「勧める」「薦める」の違いとは?その漢字表記・使い方まで総特集
「勧める」と「薦める」は、どちらも「すすめる」と読む漢字表記です。
これらの表現は、ニュアンスが大きく異なり、当然、その意味や使い方には大きな違いがあります。
日常生活やビジネスシーンで見聞きすることが多いこれらの言葉ですが、正しい使い分けができていますか?
特に文章を書く際には、これらの微妙なニュアンスを理解し、適切に使うことが求められます。
本記事では、「勧める」と「薦める」のニュアンスの違いから、使用されている漢字「勧」・「薦」の持つ意味、具体的な使い方をご覧に入れます。
是非、最後までご覧になって、正しい使い分け方を身につけていただければ幸いです。
違いがよくわかりますんで、是非、お立ち寄りください!
「勧める」「薦める」の違いとは?
まず、これらの違いは何か一言で表しますね!
「すすめる」という表現の違いは?
「勧める」「薦める」の違いは次の通りです。
表現 | 意味 |
---|---|
勧める | 「勧誘」のニュアンスが強くある場合に使う |
薦める | 「推薦」のニュアンスが強くある場合に使う |
ご覧のように、モノを「すすめる」際に、「勧誘:あることをするように勧めて誘うこと」「推薦:(候補者や良書といった)特定の人や物がそれにふさわしい・望ましいととして推挙すること」のニュアンスによって使い分けます。
「勧める」「薦める」の違いは上記の通り明確ですね。
それぞれの「すすめる」について、もう少し、細かく見ていきましょう。
勧める
「あることをするように勧めて誘う」気持ちがある場合に使います。
即ち、「自分がよいと思う事を他人もするように言う」行為ですね。
辞書で「勧める」を確認しました。
- 人がその事を行うように誘いかける。勧誘する。「辞任を—・める」「加入を—・める」
- 物を供して、飲食または使用してもらおうとする。「茶菓を—・める」「風呂を—・める」
- 積極的に実行するようにたすけ励ます。奨励する。「資源の有効利用を—・める行政」
出典:デジタル大辞泉(小学館)
勧める|goo辞書
ご覧のように3つの意味がありますが、上述した1.の意味の他にも「勧める」を使う場合があるんですね。
これらにも、「自分が良いモノを他人に勧める」意があると感じます。
薦める
「推薦:(候補者や良書といった)特定の人や物がそれにふさわしい・望ましいととして推挙する」気持ちがある場合に使います。
即ち、「自分がよいと思う人・物事を他人に推挙する」行為ですね。
こちらも、goo辞書で意味を見ておきましょう。
ある人や物をほめて、採用するように説く。推薦する。「有望株を—・める」
薦める|goo辞書
出典:デジタル大辞泉(小学館)
ご覧のように、「推薦する」という意味と同じなんですね。
人や物が、ある地位や場所にピッタリだと推挙することですね。
「勧める」「薦める」の使い方
辞書の中にいくつか例文がありましたが、この章では、「勧める」「薦める」の使い方を挙げておきます。
- あの研修は思ったよりもはるかにいいので、入会をお勧めします。
- 君は、自分が考えているより、はるかに才能があるので、芸術家になることを勧めるよ!
- 残念ですが、あなたには引退を勧めるより外に道はないです。
それぞれ、勧誘の気持ちがあるので、「勧める」を使用しています。
次は、「薦める」ですね。
- 若い子には良書を薦めることで、将来の援けになればいいでしょう。
- 彼は、まだ若いけれでも、経験を積むことを主眼に、議長になることを薦めるつもりです。
- 回りに方々に強く薦められて立候補します。
こちらの例文では、それぞれ、推薦の意があるので、「薦める」を使うんですね。
例文を用いると理解が深まりますね。
「勧める」「薦める」の漢字表記について
「勧める」「薦める」で使わるの漢字表記「勧」「薦」に着目して、その内容を見てみましょう。
順に、漢字を見ていくことにします。
勧
まず、「勧」について、読み方と意味を見てみましょう
「勧」の読み方と意味
勧
画数 :13画
音訓:カン すす・める
意味
①すす・める。仕事やよい案に従うよう力づける。②すす・める。口を揃え、または、繰返して進める。③姓のひとつ。
日本語だけの意味
方程式の未知数。
姓の他に、意味が2つありますが、両者とも、「あることをおし進めていく」意味なんですね。
語源を見ておきましょう。
勧=勸=雚(カン・左右に揃う)+力(ちから)で構成されます。
両脇から人に何かをするように、声を合わせて力づけてやる情景を示します。
「勧」という漢字自体が、人に何かをするよう「勧めて」います。
次は、字源です。
この漢字の中にある「雚」を持つグループ(勧の他に、歓・観・権・罐)には「合わせ揃える」「バランスよく揃う」というイメージがあります。
元々の発想は、鸛(こうのとり)から来ている語群です。
鸛は、雌雄が一生涯つがいになる習性や、雌雄が揃って子育てをする習性から、ここから上記のイメージにつながったようです。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
薦
次は、「薦」の読み方と意味を見てみましょう
「逢」の読み方と意味
薦
画数 :16画
音訓:セン すす・める し・く しき・りに
意味
①すす・める。きちんと揃えて神前に供える。②形を整えたお供え。供物。③すす・める。よいと思う人やものを選んで採用するように他の人を説く。④し・く。草をしく。しき重ねる。⑤しき・りに。しばしば。何度も重ねて。⑥神聖な獣が食うという、大きさの揃った草。⑦しき草。草を編んで作った敷物。むしろ。
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
意味が7つありますが、「薦める」にピッタリの意味が③「よいと思う人やものを選んで採用するように他の人を説く」ですね。
語源はなかったので、字源を見ておきましょう。
「薦」=「廌(神獣)+艸(くさ)」(会意)
「廌」は、伝説上の動物の名です。
鹿に似ていますが角は一本。足は馬に似ており、悪者に触れてその非を正す性質があると信じられました。
「廌」には、こんな意味があったのですね。
ここから、「薦」は、神獣に恭しく草を供える情景を想定した図形であり、敬意をこめて物を何かの上に重ねて恭しく前に進めることを表しています。
最後に
「勧める」「薦める」の違いを見てきました。
これらの違いも明白でした。「勧める」は「勧誘」のニュアンスがある場合、「薦める」は「推薦」のニュアンスがある場合に使用するものでした。
ですから、「すすめる」という言葉を使用する際、上記の意思がある場合に使い分ければいいのです。
漢字表記を調べてみたところ、「薦」の字には、面白い漢字が隠れていることが分かって面白かったです。
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