トドが人間を食べる?その真実と噂の出どころを追いかけてみたよ
1970年代根室海峡にはは3,000~5,000頭が回遊していましたが、2000年代には100~200頭と激減している海獣がいます。
それがトドです。
日本では、トドを害獣として駆除してきた歴史があるんです。
トドは、最大全長オス330cm、雌290cmで、体重350~1,120kgという大型の海洋生物です。
トドは人間を食べるとの噂を聞きました。
そこで、この記事では、「トドが人間を食べる」のか、その真相を追跡してみようと思って執筆しました。
どうか、ご一緒にご覧になってください。
トドが人間を食べる?
トドが人間を食べることなどあるのでしょうか?
トドが人間を食べる?
トドが人間を食べることはない!
トドは肉食ですが、主に、魚類(カサゴ・シシャモ・スケトウダラ・ヒラメ・メバル等)や、頭足類(イカ・タコ等)を食べています。
食性の特徴は、全て丸飲みするというところです。
そして、トドが人を襲ったという記録を見つけることは出来ませんでした。
トドは巨大な身体を持っていますが、性格は穏やかで優しいと言われています。
幸いなことに、トドは人を襲わないし、当然、人が襲われてけがをしたことは、2023年までは発生しておりません。
そうであれば、何で「トドが人間を食べる」なんて質問が出るんでしょうか。
この点について考えてみましょう。
何で「トドが人間を食べる」なんて質問が出たか
トドの性格は、穏やかでやさしく、人間を食べることはないんですが、何故、こんな質問がでたのでしょうか。
次の2点が考えられます。
- トドの大きさ
- 他の海獣の事故から連想して
これらの2点について、詳しく見ていきます。
トドの大きさ
やっぱり、その大きさが関わっているのではないでしょうか?
先程、トドの大きさを述べていますが、もう一度表示しましょう。
最大全長オス330cm、雌290cmで、体重350~1,120kg
以前、お話したマンタ(全長9m強)には及びませんが、人間の大人(170cm)の1.7~2倍弱の大きさなんですな!
ただ、体重で言うと、人間の大人(75kg)と比較すると、4倍~15倍もあるんですよ!
うーん、いくら優しい性格といってもこの体格です。
下手にちょっかいを掛けると、襲われると思いトドの防衛本能が働いて何が起こるか予想もつかないので、むやみに近づかない様にしましょう。
さすがに、近づく人はいないと思いますが。
そういうことから、トドは人間を食べると言われたのではないでしょう。
他の海獣の事故から連想して
トドではないんですが、海獣が人間を襲った記録があるんです。
アザラシの仲間のヒョウアザラシで人身事故が起きています。しかも、死亡事故なんです。
2003年に南極の半島部近くで、潜水中の海洋学者が突然噛みつかれ、海中に引きずりこまれて死亡しました。
1914年には、南極大陸に挑んだ英国の探検家アーネスト・シャクルトン卿の乗組員の一人、トマス・オーデリーがヒョウアザラシに襲われました。
浮氷の間から突然現れたヒョウアザラシが、海氷上をスキーで滑走中のトマスに突進してきました。
トマスが懸命に逃げると、再び海に飛びこんだアザラシが、水中から先回りし、行く手に姿を現したそうです。
きびすを返したトマスが大声で助けを呼び、駆けつけたシャクルトンの副官が撃ち殺すまで、アザラシの執拗な追跡は続いたんですって。
怖すぎる!!!
こんなところから、同じ海獣のトドも人間を襲うんじゃないかとの噂が広がったのかもしれませんね。
トドの雑学
この章では、トドの雑学をいくつか挙げておきます。
害獣扱い
北海道の漁業関係者から、トドは「海のギャング」と呼ばれ、有害鳥獣と目されておりました。
1960年代、自衛隊から有害鳥獣駆除として実弾射撃を食らってたんです!
■航空自衛隊のF-86戦闘機による機銃掃射
■陸上自衛隊の12.7mm重機関銃M2、7.62mm小銃M1などによる実弾射撃
トドの生息地の沿岸漁民が行うトド猟または駆除(トド撃ち)は、主に繁殖期である春に行われていました。
これが、NHKのローカルニュースで「春の風物詩」として毎年報道されていたそうです。
とんでもない「春の風物詩」ですね~。
なんか、すごくかわいそうなんですけど!
トドの活動時間帯
トドは夜行性ですので、日中は休息しています。
オットセイは海水に浮いて寝ることができます。しかし、トドは身体の比重が海水より大きいので、休息するには岩礁に上陸しなければならなりません。
この岩礁は「トド岩」などと呼ばれ、かつては北海道各地の沿岸に多々存在していました。しかし、駆除が徹底的に行われた結果、現在では日本海沿岸に少数しか残っていません。
これも、ひどい話ですが、漁場を荒らすので…。
集団が観察されるのは日中であり、夜間の採餌のときも集団で行動するのかどうかはわかっていないそうです。
■迫力!トドの群れ。2005年2月撮影。NHK
トドの由来
トドの名前の由来ですが、いくつか候補があるようです。
- アイヌ語で「トド」を意味する「tondo」や「toda」「toto」に由来するともいわれるが、これらは和名の「トド」から移入した名前と考えられている
- 「トド」という和名は、アイヌ語の「トント」に由来、これは「なめし革(無毛の毛皮)」を意味する
- トドはアシカ科の中で最大種であることから、大きさの極みの意味から「止め」に由来する(ボラの成魚を「トド」と呼ぶのと同じ)
1.と2.では、真逆のことを言っていますね!
いくつかのサイトを除いてみると、2が優勢のようですが…。
最後に
「トドが人間を食べる」なんて怖い噂を聞いたので、その真相を確かめてみようと思い立ちました。
トドって、確かに肉食ですが、その食性の大きな特徴として餌を丸飲みするんですよ!
そこから考えても、「怖い噂は嘘」に思えましたが、人間を襲うような事件は1軒も起こしていないことが明らかになりました。
その噂の出てきた要因も探ってみましたが、まあ、どでかい生物はみんな疑われちゃうんですね。
この先も、こういう噂のある動物を調べてみようと思います。
※気づけば「○○ 人間 食べる」の記事も増えてきました
参考記事
■wiki ヒョウアザラシ
■南極海のヒョウアザラシ
■wiki トド
■トド(Eumetopias jubatus)
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