エイとマンタの違いは?驚くべき11もの項目で違いを出してみた
このところ、エイについての記事を2つアップしています。エイと言えば、しばらく前にマンタについての記事もアップしていますね。
エイの目の位置を調べてから、この生物について興味が湧いて立て続けに記事をアップしてます。
水族館には何回か行って、エイもマンタも何度か見ています。まあ、その際は、同じカテゴリーなのは何となくは知ってはいました。
しかし、よくよく考えると、何故、同じカテゴリなのに、エイとマンタという全然違う名前なのかという点がどんどん気になってきました。
そこで、今回の記事では、このエイとマンタの違いを炙り出し、その違いを徹底的に追いかけていきます。
どうか、ご一緒にご覧になってください。
エイとマンタの違い
最初に、エイとマンタの違いを見ていただきます。たくさんあるよ!
エイとマンタの違い
エイとマンタの違いを一覧にしてみました。
比較項目 | エイ | マンタ |
---|---|---|
大きさ | アカエイで体長2メートルくらい | ナンヨウマンタは体の横幅が最大で4m、オニイトマキエイは6m |
分布 | 世界中の海洋の暖海域から極域まで | 世界中の熱帯・亜熱帯海 |
餌 | カニ・エビ・貝など | プランクトンや魚 |
生息場所 | 海底 | 海面近く |
目の位置 | 背中 | 頭部先端 |
鼻・口の位置 | 腹 | 頭部前方 |
えら孔 | あまり大きくない | 幅広い |
寿命 | 15~25年 | 40~50年 |
毒針 | 持つ種類もいる | ない |
胸ビレ | 全体的に平べったい | 翼のように大きく広がる |
泳ぎ方 | ひれの縁だけを動かして泳ぐ | ひれを羽ばたかせるように優雅に泳ぐ |
11の比較項目を挙げてみました。こう見ていくと、エイとマンタは全然違うんだなとわかりますね。
個別に比較項目を見ていく前に、エイの種類を見ておきます。
ここにあるように、マンタはエイの仲間なんですね。そして、オニイトマキエイとナンヨウマンタの2種類を指すんですよ。
これを前提に、比較項目に挙げた内容を、少し細かく見ていきましょう。
大きさ
エイの大きさは、種類によって大きく変わります。表で示したように、アカエイで(尾も含めた)体長2メートルくらいです。
プラークラベーンと呼ばれるエイは、アカエイ科に属する世界最大の淡水エイです。その大きさは、体盤幅は1.9m、体重300kgに達し、毒針の長さは30cmを越すんですって!
確認された最大の個体では、体盤幅は2.4m、尾が長く最長で2mを越し体盤と尾を含めた最大全長は4mを越したそうです。
マンタですが、オニイトマキエイは世界最大のエイで、体の横幅が最大6mに達すると言われています。
もう一方のナンヨウマンタは、オニイトマキエイ程ではありませんが、体の横幅が最大で4mに対します。
分布
エイの分布は、上述したとおり、世界中の海洋の暖海域から極域まで広く分布しており、エイの一部は淡水にも適応しているんです。
Daiju Azuma, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons淡水エイ(たんすいエイ)とは、淡水に生息するエイの総称。南米東半に固有のアマゾンタンスイエイ科の種や、東南アジアを中心に分布するアカエイ科のオトメエイ属(Himantura)、イバラエイ属(Urogymnus)の一部の種などがこれにあたる。
引用 wiki 淡水エイ
次にマンタの分布をみていきます。
「オニイトマキエイ」は、世界中の熱帯・亜熱帯海域、特にサンゴ礁周辺に生息します。普段は外洋の表層を遊泳するんですが、沿岸域でも見ることができます。
「ナンヨウマンタ」は、インド洋(紅海、南アフリカ)、太平洋の熱帯・亜熱帯海域、サンゴ礁周辺に広く分布します。
餌
エイは、海底に住んでいる生き物(カニやエビや貝)を平たい体で押さえつけて食べます。なんと、自分の半分ぐらいの大きさのサメだったら食べてしまいます。
エイの歯は、同じ仲間のサメと違って、物をすりつぶすタイプなんですよ。この歯を使って、貝殻やカニの甲羅をバリバリ破って中身だけ食べるそうです。
次にマンタの餌ですが、最近まで、あの大きな身体でプランクトンのみを食べる穏やかな性格の生物と思われています。
ただ、巨大なマンタの食については謎が多く、海洋生物学者たちも判明できないままのようです。
下記のような研究がされているようです。
しかし、最近の研究では、マンタの食事の平均27%はプランクトン、73%は中深海水層(200〜1,000メートル)に住む魚だとわかったとの報告も成されてします。
但し、この内容は、胃の内容物を確認したわけでなく、マンタのお肉から成分を考察するとこうだよね、というものであり、深海での実際に魚を食べている様子をキャッチ等の証拠集めが必要なようです…。
生息場所
エイの種類の多くは、海底に生息しており、泥や砂の中で生息しています。普段は海底の砂や泥の中に潜り、目と噴水孔や尻尾を砂の上に出しています。
泥や砂の中の他、岩礁、サンゴ礁、海藻の茂みなどでも生活しているようです。
マンタはいつも水面近くを泳いでいるという回遊魚というイメージがあります。
上述した最近の研究では、マンタは、頻繁に中深海水層(200〜1,000メートル)ほどの深場まで潜っているということがわかってきました。
また、海面から思いっきりジャンプして、高い時は2mも飛ぶこともあります。
その理由は様々なのですが、体についた寄生虫を落としたり、求愛行動、仲間同士コミュニケーションを取るためと言われています。
目の位置
エイの目の位置は、お腹ではなく背中の方にあります。
ご覧のように、背中の赤枠で囲んだくぼんだ所が目なんですね。エイの目の位置については、次の記事で詳しく解説しています。
マンタの目は頭部先端にあります。
上記、赤枠の部分が目ですね。こうしてみると、エイとは全然違うのが分かると思います。
鼻・口の位置
エイの鼻・口の位置は、目と違い、お腹にあります。
2つの写真を載せましたが、左の写真の赤枠が鼻、右の写真の赤枠が口ですね。
次は、マンタの鼻と口ですね。頭部前方にあります。
赤丸で囲った部分が鼻、四角で括った部分が口ですね。こちらも、エイとは、全然違う部分にあることが分かります。
これは、上記で述べた餌の違いが大きく影響しています。即ち、エイは海底で餌を漁りますが、マンタは、回遊しながら餌を食べているからです。
えら孔
えら穴ですが、エイもマンタも同じ腹側に5対あります。
左の写真の緑枠がエイのえら孔、右の写真の赤枠がマンタのえら孔です。
ご覧になってわかるように、エイのそれは大きくないですが、マンタのそれは幅が広いのが分かると思います。
寿命
寿命は、上記の表にあるようにマンタの方が長いです。
エイは種類が多く、表に挙げた寿命はアカエイのモノです。例外として、ノコギリエイは長くて35年ほどは生きるそうです。また、淡水エイは非常に長生きで、40年生きた記録があるそうです。
毒針
エイの仲間には毒針を持つ種類もいます。
有名なのはアカエイで、尾は細長くしなやかな鞭状で、背面に短い棘が並んでいます。
さらに、中ほどには数cm~10cmの棘が1~2本存在しており、この尾を鞭のように払って刺そうとします。
この長い棘には毒腺があり、刺されると激痛に襲われるので要注意です。
症状は、数週間も続く痛みや、ひとによってはアナフィラキシーショックにより死亡することもあるんですよ。
エイの毒針について、毒針の見た目から、差された時の症状及びその対処法まで詳しく述べた記事がこちらです。
アイヌ民族は、アカエイの毒針を切り取って槍先に用いたり、割って毒を取り出し、矢毒として利用していたそうです。
マンタは、毒針を持っていません。そのため、よくあるようにマンタと人間が一緒に泳いだ映像がありますが、差されるということはありえないのです。
よく、マンタは危ないとか、マンタは人間を食べるとか誤解されますが、マンタは毒針もなく、プランクトンを食べる穏やかな生物なんです。そんな関係の記事はこちらで。
胸ビレ
表記にしたように、エイは全体的に平べったいですが、マンタは翼のように大きく広がっています。
やはり、海底で長距離を移動しないエイと、回遊しているマンタでは、その胸びれの発達の仕方が違うということなんでしょうね。
泳ぎ方
これについては、文字で書くより動画を見ていただいた方がいいと思います。
15分を越える動画ですが、いろいろなエイの仲間が泳いでいる姿を見られます。時間ごとに見られる種類を一覧にしました。
時間 | 見られるエイの仲間 |
---|---|
0分52秒 | ヤッコエイ |
1分57秒 | 危険ザメの海 |
2分04秒 | シノノメサカタザメ |
2分37秒 | ジンベイザメ |
2分48秒 | トンガリサカタザメ |
3分44秒 | ヒョウモンオトメエイ |
4分22秒 | オグロオトメエイ |
5分25秒 | イバラエイ |
6分09秒 | ウシエイ |
7分07秒 | ウシバナトビエイ |
7分54秒 | マダラトビエイ |
8分45秒 | ナンヨウマンタ |
10分10秒 | ナンヨウマンタ(黒化個体) |
最後に
エイとマンタの違いをみてきました!11もの項目で違いを出しました!次の3点は覚えておいてください。
餌なんですが、マンタはプランクトンだけと言われていましたが、小魚も食べるのではないかとの研究が成されていることです。
大きさから順に違いを見ましたが、目、鼻、口の位置がエイとマンタでは微妙に違いましたね。同じエイでも、生息場所の関係で発達の仕方が変わったんですね!
また、毒針なんですが、マンタは持っていないんですよ!ですから、それを前提にした心配は不要なんですね。
この点、誤解している方が多いようなので、安心してくださいね。
60爺も、過去にマンタは毒針を持っていると信じていました。
※気づけば「エイの仲間」の記事も増えてきました。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません