こおろぎの漢字は実は4つもある!それぞれ由来も含めて詳しくご紹介
2023年12月3日、ちょっと日が経ったら、あっという間に冬になった感があります。
朝夕が寒く、ブログを書いていても足が寒くてたまらず、ズボン下を履いて毛布を巻いています。
知らないうちに、虫の鳴き声も聞こえなくなってしまいましたね。
秋の虫で代表的なのは、やっぱりコオロギですね。漢字マニアの60爺としては、この虫の漢字表記を取り上げないでいる訳にはいかんですな。
そういうことで、コオロギを漢字で書くとどうなるのか見ていきます。なんと2文字の表記の他に虫へんの漢字が3つもあったので、より掘り下げていければと考えています。
どうか、最後まで内容をご覧ください。
コオロギを漢字で書くと?
それでは、コオロギを漢字で書くとどうなるか見ていただきます。
コオロギを漢字で書くと?
コオロギを漢字で書くとどうなるのでしょうか?
蟋蟀 蛬 蛩 蛼
ホホウ、4つの表記が見つかりましたね。
- 2文字:蟋蟀
- 1文字:蛬 蛩 蛼
こおろぎの漢字を一文字で書く場合は、全て虫へんなんですね。
それでは、各々の漢字表記について細かく見ていきましょうか。
蟋蟀
この「蟋蟀」ですが漢名なんです。
国語辞典を引いてみますと、「こおろぎ」に出てくる漢字表記は、この「蟋蟀」ですね。広辞苑、大辞林、大辞泉、日本国語大辞典、明鏡国語辞典の全てこの表記です。
この名前は漢名を素直に取り込んだようです。
個別の漢字を見ておきます。
蟋・蟀のつくりは、悉(シツ)、率(ソツ)ですが、これらは共に、翅(羽)をサッサっと摩擦させる音をまねした擬声語を表しています。
そこから、蟋・蟀は、これらの擬声語を出す虫、即ち、コオロギを表すんですね。
蛬
次は、一文字の漢字の「蛬」です。
蛬=「共(キョウ)」+「虫(むし)」
これについては、由来が出ていません。
勝手に想像すると、共は、「胸の前に手を合わせる」という意味があり、コオロギのそんな仕草を見て、この漢字が出来たのかもしれませんね。
こおろぎ。昆虫の名。コオロギ科の総称。体は「黒褐色」。秋に翅(はね)をこすり合わせて鳴く。コオロギ。別名、蟋蟀(シツシュツ)。
蛩
次の虫へんの漢字は「蛩」です。
蛩=「巩(キョウ 穴を開ける。うつろ)」+「虫(むし)」
からだの中がうつろな虫。うつろな抜け殻などの意。
こおろぎ(こほろぎ)。虫の名。秋に悲しげな声で鳴くこおろぎ。また、きりぎりす。「蟋蟀(シツシュツ)」とも。
この意味は「蛬」とほぼ同じです。類義語ならではの意ですね。
この漢字には他にも意味を持っています。
- バッタ科の昆虫の名。トノサマバッタ。《類義語》⇒蝗(コウ)。「飛蛩(ヒキョウ)(=飛蝗(ヒコウ))」
- うつろな、せみのぬけがら。
- 「蛩蛩」とは、想像上のおそろしい獣の名。北海中に生息し馬に似るという。
- 姓の一つ。
トノサマバッタ、セミの抜け殻に「蛩蛩」という想像上の獣の名、さらに、「姓の一つ」とありますから「蛩」さんまでいるんですな!
名字が「こおろぎ」や「トノサマバッタ」はては「セミの抜け殻」なんて嫌だな。
蛼
最後の漢字は「蛼」です。
蛼=「車(シャ)」+「虫(むし)」
この漢字の由来が見つからないんです。
「蟋蟀」こ個別の漢字である「蟋」「蟀」のつくりであったように、この漢字のつくりの車(シャ)がコオロギの翅をこすり合わせる音に近い擬声語なのではないでしょうか?
コオロギ科の昆虫の名。コオロギ。
この漢字は、日本語だけの意味でコオロギを指すんです。
もう一つ意味があって、ハリガネムシ目の総称。昆虫に寄生するハリガネムシを指すんです。
中国では、貝のハマグリを指すんですな。
参考:上級漢和辞典 漢字源
以上で、コオロギの4つの漢字の解説を終わります。4つの漢字で表わす生物と言えば、「エイ」もそうでしたね。
次の章では、「コオロギ」の語源は何かを見ておきます。
コオロギの語源
古くは秋に鳴く虫の総称でしたが、平安時代には、今のキリギリスを指すようになったそうです。
『十巻本和名抄』によると、コオロギは鳴き声に由来する(その鳴き声コロコロと言ふが如きを以て、この名あり)と出ています。
ただ、そうなると、この虫をキリギリス(現代人は、その鳴き声をキリキリとかギースチョンと言う)と呼んだ平安時代の人は、耳が変だったのかという気がしちゃいますね。
なお、「コオロギ」の仮名書きの例は上代(飛鳥時代後期(白鳳時代)~奈良時代)にはありません。「蟋蟀」を「こほろぎ」と読んでいたそうです。万葉集に、いくつか「蟋蟀」の記載があるようです。
さらには、小林一茶が「蟋蟀が髭をかつぎて鳴きにけり」なんて句を読んでます。
最後は、世界でコオロギをどう呼んでいるかみてから記事を終わります。
世界でのコオロギのスペルと発音
「エイ」を世界の国々ではどう表記して、どう発音するのか見てみましょう。
言語 | スペル | 発音 |
---|---|---|
英語 | cricket | クリケット |
ドイツ語 | Kricket | クリケット |
オランダ語 | krekel | クレイコ |
フランス語 | criquet | クリケット |
イタリア語 | cricket | クリケット |
スペイン語 | Grillo | グリギョ |
ポルトガル語 | Grilo | グリウオ |
スウェーデン語 | cricket | クリケット |
ノルウェー語 | siriss | シーリス |
中国語(繁体) | 蟋蟀 | シーシャ |
中国語(簡体) | 蟋蟀 | シーシャ |
ロシア語 | крикет | クリケット |
ヨーロッパ各国では、スペル・撥音が似ている国が多かったです。発音は「クリケット」が多かったですよ。
オランダ語、スペイン語、ポルトガル語、ノルウェー語が特異でした。
ノルウェー語だけ全然違ったな!
中国語は繁体、簡体とも漢字も発音は同じでした。この漢字は、日本語の漢字である蟋蟀と同じですな!
ロシア語は、やはり特異なスペルでしたが、発音はヨーロッパで一番多い「クリケット」でしたね。
最後に
コオロギの漢字表記を見てきました。
4つの表記が見つかりましたね。こおろぎの漢字は、一文字で表わす虫へんの漢字で、「蛬」「蛩」「蛼」と、2文字の「蟋蟀」でしたね。
それぞれの漢字について、その意味する内容や由来などを見てきましたが、虫へんの一文字の漢字は、由来がはっきりしない表記が2つありました。
それらについては、由来を勝手に想像してみました!
生物の漢字は、その由来を見ていくと興味津々なモノもあるので、これからも続けていきたいと考えます。
※思えば、「動物の漢字」に関する記事も増えてきましたよ
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