キッチンの昔の言い方を片っ端から挙げてみた!記憶にあるのは2つだけ
いやいや、この歳になって色々考えると、昔使っていた言葉が随分変わったことに気づきます。
たとえば、今まで記事にした中でも、外套(がいとう)、敷布(しきふ)、背広(せびろ)、匙(さじ)などが消えてしまいました。
今では、コート、シーツ、スーツ、スプーンと言うんですよ。
いやー、懐かしいな。
で、つらつら考えたんですが、他にもそういう言葉がいくつかあるんですよ。
今回は、現在キッチンと呼ばれている食事を作る場所について、昔の言い方を片っ端から挙げてみることにしましょう。
その辺りも追いかけていますので、ご一緒にご覧になってくださいね。
キッチンの昔の言い方
キッチンの昔の言い方です。
キッチンの昔の言い方は?
60爺が子供の頃は、キッチンなんてしゃれた横文字はありませんでした。
昔の言い方を片っ端から挙げてみましょう!
1.台所(だいどころ)
2.お勝手(おかって)
3.厨(くりや)
4.炊事場
5.だいどこ
6.厨房(ちゅうぼう)
7.庖厨(ほうちゅう)
イヤー、一杯出て来ましたね。
ただ、60爺が使っていたのは、このうちの頭2つだけかな。即ち、「台所」と「お勝手」ですね。
「台所」って言葉は今も使われているんですよね。お勝手はどうなんだろ?
「台所」とは「主に家庭で、食べ物を調理したり、食事の後片づけをしたりする部屋」です。
即ち、煮たきその他、食物を調理したり、食器等を洗い片付ける場所のことですね。
この「台所」、徒然草にも登場している言葉なんですよ!
徒然草
日本古典文学の三大随筆の一つ。他の二つは、枕草子と方丈記です。吉田兼好(1283-1350)が鎌倉時代末期に書いた全243段の短編随筆がおさめられた随筆集。
今、挙げた7つの昔の言い方、以下の国語辞典の「台所」から引っ張ってきたものなんですよ。
国語辞典 | 台所の別名 |
---|---|
広辞苑 | くりや。だいどこ。勝手。厨房(ちゅうぼう)。 |
大辞林 | 厨(クリヤ)。勝手。炊事場。だいどこ。キッチン。 |
大辞泉 | 厨(くりや)。勝手。炊事場。だいどこ。 |
日本国語大辞典 | 炊事場。勝手。くりや。厨房(ちゅうぼう)。庖厨(ほうちゅう)。 |
学研国語大辞典 | 炊事場。厨房(チュウホ゛ウ)。 |
明鏡国語辞典 | 炊事場。キッチン。だいどこ。 |
それでは、この昔の言い方それぞれについて、少し、詳しく掘り下げてみましょう。
台所
「台所」とは「主に家庭で、食べ物を調理したり、食事の後片づけをしたりする部屋」です。
即ち、煮たきその他、食物を調理したり、食器等を洗い片付ける場所のことですね。
それでは、この「台所」、どこから出てきた言葉なんでしょうか。そのルーツは?
「台所」は「台盤所(だいばんどころ)」の略です。
「台盤」とは、食物を盛った盤を載せる台を指します。ここから、「台盤所」は調理道具を置く所の意となり、女房の詰所や料理する所を指したのです。
「台所(ダイドコロ)」と省略されたのは中世になってから。さらに近世となって「ダイドコ」ともなったんです!
先程、徒然草に登場したと言いましたが、吾妻鏡にも出てきていますね!
吾妻鏡(あずまかがみ、あづまかがみ)
鎌倉幕府が編纂した歴史書。『東鑑』ともいう。鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝から第6代将軍・宗尊親王まで6代の年代記の体裁で書かれている
お勝手(おかって)
これ、「勝手場」「勝手」のようにも言われますね。
上述したように、子供の頃に台所が「お勝手」と呼ばれていたのを記憶しています。
懐かしい響きですなあ^^;
「お勝手」は「勝手」を丁寧にいった言葉です。
また、「勝手口」という言葉もあり、台所に通じる出入り口のことを言います。
厨(くりや)
古い言い方で、食べ物を調理する場所即ち台所を指します。
その語源として次の説があります。
- 煤(すす)けて黒くなった「黒屋」の意
- 「くり(涅)や(屋)」の意で、煙で黒くなっているところから
また、厨で調理をつかさどる人(料理人)を指す場合もあるようですね。
炊事場
読んで字のごとく「炊事をする場所」のことです。
共同で使う場所を指すようですね。大勢の人間で、大勢(数十~数百人)の食事を作る場所という言い方が出来そうです。
炊事場という言葉自体は知ってますけど、台所のイメージはないなあ!
だいどこ
上述したように、女房の詰所や料理する所を指した「台盤所」が中世になってから「台所(ダイドコロ)」と省略され、さらに近世となって「ダイドコ」となったものです!
うむむ、この言葉も、使っていた記憶はありませんね
厨房(ちゅうぼう)
業務として調理を行う為の場所です。基本、一部屋が調理のために確保されたスペースとなっていて、仕込みから料理の仕上げまでを行うことができる場所ですね。
厨房は、飲食店(喫茶店・レストラン等)、宿泊施設(ホテルや旅館等)、また、スーパーマーケット・病院等の調理施設のことを指します。
この語源ですが、上述の古くは料理を行う場所を厨(くりや)が始まりらしいです。
庖厨(ほうちゅう)
くりや。台所。勝手。また、そこでの仕事や、それをする人を指します。
この言葉にを使った『君子(くんし)は庖厨(ほうちゅう)を遠(とお)ざく』という諺があります。
意味は、「男子たる者は台所に入り込んで、料理・家事のような女子のする仕事に口を出すべきではない」(いま、こんなことを言うと時代錯誤として叱られます!)で使われています。
しかし、本来の意味は、「君子は生あるものを哀れむ気持ちが強いから、生き物を殺す料理場に近づくことは、とうてい忍び得ない」なんだそうです。
記事にした昔の言葉
冒頭で行ったように、次の4つの言葉の昔の言い方を記事にしてます。
今の言葉 | 昔の言い方 |
---|---|
コート | 外套(がいとう) |
シーツ | 敷布(しきふ) |
スーツ | 背広(せびろ) |
スプーン | 匙(さじ) |
トイレ | 厠(かわや)他たくさん |
上記の記事の他に、昔の言葉を一覧にしてたくさん集めています。こちらもご覧ください。
コートの昔の言い方
コートの昔の言い方は「外套」です。おそらく、年輩の方でも余り、この言葉を聞いたことがないのではないでしょうか。
60爺でも、コートを「外套」と読んだ記憶がないんですよ。
そんな外套について追いかけた記事がこちらです。
シーツの昔の言い方
シーツは、ここにあるように、昔の言い方は「敷布」です。子供の頃は、この呼び名が普通でした。
敷布(しきふ)とは、敷きぶとんの上に敷く布のことです。辞書には、シーツという今の呼び方も出ています。
昔の日本人は、貴族でも畳に直接寝ていたんですよ。寝具の歴史についても述べている記事がこちらです。
スーツの昔の言い方
スーツの昔の言い方は「背広」です。
会社に入社した40数年前は「背広」が当たり前でした。
実は、スーツと背広には大きな違いがあるんです。それを知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
スプーンの昔の言い方
スプーンの昔の言い方は「匙」です。30年ほど前、子供がスプーンを持つ頃には、既にスプーンと言って「匙」とは言っていませんね。
現在では、「匙」という言葉は、ほとんど使われていないのですね。呼び名は時代と共に変わるんですね。
スプーンの歴史で世界をめぐっていますので、是非、ご覧ください。
トイレの昔の言い方
トイレの昔の言い方は「厠」です。
でも、その他にも、山程あるんですよ。
雪隠、東司、……。
是非、次の記事をご覧になってください。
最後に
キッチンの昔の言い方を追いかけました。
60爺は「台所」ですね。ガキ、もとい子供の時分はキッチンなんて言葉は、どこを探してもなかったです。
しかし、いつの間にか「キッチン」が主流になってしまいました。
ちょっと悲しいというか郷愁を誘いますが、物の言い方はどんどん変わるので仕方がないんでしょう。
この手の記事は、思いつくたびに挙げていこうと考えます。
※気づけば言い方・呼び方・読み方の漢字の記事も増えてきました
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません