魚へんに夏と書いた漢字は?辞書には存在しない漢字を追跡してみた
「魚へんに○○」の漢字をシリーズにして記事を書き続けていますが、新興のシリーズなので、木へんや草冠、さんずいに比べると、その数はまだまだ少ないです。
魚へんの漢字のうち、つくりに春夏秋冬を当てた漢字ですが、魚へんに秋の鰍、魚へんに冬の鮗は既に記事にしています。
後は、春と夏が残っていますが、もうほとんど夏になっているので、魚へんに夏の漢字について記事を書きたいと思います。
ところが…。
この「魚へんに夏と書いた漢字」なんですが、「上級漢和辞典 漢字源」で見つけることが出来ません。この記事は、そんな「魚へんに夏と書いた漢字」を追い求めた記録です。
どうか、最後までご覧になってくださいますようお願いします。
魚へんに夏と書く漢字は存在するのか
始めに、この魚へんに夏と書く漢字は存在するのかというところから確認します。
この漢字、どうやら存在するようですが、一般の辞書には載っていない希少な漢字のようです。
まず、「上級漢和辞典 漢字源」からは見つけられませんでした。
この辞書にないのだから存在しないのではないかと思いましたが、角川の大字源の国字一覧に「魚へんに夏」の漢字が載っていました!
他にも、情報が錯綜していますので、ちょっと追いかけますね。
魚へんに夏の漢字
上述したとおり、この「魚へんに夏」という漢字ですが、基本的に漢和辞典には載っていないようです。
ネットでも、漢字ペディア、モジナビ等の漢字を紹介しているサイトにも載っていないんですよ。
魚へんに「夏」と書いて、ワカシ(魚夏)と読みます。
魚へんに「夏」でなんと読む?「魚夏」の正しい読み
上記のように、「魚へんに夏」は「ワカシ」という当て字がされているという記事が散見されましたが、魚へんに夏ではなく、上記にあるように「魚夏」の2文字を示しているんです!
X(ツイッター)にも「魚夏」で「わかし」がありました。
しかし、これは探している情報ではありません。
情報が少なくて難儀しましたが、知恵袋にいくつか情報がありました。
『書言字考節用集』に「アハビ」とある。『倭字攷』は『音訓國字格』を典拠に「ふぐ」とする。
fonさん|yahoo!知恵袋
このページの「b11006 W2478」に「魚へんに夏」の漢字があります。
⇒【日本語を読むための漢字辞典】 『動物漢字の辞典』 【魚3】
(1)ハエ・ハヤ・フグ・フクベ(集覧「水産名彙」)。(2)*魚=サメ(集覧「摂陽群談」)。
fonさん|yahoo!知恵袋
このページの「1060」に「魚へんに夏」の漢字があります。
江戸時代、柳亭種彦『櫧鳥囀』(1815年)の中に、「木へんに夏と書いて榎(えのき)とよむのは、魚へんに夏と書いてふぐとよむみたいなもん」みたいに書いてある
P.gingivalisさん|yahoo!知恵袋
ウムム、色々な魚を指していますが、最後の奴は、2番目にある(1)の中の「フグ」と一致しますね。
これ、上の結論で述べた、角川の大字源の国字一覧に「魚へんに夏」の漢字が「ふぐ」と一致します!
さらに、次のように言っている記事も見つけました。
魚へんに夏ではなく「鰒」なのは、単に書き間違えからこういう風になっていったのではないか?とも言われていますね。
魚へんに夏の漢字の読み方は何?
ここでは、単に「鰒」がくずれた字にすぎない・・・と書かれていますな。
魚夏…ただ、これは正式な漢字ではなく「くずし字」として紹介されています
「鰒」とかいて、「ふぐ」や「あわび」と読みます。
魚へんの漢字(夏…当て字・くずし字)
「复(ふく)」の字を「夏」と書き間違えた字。
「ノ・一」が「一」にくずれたんですね。
くずれても、読みはそのまま。「ふぐ・あわび」とするそうです。
なるほど、全く違うと思っていましたが、「ノ一」が「-」の下に「ノ」となったわけですか。
そう言われると、ちょっと納得です。
こちらの記事も、そういう意味で、魚へんに夏で「鰒(あわび・ふぐ)」を出していたんですね!
存在しない漢字
「魚へんに夏」と同様に、辞書には載っていない「存在しない漢字」がいくつかあります。
過去にも、そんな漢字をいくつか扱ってきました。それが、こちらの三文字です!
- 草冠に未
- 木へんに酒
- 木へんに北
これらの漢字はありそうですが、実は存在しない漢字なんです。それぞれ順にみていきましょう。
草冠に未
この記事の中で明確に言っていますが、「草冠に未と書く漢字は存在しない!」んです。
そうなんです。ザっと漢和辞典を見てみたんですが、草冠に未と書く漢字はないと思われます。
どうやら、「草冠に末」の「茉」、「草冠に朱」の「茱」、「草冠に呆れる」の「某」を想定したような節から「草冠に未」に辿り着いたようですな!
これらの詳細については次の記事をご覧ください。
木へんに酒
「草冠に未」と同様、「木へんに酒」という検索が散見されます。
しかし、こちらも「木へんに酒と書く漢字は存在しない!」んですね!
この検索をされる方は、「木へんに酉」の「梄」、「木へんに酋」の「楢」、「木へんに西」の「栖」を想定されているような感じがします。
「木へんに酒」の記事はこちらですよ。
木へんに北
もうひとつ、木へんでは「木へんに北」という検索もなされているようですな。これは、木へんに方角をつけた漢字を捜すためのようです。
残念ながら、「木へんに北」という漢字も存在しないんですよ。
次の記事では、「他の部首に北を書く漢字は?」、「木へんに方角である東西南を足すと」、「木へんに北という文字があったら」などを追及しています。
どうでしょう。ありそうなんですが、実際はない漢字を3つ紹介しました。
魚へんに夏という文字があったら
次は、もし、「魚へんに夏」と書く漢字が一般的に辞書に載るとしたら何になるでしょう?
勝手に想像しまくってみます。
まずは、夏を旬とする魚を一部ですが一覧にしてみます。たくさんいますね。この中に候補がいるかな。
- アジ(鯵)
- アマダイ(甘鯛、尼鯛)
- アユ(鮎)
- カサゴ(鮋)
- ガザミ(ワタリガニ)(蝤蛑)
- カマス(魳)
- キス(鱚)
- クルマエビ(車海老、車蝦)
- コノシロ(コハダ)(鮗)
- スズキ(鱸)
- タチウオ(魛)
- ハモ(鱧)
- マゴチ(真鯒)
そこそこの数は挙がりましたが、漢字表記を見てみると、どの魚も「魚へんの漢字」を持っているんですね。
敢えて、この中に候補を見出すのは難しいかな。
何なら、これら夏を旬とする魚の象徴として、「魚へんに夏」という漢字を当てるのも一興かもしれませんね。
上記一覧の中で「魚へんに○○」でいくつか記事を書いています。
魚へんに冬の「鮗(コノシロ)」の旬が夏とは面白いですなあ!
最後に
魚へんに夏の漢字があるかを見てきました。
ウーン、「魚へんに夏」の漢字は存在するようなんですが、一般の漢和辞典には載っていませんね。
その意味も、「あわび」「ふぐ」らしいのですが、どうもはっきりしません。
「ワカシ」だと述べているサイトは散見されるんですが、どの記事でも出典は述べておらず当て字だといっているだけですな。
「鰒」の崩し字と言っているところもあり、はっきりした結論は出せませんでした。ご容赦!
※気づけば魚へんの漢字の記事も増えてきました
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