貝へんに乏と書いて貶!読み方から意味・名前での使われ方まで総特集
源氏物語の桐壺の中に、「・・だれも貶める言葉を知らなかった。・・・」という一文があるんです。
恥ずかしながら、源氏物語を読んだことはありません。まあ、読みたいと思ったこともないんですが。
この文章の中にある「貶める」って何と読むのでしょうか?
ここにある漢字「貶」は、貝へんに乏で構成されています。貝へんの漢字は、何と初登場ですよ!
そんなわけで、貝へんに乏と書いた「貶」について、読み方から意味・書き順、そして、可能かわかりませんが名前及び苗字での使われ方まで総特集していきます。
それでは、内容をごゆっくりご覧ください。
貝へんに乏で貶!漢字の読み方や全体像をまずはチェック
最初に、貶の意味と読み方や全体像をチェックしましょう。
貶の読み方と意味
貶
画数:11画
音訓:ヘン お・とす そし・る(日本語だけ)おとし・める けな・す さげす・む さみ・す へん・する
意味
①ヘンす{動詞}おと・す。値うちをおさえておとす。おさえる。また、官位をさげる。②ヘンす{動詞}そし・る。けなす。 ③(ヘンス){動詞}へらす。また、へる。
日本語だけの意味・用法
(訓読み)おとし・める けな・す さげす・む さみ・す へん・する
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
「貶」の音読みは「ヘン」で、訓読みは「お・とす」「そし・る」です。日本語だけの訓読みとして、上述した5つがあります。
意味は3つあります。一つ目は「おとす」で「抑貶(ヨクヘン):押さえつけておとすこと」という言葉があります。
次は、「けなす」という意で「毀誉褒貶(キヨホウヘン):悪口を言うこととほめること。ほめたりけなしたりの世評。」という言葉があります。対語に「褒(ホウ):ほめること」です。
最後の意が「へらす。また、へる。」で、この意の言葉が「貶損(ヘンソン):①へらす。②おとしめけなす。」ですね。
さすがに、この漢字は姓として存在しないようです。
では、この漢字の書き順を見てみましょうか。
書き順ですが、貝→乏と順に書きます。簡単な書き順だと思います。
もっと詳しく知ろう!貶の漢字としての由来や成り立ち
「貶」の解字です。
貶=「乏(ボウ 枠をかぶせる)」+「貝(財貨)」(形声)。
形声とは、漢字の六書(リクショ)の一つ。発音を表す文字と、意味を表す文字とを組み合わせて、新しい文字を作る方法。
上から枠をかぶせて、財貨の値うちをおさえて値をおとすことを表しています。
ここから転じて、「けなす」、「へらす」など、先程の意味にあった内容を派生します。
貝が財貨を示しているんですね。そこに、「乏」が加わり、この意が「枠をかぶせる」なので、財貨の値うちをおさえるて値をおとす意になるんですな!
これが転じて、上記の意にあった「けなす」「へらす」になったということです。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
次の項では、標準字体の「貶」のつく言葉をみていきます。
貶のつく言葉
この章では、諫のつく言葉をみていきたいと思います。
貶のつく言葉 | 読み | 意味 |
---|---|---|
貶竄 | ヘンザン | {貶流(ヘンリュウ)・貶謫(ヘンタク)・貶逐(ヘンチク)} 官位をさげて遠方の地へ流刑にする。 |
貶斥 | ヘンセキ | {貶黜(ヘンチュツ)・貶退(ヘンタイ)}官位をさげてしりぞける。 |
貶損 | ヘンソン | ①へらす。②おとしめけなす。 |
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
3つの言葉が出て来ました。
うむむ、見たような見ていないような感じがする言葉が並びました。
どちらにしても、「貶」自体が、良い意味ではないので、言葉の方も、それに倣った内容となりますね。
次の章では、「貶」を使った名前及び苗字での使われ方をみておきます。
名前及び苗字での使われ方は
この「貶」ですが人名漢字ではありません!
名付けには使えません。使えても、使いたいとは思わない漢字だと思います。
そこで、苗字はないかと、「貶」のつく苗字を探したんですが、「貶」一文字の名字も、貶に別の漢字を付けた名字も見つからんのですよ!
残念ながら、前回の「枉」「梱」と同様で名前も名字もないため、この章はこれで終わりです!
ここでは、今いった、名前にも名字にもない2つの漢字の記事を紹介しておきます。
この木へんの困ると書く「梱」は行李の意味を持つ漢字ですね。「梱包」とか「同梱」とかいう言葉に含まれていますので、ご覧になったことはあると思います。
木へんに王と書く「枉」は、一見名前に使えそうなイメージですが、意味は「まげる」という余り良くないモノです。
最後に
「貝へん」に乏の「貶」をみてきました。
貝(財貨)に「乏しい(枠をかぶせる)」なので、財貨の値うちをおさえるて値をおとす意を持つ漢字でした。そこから転じた「けなす」「へらす」なんて意味も持っていますね。
余り、良い意を持たない文字です。
そのためか、名前にも名字にも縁のない漢字でしたね。
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