イギリスの漢字は?皆知っている表記に至るまでの変遷もご紹介
はい、またまた国名の漢字シリーズをやらせていただきます。イタリアに続き、「イ」で始まる国の漢字表記を見ていきます。
普段、我々日本人が呼んでいるこの国の名称ですが、実は通称なんですよ。正式名称は、本文の中で述べますが、実に長い名称なんです。
観光地はビッグベンがあります。料理がまずいというイメージがある国です。
タイトルにもあるように、その国の名は「イギリス」です。
イギリスの漢字はどう書くのかご存知ですね。恐らく、大部分の方が知っていらっしゃるでしょう。
それでは、イギリスの漢字表記と由来、由来の中でイギリスの漢字表記がどう変わっていったかも紹介します。そして、漢字一文字はどうなるかを見にいきましょう。
最後まで、どうぞご覧くださいませ。
イギリスを漢字で書くと?
イギリスを漢字で書くとどうなるか見てみましょう。
イギリスを漢字で書くと?
英国、英吉利
よく見かける表記が出て来ました!
今は、英国が一般的ですが、幕末から明治・大正期には、「英吉利」があって「えいぎりす」と読んだようです。
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、通称イギリスは、ヨーロッパ大陸北西岸に位置し、グレートブリテン島、アイルランド島北東部その他多くの島々から成る立憲君主制国家で、首都はご存知の通りロンドンですね。
歴史的経緯に基づく、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという4つの「国(カントリー)」が、同君連合型の単一主権国家を形成しています。
また、2020年1月31日まで欧州連合(略称:EU)に属していたが離脱したのは、当時、大きな事件として報道されました。
漢字表記と読み方
イギリスの漢字表記は、「英国」「英吉利」がありました。
これらを構成している漢字として、「英」「国」「吉」「利」の4つを見ていきます。
イタリアの表記を構成する漢字
英 音)エイ 訓)はな はなぶさ
「英吉利(イギリス)」の略。イタリアのこと。「英中貿易」
国 音)コク 訓)くに
くに。生まれ育った国家。祖国。
吉 音)キチ 訓)よ・い
よ・い。めでたいさま。さいわい。めでたいこと。
利 音)リ 訓)とし
すらりと刃が通って、鋭いさま。「利比亜(リビア)」
漢字表記3つ「伊太利」「伊太利亜」「以太利」を音読みで読んでみましょう。
英国:「エイ」+「コク」???
英吉利:「エイ」+「キチ」+「リ」=「エイキリ」
英国は「エイコク」としか読みようがありませんな。英吉利は、今風な読み方なら「エイキチリ」ですが、これで「えいぎりす」と読ませたんですな。
漢字の由来は?
漢字の由来は?
「エゲレス」という呼称に「英吉利」という漢字が当てられ、頭文字の英に国を付けて「英国」になった
日本では「イギリス」って呼ぶのが一般的ですよね。
この「イギリス」の起源は、戦国時代にポルトガル人が来航した事が要因なんです。
即ち、イングランドに関連するポルトガル語の形容詞「inglez, inglês(イングレス、イングレシュ)」が「イギリス」の語源となっているんです。
また、江戸時代になると、同じオランダ語の形容詞「engelsch, engels(エンゲルス)」を語源とする「エゲレス」という呼称も広く使用されたそうなんです。
これが、上記で述べた漢字の由来です。
さらに、ここから「英語」「英文」「英訳」などが生まれたと考えられているんです。
イギリスの漢字表記の変遷
幕末から明治にかけては、「イギリス」に対して、いろいろな表記を当てています。
どのように、漢字表記が変遷していったのか見てください。
年 | 漢字表記 | 出典 |
---|---|---|
1602年 | 諳厄利亜 | マテオ・リッチの『坤輿万国全図』:《アンゲリア》に相当 |
1616年 | 伊祇利須 | 荒尾禎秀 著「イギリス(英吉利)」 |
1714年 | 漢乂剌亜、諳厄利亜 | 新井白石『西洋紀聞』:《アンゲリア》に相当 |
1814年 | 諳厄利亜 | 日本初の英和辞書『諳厄利亜語林大成』:《アンゲリア》に相当 |
1833年 | 英咭唎、英吉利 | 『日本風俗備考』 |
1838年 | 英吉利斯 | 渡辺崋山『慎機論』 |
1839年 | 英吉利 | 渡辺崋山の『外国事情書』『再稿西洋事情書』 |
1840年-1841年 | 英吉利 | 渋川敬直訳述・藤井質訂補『英文鑑』 |
1845年 | 英吉利、𠸄咭唎 | 箕作省吾『坤輿図識』 |
1854年 | 英傑列 | 村上英俊『三語便覧』 |
1867年 | 伊幾里須 | ヘボン編『和英語林集成』:日本初の和英辞書「和英の部」 |
いろんな方が様々な表記を当てていますね。人間、考えるものですな!
なお、「諳厄利亜」は、近世の学者が用いたイギリスの呼び名です。表記は、『坤輿万国全図』が日本に伝わってから19世紀に至るまで、日本でもかなり多く用いられました。
英国のもとになったと言われる「英吉利」は1833年に出現していますね。その後にも、「𠸄咭唎」、「英傑列」、「伊幾里須」という表記もありますが定着しなかったんですね。
現代日本でも使用される「英国(英國)」の使用例は次の通りです。
年 | 出典 |
---|---|
1845年 | 箕作省吾『坤輿図識』 |
1854年 | 調印された日英和親条約 |
1862年 | 遣欧使節が訪英して調印した「英国倫敦覚書」の条約文で「英国」の使用 |
こちらは、1845年に最初の例があります。1845年、1862年では条約にも使われています。
そして、明治に入る前には、既に、新しい表記が日本でも定着していたようです。
その他の雑学
ここでは、イギリスの漢字表記が出てくる作品をいちらんにしてみました。
年 | ジャンル | 内容 | 作者及び作品 |
---|---|---|---|
1987 | 辞典 | (明治初期に)この英の字すぐれたるというにはあらず。戎語(えびすのことば)に漢字を借りたるのみ。まどうべからず。 | 惣郷正明「辞書散歩」 |
1995 | 漫画 | 英国(イギリス)からわざわざ | 松川祐里子「魔術師1」 |
1995 | 漫画 | 英国(イギリス)人よ | 日渡早記「未来のうてな1」 |
1996 | 漫画 | 英国(イギリス)の犯罪心理学の権威 | さとうふみや「金田一少年の事件簿16」(金成陽三郎) |
2006 | 漫画 | 島国(イギリス) | たなかかなこ「ソロモンアイズ」 |
参考:当て字・当て読み漢字表現辞典
トップの内容ですが、外国に関する偏見というか悪意が凄く見えますね。
以前、ドイツの記事でも、ドイツの漢字研究家が「ドイツの漢字表記に獣へんの漢字を当てるのを止めろ!」と言っていたのを思い出さ井ました。
漢字一文字で表わすと
イギリスを漢字一文字で表わすと何になるのでしょうか。
イタリアの漢字一文字は?
イギリスを漢字一文字で「英」となります。
「英国」「英吉利」の頭の一文字である「英」でイギリスを表します。まあ、順当ですね。
次の章では、世界の国々ではイギリスを何と呼んでいるのか見てみます。
世界での表記
イギリスを世界の国々ではどう表記して、どう発音するのか見てみましょう。
言語 | スペル | 発音 |
---|---|---|
英語 | England | イングランド |
ドイツ語 | England | イングランド |
オランダ語 | Engeland | イングランド |
フランス語 | Angleterre | オングレテー |
イタリア語 | Inghilterra | インジッタラ |
スペイン語 | Inglaterra | イングラテッラ |
ポルトガル語 | Inglaterra | イングラッテハ |
スウェーデン語 | England | エングランド |
ノルウェー語 | England | イングラン |
中国語(繁体) | 英國 | インゴオ |
中国語(簡体) | 英国 | イングオ |
ロシア語 | Англия | アングリア |
ヨーロッパ各国のスペルを見ると、2系統が存在するようです!即ち、England系とIngra系統です。フランスも後者に含まれると思います。発音も系統ごとに似ていますが、フランスだけ、ちょっと異質な漢字でした。
中国語は繁体、簡体で頭の一文字が違いますが同系統の漢字表記です。発音も、ほとんど一緒でした。簡体の表記は日本と同じです。
ロシア語のスペルは他のヨーロッパ言語とは全然違います。発音も、今回は独自のモノでした。
最後に
イギリスの漢字表記を確認してきました。
英国は馴染みの漢字ですな。
「エゲレス」という呼称に「英吉利」という漢字が当てられ、頭文字の英に国を付けて「英国」になったんですな。
オランダ語が関わったわけですが、その漢字の変遷を一覧にしてみました。
世界でも、ヨーロッパ諸国は、二系統に分かれてましたね。中国語の表記は日本語と同じ出した。ロシア語は巣オペルも発音も独自でしたね。
※思えば、国名の漢字も増えてきましたよ
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