「つ」のローマ字表記は2種類!「tsu」「tu」どっちが正しい?
当たり前のことですが、日本にはローマ字はありませんでした。それが、江戸時代にオランダ語、そして、幕末には英語が入ってきたため、ローマ字という文化が流入したんですね。
そこで、日本語をローマ字で表現するための方式が必要になったんですよ。
ですが、そこで混乱が起きちゃったんですね。
皆さん、パスポートや名刺などでローマ字表記がある場合、いくつかの文字は2種類の書き方があるってご存知ですか?
この記事では、「つ」のローマ字表記に注目します。今言ったように、「つ」はローマ字表記が2種類あるんですが、どちらを使っても良いらしいんですが、何故そうなったのかを確認します。
さて、それでは、ご一緒にその結果をみていきましょう。
「つ」のローマ字表記は2種類ある
始めに、「つ」のローマ字表記をみていきます。
「つ」のローマ字表記は2種類ある
2種類ある表記は次のモノです。
- tsu
- tu
何で、この2つの表記があるのでしょうか。
実は、これらの表記は「ヘボン式」と「訓令式」と呼ばれる書き方なんですよ。
- ヘボン式: tsu
- 訓令式: tu
この2つの表記があるために、「つ」のローマ字表記が2つあるんですね。
どっちが正しい?
さて、「つ」のローマ字表記が2つあることは表記方法が2種類あることが原因だとわかりました。
そうなると、この表記のうちどっちが正しいのでしょうか?
日本では、1954年以降は事実上、日本式および修正ヘボン式の使用も認めているんです。
ですから、基本的に、どっちを使っても良いんですよ。どっちを使っても間違いではありません。
但し、たとえば、パスポートでは「ヘボン式ローマ字によって表記する」ようになっています。
どっちを使ってもいいんですね。そういえば、パソコンで、ローマ字変換入力では「tsu」「tu」どちらも「つ」が入力できますね。
「ヘボン式」と「訓令式」
この章では、「ヘボン式」と「訓令式」についての解説を行います。
ヘボン式
ヘボン式は、ひとことで言うと、「英語の発音への準拠を重視したローマ字表記法」です。この方式は、ローマ字の複数ある表記法のうち、日本国内および国外で最も広く利用されている方式です。
大別して、旧ヘボン式、修正ヘボン式の二種類があります。
- 旧ヘボン式:1859年江戸時代末期の日本を訪れたアメリカ合衆国長老教会の医療伝道宣教師で医師でもあったジェームス・カーティス・ヘボンが、1886年に発行された和英語林集成の第3版において定義した方式です。日本国内で単にヘボン式という場合、この方式を指す場合が多いです。
- 修正ヘボン式:1954年研究社の『新和英大辞典』第三版で考案、後に、アメリカ図書館協会およびアメリカ議会図書館のローマ字表記法などでも採択された方式。
「Hepburn romanization」「Hepburn system」という場合、この方式を指す場合が多いです。
訓令式
こちらは、年度別のフローで見ていただきます。
- 1885年
- 日本式ローマ字が田中館愛橘によって考案されました。
- 1937年
- 9月日本式ローマ字に若干の改変を加えた訓令式ローマ字は、第1次近衛内閣が発した昭和12年内閣訓令第3号において公的なローマ字法として定められました。
「訓令式」の呼称はここから来ました。
- 1954年
- 昭和29年内閣訓令第1号、昭和29年内閣告示第1号の第1表が示した訓令式を経て、現在も用いられています。
ローマ字表記が2種類ある文字
ヘボン式と訓令式でローマ字表記が異なる文字は、「つ」以外にもいくつか存在します。
その文字の一例を以下に一覧として掲載します。
文字 | ヘボン式 | 訓令式 |
---|---|---|
し | SHI | SI |
ち | CHI | TI |
つ | TSU | TU |
ふ | FU | HU |
を | O | WO |
じ | JI | ZI |
ぢ | JI | DI |
づ | ZU | DU |
ご覧のように9種類の文字が挙がりました。濁音がつかない文字が5つ、濁音の付く文字が3つとなりました。
この他にも、「しゃ、しゅ、しょ、ちゃ、ちゅ、ちょ」「じゃ、じゅ、じょ、ぢゃ、ぢゅ、ぢょ」などがありますが、ここでは割愛しています。
なお、ヘボン式では音を表すため、「じ・ぢ」→JI、「ず・づ」→ZU、「お・を」→Oと、訓令式(「じ(ZI)・ぢ(DI)」、「ず(ZU)・づ(DU)」「お(O)・を(WO)」)のように書き分けることはしません。
最後に
「つ」のローマ字表記は2種類あると聞いて興味を持ちました。
実際、見ていくと、「つ」以外にもローマ字表記が2種類ある文字は複数あるんですね。
その原因はローマ字表記方でした。ヘボン式と訓令式があり、それに従うと、このような結果になることが分かりました。
ですから、2種類ある表記どちらを使っても、基本的に正解であり、誤りではないんですね。
※雑談の部屋は物凄い大所帯です
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