水に日で沓!読み方から意味・名前での使われ方まで総特集
久しぶりに漢字の記事を書いてみたいと思います。というのも、昔の股旅物の表題を見て面白い漢字を見つけたからです。
股旅物とは、股旅とは侠客や博徒、芸人や芸者が各地を旅することで、時代劇のひとつですね。
その股旅物の代表作の一つに「沓掛時次郎」というのがあります。
面白い漢字というのは先頭にあるモノです。「沓」ですね。あまり見かけない漢字ではないですか。
この漢字は、水に日で構成されていますね。
そこで、今回は、水に日と書いた「沓」について、読み方から意味・書き順、そして、可能かわかりませんが名前及び名字での使われ方まで総特集していきます。
どうか、ご一緒に内容をご覧になってください。
水に日で沓!漢字の読み方や全体像をまずはチェック
最初に、沓の意味と読み方や全体像をチェックしましょう。
沓の読み方と意味
沓
画数:8画
音訓:トウ かさ・なる(日本語のみ)くつ
意味
①{動詞}流暢にしゃべりまくる。②{動詞・形容詞}かさ・なる。かさ・ねる(かさぬ)。たくさんかさね合わせる。たくさんかさなり合う。また、そのさま。③{動詞}水が後から後からわきあふれる。④姓の一つ。
日本語だけの意味・用法
くつ。履物のくつ。
(名付)かず
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
「くつ」の音読みは「トウ」で、訓読みは「かさ・なる」です。日本語のみ「くつ」と読みます。冒頭の「沓掛時次郎」は「くつかけときじろう」と読むんです。
意味は4つあります。動詞が2、動詞・形容詞が1、姓が1です。
動詞は、①が「流暢にしゃべりまくる」です。同義語に「誻」があります。③が「水が後から後からわきあふれる」ですから、全く違う意味なんですね。
動詞・形容詞②は「かさ・なる。かさ・ねる」意です。類義語に「畳(シ゛ョウ)」(日本語では「たたみ」)があります。
②の意の言葉に「重沓(チョウトウ):重なりあう」「雑沓(サ゛ットウ)(=雑踏):多くの人でこみあうこと。また、人ごみ」があります。
最後の意味は「姓の一つ」なので、「沓」さんがいるということです。
では、この「沓」の書き順を見てみましょうか。
書き順ですが、水⇒日と順に書くだけです。問題はありませんね。
もっと詳しく知ろう!沓の漢字としての由来や成り立ち
「沓」の解字です。
沓=「水(みず)」+「日(しゃべる)」(会意)。
会意※とは、二つ以上の漢字を組み合わせて、もとの漢字とは別の意味を表した漢字。
水が滔々と流れるように言葉を多く重ねて流暢にしゃべる状況を示しています。
この状況から、上で見た三つの意味「流暢にしゃべりまくる」「たくさんかさね合わせる。たくさんかさなり合う」「水が後から後からわきあふれる」となったんですね。
踏(くりかえし足を動かす)・畳(つみかさねる)・習(くりかえし行う)などと同系の漢字です。
次の章では、「沓」のつく言葉をみていきます。
沓のつく言葉
この章では、沓のつく言葉をみていきたいと思います。
沓のつく漢字 | 読み | 意味 |
---|---|---|
沓雑 | トウサ゛ツ | こみあう。《類義語》雑沓(サ゛ットウ)。 |
沓至 | トウシ | 次から次へとやってくる。 |
沓沓 | トウトウ | ①得意になってしゃべるさま。 ②乗っている馬がはやいさま。 ③精神のたるんでいるさま。 |
参考:学研漢和大字典
3つの言葉が出て来ました。
これらの言葉は国語辞典にはありませんね。中国の古典によるものでしょう。
次の章では、「謂」を使った名前及び苗字での使われ方をみておきます。
名前及び苗字での使われ方は
この「沓」ですが、何とも使いにくい感じがするんですが、人名漢字なんです!
ウーム、読みからいっても、相当使いづらいよな~。でも「かず」は使えるかも…。
ベスト3を出すほどの候補が、ネットで探しても見つからんですな。まあ、次のような名前があるにはあったんですが…。
男の子:沓茂(かずしげ)、沓真(とうま)、沓李(とうり)
女の子:沓佳(とうか)、沓華(かずか)、沓乃(とうの)
これぐらいしか見つけることが出来ませんでした。
沓の持つ意味から、次のような願いを織り込むことが出来ると思います。
- 人生を悠々と歩んでいける人になってほしい
- 大きな器量を持ったスケールのでかい人になってほしい
これだけではさびしいので、次に名字を探してみましょう!
「沓」一文字の苗字は存在します!
【名字】沓
【読み】くつ
【全国順位】 45,818位
【全国人数】 およそ50人
参考資料 沓のつく名字|名字由来net
フムフム、全国人数およそ50人ですね。60爺が紹介している名字の中では人数が多いです。
名字の由来解説が載っております。
現富山県である越中発祥ともいわれるが、伝統的な名字である。近年、富山県、石川県などにみられる。
引用 名字由来ネット
都道府県別に見てみます。
都道府県 | 人数 |
---|---|
石川県 | およそ10人 |
富山県 | およそ10人 |
神奈川県 | およそ10人 |
大阪府 | およそ10人 |
熊本県 | およそ10人 |
参考資料 名字由来net
由来で言っているように、石川県、富山県がワンツーフィニッシュです。
最後に
昔の時代劇の「沓掛時次郎(くつかけときじろう)」から、水に日の「沓」をみてきました。
意味が4つある漢字でした。「流暢にしゃべる」という意と「水が滔々と流れる」なんて意を持っていました。上記の「くつ」という意味は日本語だけなんですね。
由来を見ると、「水が滔々と流れる」から「流暢にしゃべる」の意に変わったことが出ています。「沓」を見て「流暢にしゃべる」意味にはなかなか辿り着かんですよね~。
人名漢字でしたが、まあ、名付けできるけど、この漢字を名前に持つ人は少ないだろうなと想像しました。
ごんべんの漢字については今回4番目の記事でした。もう一つ書いて、「ごんべんの漢字」としてカテゴリを作る予定です。
※思えば、「日がつく漢字」も増えてきました。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません