東風の読み方は複数あり!その意味から雑学まで皆まとめて総特集

「東風」という言葉は、一見シンプルながら、実はその読み方によって異なる意味や背景を持っています。
この言葉は、古典の時代から現代にかけてさまざまな場面で用いられ、さらには、日常生活の中でも重要な役割を果たしてきました。
季節の変わり目や風向きなど、東風の読み方により変化する背景を知ることで、より深くその言葉の持つ魅力に触れることができます。
本記事では、東風の読み方や意味、そして、東風にまつわる興味深い雑学も取り上げていきます。
この機会に、普段何気なく使われる「東風」という言葉に隠された奥深い魅力を再発見してみましょう。

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東風の読み方と意味

ここでは、東風はどう読むのか、その読み方を紹介します。
素直に読めば「ひがせかぜ」「とうふう」ですが、どんな読み方があるのか、次の7つの読み方に当たってみました。

読み方辞書1辞書2意味
あゆ×(アイとも)東のかぜ。
こち春に東方から吹いてくる風。
こちかぜ×「こち」に同じ。
とうふう①ひがしのかぜ。こち。②春風。
とんぷう××①麻雀における場風および面風の一つ。②YMOの楽曲。
はるかぜ××七十二候の第一候「東風解凍」。
ひがしかぜ東から吹いてくる風。

辞書1は三省堂国語辞典、辞書2は広辞苑です。
広辞苑には、全ての読みが載っていました。
三省堂国語辞典では、「あゆ」「こちかぜ」がありませんでした。

東風の読み方を見ると、基本的に「東から吹いてくる風」の意が多いですが、それぞれの読み方について深堀してみます。

あゆ

この言葉は、古く万葉集にも載っている言葉ですが、現在では聞きませんね。古典の部類に入るモノかと思われます。
別名は「あゆのかぜ」です。
意味にある「あい」を見ると、(アユの転)とあり、北ないし東の風と出ています。主に、日本海沿岸地方の言葉のようです。
この「あい」は「あいのかぜ」「あゆのかぜ」を指します。

こち

「ち」は風の意を表すと出ています。
では、「こ」は何の意なのか悩むところですが、「大言海」では「小」の義で、「春風のやわらかき」意に起こったとしていますが、実態ははっきりしないようです。
別名として、「ひがしかぜ」「春風」「こちかぜ」が出ています。
こちらの言葉も。拾遣和歌集に歌が載っていますね。

こちかぜ

意味は「こち」と同じですから、「春に東方から吹いてくる風」を指します。
別名は「こち」「ひがしかぜ」「春風」になります。
こちらも、人麻呂集に載っています。

とうふう

「東のかぜ」「春風」と二つの意味を持っています。
春風は、「東」が五行説で春に当たることから、こうなりました。
馬耳東風という、どなたもご存じであろう四文字熟語があります。

とんぷう

この読みは、辞書では確認できませんでした。
意味は大きく2つあります。
ひとつは、麻雀における場風および面風の一つを「とんぷう」と言います。
もう一つは、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の楽曲を指しますが、正確には「TONG POO」のようです。
他にも、漫画(ついでにとんちんかん)やゲームのキャラクター(ストライダー飛竜)に「東風」が存在しますが、ここでは割愛しました。

はるかぜ

こちらの読みも、辞書では確認できませんでした。
七十二候の第一候「東風解凍」にでてきます。
「はるかぜこおりをとく」と読みます(※60爺所有の歳時記カレンダーでは「とうふうこおりをとく」でしたが…)。

ここでいう東風は風の吹く方向ではなく、春風の総称を表しています。
「こち」「こちかぜ」の別名に「はるかぜ」がありましたね。
次々に吹く春の風が、凍土を解かし始めることを表しています。

ひがしかぜ

言葉通り、東から吹いてくる風のことです。
別名として、既に出た「こち」と、他に「ひがし」があります。


東風(こち)に関する考察

さて、東風に「こち」という読み方がありましたが、東、風という漢字をみても、「こ」「ち」は存在しません。
では、なぜ、このような読み方が存在するのでしょうか?

答えは「熟字訓」即ち「2字以上の漢字からなる言葉自体を訓読みする」ことから来ています。

例として、「昨日(きのう)」「明日(あす)」「女将(おかみ)」などが該当します。

さて、「東風(こち)」ですが、これも同じ理屈です。
中国語「東風」・日本語「こち」という言葉があり、これらが同じ意味を持つところから「東風」と書いて「こち」と読む、となったのです。

こうなると、他の風についても同様の例があると考えますね。

見ていくと、早々、「南風」については「はえ」という熟字訓がありました!
中国語「南風」・日本語「はえ」から、同じ意味を持つので「南風」と書いて「はえ」になりました。
この「はえ」、由来はサンスクリット語のヴァーユ(vayu)らしいのですが、「はえ」との違いが大きくはっきりしないようですね。

そして、西風、北風に関しては、残念なことに、熟字訓は存在しないのです。

東風と名字

東風という名字があるか見てみました。

【名字】東風
【読み】こち,ひがしかぜ
【全国順位】 18,856位
【全国人数】 およそ250人

【名字】東風|名字由来net

読みには、「こち」「ひがしかぜ」の二つが挙がりました。
ふむ、全国順位18,000台は、60爺の手習いに出てくる順位としては上位に当たります。
全国人数およそ250人も、かなり多い人数ですね。
この名字の由来は「東風の強い原野、山麓など」と出ているので、その出身者ということになりますか。
都道府県別に見てみましょう。

都道府県人数
千葉県およそ80人
広島県およそ60人
東京都およそ40人
兵庫県およそ20人
石川県およそ20人

関東、関西で200人と8割を占めました。
上位4つの都県に東風の強い場所があったんですかね。

最後に

東風の読み方を見てきました。
7つの読みが見つかりましたが、うち、辞書には5つの読み方が存在しました。
それぞれの読み方と意味をまとめてみました。
その中で、聞きなれない「こち」について簡単に追及を行ってみました。

※思えば、「言い方・呼び方・読み方」の記事も増えてきました

参考 東風|ウィキペディア、広辞苑

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら