山に鳥を組み合わせた漢字とは?複数存在するが意味は全部一緒だった
このところ、ライフワークとしている漢字の記事については、山に鳥を組み合わせたモノを続けてご紹介しました。
「嶌」と「嶋」の記事を立て続けにアップしています。山冠に鳥で「嶌」と山へんに鳥で「嶋」です。
その他にも、「嶌」を構成している山と鳥を逆にした環境依存(=機種依存文字)文字で「㠀」なんていう漢字もあるんですよ。
機種依存文字とは、電子的に扱う文字データのうち、利用するパソコンやスマートフォン等の環境によって文字化けや全く表示できなくなるものをいいます。
引用 機種依存文字について
この記事では、これらの複数の山に鳥を組み合わせた漢字について、共通する点を明らかにし、語源なども明らかに出来ればと思っています。
どうかご一緒に内容をご覧になっていって下さいね。
山に鳥を組み合わせた漢字は?
山に鳥を組み合わせた漢字は複数存在しますが、それらを見ていきましょう。
山に鳥を組み合わせた漢字は?
山に鳥を組み合わせた漢字です。
嶌 嶋 㠀
これらの漢字は、標準字体が「島」の異体字なんですよ。ですから、これらの漢字の持つ音訓及び意味は皆同じなんですね。
画数 :14画
音訓:トウ しま
意味
{名詞}しま。海や湖の中のしま。「島嶼(トウショ)」
これらの漢字はどうやって出来たのか
これらの同じ意味を持つ4つの漢字は、どのようにして出来上がったのでしょうか?
標準字体である「島」を含むこれら4つの漢字の、基となった漢字は「㠀」のようです。
そして、この漢字から、それぞれの漢字が出来ていったようです。
- 上下を入れ替えた 㠀 ⇒ 嶌
- 山を下から横に 㠀 ⇒ 嶋
- 鳥から点を削除した 㠀 ⇒ 島
それぞれの漢字としての由来や成り立ち
これらの異体字の字源を見てみます。
- 嶌=「鳥(チョウ とり)+山(やま)」
- 嶋=「鳥(チョウ とり)+山(やま)」
- 㠀=「鳥(チョウ とり)+山(やま)」
これらの漢字全てが、「鳥が止まる海上の山を示した図形」を表しているわけですね。
山冠に鳥で「嶌」と、山へんに鳥で「嶋」については、既に記事をアップしています。苗字や名前の使われ方なども解説していますので、良ければポチッとしてください。
島の語源
さて、異体字である「嶌」「嶋」「㠀」の標準字体である「島(しま)」の語源を探ってみます。
どうやら、諸説あるようですね。
- しまはせば也。その地せばし。(日本釈名)
- 四面、局(かぎ)られて、狭(せば)、または、締(しま)の義(大言海)
- 朝鮮語で島をショムという(大言海)
- 朝鮮語のsiem(島)と同源(岩波古語辞典補訂版)
参考 新明解語源辞典
「せば」という言葉は「狭い」の意になり、島の持つ地上部が「狭い」ところにつながるのかと。
また、朝鮮語で「ショム」が「しま」に転化したのも、納得できるかと考えます。
おまけ:こざとへんに鳥
こざとへんに鳥と書く「隝」という漢字があります。
実は、この漢字も、音訓読み及び意味が上記の漢字と極端に似ているんですよ!
画数 :14画
音訓:トウ しま
意味
{名詞}しま。
隝=「鳥(チョウ とり)+阜(やま)」(形声)とあるように、字源も似ています。
ただ、上級漢和辞典「漢字源」を見る限り、「島」の異体字ではないようです。
つくりに鳥のある漢字
さて、漢字の中に鳥が入っている文字は山のようにありますが、鳥へんではなく、つくりに「鳥」が入っているモノを眺めてみましょう。
漢字 | 部首 | 音読み | 訓読み | 主な意味 |
---|---|---|---|---|
蔦 | くさかんむり | チョウ | つた | つた。ブドウ科の植物。 |
嶋 | やまへん | トウ | しま | しま。四方が海や湖で囲まれた陸地。 |
嶌 | やまかんむり | トウ | しま | しま。四方が海や湖で囲まれた陸地。 |
㨶 | てへん | トウ | う・つ | うつ。たたく。砧(きぬた)の上に布をのせてたたく。 |
参考:「鳥」を構成に含む漢字
前述した鳥へんの漢字を見ると、「鷺」や「鴨」などなど多数ありますが、つくりに鳥のある漢字は存外少ないものです。
草冠に鳥の蔦(意味はヤドリギ類の総称)は、既に記事をアップしています。「つた」と読むのですが、その由来などを解説しています。
また、こちらは、鳥へんの漢字ですが、路に鳥の鷺もアップ済です。この読みが良くないので、名前には採用しづらいですね。
最後に
山に鳥という漢字が複数あると耳にして興味を持ち、本記事を書きました。
3つの漢字「嶌」「嶋」「㠀」がありましたね。全部、標準字体「島」の異体字でした。
そのため、標準字体である「島」を含めた「嶌」「嶋」「㠀」が同じ音訓読み、同じ意味を持っていましたね。
そして、基になった漢字は「㠀」で、ここから他の字体が出来た過程を見てみました。
いやー、面白かったですね~!
※鳥が「部首」ないし「つくり」に入る漢字も増えてきました
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