「目薬をさす」を漢字で書くと?元となった表記を知れば思わず納得
普段、何気なく使っている言葉ですが、漢字にすると「あれ?どう書くんだっけ」となるモノをみてみましょう。
60爺の嫁さんは何故か目薬が好きで、ドラッグストアに行くと、まずは、目薬コーナーに寄っていく人です。
対して、60爺は目薬はほとんど使いませんね。目薬はどうも苦手なんですよ~。
さて、今日の本題です。
目薬を使うとき、この「目薬をさす」といいますよね。さて、この「さす」の漢字は何なのでしょう?
「傘をさす」でもやりましたが、「さす」にはいくつもの表記がありますが、どう書けばいいのか見ていきましょう。
これ、元となった表記があり、それを知れば思わず納得しちゃいますよ。
それでは、ご一緒に内容をご覧くださいね。
「目薬をさす」を漢字で書くとどうなる?
この場合の漢字表記は次のようになります。
「目薬を点す」、「目薬を注す」または「目薬を差す」となります。
以上のように3つの表記があるんですね。
主流だとか、非主流だとかがあるんでしょうか?
「目薬をさす」の正式な言葉は「点眼する」になるのですが、なぜ目薬は「さす」なのでしょうか。 漢字で書くと、元々は「注す」や「点す」だったようです。 でも、常用漢字で使われていないため、現在はひらがな表記か「差す」が一般的になっています。
目薬のおはなし|総合東京病院
元々は、「注す」や「点す」だった表記が、常用漢字表から外れた関係で、ひらがな表記か「差す」が一般的になっているのだそうです。
辞書もみておきます。
さ・す【差す/▽注す/▽点す】 の解説
差す(さす) とは? 意味・読み方・使い方|goo辞書
[動サ五(四)]
1 酒をすすめる。「杯を?・す」
2 ごく少量の液体をある部分にそそぎ入れる。「目薬を-・す」「ギヤに油を-・す」
辞書を調べても、漢字表記のトップは「差す」です。
常用漢字にはない表記として「注す」「点す」が追記されています。
X(ツイッター)にも上記のように、同じことをつぶやいている方がいました。
それぞれの漢字表記について、少し、解説しておきます。
点す
上記にあるように、「目薬をさす」の正式な言葉は「点眼する」なんですが、「点眼する」とは、イコール、「目に薬液をたらすこと」です。
この「目薬を点す(点眼する)」には、液体を少量ずつ落とす意味が含まれています。
医療用語としては、「点眼(てんがん)」という表現がよく使われ、「目薬を点す」はこれに基づいています。
「点」という漢字自体は、液体や物質を一滴ずつ落とすことを表現する際に使用されます。
そして、この言葉の由来をみると、「点」は「滴る」という意味があり、液体を小さな粒に分けて落とすことを意味します。
「点す」はそれを具体的に行う動作を指します。
ここから、漢字で書くと「点す」が正解のようです。
注す
そして、かつては、「注す」という表現も用いられていたようですね。
「注す」には、ごく少量の液体をある部分にそそぎ入れる意味があります。
「目薬を注す」は、これに基づいており、ごく少量の液体を目に入れる意となります。
注は、水を丄の形につぎ入れることを示しています。
即ち、水が柱のように立って注ぐイメージですので、目薬をさすイメージにつながるのです。
差す
「目薬を差す」の「差す」は、手で何かを動かして所定の位置に置く、または液体を滴下する意味があります。
この場合、「差す」は広い意味で使われており、目に液体を注入する動作を指します。
こちらの由来ですが、 「差す」という動詞は、物を所定の位置に置いたり、液体を注入したりする際に使用されます。
これは手で操作する行為全般を含んでいるわけですね。
公文書などの正式な文書ではどう書く?
公用文書など正式な文書で「目薬をさす」はどう書くのでしょうか。
上述したように、公用文書など正式な文書では、常用漢字を用いるのが一般的です。
このため、「点す」「注す」は常用漢字表に含まれていないため、公文書など正式な文書には不適切です。
従って、これらの表現は避けるべきです。
公用文書など正式な文書では、次の表現にすべきでしょう。
- 目薬をさす
- 点眼する
- 目薬を差す
文化庁でも、次のように「目薬をさす」では「差す」を示しています。
【差す】挟み込む。かざす。注ぐ。生じる。
「異字同訓」の漢字の使い分け<サ~ナ行>(素案)|文化庁
腰に刀を差す。抜き差しならぬ。傘を差す。日が差す。目薬を差す。差しつ差されつ。
顔に赤みが差す。嫌気が差す。魔が差す。
「目薬をさす」の言い換え
「目薬をさす」の言い換えですが、「目薬をさす 言い換え」でネットで検索しても、納得する結果を出してくれません。
そこで、「点す」の言い換えを探したところ、「滴下」が見つかりましたが、他に適当な言い方がないようです。
いくつか言い換えを並べてみました。
- 目薬を滴下(てきか)する
- 点眼する
- 目に薬を入れる
- 目薬を落す
それぞれの言い換えについて簡単な解説を加えます。
目薬を滴下(てきか)する
これはありですね。
滴下は液体を滴として落とす行為です。
ですから、「目薬をさす」の言い換えとしてピッタリかと思います。
ただ、滴下(てきか)という言葉はめったに聞かないので、「エッ?」と言われちゃうかもしれません。
使用例:1日3回、目薬を滴下してください。
点眼する
「目薬をさす」の正式な言い方です。
上述したとおりですので、特に解説はありません。
使用例:目が疲れるので、よく目薬を点眼する
目に薬液を入れる
目薬を目に投入することをシンプルというかストレートに表現したものです。
「目薬をさす」の主語と述語を入れ替え、目薬を薬液に変更しました。
目薬の成分が目に浸透する漢字がします。
まあ、通常、こういう言い方はしないでしょうけど…。
使用例:目に薬液を入れる際は、清潔な手で行ってください。
目薬を落す
「さす」を「落とす」に変えただけの表現です。
「さす」を度忘れした時に、言い換えとして使える表現です。
使用例:医師の指示に従い、忘れずに目薬を落としてください。
「目薬を打つ」は方言か?
さて、唐突ですが、「目薬を打つ」という表現があるようです。
「目薬をうつ」は間違いですか?
yahoo!知恵袋|ID非公開さん
こんな質問をなされている方がいます。
回答は複数ありますが、皆、否定的意見ばかりでした。
他にも、こんなサイトがあります。
「目薬をうつ」という表現を使う人が、特に若い方にいらっしゃいます。 「注射をうつ」と同じ感覚の用法なのでしょうか、診察中にときどき耳にすることがあります。
点眼薬あれこれ|菊地眼科医院
こちらは「うつ」とひらがなですが、やはり「目薬をうつ」です。
ちょっと、気になったので検索してみましたが、この表現は全く見つからないようですね。
今、流行りのAIである「CHATGPT」にかけたら、北海道、東北(青森、秋田等)が出て来ましたが、怪しいので出典を聞くと、その裏付けが古いモノばかり。
また、URLが見つからないというと、表示される県が増えてきます(熊本、岡山、愛知など)が、やはり、出典が明確でないですね。
60爺の聞き方が悪いのかもしれませんが、未確認情報ばかりなので、記事に掲載するのは断念しました!
最後に
「目薬をさす」を漢字で書くとどうなるのかを見てきました。
昔は「点す」「注ぐす」だったのが、常用漢字表から外れることで、漢字表記なら「差す」、あるいは「ひらがな」の「さす」と書くようになったそうな。
この「差す」は、「傘をさす」の漢字表記と同じなんですな。
後は、「目薬をさす」の言い換えを探しましたが、思いのほか少なかったですねえ…。
※「期間があく」「風邪がうつる」や「こまめに」「つむじかぜ」等ちょっとした文言を漢字で書くとどうなるのか…
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません