「少しずつ」と「少しづつ」どっちが間違いなのか?明確に答えます
過去に、「ず」と「づ」のどちらを使えばいいかで、いくつか記事を書いています。
この「ず」と「づ」のどっちなのかは「現代仮名遣い」で細かく規定されているんですが、なかなか難しい所があるんですよね。
今回の主題もそうなんですが、同じ発音である「少しずつ」と「少しづつ」についてどっちが間違いなのか確認します。
これらの似た二つの言葉を並べられると、「あれっ?どっちだったけ?」ってなっちゃいますよね?
この記事を読めば、どっちを書けばいいのか明確にわかるようになりますよ。
どうか、最後までご覧になっていってくださいませ。
「少しずつ」と「少しづつ」はどっちが間違い?
それでは、まず、結論から申し上げます。
「少しずつ」と「少しづつ」はどっちが間違い?
どちらの表記も許されています!但し、公の場では「少しずつ」を使いましょう。
おお、「どっちもOK!」という答えなんですね。表記は、どちらも許されているんですな。
その理由ですが、冒頭で述べた「現代仮名遣い」を見ると、そう書かれているからとしか言いようがないんですな。
「現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)」に次のように記されています。
なお,次のような語については,現代語の意識では一般に二語に分解しにくいもの等として,それぞれ「じ」「ず」を用いて書くことを本則とし,「せかいぢゅう」「いなづま」のように「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする。
引用 現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)
~
ひとりずつ
本則(=原則)として「ずつ」を使いますが「づつ」と書いてもいいと言って「ひとりずつ」の例が載ってるんですよ!
ですから、原則「少しずつ」と書くけど「少しづつ」と書いてもいいんですな。
ちなみに、「づつ」(歴史的仮名遣いといいます)が、現代仮名遣いと言われる「ずつ」に変わったのが、1946年(昭和21年)に内閣訓令第8号、内閣告示第33号が示されてからなんです。
それまでは、ずっと「づつ」と教えられていたのに、この時点で、「ずつ」を使えとなったので混乱しちゃったでしょうね!そして、この時点では、「づ」は「ず」と書くこと、という内容でした。
ここでは、「少しずつ」が正解で「少しづつ」は間違いだったんですよ。
でも、これじゃいけないと思ったかどうかはわかりませんが、現代仮名遣いは1986年(昭和61年)に改定され、現在の「原則はずつだけど、づつでも間違いではない」になりました。
そうなるまでに40年もかかったわけです。
それもあって、現時点では、上述した『公の場では「少しずつ」を使いましょう!但し、どちらの表記も許されています。』が答えとなるんです。
現代仮名遣いで、正誤を見てきた記事はいくつかあります。次の3つの記事をご覧ください。これらは、生後が明確になっていますよ!
ずつ(づつ)の意味
広辞苑で引いてみました。
ずつ(ヅツ)〔助詞〕(副助詞)
引用 広辞苑
①分量を表す語に付いて、一定量の事物を均等に割り当てる意を表す。あて。
②一定量の事物に付いて、その分量だけを繰り返し行う意を表す。
2つの意があるんですね。
それぞれの意味での使い方は次のようになります。
- 一人につき千円ずつ払う
- 少しずつ読む
1の意は、そこにいる全員に対して一人千円ずつ払っているという意味になります。
2は、少しずつ読み進めるということを繰り返すと解釈することが出来ます。
今回のテーマである「少しずつ」は②の意味になる訳です。
ずつ(づつ)を漢字で書くと
この「ずつ(づつ)」を漢字で書けるかということを調べたところ、明鏡国語辞典に表記「宛」が出ていました。
漢和辞典で「宛」を引いたところ、次のように載っていました。
日本語だけの意味・用法の意味の中に「ずつ(づつ)」があります。「割り当て」の意で「三つ宛(ずつ)」という例が載っています。
この表記ですが、余り馴染みがないという人が多いと思います。普通、この「ずつ」は漢字で書くよりも、ひらがなで書く方が圧倒的に多いためでしょうね。
そんなこともあり、日常やビジネスで文書を作成する際には、まず、この漢字は使わないでしょう。
そういう意味で、この「ずつ=宛」、漢字ではそのように書くんだという雑学として記憶の片隅にでも入れておけば十分ですね。
最後に
「少しずつ」と「少しづつ」、一文字が「ず」と「づ」どっちが間違いなのかをみてきました。
そうしたら、現在では、どちらの表記も認められることが分かりましたね。
現代仮名遣いでは、原則、「少しずつ」と書くべきで「少しづつ」はこう書いてもいいよと許容されているんです。
こういう決まりは、原則の他に例外があってなかなか難しいですねえ~。
※気づけば「○○と××どっち」の記事も増えてきました
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