𠮷」をパソコンやスマホで入力する際の方法をお知らせしますよ。
𠮷を入力するのにスマホ・パソコンで何をするか
さて、この「𠮷」を入力するには、スマホ及びパソコンでは何をすればいいでしょうか?
「𠮷」を入力するには
スマホ
色々と挑戦したんですが、変換で「𠮷」を出すことはできませんね。
どうやら、この漢字は登録されていないと思われます。
ですので、どこかのサイトから「𠮷」をコピーして貼り付けるか、頻繁に使うようなら、単語登録しちゃいましょう。
単語登録しちゃえば、登録した読みを入力することで、簡単に呼び出せるようになります。
パソコン
テキストエディタなどで「よし」と入力して変換しましょう。
変換候補に「𠮷」が現れますので選択すれば完了です!「きち」変換でも変換候補に現れます。
スマホでは、パソコンで言う環境依存文字(=機種依存文字)を表示するのは、ちょっと面倒くさいですね。
機種依存文字とは、電子的に扱う文字データのうち、利用するパソコンやスマートフォン等の環境によって文字化けや全く表示できなくなるものをいいます。
引用 機種依存文字について
それでは、上記に示したスマホ、パソコンで、「𠮷」を表示する方法を解説していきます。
𠮷を入力するスマホの手順
次の2つのやり方を解説します。
- サイトから「𠮷」をコピーして貼り付ける
- 単語登録する
それぞれのやり方を順に解説します。
サイトから「𠮷」をコピーして貼り付ける
検索窓に「𠮷」を貼り付ける方法を示します。
- 検索窓に「吉 下が長い」
- 検索窓に「吉 下が長い」と入力して検索を開始します。
- 𠮷をコピー
- 検索結果が表示されたら、𠮷を見つけてコピーしましょう。
今回、「𠮷」のみコピーしたかったんですが、よけいな文字も合わせてコピーせざるを得ませんでした。
- コピーした「𠮷」を入力
- 今コピーした「𠮷」を入力してみましょう。60爺は、検索窓で長押して「貼り付け」が出来る状態にします。「貼り付け」を押します。
- 「𠮷」を含む文字列が表示
- 先程コピーした「𠮷」を含む文字が貼り付けられます。
- 「𠮷」入力完了
- いらない文字を削除して「𠮷」の入力が完了しました。
単語登録するので、この𠮷をコピーしておいてください。
単語登録する
「𠮷」を単語登録する手順です。
なお、スマホは、オウガジャパンのOPPO A73です。
単語登録は「Gboard」の中にある「単語リスト」に単語を登録します。スマホによって「単語リスト」は、どこにあるかまちまちですが、「Gboard」で検索すると見つけやすいかもしれません。
heiweiでは、設定>システム>言語と文字入力>「Gboard」でした。
「𠮷」の登録手順
- 「設定」をタップ
- 始めに、「設定」をタップします。
- 「その他の設定」をタップ
- 設定画面の下の方にある「その他の設定」をタップします。
- 「キーボードと入力方式」をタップ
- 「その他の設定」画面で「キーボードと入力方式」をタップします。
- 「Gboard」をタップ
- 「キーボードと入力方式」画面で「Gboard」をタップします。
- 「単語リスト」をタップ
- 「設定」画面になりますので「単語リスト」をタップします。
- もう一度「単語リスト」をタップ
- 「単語リスト」画面になりますので、その下にある「単語リスト」をタップします。
- 「日本語」をタップ
- 「単語リスト」画面で「単語リスト」が「日本語」に変わるので、その「日本語」をタップします。
- 「+」をタップ
- 単語登録画面にやってきました。上にある「+」をタップします。
- 単語とよみ:の入力画面
- 単語と読みの入力画面にやってきました。単語には、今回登録する「𠮷」を、よみには呼び出す際の読みを入力します。
- 単語とよみ:の入力画面
- 先程コピーした「𠮷」を貼り付けるましょう。よみ:には「きち」を入力しました。
- 登録完了
- 単語登録画面に戻ると、𠮷が登録されていることがわかります。
「𠮷」の入力
それでは、今、登録した「𠮷」を呼び出してみましょう。
- 検索窓に「きち」
- 検索窓で、先程単語登録した際に、よみ:に設定した「きち」を入力します。
- 変換候補に「𠮷」
- 変換候補に「𠮷」が表示されています!これをタップします。
- 「𠮷」入力完了
- 「𠮷」が表示されました!
以上で、スマホでの「𠮷」を入力する手順を示しました。
次の章では、パソコンで「𠮷」を入力する手順を見ていきましょう。
𠮷を入力するパソコンの手順
それでは、「𠮷」を入力するパソコンでの手順をみていきましょう。
- テキストエディタを起動
- 初めに、テキストエディタを起動します。60爺は「秀丸」を使います。
- 「よし」と入力
- 「よし」と入力します。すると、候補が一覧で出てきます。
- 「変換」を数度押下
- 「変換」を数度押下すると、候補がずらっと表示されます。つちよし「𠮷」が候補の中に現れましたね。
この「𠮷」を選択します。
- 「𠮷」入力完了
- こうすることで、「𠮷」を検索できました。
パソコンでは、容量が大きいのか「𠮷」は既に登録されているため、スマホに比べ簡単に表示させることが出来ました。
最後に
「𠮷」について、その読み方や意味、そして、この漢字を入力するのにスマホ・パソコンで何をすればいいかを解説しました。
「𠮷」は「吉」の異体字でした。
この漢字、冒頭で言った「𠮷野家」の「𠮷」でした。苗字にもあるようですが、60爺は出会ったことがないですな。
この漢字、特殊ですので、スマホ、パソコンでどう出すかについて述べています。結局、以前の記事「㐂」で述べた方法を取らないと出せないことがわかりました。
やはり、スマホでは入力が面倒くさかったですね!
■追記 㐂、髙、𠮷をスマホで使う場合の記事です。
※思えば「打ち方・出し方」の記事も増えてきました
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