草冠に孤と書いて菰!読み方から意味・名前での使われ方まで総特集
池波正太郎の鬼平犯科帳だったか剣客商売だったか忘れましたが、その中で、「お菰さん」という言葉が出ていたことを覚えています。
なぜ、こんなことを言うのかというと、この漢字「菰」は、草冠に○○シリーズにピッタリの漢字だからです。
この漢字ですが、よーく見ると、「草冠に孤」(孤は「孤立(こりつ)」で使われます)なんですね。
こういうことで、この草冠に孤の「菰」について、読み方から意味・書き順、そして、名前での使い方まで総特集したいと思います。
それでは、ご一緒に内容をみにいきましょう。
草冠に孤といえば菰!漢字の読み方や全体像をまずはチェック
最初に、菰の意味と読み方を明確にしましょう。
菰の読み方と意味
菰
画数 :12画
音訓:コ まこも こも
意味
まこも。こも。草の名。イネ科マコモ属の多年草。水辺に自生。葉はむしろを編むのに用いる。秋に花が咲き、実がなる。実は食用となり、昔は六穀の一つ。マコモ。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
「菰」の音読みは「コ」で、訓読みは「まこも」「こも」の2つです。
冒頭の小説の中でのセリフ「お菰さん」は、「おこもさん」と読むと思われます。
意味はひとつだけあって、草の「マコモ」を指しています。
別名は、茭(コウ)・蔣(ショウ)。「菰米(コヘ゛イ)」と書いてマコモの実を表します。
現在、福井県他休耕田を利用して「マコモダケ」(2m近くまで成長したマコモに黒穂菌の一種が寄生し、茎部が肥大したもの)を収穫するのに栽培されているようです。
菰の書き順を見てください。
この漢字は一見、複雑そうですが、草冠を書いてから孤(子、瓜)を書くので、書き順を覚えるのは、そんなに難しくないでしょう。
もっと詳しく知ろう!菰の漢字としての由来や成り立ち
意味にあったように、葉っぱで、「むしろ」を編むのに使ったようです。
現在、菰(むしろ)は稲わらで編むことが 一般的なようですが、マコモで編むムシロが 真のムシロであることから、 真菰(まこも)といわれるそうです。
菰の解字です。
菰=「孤(コ・まるくて小さい、小つぶ)」+「艸(くさ)」(形声)。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
形声とは、漢字の六書(リクショ)の一つ。発音を表す文字と、意味を表す文字とを組み合わせて、新しい文字を作る方法。
丸くて小さい実がなる草を表していたと考えられます。
菰ってどんな植物?
マコモはどんな植物なのでしょうか。
最初に、マコモの花言葉を見つけようとしたんですが、残念ながら見つけることが出来ませんでした。
マコモは、既に述べたようにイネ科マコモ属の多年草で、 葦(アシ)や蒲(ガマ)の仲間と言われ、別名「ハナガツミ」です。
マコモは、東アジアや東南アジアに分布しており、日本では古く「万葉集」や「古事記」に登場し、「神の宿る草」と呼ばれてきました。
- 出雲大社のご本殿と瑞垣内摂社のしめ縄は真菰で出来ている
- 神田明神などでは、マコモで編んだ茅の輪をくぐる夏越の祓が行われる
- お釈迦様はマコモでムシロを編み病人の治療をしたともいわれる
マコモは、紫黒色の実をみのらせ、かつては六穀の一つと言われていました。
ネイティブアメリカンは、アメリカマコモ(北米大陸の近縁種)を「ワイルドライス」として今も食べています。
このワイルドライスは、1977年にミネソタ州の州の穀物(state grain)に指定されています。
なお、上述した「マコモダケ」ですが、クセがほとんどなく、柔らかい筍のような歯ざわりがあります。
ほのかな甘味と、かすかにとうもろこしのような香りがします。中国料理ではよく使われている食材の1つです。
名前に使われる際のポイントは
「菰」ですが、人名漢字ではありません!ですので、名付けに使用することは出来ません。
当然ですが、60爺ベスト3はお休みです。
そこで、名前が付けられないときは苗字ということで、「菰」のつく苗字を見てみます。最初に、「菰」さんがいるのか見てみましょう!
残念!「菰」さんですが、日本にはいないようですな!
じゃ、「菰」に別の漢字をつけた方がいるかなと思って探しました。すると、そこそこ見つかりましたよ。その中で、ちょっと変わった「菰千葉」さんを見てみましょう。
【名字】菰千葉
【読み】こもちば
【全国順位】 96,579位
【全国人数】 およそ10人
珍しい苗字だと思ってみたところ、全国順位が96,579位で、人数も およそ10人ですよ!
今まで見てきた中で、この順位は一番大きい順位だと思います。
過去に見てきた名字も、皆、およそ10人なんですよね。この人数、一桁だと思います。
では、この10人が、どの都道府県にいるのか見てみましょう。
菰千葉さんは、千葉県ではなく徳島県に住んでいらっしゃるんですな。他の都道府県には、きっと、いらっしゃらないのでしょう。
その他、見つかった苗字はこちらです。
菰池(こもいけ)、菰生(こもう)、菰岡(こもおか)、菰方(こもかた)、菰口(こもぐち)、菰沢(こもざわ)、菰敷(こもしき)、菰下(こもした)、菰島(こもしま)、菰田(こもだ)、菰千葉(こもちば)、菰西(こもにし)、菰野(こもの)、菰原(こもはら)、菰淵(こもぶち)、菰渕(こもぶち)、真菰(まこも)
読みは「こも」一択でした。
それにしても、菰(こも)のつく名字はいっぱいあるんですね。
最後に
草冠に孤で菰の読み方と意味について述べてきました。
意味は、1つのみで、「マコモ」のことでした。昔は、これの葉でムシロを編んでいたようですが、現在では、福井県他休耕田を利用して「マコモダケ」を栽培しているようですな。
このマコモですが、昔からある植物で、「万葉集」や「古事記」にも登場し、「神の宿る草」と呼ばれてきたんですよ。現在でも、出雲大社のご本殿と瑞垣内摂社のしめ縄は真菰でできていることがわかりました。
人名漢字ではなかったので、苗字を見てみたら、それなりの数のモノが見つかりました。
※気づけば草冠の漢字の記事も増えてきました
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