西山朋佳女流三冠女性初棋士誕生なるか?棋士編入試験日程と見どころ
西山朋佳女流三冠が、女性初のプロ棋士となるかどうかが大きな注目を集めています。
これまで、数々の女流タイトルを獲得し、実力と戦績で女流棋界を牽引してきた西山女流三冠。
彼女が挑むのは棋士編入試験です。この試験5番勝負なんですが、5名の試験官に勝ち越せば、晴れて、女性初のプロ棋士が誕生します。
女性初の快挙を達成するための試験日程と見どころ、そしてこれまでの歩みや彼女の意気込みについて詳しく解説します。
この記事を通じて、将棋界における歴史的な瞬間への期待感を高めていただければ幸いです。
それでは、どうぞ、本記事を最後まで、お楽しみください。
西山朋佳女流三冠とは?
棋士編入試験の日程も気になりますが、まずは、西山朋佳女流三冠とはどんな人なのかを知っておきましょう。
その実績やキャリアを知ることで、女性初のプロ棋士が誕生する意味がどんなに凄いことかわかると思います。
西山朋佳のこれまでの実績とキャリア
西山朋佳(にしやま ともか)は、1995年6月27日生まれの将棋の女流棋士です。
伊藤博文七段門下です。
2010年3月7日、中学2年で関西奨励会に入会し、2015年12月に、女性として2人目最年少の20歳5か月で三段に昇段しました。
第59回(2016年度前期)から三段リーグに参加し、三段リーグで勝ち越しおよび次点の成績を挙げています。これは、女性では初めての快挙です。
特筆すべきは、2020年3月7日、第66回三段リーグにおいて最終日の2局も連勝して最終成績を14勝4敗としたことです。
本来なら、四段になってしかるべきでしたが、前期の成績によって決まる順位の差により、西山は次点となって昇段を逸してしまいました。
そして、2021年4月1日、奨励会の年齢制限を前にして、奨励会を退会して女流棋士(東京所属)に転向したのです。
女流三冠としての歩みと影響力
2024年9月現在、女流三冠(女流王座、女王、白玲)を保持しており、その実力と多彩な戦術で女流将棋界をリードしています。
女流棋士での歩みもみておきましょう。
奨励会在籍中から、女流棋戦にも参加し(2011年5月27日日本将棋連盟の発表により、女性奨励会員がマイナビ女子オープン・女流王座戦に出場できるようになった)ました。
そして、2014年第4期女流王座戦五番勝負でタイトル戦に初登場したものの、加藤桃子女王に3連敗して敗退します。
しかし、2018年5月24日第11期マイナビ女子オープン五番勝負では、3勝1敗でシリーズを制して初タイトル「女王」を獲得しました(女流棋士ではない奨励会員の女流タイトル獲得は加藤に続き2人目)。
さらに、西山の快進撃は続きます。
2019年5月22日第12期マイナビ女子オープン五番勝負は挑戦者・里見香奈女流四冠を3勝1敗で退け連覇。
同年11月1日第41期女流王将戦三番勝負第3局では、2勝1敗で又もや里見香奈女流王将に勝ち女流王将を獲得し、女流二冠となりました。
しかも、約1ヶ月後の同年12月4日第9期女流王座戦五番勝負で、みたび里見香奈女流王座に3勝1敗でシリーズを制して女流王座をも獲得し、女流三冠となりました。
これは、女流棋士ではない女性奨励会員が獲得可能な3つの女流タイトル(女王・女流王座・女流王将)を独占したことになるんです。
棋士編入試験とは?
さて、この章では、本題の棋士編入試験とは何なのかを詳しく見ていきます。
編入試験の概要
棋士編入試験の規定が日本将棋連盟のホームページに載っています。
おおー、受験料は税別で50万円もかかるのですな!初めて知りましたよ。
受験資格は、この規定にもある通り、次の通りです。
・現在のプロ公式戦において、最も良いところから見て10勝以上、なおかつ6割5分以上の成績を収めたアマチュア・女流棋士の希望者
棋士編入試験についてのお知らせ|日本将棋連盟
・四段以上の正会員の推薦のある者
西山朋佳女流三冠は、2024年7月4日に行われた公式戦に勝ち、13勝7敗で棋士編入試験受験資格を満たしました。
申請期間も定められており、受験資格の成績を得た後から1ヶ月以内に申請しないと、資格は消失してしまいます。
ちなみに、西山朋佳女流三冠は、資格を満たした後の取材で、即、受験の意思を表明しました。
試験内容は、棋士(試験官といい、新四段5名を棋士番号順に選出)との5番勝負です。
持時間3時間(1局目に振り駒、以下5局まで先後交代)となります。
5対局中3勝で合格です。合格すると、4月1日付または10月1日付で四段となり、フリ―クラスへの編入となります。
西山朋佳女流三冠の試験の開始は9月となるので、3連勝して合格した場合も11月になるので、フリ―クラスへの編入は来年2025年4月1日になるわけです。
但し、編入したフリークラスも厳しい条件です。
既定の成績をあげて、順位戦のC級2組に上がらないと10年後には引退ですからね。
これまでの棋士編入試験合格者とその影響
これまでに行われた棋士編入試験合格者です。
合格者 | よみ | 合格年 | 勝敗 |
---|---|---|---|
今泉健司 | いまいずみけんじ | 2014年 | 3勝1敗 |
折田翔吾 | おりたしょうご | 2019年 | 3勝1敗 |
小山怜央 | こやまれお | 2022年 | 3勝1敗 |
上記のように、3名が、棋士編入試験を合格し、棋士として活動を開始しています。
3名とも、フリークラスでの昇級既定を満たし、現在では、順位戦C級2組を戦っています(小山四段は来期から参戦)。
この棋士編入試験の影響ですが、奨励会という厳しいプロ養成機関の枠組みから外れた形でのプロ入りを認めるものであり、年齢制限でプロ棋士になる道が閉ざされた者たちに新たな可能性を提供しています。
また、小山四段のように、奨励会に属さなくとも、既定の成績をあげて棋士になるという多様性の促進にも一役買っています。
試験日程と対戦相手の紹介
西山朋佳女流三冠の棋士編入試験の日程と対戦相手(試験官)を紹介します。
局 | 先後 | 勝敗 | 試験官 | 棋士番号 | 年齢 | 日時 | 対局場所 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 後 | 〇 | 高橋佑二郎四段 | 342 | 25 | 9月10日(火) | 東京・将棋会館 |
2 | 先 | ● | 山川泰熙四段 | 341 | 26 | 10月2日(水) | 東京・将棋会館 |
3 | 後 | 上野裕寿四段 | 340 | 21 | 11月18日(月) | 関西・将棋会館 | |
4 | 先 | 宮嶋健太四段 | 339 | 25 | 未定 | ||
5 | 後 | 柵木幹太四段 | 338 | 26 | 未定 |
対戦相手(試験官)は、規定にあったように、「新四段5名を棋士番号順に選出」ということで、最近、奨励会を抜けた上記5名が勤めます。
どんな棋士かは、「棋士データベース|日本将棋連盟」をご覧ください。
2024年9月5日時点、四段の一番下にいる5名です。時間が経つと順次、昇段していきますので名前で探さなくてはいけなくなります。
年齢は26歳と25歳が各2名、21歳が1名で、若手と言っていいでしょう。
編入試験の状況
2024年9月10日編入試験第1局が東京・将棋会館で指されました。
試験官は高橋佑二郎四段です。
振り駒で、先後が決められ、西山女流3冠の後手が決まりました。第2局以降先後が入れ替わります。
この対局は、後手西山女流3冠の三間飛車となり、132手で後手の西山女流三冠の勝ちとなりました。
幸先良い1勝で女性初の棋士誕生まで、あと2勝です。
第2局は、10月2日東京・将棋会館で実施されました。試験官は山川泰熙四段です。
今度は、先手となる西山女流三冠でしたが、直前にコロナ感染もあり、残念ながら十分な力を出すこともかなわず敗戦となりました。
見どころと注目ポイント
さて、この編入試験の見どころと注目ポイントを挙げてみました。
- 女性初のプロ棋士誕生なるか
- 西山女流三冠の戦術と強み
- 精神力と試験の重圧
- 将棋界への波及効果
女性初のプロ棋士誕生なるか
現役の棋士は現在(2024年9月3日現在)172人おる訳ですが、この中に女性はひとりもおりません。
棋士とは、奨励会3段リーグ(年2回のリーグ戦)を戦い、その上位2名が四段となり棋士になります。
また、上述した棋士編入試験に合格した者も四段となり棋士になる訳です。
西山女流三冠が棋士編入試験に合格すれば、女性として初のプロ棋士誕生となります。
これは将棋界全体にとって歴史的な瞬間であり、多くのファンや関係者がその結果に注目しています。
この挑戦は、ジェンダーの壁を越えた多様性の推進に大きな影響を与える可能性があります。
西山女流三冠の戦術と強み
西山女流三冠は、振り飛車党で、ゴキゲン中飛車と三間飛車が得意戦法です。
軽いさばき、力強い攻めを特徴とする攻めの鋭さと柔軟な戦術を兼ね備えた棋風で知られています。
終盤力においても定評があり、多彩な戦術や戦略は試験官相手にも、十分通用するのではないでしょうか。
また、序盤の準備や相手への研究も重要であり、その準備がどのように活かされるかが注目されます。
精神力と試験の重圧
棋士編入試験は、通常の公式戦とは異なる重圧がかかる場面です。
西山女流三冠はこれまで多くの公式戦で経験を積んできましたが、編入試験は特別な意味を持つ対局であり、精神的な強さも試されることになります。
このプレッシャーをどのように乗り越えるかが、棋士編入試験突破の鍵を握るでしょう。
また、西山女流三冠には、この試験と並行して女流棋戦を戦わなくてはなりません。試験との兼ね合いが、なかなか難しいかもしれません。
福間香奈女流五冠が編入試験を受験した際も、女流棋戦を並行して戦っていたためか、体調管理などが大変だったせいか3連敗で不合格となってしまいました。
将棋界への波及効果
西山女流三冠がプロ棋士としてデビューすれば、将棋界の歴史に新たな1ページを刻むことになります。
また、彼女の成功は他の女性棋士や奨励会員にとっても大きな希望となり、将棋界全体における女性の活躍を後押しする可能性があります。
これにより、将棋の普及や新たなファン層の拡大にもつながるでしょう。
女性初の棋士誕生に対する期待と反響
まず、師匠の伊藤博文七段の言葉から見ていただきます。
伊藤博文七段の下に、現在棋士がいないのですが、そこに続いてほしいと言ってますねえ。
西山女流三冠が棋士になって、伊藤博文七段⇒西山朋佳と系譜が続いてほしいと願っていますよね。
棋士になったら、すぐ辞めて女流棋士に戻ってもいいなんてことまで言ってるんですよ。泣けちゃいますね。
「前から私の夢は、男性と同じ棋士の家系図に西山さんと一緒に載ること」が師匠の夢!
是非、かなえてやってほしいですな。
谷川浩司十七世名人(62)は「連盟100周年の節目に西山さんが挑むことは縁を感じさせる。棋士に昇格すれば、後に続く女性たちのための道ができる」と期待を寄せている。
読売新聞オンライン
谷川浩司十七世名人も期待を寄せています。
是非、合格の栄冠を成し遂げてほしいですね。
本人は、「女性初というのはそんなに意識はしていない」という自然体です。
最後に
これまで、数々の女流タイトルを獲得し、実力と戦績で女流棋界を牽引してきた西山女流三冠が棋士編入試験に臨みます。
この試験5番勝負なんですが、試験官である四段の棋士5人に勝ち越せば、晴れて、女性初のプロ棋士が誕生します。
そのため、西山女流三冠が何者なのか、彼女が挑戦する編入試験とはどんな制度なのか、その試験日程から見どころまでを60爺なりに解説しました。
この記事を通じて、将棋界における歴史的な瞬間への期待感を高めてください。
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