糸へんに広いで絋・紘!読み方から意味・名付けのポイント等を総特集
今回の題材に取り上げようとしたのは「糸へんに広い」と書く「絋」という漢字です。
糸へんに○○である、カテゴリ「糸へんの漢字」に属するモノですが、ネットで調べてみたんですがちょっといつもと様相が違うんですよ。
「絋」の漢字のはずなのに「紘」を紹介している記事が多く含まれるんですよ。
最初、糸へんに広いで「絋」は存在しないのかと思いました。ですから、糸へんに広いは「紘」なのかと思ったんですが、これらの漢字は2つとも存在し、全然違うモノでした。
そんなこともあり、この記事では、糸へんに広いで「絋」及び「紘」の2つの漢字を総特集します。意味・読み方・成り立ち・名前or名字など関連する情報をご紹介しまくっちゃいますよ。
さあ、ご一緒に内容をご覧になってくださいませ。
糸へんに広いで絋・紘!漢字の意味・読み方をチェック
最初に、絋及び紘の意味と読み方を順番に確認します。これらの二つの漢字について、ちょっと比較もしておきます。
絋の読み方と意味
絋
画数 :11画
音訓:コウ わた
意味
①{名詞}わた。繭のくず糸を集めて、すきまをあけ、ふんわりさせたわた。②姓の一つ。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
紘の読み方と意味
紘
画数 :10画
音訓:コウ つな ひろ・い
意味
①{名詞}冠の右からあごをめぐって左にわたしたひも。冠のひも。また、磬(ケイ)(楽器)をかけるひも。②{名詞}つな。張りわたしたつな。③(コウス)(クワウス){動詞}つなを張る。④{形容詞}ひろ・い(ひろし)。⑤姓の一つ。
日本語だけの意味・用法
(名付)つな ひろ ひろし
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
絋と紘は糸へんの漢字で、その違いは漢字の「つくり」ですね。
- 絋のつくりは「広」
- 紘のつくりは「厷」
「絋」と「紘」、似ていると言えば似ていますが、全く違うといってもいい漢字ですね。
ちょっと見、絋・紘共に「一へんに広い」に見えるかもしれませんな!
それでは、個別に漢字を見ていきましょう。
- 絋:音読みは「コウ」、訓読みは「わた」
- 紘:「コウ」、訓読みは「つな」「ひろ・い」
音読みは同じ「コウ」ですが、絋は「わた」、紘は「ひも」「つな」の意であり、似ているようですが全然違うんですよ!
これらの漢字、日常生活では、まず、お目にかかる漢字ではないですね。国語辞典で「絋」の言葉を調べましたが見つかりませんでした。
「絋」は、同義語に「絖(コウ、わた):繭のくずを集めて、ふやかしたわた。まわた。」、類義語に「絮(シ゛ョ):繭を水に浸してひきのばしてつくるわた。まわた。きぬわた。」があります。
そして、「絋」は「纊」の異体字※だったんです。
異体字※
引用 コトバンク 異体字
漢字の字体のうち標準字体以外のもの。異体文字、別体字、変体字ともいう。広義の・・・一定しないが、(1)略字(・・・暦・歴→厂、幅→巾など)、(2)合字(・・・麻+呂→麿、菩+薩→など)、(3)分字(・・・米→八木など)、(4)古字(古文ともいう。・・・)、(5)俗字(・・・曜→など)、(6)譌(か)字(誤字と認められるもの)
次に「紘」ですが、今示した「絋」のように別の漢字の異体字ではありません。
「紘」の②「つな」の意で、「八紘(ハッコウ)(大地にはりわたした八本のつな。大地の八方のはて)」という言葉が載っています。
また、「紘」の④の意は、「弘(コウ)」「宏(コウ)」に当てた用法なんですって。
さらに、「紘」には「姓の一つ」の意があることから、紘さんがいらっしゃるようです。
以上の事柄から、絋と紘は全く違う漢字であるとわかりました!
書き順
次に、絋の書き順を示しておきます。
糸と広を順に書くだけです。間違えることはないでしょう。
標準字体の「纊」の書き順も載せておきます。こちらは画数が多いのでちょっと難しいぞ。
「纊」という標準字体の漢字が環境依存文字(=機種依存文字)でしたので、書き順を示すのに「糸」と「廣」を別々に表示しています。
機種依存文字とは、電子的に扱う文字データのうち、利用するパソコンやスマートフォン等の環境によって文字化けや全く表示できなくなるものをいいます。
引用 機種依存文字について
糸の6画と廣の15画で纊は21画の漢字ですね。
最後に「紘」の書き順です。
この漢字は、糸と厷を順に書きます。間違えそうな箇所はないと思いますよ。
「糸へんに広い」の変換
これらの「糸へんに広い」の「絋」「紘」をパソコン、スマホで何を入れれば変換によって出すことが出来るのでしょうか?
読みを頼りにやってみたら、意外と簡単に出せました。
まずパソコンですね。
- 絋:「こう」変換、「わた」変換
- 紘:「ひろ」変換、「こう」変換
左に挙げたモノが第一候補で、早い段階で狙いの漢字に辿り着きます。
次にスマホですね。
- 絋:「ひろ」変換
- 紘:「ひろ」変換
「ひろ」を入力することで、どちらの漢字も候補として外套の漢字が現れると思います。
にんべんに専でも、違う漢字が2つ検索されているようです。こちらは、下記の記事でどうぞ。
絋・紘の漢字としての成り立ち、熟語など
ここでは、漢字としての成り立ちを順にみていきます。
絋
絋は上述の通り異体字ですの、ここでは標準字体である纊の解字を見ていきます。
「纊」=「廣」+「糸」で成り立っています。
- 「廣」:コウ ひろげる
- 「糸」:いと
これで、「ふわりと広げた生糸のくずわた。」を表しています。
さて、次に「絋」ないし「纊」を使用した熟語を探してみました。
いろいろ探したのですが、これら、二つの漢字を用いた熟語がほとんど見つからないんですよ。
纊(絋)のつく言葉 | 読み | 意味 |
---|---|---|
黈纊(絋) | トウコウ | 黄色のわたをまるくして冠の両わきに垂らし、よけいなことを聞かないようにしたもの。耳あて。 |
繒纊(絋) | ソウコウ | {繒絮(ソウシ゛ョ)}①絹と、綿。②綿入れの服。 |
学研漢和大字典に上記に挙げた2つの言葉をやっと見つけましたが、両者とも難しい漢字の組み合わせで、「黈」「繒」を表示するのに、IMEパッドの手書きを使ってようやく実現できました!
紘
絋の字源を見ていきます。
「紘」=「厷」+「糸」で成り立っています。
- 「厷」:コウ 外枠を張り広げる
- 「糸」:いと
あごの周りに枠を張るようにめぐらす冠のひもを示します。
この漢字には同源語として、「肱」「弘」「宏」があります。いずれも、「ひろ・い」という意を持ちます。
「紘」を使用した熟語です。
紘のつく言葉 | 読み | 意味 |
---|---|---|
八紘 | ハッコウ | 大地にはりわたした八本のつな。大地の八方のはて |
八紘一宇 | はっこういちう | (「宇」は屋根の意)世界を一つの家とすること。日本書紀の「六合(くにのうち)を兼ねて都を開き、八紘(あめのした)を掩(おほ)ひて宇(いへ)にせむ」に基づく。 |
次の章では、名前や苗字に使えるのか確認します。
名前、苗字の使われ方について
絋・紘を名前ないし名字でどう使われるかを見ていきましょう。
絋
さて、異体字の「絋」で名前、名字に使われているのかを確認していきます。
初めに名前なんですが、この漢字は人名漢字に入っておりませんので、名前に使うことは出来ませんね!
そこで、「絋」一文字の苗字があるかを見ていきます。
【名字】絋
【読み】げん
【全国順位】 87,968位
【全国人数】 およそ10人
参考資料 名字由来net
この苗字は、非常に珍しい名字なんでしょう。全国で、およそ10人しかいませんし、順位も約88,000位という低さですね。
しかも、読みが「コウ」でも「わた」でもなく、どこから出てきたかわからない「げん」ですね!
福岡県に、およそ10人がいるようですよ。
さて、この「絋」に他の漢字を付けた苗字が存在しないか確認したんですが、見つけることが出来ませんでした。
上記、名字由来netで、「絋黒(びんくろ)」があるようなのでみてみましたが、現在調査中となっており、名字の有無はわかりませんでした!
紘
「紘」は「絋」と異なり人名漢字であるため、名前を付けることが可能です。そして、名付けとして、「つな」「ひろ」「ひろし」もあるんです。
紘には、つな(綱)という意味があり、たくましさや力強さが想像されます。また、広いという意味ももっており、ここから、無限の広がりや雄大さを連想することもできますよね。
こんなところから、次のような願いを込めることが出来ます。
- 人との繋がりを大切に出来る人になってほしい
- 生命力のある強い人になってほしい
また、上に挙げた言葉にある「八紘一宇(はっこういちう)」の意味からは、こんな願いも込めることが可能です。
- 集団をひとつにまとめあげられるような指導力を持った人になってほしい
- 周囲の人々を大切にできる人になってほしい
男の子の名前60爺ベスト3
- 紘大(こうだい)
- 崇紘(たかひろ)
- 紘河(こうが)
読みは、1,3が「こう」で2を「ひろ」としています。
女の子の名前60爺ベスト3
- 紘(こう)
- 千紘(ちひろ)
- 紘音(ひろね)
読みは、1「こう」で2,3を「ひろ」としています。1は一文字の名前です。
上記で挙げた「八紘一宇」という言葉、太平洋戦争でのスローガンに用いられたことで、戦争のイメージがあり、名前に良くないと言う方がいるそうです。
また、糸へんの漢字なので、またぞろ「夫運が良くない」なんていう人も出て来そうですね。
機会があったので、記事を書いてみました。
糸へんの漢字は柔らかい感じがして名前に最適かと思います。3つほど候補を挙げます。
最後に
糸へんに広いと書く絋・紘について確認してきました。
「糸へんに広い」で検索を行うと、絋も出てくるんですが、「紘」についても半数を占める位の情報が出て来ます。
この記事では、「絋」及び「紘」それぞれの漢字について確認を行いました。
絋、紘ともに、日常ではあまり見かけない漢字でしたね。言葉を探してみましたが、両者とも見かけない言葉が並びました。
名前、名字に関しては、絋は人名漢字なく、名字も「絋」(読みが「げん」!)のみでした!紘は何と人名漢字で中々良い意味もあり、願いを込められる漢字だったと思います。
※気づけば糸へんの記事も増えてきました
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