「柳」の旧字とは?異体字も含めパソコン・スマホでの打ち方を確認
漢字「柳」は、日本語においても自然や文学に深く結びついた文字です。
しかし、現代で使われている「柳」には、かつて旧字として使用されていた漢字が存在するのでしょうか。
また、旧字・異体字について、登場した時期等はいつ頃なのでしょうか?
この記事では、そんな「柳」の旧字や異体字について、どんな漢字があるのか、登場した時期や、パソコンやスマホを使って「柳」の旧字や異体字をどのように入力するのか、普段の入力作業に役立てられる実用的な情報も提供します。
どうか、ご一緒に最後まで内容をご覧になってください。
柳に旧字はあるのか
始めに、柳に旧字があるのか確認しましょう。
ネット上には、柳の旧としていくつか情報が載っているサイトもあるんですが、それが正しいのか判断できません。
そこで、「上級漢和辞典 漢字源」で確認した内容をお届けします。
漢字源によると、柳に旧字は存在しません!
おおー!
柳には、旧字は存在しないようです。
以前、記事にした「真」には、「眞」という旧字が載っていましたが、「柳」には旧字として載っている漢字がありませんね。
柳の基本情報を、以下に載せておきます。
画数 | 9画 |
音読み | リュウ |
訓読み | やなぎ |
意味 | ①木の名。シダレヤナギ②木の名。ヤナギ科の落葉高木・低木の総称③ぬりこ。星座の名前。二十八宿の一つ④姓の一つ |
柳の異体字
柳には旧字がありませんが、漢字源には異体字として次の2つの漢字が載っています。
これらの異体字について少し、考察をしてみましょう。
この漢字が登場した理由として、楷書体(筆写体・書写体)の影響があることが考えられます。
この楷書体は、中国で3世紀ころから使い始められ、隋・唐時代から書籍・石碑にも書かれてきた伝統ある書体です。
「柳」は、「卯」の部分が楷書体では書きにいことから、「木へん」に「夘」「丣」という字体で書かれたと思われます。
そして、この漢字は、明治時代、各地で「戸籍」を作る時、そのまま受け継がれて姓名が書き込まれました。
以降、時代ごとの戸籍係によって忠実に転記され続け、現在まで伝わってきました。
このことは、土吉の「𠮷」や、はしご高の「髙」にもみられるものです。
名字にある異体字
これらの異体字の名字が実際にあるか確認してみました。
まずは、「栁」一文字の名字です。
【名字】栁
【読み】やなぎ,やない,やぎ,りょう,りゅう,りゆ
【全国順位】 3,800位
【全国人数】 およそ3,200人
存在しますね。
しかも、読みが上記のように、6つもあります。
全国順位は3,800位で、人数も「およそ3,200人」とそれなりの人数です。
名字の由来はいっぱいあります。じつは、この由来、「柳」氏のモノと全く同じなんです。
①清和天皇の子孫で源姓を賜った氏(清和源氏)小椋氏流、吉見氏流、
栁さんの名字の由来|名字由来
②中臣鎌足が天智天皇より賜ったことに始まる氏(藤原氏)、
③紀氏(紀朝臣出が多い。竹内宿禰を祖とする。源平藤橘につぐ大姓)などにもみられる。
④津藩の士族、
⑤高崎藩の士族にみられる。
①~③のように、はるか昔に、そのいわれを求める由来が3つもあります。
この位、古いと、ちょっと「眉唾」になってしまうのはやむを得ないでしょう。
その他、津藩、高崎藩の氏族にも「栁」氏がいたんですね。
さて、「栁」に他の漢字をつけた名字を見ておきます。
名字 | 全国順位 | 全国人数 |
---|---|---|
高栁(たかなやぎ,たかやぎ,たかやな) | 11,478位 | およそ570人 |
小栁(こやなぎ,おやなぎ,おやぎ) | 8,746位 | およそ880人 |
青栁(あおやぎ,あおやなぎ,あおぎ) | 9,983位 | およそ720人 |
以上、3つの名字は名字由来netでは裏を取ることが出来ました。
「栁を含む名字 – なまえさあち」では、その他に、次の名字が上がっておりました。
栁瀬(やなせ)、栁武(やなたけ)、栁口(やなぎぐち)、栁濱(やなぎはま、やなはま)、栁木(やなぎ)、栁津(やなぎつ、やないづ、やなつ、やなぎづ)、栁場(やなば)、太栁元(たりゅうもと)
これらは、既に述べたように、名字由来netで裏は取れませんでした。
「栁」を「柳」に変えたところ、最後の「太柳元(たりゅうもと)」は名字由来netでも存在を確認できました。
次は、まずは、「桺」一文字の名字です。
【名字】桺
【読み】やなぎ
【全国順位】 調査中
【全国人数】 およそ10人
おお、こちらもいらっしゃるようです。
但し、全国順位は調査中となっており、人数もぐんと減って「およそ10人」しかおりませんな!
この漢字、なかなか見つからない漢字であるのでしようがないでしょう。
名字の由来は、先程の「栁」と同じ内容です。
さて、「桺」に他の漢字をつけた名字を見ておきます。
名字 | 全国順位 | 全国人数 |
---|---|---|
桺川(やながわ,やなかわ,やなぎがわ,やなぎかわ,やぎがわ) | 調査中 | 調査中 |
青桺(あおやぎ,あおやなぎ,あおぎ) | 調査中 | 調査中 |
桺田(やなぎだ) | 調査中 | およそ10人 |
桺原(やなぎはら) | 調査中 | およそ10人 |
畔桺(くろやなぎ) | 調査中 | およそ10人 |
桺沢(やなぎさわ) | 調査中 | 調査中 |
桺井(やない) | 調査中 | およそ10人 |
こちらは、7つの名字が名字由来netで裏を取ることが出来ました。
ただ、ご覧の通り、調査中が多いですね。人数も、「およそ10人」がほとんどで、名字としては非常に少ないことが分かります。
「桺を含む名字 – なまえさあち」では、その他に、次の名字が上がっておりました。
桺野(やなぎの)、四桺(よつやなぎ)
これらは、残念ながら名字由来netで裏は取れませんでした。
その他の「柳」の異体字
柳の異体字ですが、こちらのサイト(12/13)では、もう一つ増えて3つの異体字があるようです。
そして、戸籍の「柳」を見ると、法務省の戸籍統一文字情報サイトを見ると、なんと9つもの異体字を見ることができます。
上記ページで、「やなぎ」で検索すると、つぎの9つの文字が現れます。
うーむ、最初の「柳」以外は、馴染みがない漢字が並びましたね。
柳の異体字二つも出ていますが、これ、みんな「やなぎ」と読むんですね。
ハンコを作るのが大変そうだな……。
柳の異体字パソコンでの打ち方
この章では、先に紹介した「柳」の異体字「栁」「桺」のパソコンでの打ち方を3つ紹介します。
- 文字変換での打ち方
- Unicodeを使った打ち方
- 「IMEパッド手書き」を使った打ち方
1.は、ある文字を入力して変換キーを押すことで「柳」の異体字を出す打ち方です。
2.は、Unicodeを使って「柳」の異体字を出す打ち方です。
3.は、IMEパッドの手書きを使って「柳」の異体字を出す打ち方です。
それでは、それぞれの打ち方を手順を示しながらご紹介します。
文字変換での打ち方
文字変換による「柳」異体字の入力手順です。
- 「やなぎ」入力
- 日本語で「やなぎ」と入力します。
- 変換候補から「栁」の異体字を探す
- 変換キーを何回か押すと変換候補が表示され、柳の異体字「栁」が見つかったらクリックします。
- 「栁」入力完了
- 「栁」が表示されました。
しかし、「やなぎ」では、もう一つの異体字である「桺」は出てきません。
「こやなぎ」「やない」「やなぎさわ」などでも、「栁」は出てきますが「桺」は候補として出てきません。
この「桺」は、文字変換で出すことは出来ないようです!
Unicodeを使った打ち方
今度は、Unicodeを使用した打ち方です。
「栁」のUnicodeは「6801」、「桺」のUnicodeは「687A」です。
まずは、「栁」を出してみましょう。
- 「6801」入力
- 日本語で「6801」と打ちます。
- 「F5」キー押下
- F5キーを押します。
変換候補に「栁」が表示されるので選択します。
- 「栁」入力完了
- 「栁」が表示されました。
ご覧の通り、Unicodeの入力はコードさえ覚えておけば一発なんですが、何と言ってもコード字体を覚えるのが至難の業ですよね。
続けて、「桺」の入力です。
- 「687A」入力
- 日本語で「687A」と打ちんですが、今回は右のような入力になりました。
- 「F5」キー押下
- F5キーを押します。
変換候補に「桺」が表示されるので選択します。
- 「桺」入力完了
- 「桺」が表示されました。
文字変換とは違い、「桺」の入力が出来ました。
ただ、このUnicode「687A」を覚えるのが、とても面倒ですね。っていうか、よほどのことがないと、覚え続けるのは難しいです。
このサイトを覚えておいていただいて、後々見に来てください。
「IMEパッド手書き」を使った打ち方
最後は、「IMEパッド」にある「てがき」を使って「柳」の異体字を出す打ち方です。
- 「IMEパッド」クリック
- パソコンの下部タスクバーにある、「あ」or「A」のマーク(赤枠)を右クリックしてメニューを表示します。
そこから、「IMEパッド」をクリックしましょう。
- IMEパッドの手書き画面
- IMEパッドの手書き画面が現れます。
違う画面の場合は、右記の画面にあるように、手書きの部分をクリックします。
- 「柳」を手書きする
- マウスを使って、画面に「柳」を手書きしましょう。
- 「柳」を右クリックする
- 漢字候補に「柳」が出るので、右クリックします。
- 「異体字の挿入」の「>」をクリック
- 表示されるメニューから「異体字の挿入」の右側にある「>」をクリックしましょう。
- 「異体字」を選択
- 「柳」の異体字が表示されるので、必要な漢字をクリックします。
これで、「柳」の異体字を表示できます。
スマホでの「柳」の異体字の打ち方
スマホでは、「柳」の異体字を表示するには、2つの打ち方が出来ます。
- 文字変換での打ち方
- 「手書き入力」を使った打ち方
それぞれの打ち方の手順を紹介します。
文字入力での打ち方
- 「やなぎ」入力
- 日本語で「やなぎ」と入力します。
- 変換候補をタップ
- 変換候補を表示するため、「ⅴ」をタップしましょう。
- 変換候補から異体字「栁」を探す
- 変換候補が表示され、「栁」が見つかったらクリックします。
これで、「栁」が表示されます。
スマホでも、難なく「栁」を表示することが出来ました。
ただ、パソコンと同様に「栁」は出せるんですが、スマホでも「桺」は候補に出てきません。
「手書き入力」を使った打ち方
スマホでも、手書き入力ができます。
- 「手書き入力」変換
- 60爺のスマホ「OPPO A73」では、日本語入力画面の地球マーク?をタップで「手書き入力」画面に変換できます。
- 手書き入力画面に漢字入力
- 手書き入力画面に、異体字「栁」「桺」を入力し、変換候補から該当の異体字をタップします。
このやり方でも、異体字のうち「栁」は表示できますが、「桺」は表示できないようです。
こうなると、「桺」を表示するには、このページを見て「桺」をコピー&ペーストするか、「桺」を単語登録するしか手がないですね。
もし、「桺」を頻繁に使うのであれば単語登録をしましょう。手順は次の記事を参照してください。
最後に
柳の旧字があるかどうかから記事を開始しましたが、柳には旧字と言われる漢字はありませんでした。
漢字源には、異体字として2つの漢字が載っていましたので、これらの漢字の謂れ及び名字での状況を紹介しました。
合わせて、パソコンやスマホでの表示方法を述べました。
やり方としては、パソコン・スマホ共に、文字変換で一方の異体字「栁」は割と簡単に表示できました。もう一方の「桺」は、パソコンではunicode等で出せましたが、スマホでは無理でしたね。
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。
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