金へんに秋と書いて鍬!読み方から意味・名前での使われ方まで総特集
現役時代に総務に「くわた」さんがいました。
てっきり「桑田」さんだと思っていたんですが、実は漢字が違いました。
その漢字は「鍬田」だったんです、この難しそうな漢字ですが、金へんに秋と書くんですよ。始めて見た感じでした。
今回は、この思い出した漢字を題材に、金へんに秋と書いた「鍬」について、読み方から意味・書き順、そして、名前での使い方まで総特集していきます。
それでは、ご一緒に最後までお付き合いください。
金へんに秋といえば鍬!漢字の読み方や全体像をまずはチェック
最初に、鍬の意味と読み方や全体像をチェックしましょう。
鍬の読み方と意味
鍬
画数 :17画
音訓:シュウ ショウ(日本語だけ)くわ
意味
①匙形をした器具。土を掘るもの、火をすくうもの、薬をすくうものなど。 ②小さいスコップ。
日本語だけの意味・用法
くわ。平たい鉄に柄をつけた農具。田畑を耕すのに用いる。また、くわの形をしたもの。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
「鍬」の音読みは「シュウ」「ショウ」で、訓読みはありません。日本語だけの訓読みで「くわ」があります。
意味は2つで上述の通りです。
①について「火鍬(カショウ)」という例が出ていましたが、この言葉は国語辞典にも漢和辞典にも存在しません。ただ、別名の「十能(シ゛ュウノウ)」は広辞苑にあり、「炭火を盛って運ぶ道具。金属製で、木の柄がついている。火掻き。」の意でした。
日本語だけの意味で「くわ」があります。こんな道具です。
この漢字の書き順を見てみましょうか。
この漢字の画数は17画もあります。書き順は金へんを書いてから秋を書けばいいんです!間違えそうな箇所は無いでしょう。
もっと詳しく知ろう!鍬の漢字としての由来や成り立ち
鍬の字源です。
鍬=「秋(シュウ 引き締まる)」+「金(金属)」(形声)。秋は「引き締まる」というイメージがあり、「上下の幅が締まって薄い」というイメージに転化。鍬は薄く平らな鉄板に柄をつけた工具を示す。「くわ」は日本的展開。
引用 上級漢和辞典 漢字源 学研
形声とは、漢字の六書(リクショ)の一つ。発音を表す文字と、意味を表す文字とを組み合わせて、新しい文字を作る方法。
上記の情景から、人を捕まえて自由を奪うことを暗示させているんですね!
この漢字は、「区」「局」(狭いわく)と同系です。
鍬のつく言葉
この章では、鍬のつく言葉をみていきたいと思います。
鍬のつく言葉 | 読み | 意味 |
---|---|---|
鍬下 | クワシタ | 荒地を開墾して田畑とするまでの期間。 |
鍬形 | クワガタ | ①(古代鍬の形に似ているからとも、慈姑くわい形の意ともいう)兜かぶとの前立物まえだてもの。古くは2本平行し、鎌倉の末から慈姑の葉のように末開きにして根を眉庇まびさしにつけた。金銅こんどうまたは煉革ねりかわでつくる。②鍬形金の略。太刀の頭および鐺こじりを鍬形1に似せてこしらえたもの。③紋所の名。鍬形1にかたどったもの。 |
鍬形虫 | クワガタムシ | クワガタムシ科の甲虫の総称。体はやや平たく、頭部大きく、雄の大顎は鍬形状を呈する。コクワガタ・ノコギリクワガタ・ミヤマクワガタなど。クヌギ・ナラ・ヤナギなどの樹液を好む。幼虫は朽ち木などの材部を食う。 |
鍬初め | クワハジメ | 新年に耕作・土工などを始める儀式。くわぞめ。 |
鍬入れ | クワイレ | ①農家で正月の吉日に、吉方(えほう)に当たる畑に初めて鍬を入れ、餅または米を供えて祝うこと。田打正月。鍬初め。 ②土木・建築の地形(じぎょう)や植樹などの時、初めて鍬を入れること。また、その儀式。 |
黒鍬 | くろくわ | ①鍬の一種。柄えは短く、角度大きく、構造は堅牢で、土工やかたい土を掘り起こすのに用いる。久六鍬きゅうろくぐわ・くろくぐわ。 ②戦国時代、軍陣の土普請や陣中の雑役に従った人夫。黒鍬者。 ③江戸時代、江戸城内の警備・防火・土普請・掃除などに使役され、将軍の外出の際に荷物を運搬した人夫。組に分け、黒鍬頭・組頭を置いた。 |
鋤鍬 | スキクワ | すきとくわ。農具の総称。 |
唐鍬 | トウグワ | 刃部を全部鉄で造り、木の柄をはめた鍬。打鍬として開墾・根切りなどに使用。 |
踏鍬 | フミグワ | 鍬頭を片足でふんで突きさし土を返す、鋤に似た形状の鍬。 |
馬鍬 | マグワ | 農具の一種。長さ約1メートルの横木に約20センチメートルの鉄製の歯10本内外を植え、これに鳥居形の柄をつけたもの。牛馬にひかせて土を砕いたりならしたりするのに用いる。まんが。 |
馬鍬 | マンガ | マグワの訛。〈日葡辞書〉 |
参考:広辞苑
今回は、物凄く多いですな!
この漢字を使った言葉が、国語辞典にたくさん載っています。
今回は見知った言葉がいくつか見えます。鍬形虫は普通漢字では書かないですよね。黒鍬は時代小説で「黒鍬者」を見た記憶があります。鋤鍬も知っています。
次の章では、「鍬」を使った名前での使われ方をみておきます。
名前での使われ方は
この「鍬」ですが、人名漢字に含まれます。ところが、金へんで使いにくいのでしょうか?検索しても名前の候補が余り出てこないんですよ!
意味も、農具なので想いを入れにくいのかもしれませんね。
何とか見つけた名前も、男の子で、鍬太郎(くわたろう)、鍬(しゅう)、鍬至(しゅうじ)、女の子で鍬圭(しゅうか)、鍬花(しゅうか)くらいでした。
そのため、「鍬」のつく名前については、ここで終了としますが、ついでなので「鍬」のつく苗字も紹介したいと思います。
「鍬」一文字の苗字を探したところ見つかりましたよ。
【名字】鍬
【読み】くわ
【全国順位】 22,856位
【全国人数】 およそ180人
参考資料 名字由来net
「鍬」さん、人数が、およそ180人、順位が22,000番台ですので、ここで紹介する苗字としては、比較的多い方かな。
都道府県 | 人数 |
---|---|
長崎県 | およそ50人 |
熊本県 | およそ40人 |
神奈川県 | およそ20人 |
福岡県 | およそ20人 |
静岡県 | およそ10人 |
順位もだいぶ下位で、ほぼ55,000位ですね。人数もたったの30人です。
長崎県50人、熊本県40人、さらに福岡県20人と九州に多いのかと思っていたら、神奈川県や静岡県にも10人程。ベスト5で140人と77.8%です。
鍬に他の漢字をつけた苗字は、かなりありました。その一部をお見せします。
秋鍬(あきくわ)、鍬鎌(くわかま)、鍬方(くわがた)、鍬口(くわぐち)、鍬差(くわさし)、鍬初(くわぞめ)、鍬谷(くわたに)、鍬富(くわとみ)、鍬農(くわの)、鍬之手(くわのて)、鍬開(くわびらき)、鍬村(くわむら)、鍬家(くわや)、田鍬(たくわ,たぐわ)、浜鍬(はまくわ)、山鍬(やまくわ)
読みは、全て「くわ」でしたね!
秋のつく漢字
今回は、金へんに秋の鍬でしたが、つくりに秋の入る漢字についていくつか記事にしています。
- さんずいに秋と書いて湫!意味・読み方から苗字での使われ方まで総特集
- 魚へんに秋と書いて鰍を総特集【読み方・意味・生態・レシピなど】
- 草冠に秋と書いて萩!意味・読み方から名前での使われ方まで総特集
- 木へんに秋と書いて楸!意味・読み方から名前での使われ方まで総特集
よく見ると、さんずい、魚へん、草冠、木へんと全てシリーズものの漢字ですネ。
それぞれの記事をご紹介しますので、よろしければご覧になってください。
最後に
「金へん」に秋の「鍬」をみてきました。会社にいたときに、「鍬田」さんという方がいて珍しい苗字だなと思ったことを覚えています。
この漢字の意味は、器具の名前を表していまして、「くわ」というのは日本語だけだということを今回知りました。
画数は多いモノの、木と秋を書けばいいので書き順意も間違える要素はないでしょう。
「くわ」と読ませる言葉は国語辞典にも多く載っており、いくつか見知った言葉がありましたね。
次回の漢字は、シリーズに戻りますか。
※気づけば木へんの記事も増えてきました
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