「おみおつけ」の漢字は?なんと「御」の連なる不思議な表記だよ
「おみおつけ」という言葉を知っていますか?
60爺が小さい頃は、よく使っていた言葉です。最近は、余り聞かれないですね。
「おみおつけ」とは、味噌汁を丁寧にいった言葉です。
「おみおつけ」を漢字で書くとどうなるのか、このシリーズならではの疑問ですな。
この漢字表記、雑学をかじっている方はご存知でも、そうでない方は一体どんな字になるのか疑問かと思います。
今回の記事では、この「おみおつけ」の漢字はどう書くのかをお見せします。その表記は、なんと「御」の連なる不思議な言葉なんですよ。
じっくりと見ていってくださいね。
「おみおつけ」の漢字は?
それでは、早々に、「おみおつけ」の漢字はどう書くのかを見ていただきましょう。
なんと「おみおつけ」の漢字は、次のように6つの表記があるんですね。
- 御御御付
- 御御御付け
- 御御御汁
- 御味御付
- 御味御付け
- 御味御汁
ちょっとビックリです。
なお、出典ですが、「御御御汁」以外は、次のように辞書に載っていますよ。
国語辞典 | 御御御付 | 御御御付け | 御味御汁 | 御味御付 | 御味御付け |
---|---|---|---|---|---|
広辞苑 | ○ | ||||
大辞林 | ○ | ||||
大辞泉 | ○ | ||||
日本国語大辞典 | ○ | ○ | |||
学研国語大辞典 | ○ | ||||
明鏡国語辞典 | ○ | ||||
三省堂国語辞典 | ○ |
「御御御汁」だけは、ネットから拾ってきました。
上記の「おみおつけ」の漢字表記なんですが、よく見ると、最初の2文字と、その後の2ないし3文字に規則性があります。
即ち、これらの漢字の構成をみると、最初の2文字は「御御」、後の2ないし3文字は「御付」「御付け」「御汁」なんですね。
ここでは、それぞれの漢字表記を読んでみましょう。6つもあるので、「御御」と「御味」で始まる表記を分けて読んでみます!
「御御」で始まる漢字表記
「御御」で始まる漢字表記は3つです。
- 御御御付
- 御御御付け
- 御御御汁
上記の漢字表記の初めの2つの漢字表記は「御御御付」「御御御付け」で「御」が三つも連なる「付」「付け」ですよ。
「御」は「ゴ」「ギョ」「オ」と読みますので、ひとつずつみていきます。
- 「ゴ」:「ゴゴゴツケ」
- 「ギョ」:「ギョギョギョツケ」
- 「オ」:「オオオツケ」
皆とんでもない読み(笑)になってしまいましたね。ただし、「オ」と読んだときのみ、正解に一文字違いと惜しいところまでいきました。
3つ目の漢字表記「御御御汁」も同様で、「ゴゴゴシル」、「ギョギョギョシル」、「オオオシル」ではないんです^^;
「御味」で始まる漢字表記
- 御味御付
- 御味御付け
- 御味御汁
こちらの表記、まず頭の二つですが、「御味御付」「御味御付け」で「御」が二つ入った汁ですね。
- 「ゴ」:「ゴミゴツケ」
- 「ギョ」:「ギョミギョツケ」
- 「オ」:「オミオツケ」
「ゴ」「ギョ」はNGです^^;
「御」を「オ」と読むと「オミオツケ」になってピンポン初めて正解となりましたね!
最後の表記「御味御汁」は「ゴミゴシル」、「ギョミギョシル」、「オミオシル」でNGでした。
「御御」で始まる漢字表記、「御味」で始まる漢字表記を見てきましたが、どちらも、もの凄い表記ですよね。
この漢字表記は読めないでしょう。
この表記を出されて、「なんて読む」と聞かれても、知らないと答えられないですよね。
難読の部類に入る漢字だと言っても良いでしょう。
なぜ、この漢字を使うようになったのかを解き明かしていきます。
漢字表記の由来
この章では、「おみおつけ」の由来から、漢字表記を読み解いていきたいと思います。
さて、「おみおつけ」とは、冒頭で述べたように、味噌汁を丁寧にいった言葉です。即ち、次のような構成ですね。
「おみおつけ」=「おみ」+「おつけ」
それでは、これらの「おみ」と「おつけ」について、それぞれ、由来を見ていきましょう。
順番を逆にして「おつけ」の由来から始めます。
「おつけ」の由来
「おつけ」の「お」は丁寧語の意の接頭語、「つけ」は動詞「付ける」の連用形の名詞化した語です。
昔の辞書には、「飯に付けて用いることから、おつけになった」ことが載っており、また、「飯にそえて食べる汁」との表現もありました。
即ち、「おつけ」は副食物の汁類の総称で中世は女性語だったようです。
ただ、江戸時代になると「おつけ」を特に「味噌汁」に限定するようになったようですね。
この「おつけ」の漢字表記が「御付け」「御付け」「御汁」なんですよ。
なお、出典は辞書からですが、「おみおつけ」と同様に辞書によってまちまちですね。
国語辞典 | 御付 | 御付け | 御汁 |
---|---|---|---|
広辞苑 | ○ | ||
大辞林 | ○ | ○ | |
大辞泉 | ○ | ○ | |
日本国語大辞典 | ○ | ○ | |
学研国語大辞典 | ○ | ○ | |
明鏡国語辞典 | ○ | ○ | |
三省堂国語辞典 | ○ |
「おみ」の由来
次に「おみ」の由来を見ていきます。
「おみ」には、次の2つの説があります。
- 敬意の接頭語
- 味噌の意
これらの説を順に確認していきましょう。
敬意の接頭語
「おみ」の由来のひとつ目は、「おみ」が敬意の接頭語を表すとするもので、近世になって意識されたようです。
そして、この場合の漢字表記が「御御」なんです。
この「おみ」が「おつけ」に付いて、「おみおつけ」になったとするのは上述の通りです。
この漢字を使う例として「御御足(おみあし)」「御御籤(おみくじ)」などがあります。
味噌の意
「おみ」には「お味噌」という意味があるので、「おみおつけ」は「お味噌のおつけ」と解すべきという説です。
そして、この漢字表記が「御味」なんですよ。
ただ、この説の場合、「おつけ」に味噌汁の意味が生じてから、さらに「味噌」の意味の語を加えたという問題が残るようです。
最後に
「おみおつけ」という、近年、聞きなれない言葉の漢字表記を追いかけてみました。
なんと6つもの漢字表記がありましたが、国語辞典を見ると、その表記はまちまちで統一されておらず、混乱しているさまが見てとれました。
私は「おみおつけ」や「おつけ」は小さい時の記憶がありますよ。
この漢字表記の由来を確認しましたが、構成はひらがなと同じで、「おみ」と「おつけ」でそれぞれ由来がありましたね。
なかなか、昔の言葉は風情があったと思うのですが、今の若い方はどうなんでしょうか。
※思えば、「ある言葉を漢字で書くと」記事も増えてきましたよ
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