橋の旧字とは?異体字と合わせパソコン・スマホでの打ち方をチェック
以前、「高」の異体字である「髙」を出すのに「たかはし」で変換(髙橋)しても良いという記事を書きました。
ここで出てきた「橋」という漢字は、日常生活でよく見かける漢字の一つですが、その旧字や異体字について考える機会は余りないかもしれません。
一体、この「橋」には旧字や異体字が存在するんでしょうか?
存在した場合、どのようにパソコン・スマホに出すのか、その打ち方も気になります。
この記事では、「橋」の旧字や異体字を取り上げ、その形状や意味、そしてパソコンやスマートフォンでどのように入力するかを詳しく紹介してます。
これを通じて、普段見慣れた「橋」という漢字に新たな視点を加え、漢字の魅力を再発見していただけることでしょう。
橋に旧字はあるのか
まず、橋に旧字があるのか確認しましょう。
ここでは、「柳」で旧字を探したのと同様に、「上級漢和辞典 漢字源」に当たってみます。
漢字源によると、「橋」に旧字は存在しません!
漢字源によると、旧字体とは「常用漢字表」「人名用漢字別表」「表外漢字字体表」に示される以前の字体と出ています。
「橋」には、上記の3つの表に示される以前の字体がないという訳です。
上記のように、「真」には「眞」という旧字がありましたが、「柳」には旧字はありませんでした。
ここで、橋の基本情報を、以下に載せておきます。
橋
画数 | 16画 |
音読み | キョウ |
訓読み | はし |
意味 | ①川にかかるはし。また、型に曲線をなして高くかかったはし②つるべの横木など、はしの形に似たもの③曲がって高くあがるさま。高くそびえるさま |
字源 | 橋は「喬(高く上がる)+木(き)」で構成され、川の水から高く上がっている「橋」を指しています |
橋は上記の漢字です。
60爺の親戚に、名字に「橋」の入る一家がいます。漢字は、まさに、この「橋」です。
橋の異体字
橋には旧字がありませんが、柳と同様、漢字源には異体字として次の2つの漢字が載っています。
これらの異体字について少し、考察をしてみましょう。
厚生労働省に「異体字検索漢字リスト」というサイトがあります。
ここで、「橋」を入れて検索すると、上記の左側の漢字だけ出てきます。
「よく使われる特殊文字のコード表」でも、異体字を紹介していて、「橋」で検索すると、上記2つの漢字がヒットします。
これらの漢字の由来ですが、「柳」の記事で述べたように、明治時代、各地で「戸籍」を作る時、誤字で申請されたり、役人が書き間違えた漢字が、そのまま書き込まれたようです。
以降、時代ごとの戸籍係によって忠実に転記され続け、現在まで伝わってきたのではないかと……。
このことは、土吉の「𠮷」や、冒頭で述べたはしご高の「髙」にもみられるものです。
名字にある異体字「𣘺」
これらの異体字の名字が実際にあるか確認してみました。
まずは、「𣘺」一文字の名字です。
しかし、この名字はないようです!
では、「𣘺」に他の漢字をつけた名字を確認しましょう。いくつか当たって、ようやくヒットしました。
【名字】八木𣘺
【読み】やぎはし
【全国順位】 調査中
【全国人数】 およそ10人
「𣘺」に他の漢字をつけた名字ですが、「髙𣘺」「𣘺本」「高𣘺」「古𣘺」と見てきたんですが、全て調査中だったんですよ。諦めかけた時に、この「八木𣘺」さんがヒットしました。
ですが、全国順位は調査中でしたが、人数は「およそ10人」と出ています。
この漢字、なかなか見つからない漢字のため、名字も少ないと考えられます。
さて、「𣘺」の名字の由来が出ていましたので引用します。
羽前国置賜郡八木橋村が起源(ルーツ)である、中臣鎌足が天智天皇より賜ったことに始まる氏(藤原氏)秀郷流。弘前藩にみられる。
八木𣘺さんの名字の由来|名字由来
羽前国って、概ね、現在の山形県に当たるそうです。ここがルーツか!
中臣鎌足が賜った藤原秀郷流ですか、子孫が流れてきたんですかね。
弘前藩は今の青森ですから、さらに北に流れたのですな。
さて、他にも「𣘺」に他の漢字をつけた名字がないか見ておきます。
「なまえさあち」では「𣘺」では検索ができないようです。
そこで、「橋」のつく名字を検索してトップから20位まで出して、橋を𣘺に変えて、名字由来netで検索をかけた結果を紹介します。
順位 | 名字 | 調査結果 | 順位 | 名字 | |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 高𣘺 | ○ | 11位 | 松𣘺 | × |
2位 | 𣘺本 | ○ | 12位 | 古𣘺 | × |
3位 | 大𣘺 | ○ | 13位 | 倉𣘺 | × |
4位 | 石𣘺 | ○ | 14位 | 棚𣘺 | × |
5位 | 𣘺口 | × | 15位 | 小𣘺 | × |
6位 | 三𣘺 | ○ | 16位 | 船𣘺 | × |
7位 | 土𣘺 | およそ10人 | 17位 | 岩𣘺 | × |
8位 | 𣘺爪 | × | 18位 | 𣘺詰 | × |
9位 | 板𣘺 | × | 19位 | 市𣘺 | × |
10位 | 本𣘺 | × | 20位 | 𣘺田 | × |
【凡例】○:調査中、×:なし、およそ10人:結果有
上位7位までで、「土𣘺」のみ、人数が「およそ10人」と検索でき、高𣘺、𣘺本、大𣘺、石𣘺、三𣘺の5つの名字が調査中という結果でした。
それ以外の名字は存在しないようですね。
名字にある異体字「槗」
次は、「槗」さんですね。一文字の名字を確認しました。
残念ながら、「槗」という一文字の名字もないです!
次に、「槗」に他の漢字をつけた名字を確認しました。次の名字がありました。
【名字】八木槗
【読み】やぎはし
【全国順位】 調査中
【全国人数】 およそ10人
実は、「𣘺」と同じく、「槗本」「古槗」「高槗」「髙槗」「大槗」と見てきたんですが、全て調査中でした。その段階で、この「八木槗」さんがヒットしたのです。
しかし、全国順位は調査中となっており、人数も「およそ10人」しかおりません。「𣘺」と同じです!
それでは「槗」に他の漢字をつけた名字がないか見ておきます。
「なまえさあち」で「槗」で検索をかけましたが、結果は空振りでした。
そこで、「𣘺」の時と同様に、「橋」のつく名字上位20位まで出して、橋を槗に変えて、名字由来netで検索した結果をお知らせします。
順位 | 名字 | 調査結果 | 順位 | 名字 | 調査結果 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 高槗 | ○ | 11位 | 松槗 | × |
2位 | 槗本 | ○ | 12位 | 古槗 | ○ |
3位 | 大槗 | ○ | 13位 | 倉槗 | × |
4位 | 石槗 | × | 14位 | 棚槗 | × |
5位 | 槗口 | × | 15位 | 小槗 | × |
6位 | 三槗 | × | 16位 | 船槗 | × |
7位 | 土槗 | × | 17位 | 岩槗 | × |
8位 | 槗爪 | × | 18位 | 槗詰 | × |
9位 | 板槗 | × | 19位 | 市槗 | × |
10位 | 本槗 | × | 20位 | 槗田 | ○ |
【凡例】○:調査中、×:なし
こちらは、人数まで把握できる名字はありませんでした。
「𣘺」と同様、高槗、槗本、大槗、古槗、槗田の5つの名字が調査中という結果でした。
その他の名字は存在しないようですね。
その他の「橋」の異体字
「橋」の異体字ですが、こちらのサイト(3/13)では一つのみです。
そして、戸籍の「橋」ですが、法務省の戸籍統一文字情報サイトを見ると、なんと9つもの異体字を見ることができます。
上記ページで、「はし」で検索すると、つぎの13もの文字が現れます。
ただ、「橋」の異体字となると、次の5つに絞れそうです。
左側の2つは上記で紹介済です。
橋の異体字パソコンでの打ち方
この章では、漢字源から取り出した「橋」の異体字「𣘺」「槗」のパソコンでの打ち方を3つ紹介します。
- 文字変換での打ち方
- Unicodeを使った打ち方
- 「IMEパッド手書き」を使った打ち方
1.は、ある文字を入力して変換キーを押すことで「橋」の異体字を出す打ち方です。
2.は、Unicodeを使って「橋」の異体字を出す打ち方です。
3.は、IMEパッドの手書きを使って「橋」の異体字を出す打ち方です。
それでは、それぞれの打ち方を手順を示しながらご紹介します。
文字変換での打ち方
文字変換による異体字「𣘺」の入力手順です。
- 「はし」入力
- 日本語で「はし」と入力します。
- 「単漢字…」を押す
- 変換キーを何回も押します。
最後に「単漢字…」が現れたら、これをクリックします。
- 「𣘺」をクリック
- すると、変換候補が追加されます。
「𣘺」を見つけたら、これをクリックします。
- 「𣘺」入力完了
- 「𣘺」が表示されました。
しかし、「はし」では、もう一つの異体字である「槗」は出てきません。
「たかはし」「どばし」などでは、「𣘺」「槗」とも候補として出てきません。
この「槗」は、文字変換で出すことは出来ないようです!
Unicodeを使った打ち方
今度は、Unicodeを使用した打ち方です。
「𣘺」のUnicodeは「2363A」、「槗」のUnicodeは「69d7」です。
まずは、「𣘺」を出してみましょう。
- 「2363A」入力
- 日本語で「2363A」と打ちます。
ローマ字入力のため、「2363あ」となっています。
- 「F5」キー押下
- F5キーを押します。
変換候補に「𣘺」が表示されるので選択します。
- 「𣘺」入力完了
- 「𣘺」が表示されました。
ご覧の通り、Unicodeの入力はコードさえ覚えておけば一発なんですが、何と言ってもコード字体を覚えるのが至難の業ですよね。
続けて、「槗」の入力です。
- 「687A」入力
- 日本語で「687A」と打ちんですが、今回は右のような入力になりました。
- 「F5」キー押下
- F5キーを押します。
変換候補に「槗」が表示されるので選択します。
- 「槗」入力完了
- 「槗」が表示されました。
文字変換とは違い、「槗」の入力が出来ました。
ただ、このUnicode「69D7」を覚えるのが、とても面倒ですね。っていうか、よほどのことがないと、覚え続けるのは難しいです。
このサイトを覚えておいていただいて、後々見に来てください。
「IMEパッド手書き」を使った打ち方
最後は、「IMEパッド」にある「てがき」を使って「橋」の異体字を出す打ち方です。
- 「IMEパッド」クリック
- パソコンの下部タスクバーにある、「あ」or「A」のマーク(赤枠)を右クリックしてメニューを表示します。
そこから、「IMEパッド」をクリックしましょう。
- IMEパッドの手書き画面
- IMEパッドの手書き画面が現れます。
手書き画面が出ない場合は、右記の画面にあるように、手書きの部分をクリックします。
- 「橋」を手書きする
- マウスを使って、画面に「橋」を手書きしましょう。
- 「橋」を右クリックする
- 漢字候補に「橋」が出るので、右クリックします。
- 「異体字の挿入」の「>」をクリック
- 表示されるメニューから「異体字の挿入」の右側にある「>」をクリックしましょう。
- 「異体字」を選択
- 「橋」の異体字が表示されるのでクリックします。
これで、「橋」の異体字「槗」が表示できました。
手書きで「𣘺」と書いても、変換候補に「𣘺」が出ないですね。
この「𣘺」は、「IMEパッド手書き」で出すことは出来ないようです!
スマホでの「橋」の異体字の打ち方
スマホでは、「橋」の異体字を表示することは出来ないようです。
文字変換、手書き入力を使っても、変換候補に橋の異体字が現れません!
こうなると、「橋」の異体字を表示するには、このページを見てコピー&ペーストするか、異体字を単語登録するしか手がないですね。
もし、橋の異体字を頻繁に使うのであれば単語登録をしましょう。手順は次の記事を参照してください。
おまけ:他の異体字のUnicode
上述した、その他の「橋」の異体字において、5つの異体字を紹介しています。
この内、2つのUnicodeは示しましたので、残りの3つの異体字のUnicodeを紹介して記事を終わります。
Unicodeを順に並べます。
- 2B78F
- 2B78E
- ????
スイマセン!最後の異体字のUnicodeを見つけられずにいます。
どうやら、外字になってしまうようで、環境依存文字として存在するようです。
最後に
橋の旧字があるかどうか確認しましたが「ない」という結論でした。
漢字源には、異体字が2つの載っていたので、これらの謂れや名字の状況を紹介しました。
合わせて、パソコンやスマホでの表示方法を述べました。
柳の異体字と違って、文字変換では一方の異体字しか出せませんでした。Unicodeは別として、手書きでは、もう一方の異体字しか出せなくて、ちょっと驚きましたね。
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。
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