「くらげ」を漢字で書くと?メジャー・マイナー表記全10種類をご紹介
海には様々な生き物が存在していますね。
魚がメインかと思いきや、タコやイカの甲殻類、ヒトデや貝やウミウシとか訳の分からない生き物であふれていますね。
今回の題材の「くらげ」も、ちょっと変わった生き物ですね。
この「くらげ」を漢字で書けるのかな?やっぱり、ライフワークの漢字が、やはり、気になりますね。
それでは「くらげ」の漢字表記メジャーな奴からマイナーな奴まで、みんな、まとめてご紹介しますよ。由来なんかも追求しちゃうかな。
それでは、ご一緒に内容をご覧ください。
「くらげ」の漢字は?
「くらげ」は、ほとんどが海産で、体は寒天質で骨格はなく、一般に傘形をなし、浮遊生活に適した生き物です。
その「くらげ」の漢字はどんな表記でしょうか?
「くらげ」の漢字は?
まずは、メジャーな表記をお見せして、次に、マイナーな表示をお見せします。
- 水母
- 海月
この二つの表記が「くらげ」のメジャーな表記と言えるでしょう。
なんたって、広辞苑、大辞林、大辞泉、日本国語大辞典、学研国語大辞典、明鏡国語辞典等、国語辞典を引くと出て来ますから。
また、パソコンで「くらげ」+検索で「水母」「海月」を出すことが出来るんですから。
それでは、辞書にも載ってない、パソコンで変換もできないマイナーな表記にはどんなものがあるんでしょうか?
- 水月
- 久羅下
- 暗下
- 遊魚
- 蚱
- 鮓
- 鏡虫
- 久良介
マイナーな表記として、その数、全部で8つ出て来ました!
おお、こりゃ、また、すばらしい当て字らしきモノや、虫へん及び魚へんの一文字の漢字が出て来ましたね。
最後に虫のつく名前や、人の名前みたいのまで入っていますね。
メジャーな名前2とマイナーな名前8でトータル10の漢字表記が出て来ましたね。
それでは、その由来を簡単に見ていきましょうか。
「くらげ」の漢字表記の由来(メジャー)
始めに、海月の漢字表記のうち、メジャーな2つについて、その由来を見ていきます。
水母
「和名抄」が漢語から引用したようです。
「和名抄」って、平安時代中期、当代随一の和漢にわたる学者であった源順が撰した、現存最古の分類体漢和辞書です。
そこで、既に出ていたとは、随分と昔からある表記なのですな。
さて、何故、「水母」と書くのか、はっきりしないのですが、中国の晋王朝の時代に書かれた『博物志』という書物に遡る説が有力と言われています。
この中に「くらげは目がないが、海老を自分の案内として付き従っている」という記述があるんです。
この意は、くらげは目がない生き物なのに、海の中を浮遊できているのは、実は海老が付き添っているからとのこと。
それで、水中をくらげと海老が一緒に進んでいく様子が、あたかも母子であるように見えたことから、くらげを母、海老を子供に見立てて、くらげが「水母」になったということです。
この説だと、海老は「水子」になるんですかね。いずれ、調べてみよう……。
海月
こちらも、「和名抄」が漢語から引用した表記です。
出どころが同じですので、「水母」と同様、平安時代からあった表記なんですね。
この「海月」の由来ですが、「くらげ」が海中を泳いでいるところからきた表現です。
「くらげ」は半透明であり、丸い形をしています。
この「くらげ」が月明かりに照らされた海中を漂っている姿が、海の中に月があるように見えたことから「海の月」即ち「海月」となったんです。
「くらげ」の漢字表記の由来(マイナー)
ここからは、マイナーな漢字表記の由来です。
上述したように、あくまでも、辞書に載っている表記をメジャー、それ以外をマイナーと呼んでいるだけですので、この点、ご了承を。
水月
この「水月」ですが、wikiでくらげを検索すると、その漢字表記に表示されています。
ただ、この「水月」を「すいげつ」と読んじゃうと、「水と月」「水にうつる月影」のような全然別の意味になっちゃいます。
出どころは見つからないんですが、由来は、「海月」とほとんど一緒です。
即ち、「くらげ」が月明かりに照らされた水中を漂っている姿が、水の中に月があるように見えたことから「水の月」即ち「水月」となったんということですね。
久羅下
この表記は古事記に載っています。
古事記は、711年編纂ですから8世紀前半、つまり奈良時代に出てきた表記です。すげェ!
しかも、この表記「久(ク)羅(ラ)下(ゲ)」ですから、イコール「くらげ」になるんですよ。
左のページの右から4行目の最後の2文字と、右から5行目の先頭の文字で「久羅下」と出ています。
水母、海月、水月などと表記されるが、古事記において、天地開闢の最初の方に登場する事物で、この表記が使われる。
引用 神社と古事記
暗下
こちらの表記は万葉集から来たという情報を手にしました。
そこで、「暗下 万葉集」「万葉集 暗下」をネットで検索するも不発!手詰まりに陥ってしましました。
ウーン、残念だ!
「暗下 くらげ」で検索すると、いくつかヒットしましたが、その由来を見つけることは出来ませんでした。
残念!
半透明の傘をもつ放射相称動物、触手を水のなかでゆすりうごかすだけの生きもの。暗下、凝る月、海の月、水の母とも書く。
引用 朝吹真理子「TIMELESS」を読みながら考えたこと
この表記「暗(くら)下(げ)」は完全な当て字ですね。
遊魚
談義本・根無草に載っている表現です。
談義本・根無草は、風来山人作。この人、エレキテルの平賀源内のペンネームですね。宝暦13年(1763)刊の書籍です。
跋「遊魚(くらげ)なすのらりくらりの遊の道は」とあるようですので、書物のあとがきに、この表現があったのではないでしょうか。
蚱
くらげの漢字で一文字の表記が出て来ました。
この漢字、漢字源に載っていますが、次のように「セミ」「バッタ」を指す言葉で「くらげ」の意味はありませんでした。
- 「蚱蝉(さくせん)」は、セミの一種。熊蟬(くまぜみ)。
- 「蚱蜢(さくもう)」は、イナゴの一種。
しかし、動物名辞典には、次のように載っていました。
蚱
引用 動物名辞典
読み方:クラゲ(kurage)
クラゲの総称
鮓
くらげの漢字で一文字の表記が、もうひとつ出て来ました。
この漢字は、漢字源に載っており、「くらげ」の意味を持っていますね。
メインの意味は、「すし」なんですが、2番目の意味に「刺胞動物の名。クラゲ類の総称。かさを広げたような形をしている。クラゲ。」と出ています。
クラゲは魚へんに乍と書く「鮓」なんですね。
鏡虫
この鏡虫、由来を探しましたが、見つけることは出来ませんでした。
考えられるのは、海月、水月出会ったように、「くらげ」が月明かりに照らされた海中(水中)を漂っている姿が、海(水)の中に月があるように見えた所が鏡のようであると解釈されて付けられた名前のように思えます。
久良介
こちらも、「水母」「海月」で出てきた「和名抄」からです。
以下の内容が載っているようです。
海月 崔禹錫食經云海月一名水母〔和名久良介〕貌似月在海中故以名之
クラゲは何類に属しているのか興味がありませんか?海にいるから魚類?いえいえ、何と意外な答えなんですよ。次の記事をご覧ください。
世界での「くらげ」は
「くらげ」を英語を始め、世界の国々ではどう表記して、どう発音するのか見てみましょう。
言語 | スペル | 発音 |
---|---|---|
英語 | jellyfish | ジェリーフィッシュ |
ドイツ語 | Qualle | クラル |
オランダ語 | kwal | クワウ |
フランス語 | méduse | メジューズ |
イタリア語 | Medusa | メデューシャ |
スペイン語 | Medusa | メドゥーサ |
ポルトガル語 | medusa | メデューゼ |
スウェーデン語 | manet | マヌヤ |
ノルウェー語 | manet | マネットゥ |
中国語(繁体) | 海螫 | ハイシー |
中国語(簡体) | 海蜇 | ハイチュー |
ロシア語 | медуза | メドゥーザ |
ヨーロッパ各国では、スペル・撥音がいくつかのタイプに分かれました。独逸語・オランダ語、フランス語~ポルトガル語、スウェーデン語・ノルウェー語の3つです。
クラル、メドゥーサ、マネットに近い発音になってます。2番目のは、頭が蛇のメデューサですかね?
何でメデューサになるんだろう?
中国語は繁体、簡体とも2文字目が似ているようで違う漢字でした。発音も同様に異なりました。
ロシア語は、特異なスペルでしたが、発音はメデューサ組でした。
最後に
くらげの漢字表記を見てきました。
辞書に載っている表記をメジャー、それ以外をマイナーと位置付けて漢字表記を出してみました。メジャーには2つ、マイナーには8つの候補が挙がりました。
それぞれに由来を出しましたが、正直、何もわからない漢字表記もいくつかありましたね。
世界の表記と発音は、ヨーロッパが3つの組に分かれて面白かったですね。
■思えば、「ある言葉を漢字で書くと」の記事も増えてきました
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