クラゲは何類なのか?その分類の理由と仲間も含めて詳しくご紹介
この動物は、古事記(711年編纂即ち8世紀前半、つまり奈良時代)に既に登場した生き物です。
半透明の傘をもつ放射相称動物で、その表記には複数あり、海月、水母とも書かれます。
漢字表記に関しては、先日記事をアップしました。
さて、このクラゲなんですが、海生生物ですが一体何類なのかと…。シリーズ化している「○○何類」に登場してもらいます。
そういう訳で、今までやってきたように、クラゲが何類なのかを追求します。そして、その理由と仲間達についても大特集しますよ。
それでは、ご一緒に内容をご覧ください。
クラゲは何類か?
クラゲは何類なのかを述べてから話を進めましょう。
クラゲは何類か?
クラゲは、「その他の生物」です。
以前も、同じ「その他の生物」が出ています。やはり、この結果は、「何類か聞いたのに答えになっていない!」と思われる方が大半でしょう。
クラゲは刺胞(しほう)動物という種類に含まれます。その名前の通り、触手に「刺胞」と呼ばれる毒液を注入する針(刺糸、しし)を備えた細胞内小器官をもつ細胞があります。
クラゲといわれる動物は、刺胞動物門の次の綱に渡って存在します。
- ヒドロ虫綱
- 十文字クラゲ綱
- 箱虫綱
- 鉢虫綱
「こちらも○○類じゃないか!」と言われると思います。どうして、○○類でないかを解説していきますので、お聞きくださいね。
まずは、中学の理科で習う内容を見てもらいます。
動物は、大きく脊椎動物、無脊椎動物に分かれ、それぞれ次のように分類されるんです!
- 脊椎動物は5つに分類され、全て「○○類」になる
- 無脊椎動物は次の3つに分類される
■節足動物(4つに分類され、「○○類」となる)
■軟体動物(類はつかない)
■その他(類はつかない)
「無脊椎動物」について、もう少し、細かく見ていきます。
- 節足動物
◎昆虫類(アリ、バッタ、カマキリ等)
◎甲殻類(エビ、かに、ミジンコ等)
◎クモ類(クモ、ダニ、サソリ等)
◎多足類(ムカデ、ヤスデ等) - 軟体動物(イカ、タコ、アサリ等)
- その他(ウニ・ヒトデ・ナマコ等)
そして、クラゲは、この「無脊椎動物」の中の「その他」に属するんですね!
ですから、「クラゲは何類?」と聞かれたら、この分類上「その他」と答えるしかないんですね。あるいは、上述したように「刺胞動物門」に属するので、「刺胞動物」と答えてもいいんですね。
以前、アップした「ウニ 何類」も、分類が同じ「その他」に該当しています。詳細は、次の記事をご覧くださいませ。
なお、冒頭でも言いましたが、クラゲを漢字で書くと「水母」、「海月」などがメジャーです。
マイナーな表記としては、「水月」「久羅下」「暗下」「遊魚」「蚱」「鮓」「鏡虫」「久良介」などの表記がありますな。詳細は、次の記事で解説しています。
その他の動物(刺胞動物)とは
その他の動物では、先に進まないので、「刺胞動物」として広辞苑から引いて見ます。
無脊椎動物の一門。ポリプ型とクラゲ型のものがあり、一生の間にその両型を経るものも多い。一般に、クラゲ型は鐘状、ポリプ型は円筒形で、放射相称。腔腸(こうちょう)を備え、口の周囲に触手をもつ。体表や触手に刺胞をもつ。ほとんどが海産。ヒドラ・イソギンチャク・クラゲ・サンゴの類。
引用 広辞苑
刺胞動物の特徴です。
- 毒のある微小な針のでる刺胞細胞をもっている
- 体は円筒形か、つぼ形で中の空所を腔腸といい、ここで消化を行う
- こう門はなく,口から入れて口から出す
- 口のまわりに多数の触手がある
さて、それでは、特徴に合わせて、クラゲを見てみましょう。
- 触手などにある刺胞には、獲物に注入する毒をもっている
- 体全体は、多くのものでは傘のような形をしている。
- 肛門はなく、口によって摂食、排泄の両方をおこなう
- 多くの種類では傘の縁に触手がある
クラゲは、刺胞動物の特徴を備えていえるでしょう。
クラゲは何を食べる?
さて、クラゲは何を食べるのでしょうか?まあ、種類によって異なりますが、メインディッシュはプランクトンです。
水族館などで飼育されているクラゲと野生のクラゲがいますが、大体似たような餌を食べているようです。
クラゲのエサを一覧にしてみました。
クラゲの餌 | 概要 |
---|---|
アルテミア | ブラインシュリンプ・おばけえび。透明なエビの形をしたプランクトン |
コペポーダ | カイアシ類・ケンミジンコ。プランクトンの一種 |
プランクトンのような小さい魚 | 孵化したての稚魚と似ている魚 |
クラゲフード | 牡蠣・シラス・甘エビ等を細かく砕いて飼育しているクラゲに与えるそうです。水族館などのクラゲの餌。 |
クラゲ | クラゲは共食いまでするだって!驚き!動画も見てください |
クラゲフードの材料は贅沢ですね!牡蠣とか甘エビまで入っていますよ。
次の動画を見てください。
クラゲしか食べないクラゲもいるんですね。
クラゲの仲間・種類
世界には約3000種類のクラゲがいるとされています!うち、その中で日本にいるのは200種類くらいだそうです。
毒を持ったクラゲ
ほとんどのクラゲが毒を持っていますので要注意ですね。
ただ、全てのくらげが猛毒を持っているわけではないんですよ。少し痺れる程度のものから、激しい痛みを伴う毒など様々です。
そんな、毒を持ったクラゲのうち、日本近海に生息するモノを一覧にしました。
名前 | 概要 |
---|---|
アカクラゲ | 赤色の模様が大きな特徴で毒が強く、あの真田幸村が利用したという逸話もありサナダクラゲと呼ばれる |
アンドンクラゲ | 箱虫類のクラゲ。傘径は3cmほどで、四角い箱状のからだから、長さ20cm~30cmの4本の触手が伸びる。電気クラゲと呼ばれて嫌われている種である |
カツオノエボシ | ヒドロ虫類のクラゲ。気泡体とよばれる透明な袋状の浮袋をもち、これが「烏帽子(えぼし)」にみえること、またカツオが日本近海にやってくる初夏のころ、同じように黒潮にのって姿を現すことから。電気クラゲと呼ばれて嫌われている種である |
キタカギノテクラゲ | 春から夏にかけアオサなどの海藻の間に見られる。神経毒が強く、蚊に刺された程度の刺傷であっても全身症状により喘息の様な咳、鼻水、腰痛・筋肉痛、吐き気、頭痛、痙攣、寒気、チアノーゼを引き起こす |
ハブクラゲ | 沖縄や奄美の海域に生息するが、特に危険な種であり、過去に3件の死亡例がある |
ヒクラゲ | 箱型の傘と、傘の四隅から1本ずつ伸びる淡い桃色をした4本の触手を持つ。人間が刺されると火が付いたように傷むという |
アマクサクラゲ | クラゲ食で、他種のクラゲを捕食する。刺胞毒は強く、刺されると強い痛みを感じる。刺胞は触手だけでなく傘にも点在しているため注意が必要 |
カツオノエボシは聞いたことがあります。触手も長いんですよね。
中でもアンドンクラゲは強い遊泳力を持っていて、黒潮に乗って日本近海にきます。
発生時期は6月~8月とお盆の時期であることから、行燈(あんどん)にちなんで名前が付けられたといわれています。
「海水浴はお盆まで」というのはアンドンクラゲが多く発生するからだそうですよ。
日本の水族館によくいるクラゲ
水族館で見られるクラゲを次にあげます。
クラゲの名前 | 概要 |
---|---|
アカクラゲ | 赤色の模様が大きな特徴で毒が強く、あの真田幸村が利用したという逸話もありサナダクラゲと呼ばれる |
オワンクラゲ | お椀のような形をしているクラゲで、刺激を受けると傘の縁が緑色の光を放つ |
カブトクラゲ | 兜のような形状が特徴で日本の固有種。カブトクラゲは有櫛動物でハリもなく刺さない |
カラージェリーフィッシュ | さまざまな色があるのが特徴、毒は持っていないとらしい |
タコクラゲ | 8本の足のような口腕があることから。 |
ハナガサクラゲ | 寿命が短い。この名は、傘が花笠に見えることが由来で、強力な毒を持っている |
パシフィックシーネットル | 世界最大級の大型クラゲで、1,2m以上にもなる個体もいた。長い口腕が特徴 |
ベニクラゲ | カラダの中心部が赤い |
ミズクラゲ | 4つの丸い模様が目のように見えるのでヨツメクラゲと呼ばれることも |
ユウレイクラゲ | 丸っこくてずんぐりしており、主食は他のクラゲです |
クラゲは見ていると、何か癒されますよね。
種類として知っているのは、ミズクラゲ位しかないですな。
食用クラゲ
最後に、食用クラゲを見てみましょうか。中華料理の前菜でお目にかかりますよね。
大きく分けると、次の2つに分けられます。
- 業務用クラゲ:主に中華の前菜に出てくるクラゲ
- 加工用クラゲ:スーパー等で売られている中華くらげやクラゲ珍味に使われているクラゲ
日本で今食べられているクラゲの種類は次の6種類です。
クラゲの名前 | 概要 |
---|---|
キャノンボールクラゲ | メキシコ中米産とアメリカ産がありそれぞれ肉質が違う |
ビゼンクラゲ | 傘の直径40-50cm程度、重さ10キログラム程度の大きさになる。食用として古くから利用されている。 |
ヒゼンクラゲ | 福岡県では白いためシロクラゲとも呼ばれ、塩蔵などの加工を施すことによって、食用として利用する |
エチゼンクラゲ | 鉢虫類に属する。黄海とその周辺で発生し、対馬海流に乗って成長しながら日本海を北上する |
ホワイトクラゲ | タイのラノーン地区、インドネシアのコタバル地区に生息 |
チラチャップクラゲ | 傘の部分の周りの耳の部分が放射状になっているのが目立つため「サンフラワークラゲ」とか「太陽クラゲ」の別名がある |
食用クラゲの名前には余り、興味は持っていませんでしたが6種類もいるんですね。
ビゼンクラゲとヒゼンクラゲは名前が似ていますが、種としても近いんですって。
ホワイトクラゲの輸入に関しては、近年、中国が買い占めに入っており、日本勢は苦戦しているそうです。
最後に
クラゲは、ウニと同じく、無脊椎動物に属する「その他」の動物であることがわかりました。刺胞動物とも言うんですね。
ウニ(その他)・クリオネ(軟体動物)の時と同じく「何類?」と聞いているのに、「その他」「刺胞動物」と答えられて意外に感じた方も多いでしょう。でも、動物の分類法からすると、こう答えるしかなかったんですな!
クラゲは、水族館などで見ると優雅できれいな生物に見えますが、共食いもしちゃうんですね。
これからも、いろいろな動物が何類かを探っていきたいと考えます。
■追記 ○○何類で記事を書いています。
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